浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

浦和吹奏楽団 第20回記念定期演奏会

2014-06-24 20:12:15 | 吹奏楽

2014年(平成26年)6月15日、日曜日。
この日は、私の地元でのコンサートです。
場所は、埼玉会館。
当然の如く、前は何度も通ったことがあるのですが、残念ながら一度も訪れたことのないホールでした。
浦和駅から、徒歩6分。
埼玉県庁のすぐそばにあるのが、埼玉会館です。
「埼玉会館のメインである大ホールは木のホールです。」とHP上でも案内がある通り、ホール内は内装部分はもちろん、座席にまで木を使用した温かみのある感じが素敵です。(座席数1315)
それに昭和41年に建てられたと言いますから、50年近い歴史があるわけですが、そんなに古さを感じさせませんね。

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そして、この日の主役は「浦和吹奏楽団」です。
ここ2年連続で吹奏楽コンクールで西関東支部大会まで進んでいる実力のあるバンドです。(私も一昨年の西関東大会、昨年、一昨年の埼玉県大会で演奏を聴かせて頂きました。)
どのような演奏をして頂けるのか非常に楽しみです。

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指揮の山田昌弘氏の名前をどこかで聞いたことがあるなと思ったら、つい先日(5/23)、東京芸術劇場で行われたNTT東日本東京吹奏楽団の指揮者の方ですね。
創団の頃から活動されているようですから、20年の時を経ているわけです。
部外者の私でも、“重み”を感じますね。

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コンサートは2部制になっていて、前半が「第20回記念ステージ」、後半が人気作曲家の清水大輔氏を迎えてのステージです。
さあ、そろそろ開演のようです…。

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[演奏]浦和吹奏楽団
[指揮]山田 昌弘

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1st Stage ~第20回記念ステージ~

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◆ 彩雲の螺旋~吹奏楽のための(中橋 愛生)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅴ
   きみは林檎の木を植える(谷地村 博人)
◆ 翳りゆく部屋 (荒井 由実/arr.岩井 直溥)
◆ 交響曲第5番 ニ短調 作品47より 終楽章(D.ショスタコーヴィチ/arr.C.ライター)
◆ ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/arr.森田 一浩)

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2nd Stage ~清水大輔氏を迎えて~

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◆ 蒼氓愛歌~三つの異なる表現で~(清水 大輔)
◆ 美女と野獣(A.メンケン/arr.清水 大輔)
◆ リンカーン(清水 大輔)
   1楽章『Honest Abe』
   2楽章『As President』
   3楽章『The War』
   4楽章『11/19/1863 and Finale』

[ナレーション]泰 勇気

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最初の曲は、吹奏楽を愛する者には人気の高い作曲家、中橋愛生氏の「彩雲の螺旋」。
プログラムの解説を見させて頂きますと、何でも中橋先生の“爆発的ヒット曲”、「科戸の鵲巣」の姉妹作と位置づけられている作品だとか。
「彩雲(さいうん)」とは、「仏教の世界において吉事の前触れとされる五色の雲のこと」だそうで、「流れる雲が陽に照らされることによって様々な色を放つ様を現して」いる色彩感あふれる曲でした。
浦吹の演奏も表現力豊かな演奏だと思いました。
最初は、初めてのホールなので少し“響き方”に戸惑いましたが、徐々に慣れてきましたね。
そして、慣れるにつれて演奏を楽しめました。
ただ、少しだけ、ダイナミクスの幅が狭く感じられたかなぁ。
2曲目は、課題曲Ⅴ。
メロディらしいメロディもない難曲です。
だから、表現するのが難しい。
素人のオヤジが思うに「動」と「静」との対比をどう表現するかによって、この曲の完成度が高まってくると思う。
浦吹の演奏は、なかなかのもので雰囲気を出していたとは思いますが、少し、「静」の部分が希薄に感じました。
つまり、元気が良すぎた…。(あっさりした演奏でした。)
ところで、浦和吹奏楽団はプログラムの1番目と2番目の曲でコンクールに挑むのでしょうか?

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次は雰囲気がガラッと変わってユーミンです。
先日、亡くなられた岩井直溥先生の名アレンジによる演奏です。
何でも第10回定期演奏会でトランペット奏者、エリック宮城氏を迎えて演奏した曲でもあるのだそうです。
懐かしさを感じさせてくれるような演奏でした。
そして、トランペットソロの三木洋平さん、ブラヴォーでした!
4曲目、お馴染みショスタコの5番。
これは、とても良い演奏でした。
音が、響いてましたねぇ。
この曲、浦吹にあってますよ、きっと。
一昨年の宇都宮市文化会館で聴いた全国大会、名将、塩谷晋平先生の最後の晴れ舞台となったブリジストン吹奏楽団久留米の演奏を思い出させてくれました!(ただ、最後に金管がバテ気味だったのが残念でしたが…。)
さて、前半、最後の曲は「レ・ミゼラブル」です。
森田一浩編曲版の演奏です。
吹奏楽の演奏会で何度聞いたかわからないくらい度々、演奏されている曲ですが、吹奏楽にあまり縁のない方でも楽しめますね。
この日も、大いに盛り上がりました…。

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休憩です。
やっとホールの響きに慣れてきました。(最初は独特の“乾いた音”のように聴こえて戸惑いましたが…。)
前半の浦和吹奏楽団の演奏を聴いて思うこと。
どちらかと言うとスローなしっとりとした曲よりも、アップテンポで華やかな曲の方が似合うサウンドだなと思いました。
さて、後半は人気作曲家清水大輔特集です。
さあ、始まります!

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後半、最初の曲は、「蒼氓愛歌」。
この曲は、今年の3月16日、文京シビックホールで行われた“響宴”で川越奏和奏友会吹奏楽団の演奏で聴かせて頂いたことがあります。(“響宴”については、私のブログをご覧下さい。http://blog.goo.ne.jp/urawa_kappa/d/20140422
清水先生らしい激しさのあるステキな曲です。
浦吹もある意味、“過激”な演奏で魅了してくれました。(ハンドベルが効果的でした。)
続いて、清水先生の編曲で「美女と野獣」です。
これも「レミゼ」と同じく老若男女、誰でも楽しめる曲です。
美しいメロディが会場にあふれるとホールが、即席の映画館になったようにも思えます。
少し、音程に不安を感じる部分もありましたが、観客を幸福な気分にさせてくれるのには十分な演奏でした…。

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さて、トリの曲は、「リンカーン」。
浦和吹奏楽団第20回記念委嘱作品です。
清水先生の作品、「マン・オン・ザ・ムーン」「ロスト・ムーン」と同様、朗読の付く吹奏楽曲です。(そう言えば、近いところではNTT東日本東京吹奏楽団の演奏会で「ロスト・ムーン」を聴いたばかりですね。)
題名の示すごとく、アメリカ第16代大統領リンカーンのを題材にした作品。
偉大な大統領であったリンカーンの劇的な生涯と同様に実に壮大な楽曲でした。
ナレーションの入る意味もわかる気がします。
まるで映画をみているようなひと時でした…。
(清水先生も会場にお見えになっており、楽しく“楽曲解説”をして下さいました。)

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アンコールは以下の通りです。(アンコールまで“清水大輔特集”でした。指揮の山田先生のクラリネットソロも良かったですよ。)

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浦和吹奏楽団の20回記念定期演奏会が終わりました。
一口に20回と言っても、その間、いろいろなご苦労があった事とご推察申し上げます。
しかしながら、この日を無事に迎えられたことは、地元の人間として誠に喜ばしく嬉しい限りであります。
本当におめでとうございます。
これからも、一層のご活躍、心よりお祈り申し上げております。
最後に“コンクール頑張って下さいね!”
と思いながら浦和のオヤジは、自転車で自宅へ帰るのでした…。

(度々の遅筆、お許し下さい。)


神奈川大学吹奏楽部サマーコンサート2014

2014-06-21 03:18:08 | 吹奏楽

“期待する”って楽しいことですよね。
しかし、思い通りになることは、滅多にないのが世の常です。
でも、神奈川大学の演奏会は、いつも“期待通り”なんですよ。
いや、期待以上の演奏をしてくれる時もある。
だから、来ちゃうんです…。

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久し振りの“横浜みなとみらいホール”です。
今年の1月19日の読響の公演以来でしょうか。
良いホールで好きなんだけれども、埼玉県民にはチト遠すぎる…。

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2014年(平成26年)6月12日、木曜日。
神奈川大学のサマーコンサートに今年もやって参りました。
確か、ここ3年間は来てるんじゃないでしょうか?
横浜まで足を延ばすのは大変なのですが、いつも来てよかったなと思って埼玉まで帰っています。
今年もそう思いながら、帰路を急ぐのでしょうね、きっと。

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[演奏]神奈川大学吹奏楽部
[指揮]小澤 俊朗(音楽監督)

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◆ 行進曲「博奕岬の光」(酒井 格)
◆ シンフォニックバンドのためのパッサカリア(兼田 敏)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ
   最果ての城のゼビア(中西 英介)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ
   行進曲「勇気のトビラ」(高橋 宏樹)
◆ 吹奏楽のための組曲“ヨコスカの海と風”(小長谷 宗一)
   Ⅰ.戦艦  Ⅱ.歌  Ⅲ.ドブ板通り

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【休憩】

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◆ 吹奏楽のための木挽唄(小山 清茂)
   ・テーマ  ・盆踊り  ・朝の歌  ・フィナーレ
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ
   「斎太郎節」の主題による幻想(合田 佳代子)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ
   コンサートマーチ「青葉の街で」(小林 武夫)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅴ
   きみは林檎の木を植える(谷地村 博人)
◆ ニライカナイの海から(真島 俊夫)

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プログラムに目を通してみますと今年の課題曲全曲と今年3月の「響宴」でも演奏した2曲、その他の曲と言った構成になっています。
吹奏楽オリジナル曲のみですね。
特に課題曲全曲は、会場に詰め掛けている多くの中高生の皆さんには、大いに参考となることでしょう。
ただ、ひたすら楽器を練習するだけではなく、いい演奏を聴くことも、レベルアップに結び付いていくことだと思うからです。

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そして、開演を知らせる“ドラ”の音がホール内に鳴り響いています。
コンサートの始まりです。

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最初は、酒井格先生の“行進曲「博奕岬の光」”(平成26年度JBA下谷奨励賞受賞作品)。
この曲は、今年3月16日、文京シビックホールにて行なわれた「21世紀の吹奏楽“響宴”」でも神奈川大学によって演奏されました。(「響宴」とは“21世紀の吹奏楽”実行委員会に応募のあった楽曲の中から選考された曲の発表会です。また、選考曲は、未発表か未出版の曲に限られます。ちなみに小澤先生は、“21世紀の吹奏楽”実行委員会の代表をなさっておられます。)
もともと海上自衛隊舞鶴地方隊開隊60周年記念の委嘱作品として作曲されたとのこと。(2012年9月海上自衛隊舞鶴音楽隊により初演。)
舞鶴湾の入り口にある博奕岬(ばくちみさき)をモチーフにした作品。
海上自衛隊の艦艇の雄姿を連想させる上品でありながら、活気のある楽曲です。
コンサートの口開けに相応しい曲と演奏を堪能いたしました。(作曲者の酒井先生も会場にお見えになっておられたようです。)

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2曲目、これは私のようなオヤジにとっては、非常に懐かしい。
兼田敏先生の「パッサカリア」。
私も若かりし頃、何度も演奏しました。
1971年、音楽の友社創立30周年記念委嘱作品として作曲されました。
出だしの低音部のユニゾン、神奈川大学、素晴らしかった!
今まで聴いてきた「パッサカリア」は、ほとんどの演奏が出だしの低音部の音程があってなかったり、揃ってなかったりで、興ざめすることが多かった。
でも、この日の演奏は、聴き慣れた曲であるのにもかかわらず、新鮮な気持ちで聴かせて頂きました。
いずれにせよ、これから先も、ずっと演奏され続けてほしい名曲です。

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続いては、課題曲ⅠとⅡ。
模範となる素晴らしい演奏でした。
特にⅠは、神奈川大の表現力を生かした好演でしたね。
ただ、Ⅱの方は個人的な好みから言うと、もう少し躍動感があったらな、と思いました。

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さて、前半、最後の曲は「ヨコスカの海と風」。
この曲も「響宴」で演奏された曲です。
その時、いい曲だな、もう一度聴いてみたいなと思っておりましたので、こんなに早く聴く機会がおとずれて大変うれしく思いました。
海上自衛隊横須賀地方隊開隊60周年記念の委嘱作品として作曲されました。(2012年6月、海上自衛隊横須賀音楽隊により初演。)
曲は3つの部分より出来ており、それぞれに特徴があります。
最初の「戦艦」は、その名のごとく勇壮な曲です。
艦上で連絡のために使用するサイドパイプ(号笛)が曲の中にも効果的に使用されており、艦艇の雄姿を想像させる実に優れた“演出”です。(「響宴」の時にはホンモノの海上自衛官の方がサイドパイプを演奏されていました。)
「歌」は、“北原白秋の歌詞で有名な「城ケ島の雨」を中心に、横須賀のある三浦半島に由来した曲”を題材にして作られた曲です。
情感あふれる曲調は、どこか懐かしさを感じさせてくれるような味わい深い曲でした。
最後の「どぶ板通り」は、横須賀のダウンタウン、どぶ板通りを題材にしています。
庶民の息吹やアメリカを意識させるような部分がとてもステキです。
特にデキシーランドジャズ風の曲(だと思いますが…。)を奏でるバンダの皆さんが客席内を“行進”しながらの演奏は、横須賀の街を知らぬ人でも“雰囲気”を感じとる事が出来る粋な“演出”でした。(楽譜に指定されているのかも知れません。また、小長谷先生も会場にお見えになっておられました。)
そして、神奈川大学の皆さん、素晴らしい演奏でした!

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後半の方で小澤先生もおっしゃっておられましたが、この日の演奏会は、課題曲は別にして「海」に関係する曲がいくつかありました。
「海」がテーマなのだそうです。
港町、横浜で潮の香りを意識できる楽曲を聴けるなんてステキな演奏会ですね。

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さて、後半、初めの曲は、小山清茂先生の「木挽歌」です。
この曲を聴くと1970年代に全盛だった前橋商業高校の“名演”を思い出します。
非常に懐かしい!
九州地方の民謡を基礎に4つの部分で構成された曲ですが、それぞれに味わい深い演奏を聴くことが出来ました。
特に最初の方の主題を演奏するテナーサックスのソロはブラヴォーでした!
懐かしさや昔のことを思い出して、ウルッときちゃいました…。

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続いては、前半では演奏されなかった残りの課題曲3曲。
Ⅲは、「斎太郎節(さいたらぶし)」という宮城県の民謡を題材に取り上げています。
すぐ前に聴いた「木挽歌」にも共通することなのですが、神奈川大学の和的なメロディを演奏する時の表現力は特筆すべきものがあると感じた次第。
Ⅳは、オーソドックスなコンサートマーチを減点するところがない完璧さで仕上げているように思いました。
ただ、少し上品すぎる様な気もしましたが。
Ⅴは、完成された演奏でした。
多分、神奈川大学はこの曲でコンクールに出場するのでしょうが、明日、全国大会があっても何の問題がないと思える気がしました。
メロディらしいメロディもない曲ですが、音楽を奏でているという印象を強く受けました。
この手の曲、神大、うまいですよね。

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さて、最後の曲は、神奈川大学OBでいらっしゃる真島俊夫先生の作品です。
私は、「ニライカナイ」という言葉の響きから、アイヌ的なものを感じたのですが、沖縄の言葉なんですね。
解説によりますと神奈川大学の委嘱作品で2010年1月の第45回定期演奏会で初演されたとのこと。
「ニライカナイ」とは海の向こうの彼方にある理想郷。
年初にそこから神がやって来て幸せをもたらし、年末に帰って行くという伝説の物語です。
やはり、沖縄という南の島を題材にしているためか実にエキゾチックで美しい曲です。
そして、その雰囲気にパーランク(小型の片皮太鼓)、サンバ(三板)といった沖縄特有の打楽器が花を添えます。
真島先生の曲は素敵な曲が多いですが、同時に表現力を要求されるものが多い。
でも、神奈川大学は見事な表現力で曲を完成させていたのが印象的でした。
トリにふさわしい曲、ふさわしい演奏と感服した次第。

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感動のうちにアンコール。
今回は、以下の通り。
多めの4曲です。
最初は、吹奏楽の大家、故 兼田敏先生編曲による「海」。
海をテーマにした今回の演奏会にふさわしいアンコール曲です。
そして、先日、亡くなられた「吹奏楽ポップスの父」岩井直溥先生へ真島先生が贈られた曲「ベイ・ブリーズ」。
3曲目は、神奈川大学吹奏楽部アンコール曲の定番「美空ひばりメドレー」です。
何回か神大のコンサートを聴きに来ている私には、この曲がアンコールで演奏されないときっと物足りないだろうと思われる名曲です。(今まで、演奏されなかったことは、ありませんでしたが…。)
最後は、いつものようにスーザの「星条旗―」でマーチングの皆さんも一緒に演奏しての“大団円”でコンサートは終了しました。

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冒頭でも少し申し上げました通り、演奏会全体がクオリティの高いものであることに敬意を表したいと思います。
来年、1月の定期演奏会はサントリーホールですね。
必ず行きますよ!!

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会社の同僚から“月餅”を食べたいというリクエストがあったので、みなとみらい駅の崎陽軒の売り場で買って帰った浦和のオヤジでした。
(遅筆お許し下さい。)


埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部 第38回定期演奏会

2014-06-12 12:31:17 | 吹奏楽

2014年6月8日、日曜日。
この日は大変、忙しい日でございました。
東京・池袋にある東京芸術劇場で13:30から行われていたグラールウインドオーケストラの定期演奏会が終わり、急ぎ池袋駅に向かいます。
どこに行くかって?
自宅に帰るわけじゃありませんよ。
一路、埼玉・大宮の大宮ソニックシティホールへと急いだんです。
埼玉栄中学・高等学校第38回定期演奏会(夜の部17:30開演)に伺うためでした。

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池袋駅に着きますと、ちょうど16:25発の湘南新宿ライン特別快速高崎行きという列車に乗ることが出来ました。
結構、速いですぇ、池袋から大宮まで22~3キロあると思うんですが、25分で着いちゃいました。
急いでソニックシティへ向い、入場券を座席指定券に替えてもらいホールの中に入ります。
今年も去年と同じ2階席だけれども、ステージ正面に近く、しかも割と前の方の席だったので条件は良いようです。(去年は2階席、下手〈しもて〉側の端の席だった。)
ひとコンサート聴かせて頂いたあとなのでオジサンは、少々、疲れ気味なのは紛れもない事実なのですが、若い高校生の皆さんに“音楽”というパワーをもらって元気になりますよ!

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[演奏]埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部

[指揮]奥 章

    大滝 実

    萩原 奏恵

    宍倉 晃

【夜の部】

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[Ⅰ]

◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ
   コンサートマーチ「青葉の街で」(小林 武夫)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ
   「斎太郎節」の主題による幻想(合田 佳代子)
◆「魔女の宅急便」Highlights(久石 譲/arr.天野 正道)
◆ ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/arr.森田 一浩)
◆ 歌劇「真珠採り」(G.ビゼー/arr.宍倉 晃)

[Ⅱ]

うれしい!たのしい!大好き!SAKAE!~愛がすべて~(吹奏楽部3年 企画構成)

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[Ⅲ]
◆ ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)
◆ アヴェ・マリア(C.グノー/arr.宍倉 晃)
◆ 交響曲第3番「オルガン付き」より 第2楽章第2部(C.サン=サーンス/arr.藤田 玄播)

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開演になりました。
まずは、生徒指揮(秋元希さんと紹介されたように思うのですが、間違っていたらゴメンナサイ)による校歌の演奏。
校歌を奏でることによって、埼玉栄に何の縁もない私でも身の引き締まる思いがします。
私、こういうの好きです。
校長の挨拶のあと、1曲目は、顧問の萩原奏恵先生の指揮で今年の課題曲Ⅳ。
話題になっているファゴットのソロとか除けば、実にオーソドックスなコンサートマーチです。
だからこそ、基礎的な技術がしっかりしたバンドじゃないとアラが目立ってしまう難しい曲だと思います。
栄の演奏が始まりました。
いいサウンドですねぇ。
今まで色々なところで埼玉栄の演奏を聴かせて頂きましたが、イチバン良かったかも。
やわらかくて、厚みがあって、輝いている。
輝きと言っても、水面に反射する夏の日のキラキラしたものではなく、冬の日の木漏れ日が持つ暖かい光のような…。
そういう風に感じました。
ただ、演奏は素晴らしかったのですが、名門埼玉栄の課題曲演奏を聴いて参考にしようという他の中高生の皆さんには残念でございました。
演奏人数が多分、80名くらいいたような…。
コンクール参加の規定人数よりだいぶ多いので、全体的なバランスの参考にはならないように思いました。
2曲目は、指揮が奥章先生に代わって課題曲Ⅲ。
この曲は、日本民謡というある意味、土俗的な音楽をテーマにしたものですが、非常にメロディラインを大切にした“歌っている”演奏のように感じました。
個人的意見ですが、これは民謡と埼玉栄得意のオペラものに共通する特殊な共通点があってそれが故に素晴らしい演奏になるんじゃないかと思った次第。
次は、「魔女の宅急便」ですね。
やはり、映画音楽は、「情景描写」をしているわけですから、表現力が命です。
そして、その表現力を駆使した演奏に拍手です。
3曲目は、ミュージカル音楽ですね。
「レ・ミゼラブル」。
吹奏楽の世界では、大ヒットです!
今年に入ってからでも何度、聴いたことでしょう、この曲。
しかも、昨年の全国大会では、我が埼玉の高校吹奏楽界のBIG3(伊奈学園総合、春日部共栄、埼玉栄)の内、埼玉栄を除く2校が「レ・ミゼラブル」を自由曲にしました。
この日の演奏は、伊奈学園総合が全国大会で金賞を獲得した時の森田一浩先生による編曲版ですね。
そして、ここで指揮にご存知、大滝実先生登場!
素晴らしかった!
いい演奏でしたね。
物語性のある音楽になんでこんなに埼玉栄は、合っているのでしょう!
何か映画でも見ているようでした。(後半のコーラスも効果的でした。)
実際に生演奏を聴いたわけではないのですが、全国大会の伊奈学園より良かったのでは?と思いました…。(あくまでも、“超”個人的意見ですので、悪しからずご了承頂ければ幸いです。)
1部、 最後の曲は、オペラ音楽ですね。
指揮は、コーチの宍倉晃先生に代わります。
埼玉栄、得意の分野の曲です。
これはもう、何も言うことがない。
ひとつの完成された演奏を聴いたという感じです。
とても、満足いたしました。

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本当のことを言うと、この日は「昼の部」に行きたかった。
ジルーの「ブックマークス・フロム・ジャパン」を演奏することになっていたので。(夜と昼では演奏曲目が若干、違った。ちなみに埼玉栄のプログラムの曲目紹介では、同曲が「日本からの6枚の栞」となってました。)
この曲は、昨年の7月武蔵野音大ウィンドアンサンブルの演奏会で、《世界初演》を聴いて以来、大好きになった曲です。(その時は、会場の東京芸術劇場に作曲者のジルー氏もお見えになっておられました。)
その後、陸上自衛隊中央音楽隊の演奏会でも聴く機会がありましたが、大人ではないと表現できない独特の難しさのある曲です。(浮世絵の世界を描いた曲ですから。)
それを高校生がどのように表現するのか非常に興味がありましたので…。

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さあ、第2部は趣向を凝らしたステージです。
演奏を中心とした様々な“出し物”を見せてくれます。
それがまた、玄人はだしの熱演なのです。
脚本?もよく練られていて、よく考えつくなあと感心することしきり。
あまりにも盛り沢山すぎて全部をこのブログ上でお知らせすることは出来ませんが、特に面白かったのは“楽器紹介”のコーナーでした。
それぞれの楽器パートの皆さんが楽しいパフォーマンスを見せてくれました!

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さあ、第3部、最後のステージです。
1曲目は、「ラッキードラゴン」。
アメリカの水爆実験のために被爆した第五福竜丸という漁船を題材にした楽曲です。
厳かに打楽器、ピアノと曲が始まったのですが…。
ソロのミスはともかく、序盤は、アンサンブルが噛み合ってないように思いました。
それでも、曲の終盤に持ち直してきましたが。
この日の演奏会でこの曲だけが残念でした…。(個人的な意見です。)
2部のパフォーマンスで疲れが残っていたのでしょうか?
2曲目「アヴェ・マリア」になっていつもの埼玉栄にもどりましたね。
ゆったりとした間合いと厚いサウンド、とてもステキでした。

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そして、演奏会は、あと1曲を残すのみ。
その前に主将の本澤 花さんから挨拶がありました。
彼女たちの学園生活が垣間見ることの出来るような素晴らしいスピーチでした。

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トリの曲は、サン=サーンスの「オルガン付き」。
偶然にも、つい数時間前にデアクライス・ブラスオルケスターの演奏を東京芸術劇場で聴いてきたばかりです。
デアクライスは、本物のパイプオルガンとコラボしたスケールの大きな演奏でした。
それに対して埼玉栄は、“物量作戦”(失礼!)でしょうか?
100人はいるのでは?(私は数えてはいませんが…。)
迫力がありました。
これは、もともとのサウンドがしっかりしているからだと思います。
非常に雰囲気を出していました。
トリにふさわしい演奏でした。

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アンコールでは、今、流行りのディズニーアニメ「アナと雪の女王」等が演奏されましたが、毎年、アンコール、恒例の合唱曲「夜明け」は、今年も胸を打ちました。
とても、いい曲です。
この曲の完成秘話をお知りになりたければ、当ブログ「埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部 第36回定期演奏会」の記事をお読みください。(去年と同じことを言っています。)旭川商業高校吹奏楽部顧問の佐藤淳先生の“解説”が載ってます。
http://blog.goo.ne.jp/urawa_kappa/d/20120619

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この日は、日中にいろんな吹奏楽団のコンサートが重なっていました。
昨年、西関東大会で金賞を取った“与野吹奏楽団”や全国金賞の“東京隆生吹奏楽団”など行きたいコンサートは複数あったんですけど、演奏曲目、会場等考慮してデアクライスに行ったのです。
気持ち的には、夜の埼玉栄がメインと思っていましたが。
ですが、さすがに一日2公演はオヤジにはキツカッタ。
でも、とっても楽しかった。

Teik

最後に埼玉栄高校吹奏楽部に言いたいこと。
このブログにも書いてますけど、今年のサウンドは本当に良いと思う。
オケのアレンジ曲にすごく合ってる。
いつも私が公言しているように、アメリカ的な洗練されたサウンドや新曲に果敢に挑戦する行動力から、私個人は、春日部共栄高校がイチオシです。(個人的な意見なんで、気を悪くされる方がいらっしゃったら、ゴメンナサイ。)
でも、埼玉栄も同じくらい素晴らしいと思う。(特に今年は。)
そして、両校とも切磋琢磨して埼玉県の吹奏楽を盛りたてて頂きたい。
武蔵浦和の飲ンダクレのオヤジは切に願う次第であります。

いい演奏を聴くと今日もお酒が美味いです!!
(秘密ですけど、高校吹奏楽のトップレベルの学校は、数々ありますが、私個人が好きでもあり、優れていると思うベスト5を教えます。「春日部共栄」「埼玉栄」「岡山学芸館」「市立習志野」「市立柏」です。聞きたくなかったかもしれませんけど…。)


デアクライス・ブラスオルケスター 第5回定期演奏会

2014-06-10 23:48:05 | 吹奏楽

昨年のデアクライス・ブラスオルケスターは残念でした。
一昨年、全国大会で「金賞」という輝かしい成績を残しました。
ところが、去年は、都大会予選で「金賞」を取りながらも、都大会に進めなかった…。
同じ井潤作品で臨んでいるのに何が悪かったのでしょう?
コンクールのために活動しているわけではないでしょうが、この落差は、大きいですね。(埼玉県でも同じようなことがありました…、伊奈学園OB…。)

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そして、文京シビックホールで行われた昨年の第4回に続いて今年も、定期演奏会に伺わせて頂きました。
場所は変わりまして、東京芸術劇場です。
2014年6月8日、日曜日。
休日とあって芸劇のある池袋西口公園では、何か催し物をやってますね。
出店があったり、公園内のステージの上では、歌を歌ってます。
平和な日本の原風景です。

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あと、個人的にこの日は“挑戦”させて頂きました。
そう、以前、春日部共栄高校の演奏会終演後にそのまま岡山学芸館&東海大高輪台のコンサートへ向かった、いわゆる“演奏会のハシゴ”やったことがありますが、この日もやらせて頂きました!
今回は、デアクライス終演後に埼玉栄高校の夜の部に行くという計画です。(池袋⇒大宮の移動でございます。)

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余計な事はこれくらいにして、当日の演奏会の話題に戻しましょう。
昨年のコンクールの結果もあって、デアクライスの皆さんも気合が入っていることでしょう。
佐川聖二先生の指揮のもと、どのようなパフォーマンスを見せて頂けるか非常に楽しみです。
前回、東京芸術劇場訪問(NTT東日本東京吹奏楽団の定期演奏会)と同様、3階席に陣取って開演を待ちました…。

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[演奏]デアクライス・ブラスオルケスター
[指揮]佐川 聖二(常任指揮者)

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【第1部】

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◆ 祝典序曲(D.ショスタコーヴィチ/arr.D.ハンスバーガー)
◆ 喜歌劇「メリー・ウィドウ」セレクション(F.レハール/arr.鈴木 英史)
◆ ラ・フォルム・シャク・アムール・ションジュ・コム・ル・カレイドスコープ(天野 正道)

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【第2部】

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[サクソフォン独奏]須川 展也

◆ BIRDS-アルト・サクソフォン吹奏楽のための協奏曲より(真島 俊夫)
  第1楽章 スワロー
  第2楽章 シーガル
◆ エスクヮロ、オブリヴィオン、リベルタンゴ(A.ピアソラ/arr.啼鵬)

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【第3部】

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[オルガン独奏]中村 文栄

◆ 交響曲第3番 ハ短調「オルガン付き」より(C.サン=サーンス/arr.M.ハインズレー)
  第1楽章
    第2部 Poco Adagio
    第2楽章
    第1部 Allegro moderato ? Presto
    第2部 Maestoso ? Allegro

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開演しました。
最初の曲は華やかなショスタコの「祝典序曲」ですね。
私の若い頃には、様々な吹奏楽団が競って演奏した曲です。
最初のファンファーレ、ビシッと決めて欲しかった。
曲の途中でも少し、アンサンブルの乱れがあったような…。
でも、さすが実力のある団体らしく最後はきっちり決まりました。
続いては、オペレッタの名曲です。
こういう歌劇系の音楽は、やっぱり表現力が重要になってきます。
“大人の魅力”を見せて頂けるでしょうか?!
最初の曲と打って変わって、見事にまとまった演奏でした。
メロディを生き生きと演奏していて、楽しめました。
このバンドのサウンドに合っている曲のように思いました。
力強い演奏に客席も大いに盛り上がっていましたよ!
第1部、 最後の曲は、天野正道先生の“題名の長い曲”です(笑)
でも、この曲、とってもいい曲ですよね。
特に出だしが色っぽい。
大好きです。
昨年の全日本吹奏楽コンクール、大学の部でこれまた佐川聖二先生が指揮をされている文教大学が、この曲で見事なサウンドを聴かせてくれました。
本音で言うと昨年の大学の部は、神奈川大学(三善晃先生の“魁響の譜”を演奏)の“一人勝ち”かなと思っておりましたが、それに負けず劣らずの素晴らしい演奏を見せてくれた文教大学吹奏楽部には驚かされました。
この日の演奏も大人っぽい演奏で素敵でした。
音楽の流れを確実に掴んでいて印象が良かったです。
でも、文教大学に比べて少し、艶っぽさが足りなかったかな…。
それと、最後、金管楽器が少しバテちゃいましたかね?

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いいホールで実力のあるバンドの演奏を聴くのは、非常に嬉しいものです。
さあ、第2部は、いよいよ須川展也先生の登場です!
須川先生は、東京芸大出身のサックス奏者で輝かしい経歴の持ち主の方ですね。
長らく、東京佼成ウインドオーケストラのコンサートマスターを務めておられましたが、2010年に退団され、現在はソリストとして活躍のかたわら、ヤマハ吹奏楽団の常任指揮者など多岐に渡って活動されています。
今回、演奏して下さる真島俊夫先生の作品は、須川先生の委嘱によるものです。
実は、この曲、どこかのコンサートで聴いたことあるんですよね。(しかも、須川先生の演奏で。)
どこだったろう?
忘れちゃったなあ。(それとも記憶違いか。)
そう言えば、2曲目のピアソラの曲も聴いたことある…。
いずれにせよ、暫しの間、須川先生のサウンドに酔いしれたのは間違いありません。
テクニックは言うまでもなく、あの甘い音色は、どうやったら出せるのでしょう!
艶っぽくて、優しくて、輝いている…。
これは、人間の心を和ませる一級の“音楽”ですよ、間違いなく…。(この後、須川先生は、観客の拍手に応えアンコール曲として、カーペンターズの「青春の輝き」を演奏して下さいました。)

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さて、最後のステージは、サン=サーンスの交響曲第3番「オルガン付き」です。
荘厳で格調高い曲です。
しかも今回は、パイプオルガンとコラボすると言う。
楽しみですね。
そして、演奏を聴いてみて思ったのは、やっぱりパイプオルガンが加わるとスケールがデカくなりますね。
素晴らしい!
少しだけワガママを言わせてもらえるのならば、もう少し演奏者の人数がいた方が良かったかも知れません。
すると、もっと迫力があったと思います。

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鳴り止まぬ拍手にアンコールです。
1曲目は、私も大好きな曲、J.ヴァン=デル・ローストの「カンタベリー・コラール」。
とても良い演奏でしたが、何かサウンドが、いつもより厚いと思っていましたら、パイプオルガンも参加しているではありませんか!
これは、非常に良かった!
厳かな曲がより格調高くなりました。
オルガニストの中村文栄さんの奏でるパイプオルガンの音色が会場を魅了したひと時でした…。
そして、アンコール2曲目。
割とアンコールで演奏されることの多い「宝島」です。
何と須川先生も参加されての演奏。
盛り上がりは、最高潮に達しましたね!!

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デアクライス・ブラスオルケスター。
2年連続で演奏会に行かせて頂いたのも何かの縁です。
今年こそ、コンクールでのご健闘をお祈りしています。
新潟で演奏を聴かせて下さいね。

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演奏会終了後すぐに、まだ興奮している心を落ち着かせながら、ダブルヘッダー第2試合に向かうため、池袋駅へと急ぐ浦和のオヤジでした。
湘南新宿ラインに飛び乗り、いざ大宮ソニックシティ大ホールへ。
“待ってろよ!埼玉栄高校吹奏楽部!”


タッド・ウインドシンフォニー 第21回定期演奏会

2014-06-09 23:01:17 | 吹奏楽

私は、今まで生きてきた中で一度だけ、鈴木孝佳先生が指揮する吹奏楽団の生演奏を聴いたことがあります。
それは、何と今から35年前。
場所は忘れてしまいましたが、1979年度第24回西部吹奏楽コンクールの事でした。(いわゆる“九州大会”のこと。1982年に西部吹奏楽連盟が九州吹奏楽連盟と改称したため、第27回より“九州吹奏楽コンクール”となる。)
高等学校の部、福岡工業大学附属高等学校の演奏、指揮は、鈴木孝佳先生です。
「福岡工業大学附属って聞かない名だね。」
「そうだね。でも、福岡電波のことらしいよ。」
「へぇ福岡電波なの?」
以上は、一緒にいた友人との会話です。
福岡電波高等学校。
私がコンクールに出られる年齢に達した時には、コンクールこそ出場していませんでしたが、“伝説”の学校でした。(学校経営の破綻があり、すったもんだの後、福岡工業大学附属高等学校になったようです。)
特に1967年(昭和42年)第15回の全国大会、レスピーギの“ローマの松(アッピア街道の松)”で、全国大会1位を獲得(その当時は順位制でした)し、“名演”として後世までの語り草になっていました。

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「そうかあ、福岡電波なんだ…。」
福岡電波となりゃ、聴く態度も全然変わってきます。
そして、私も友人も、じっと演奏に耳を傾けます。
課題曲の「行進曲“青春は限りなく”」が始まりました。
なんて、柔らかくて、艶やかな音なんだろう…。
まだ、10代の私には、今までの高校の演奏で聴いたことのないようなサウンド。
素晴らしいと思いました。(その頃、全盛であった同じ福岡の中村学園女子高校と“双璧”だと思いました。)

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それ以後、鈴木孝佳先生のお名前は、私の記憶の中から薄れゆく存在となりました。
ところが、私が吹奏楽を再度、聴き始めた今から3年ほど前から、そのお名前を目にする事があるようになりました。
そう、タッド・ウインドシンフォニーの存在を知ってからなのです。
鈴木先生は、福岡工業大学附属高校を退任されてから、請われて渡米され、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校客員教授に始まり、何と2011年の退任まで15年間に渡ってネバダ大学ラスベガス校大学院教授をされたとのこと。(また、日本人初のA.B.A.正会員。)
私、個人として、本当は、もっと早く、“タッド”の演奏会に行きたかったのですが、都合が付かず、今年が“初”となったのでした。
そうです、鈴木孝佳先生は、私にとって、35年ぶりに『Takayoshi“TAD”Suzuki』として蘇って下さったのでした…。

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前置きが長くなりすぎてしまいました。
申し訳ありません。
本題に入ります。

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2014年6月6日、金曜日。
場所は、大田区民ホール「アプリコ」大ホールです。
座席数1477の立派なホールです。
ホール内は木目を基調とした内装です。
徹底的に木材で仕上げているので、東京オペラシティに感じが似ています。(と言ってもホールの形式は、違います。アプリコは典型的な“プロセニアム形式”ですね。東京オペラシティは、“シューボックス形式”ですから…。)
当日は、大雨でした。
蒲田駅から、わずかな距離なんですが、カサをさしていても結構、濡れちゃいましたね。

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タッド・ウインドシンフォニーとは、簡単に言うと鈴木孝佳先生のもとに集まったオーケストラや吹奏楽団で活躍中のプロの演奏家集団です。
私の好みの曲もありますので楽しみでなりません。
そして、演奏会が始まりました…。

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[演奏]タッド・ウインドシンフォニー
[指揮]鈴木 孝佳(音楽監督)

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◆ 祝典序曲(ポール・クレストン)
◆ ギレアド《日本初演》(ネイト・キンボール)
◆ シンフォニエッタ第4番(フィリップ・スパーク)
   第1楽章 モデラート
   第2楽章 レント
   第3楽章 リトミーコ

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【休憩】

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◆ 復興(保科 洋)
◆ アメイジング・グレイス(作曲者不詳/arr.ウィリアム・ハイムズ)
◆ メキシコの祭り(H.オーエン・リード)
   第1楽章 前奏曲とアズテックダンス
   第2楽章 ミサ
   第3楽章 カーニヴァル

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最初の曲は、クレストンの「祝典序曲」。
あまり言いたくないのだけれど、私、恥ずかしながら、この曲を演奏したことがあるんです。
しかも、コンクール支部大会まで出たんですよね。
懐かしい。
あまりにも懐かしい。
背中がゾクゾクしましたねぇ。
トランペットのミスは、“ご愛嬌”としても、素晴らしい演奏でした!
クレストン、大好き!!
2曲目は、「ギレアド」。(蛇足ながら、「ギレアド」とは、ヨルダン川東の山地の名称。)
鈴木先生の弟子にあたるキンボール氏の作品です。
映画音楽のような作品でした。
実にアメリカ的で躍動感にあふれる曲だったと思います。
そして、私が素敵な演奏を聴いた後に感じた事とプログラムの曲目解説に書いてあった事が同じだったので、そのまま記載させて頂きます。
「今後の活躍に注目すべき一人である。」
前半、最後の曲は、吹奏楽ファンお馴染みのフィリップ・スパークの「シンフォニエッタ第4番」です。
三つの楽章に別れたノーブルな曲です。
第1楽章がイギリス民謡を思わせるかのような曲調で(ホルストの“組曲”に近い雰囲気)、第2楽章は上品さが増し、サウンドの厚みが伝わりました。
第3楽章は、それらとは打って変わって、リズミカルな要素が増した感じがしました。
特に打楽器の独特なリズムとメロディ楽器のユニゾンが一見、ミスマッチに感じられながも、不思議に、そして、見事に融合していて素晴らしかった!(少し、ジャズっぽいテイストも感じましたね。)

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休憩です。
気にはなっていたけれど、今まで、TADを聴きに来なかった自分が悔やまれました…。

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後半、最初の曲は、保科洋先生の「復興」。
とても、良い演奏で満足しました…。
でもね、何か違うんです。
技術的なものは申し分ないです。
スピッリト的なものが…。
この曲、最近、流行りましたので、たくさんの演奏を聴く機会がございました。
私、個人的な意見ですが、この曲“演歌”だと思うんです。
日本人的なドロドロしたものが主題をなしている…。
しかし、この日の演奏は、ホンの少しだけあっさり、し過ぎかなぁ。
泥臭い、誇張した演奏の方が合うと思うんですけど…。(個人的意見です。)
次は、「アメイジング・グレイス」。
ブラスバンド界では、著名な作曲家ウィリアム・ハイムズの編曲による作品です。
美しいメロディに美しい演奏。
特にトランペットのメロディラインに酔いしれました。
トリは、「メキシコの祭り」。
子供の頃、憧れの曲でした。
特に1曲目の「前奏曲とアズテックダンス」は、天理高校の演奏をレコード(古いねぇ)を聴いて感動したものでした。
良かった!とっても良かった!!ブラヴォーです!

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アンコールは、2曲。
特に最初の曲は、TADのメンバーで演奏会のほん数日前に急逝されたホルン奏者の藤原貴裕さんを追悼するために演奏されたブラームスの「ドイツ・レクイエム」は感動的でした。(お名前がプログラムに載っていらっしゃるほどの急な旅立ちでした…。)

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この日を聴き終わって。
プロの皆さんなのですから、素晴らしい演奏であるのは間違いないのですが、それ以上に思いの詰まった演奏の数々に感銘を受けました。
鈴木孝佳先生、TADの皆さん、素敵な時間をありがとうございました!

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最後の言い残したこと。
ここだけの話、福岡工業大学附属高校は(福岡工業大学附属城東高校も含めて)、屋比久勲先生の時代より、鈴木孝佳先生の時代の方が圧倒的に好きです!!(あくまでも“超”個人的意見です。)