花守

四季の花はそれぞれやさしく咲きこころなごみます
折々に咲く花を守りこころかすめる思い出など綴ってみたいです

九月になると

2016年09月09日 11時17分20秒 | 趣味

                (この絵は再掲です)

この絵を見ると思い出すのです
もう何年も以前のことになります 暑さが和らいだ9月のある日に
「市立美術館で日本画展を開催するので各自4点を出品するように」と
当時通っていた日本画教室で言われました

私はその展覧会のために描きたい構想がありました
それは人物画でテーマを「花所望」に絞りたいと思ったのです
内容は花台に季節の花を載せてお客様に花を活けていただくことを所望する
という茶道の点前です
花は十分に庭に咲いていました 季節の花で野牡丹 高砂芙蓉 芙蓉 吾亦紅
水引草 矢筈萱などを花台に載せて準備が出来ました
人物が着る着物も辻が花の柄を選びました

50号の大きさに下絵を描いていったのですが最後に顔の部分でとても難儀しました
と言いますのは当時私が半年前から原因不明の全身の痛みのために日常生活に不便を
来しでいて痛み止めの薬も効力がなくなっていました
そんな状況で顔の部分を描いているとどうしても“痛い 痛い”という顔の表情に
なってしまいます
私はとても不思議に思ったものです
それは絵の初心者である私がそんな細かな表現で痛みの表情に及ぶとは予想もして
いませんでしたので
何度も何度も消しては書き換えるので下絵の紙が薄く破れそうになってきました
そこで顔の部分は下絵に描かないで次の作業に掛かったのでした

当時とてもその全身の”痛み“に不安を覚えていました
それは私が以前に読んでいた生命科学者柳沢桂子の著書のことを思い出してい
たからです 柳沢桂子氏が難病で全身疼痛のために寝たきり状態になられたころの
著書でした
幸い私はこの絵の制作中に大学病院に受診して生涯内服薬は続けるものの日常生活
には支障がなくなりました

9月になると下手な作品ですがこの絵の前に座っていろいろと考えてみるのも
私にとって静かで幸せなのです