僕の感性

詩、映画、古書、薀蓄などを感性の赴くまま紹介します。

幸福にする野の花

2009-07-11 23:53:32 | Weblog
気をとめて見ればこそあれ武蔵野の
           千草にまじる花のいろいろ

単なる叙景の歌ではなく、教訓の歌なのです。
漫然と眺めわたせば武蔵野は、草だけが生い茂る原っぱでしかありません。
しかし気をとめて(よく注意して・その心になって)つぶさに見てみると、それらの草にまじって、小さな花がいろいろ、たくさん咲いていることがわかります。
「あ!こんな花が咲いている。こんなのも・・・」と言う具合に新たな発見をして、心が楽しくなってくるのです。
気をとめなければ、せっかくの美しい花も目に入らないで、殺風景な草むらと見えるだけでしょう。
些細な楽しみを身近に発見できる人は、幸福の感性に長けた人でしょう。
反対にその感性に恵まれない人は、不幸かもしれません。
物質的に恵まれている現代こそ、肌理細やかな幸福への感性を磨いていきたいものです。

熊野観心十界曼荼羅

2009-07-11 22:54:51 | Weblog


津市の文化財です。
江戸時代の日本の民衆の生きざまと信仰のあり様が色濃く描き出されています。 熊野比丘尼(くまのびくに)と呼ばれる尼僧が布教勧進のために持ち歩いて、この絵を示して教えを解いたとされています。裏書きによって、享保9年(1724)に奉納されたことが判明し、製作時期が特定できる点でも貴重です。
 上部の半円の『老いの坂』には人が生れてから死ぬまでの姿が連続的に描かれ、その下に六道(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天)の迷いの世界と、声聞(しょうもん)・縁覚(えんがく)・菩薩・仏からなる悟りの世界の4つを加えた十界が描かれています。