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たそがれ清兵衛 ?@

2002-12-15 00:00:00 | インポート
山田洋次監督の初の時代劇邦画「たそがれ清兵衛」見てきましたとも。

実は、カッチイは「時代劇」というのは、正直、苦手だったんだ。「水戸黄門」などの定番の時代劇のお決まりのストーリー展開は、退屈に思うし、型にはまった身のこなしで、一瞬で、人を切る「殺陣」のシーンが、コワくて正視できないヒトなのだ。しかし、この映画は、違ったね。

幕末の庄内。井口清兵衛(真田広之)は、妻を亡くし、幼い娘と老いた母を養う貧しい平侍。職務が終わると、同僚からの誘いも断り、さっさとたそがれ時に、真っ直ぐに家に帰ることから、「たそがれ清兵衛」と呼ばれている。下級武士の生活苦というものを、丹念に描いているところにリアリティがある。画面が終始、暗いなあと感じたのだが、明かりの油代もも節約している清兵衛の生活では、ほのかな灯し火こそ本当なのだろう。「二人の娘が日々育っていく様子を見ているのは、草花の成長を眺めるのにも似て、楽しいものでがんす」と語る清兵衛を、真田さんは、愛情に満ちて細やかに演じる。「父性」を、子供に注ぐ暖かな視線で、表現していて素晴らしい。

彼は「ハムレット」や「リア王」の舞台に代表されるシリアスで、芸術至上主義みたいな作品で、独特の華やかなオーラを放つ印象が強いのけれど、こういった地味な男を演じて、その誠実さ、そして内に秘める情熱というものを、いかんなく見せてくれるのだ。

清兵衛が、ただ者でないことは、久しぶりに再会した幼なじみの朋江(宮沢りえ)を家に送った際、朋江が離縁した男と果し合いする成り行きになり、木刀で打ち負かしてしまうあたりから、わかってくる。

彼は、蔵の出納を管理する下級藩士で、役人のような仕事をしているのだから、剣がたつことが必要ではない。しかし、その腕が見込まれて、家老から無理矢理上意討ちを命じられてしまう。果し合いの前日、剣を研ぐ清兵衛に、皮肉ながら、この男が、何よりも武士であるという存在感を伝えるところは、さすがに真田さんだ。

身支度を頼まれた朋江が、さっと襷を出して結ぶところは、りえちゃん鮮やかで、清兵衛に着物を着せ、髷を直しにくしを入れる所作は、美しく切ない。愛の言葉を発しないのに、想いのたけがにじみ出る。


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