浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第20回 東関東吹奏楽コンクール 職場・一般の部、大学の部

2014-09-29 18:59:25 | 吹奏楽
2014年9月21日、日曜日。
場所は、千葉県文化会館。
第20回東関東吹奏楽コンクール、職場・一般の部、大学の部に今年も伺わせて頂きました。
私が千葉県文化会館に来たのは初めてではないですね。
何で来たのだろう、忘れちゃいました。(歳は取りたくないものです…。)
今年は、地元、埼玉の県大会は行けたのですが、神奈川県大会は体調不良のため聴きに行くことが出来ませんでした。
したがって、東関東大会は非常に楽しみにしておりました…。


埼玉県の浦和から1時間半くらいかけて、ようやく到着いたしました。
早速、中に入ります。
ロビーはけっこう広いですね。
新しくはないですが、ホールも2階席、3階席まである立派な作りです。
それと演奏とは関係ない事なんですが、今回の東関東大会で初めて見る“光景”がありました。
舞台上手(かみて)側の客席にイチバン近い位置、大体のバンドが弦バスとかテューバとかを配置している前あたりに演奏している団体の名前を書いてあるプラカードのようなものが置いてあるのが面白かった。(落語の横書きの“めくり”のようだった。)


【2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】
Ⅰ.中西 英介/最果ての城のゼビア(第24回朝日作曲賞受賞作品)
Eisuke Nakanishi/The Farthest Castle
Ⅱ.高橋 宏樹/行進曲「勇気のトビラ」
Hiroki Takahashi/Courageous Entry
Ⅲ.合田 佳代子/「斎太郎節」の主題による幻想
Kayoko Goda/Saitara Bushi Fantasy
Ⅳ.小林 武夫/コンサートマーチ「青葉の街で」
Takeo Kobayashi/Concert March“At the Verdurous Town”
Ⅴ.谷地村 博人/きみは林檎の樹を植える〔※高校・大学・職場一般のみ〕
  (第6回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)
Hiroto Yachimura/Even till the end, sew new appleseed


【職場一般の部】

1.千葉県代表 アンサンブル・市川 (指揮)中島 正考
 [課]Ⅳ[自]バレエ音楽「ガイーヌ」より(A.I.ハチャトゥリアン/arr.林 紀人)
         アイシェの目覚めと踊り
         バラの乙女たちの踊り
         レズギンカ

さあ、最初の団体です。
朝イチのホールは音が響かないと言いますが…。
私はちょうど、一階席中段あたりに陣取っていたのですが、音がよく届いていましたね。
ただ、響いてたかと言うと少し疑問に思いました。
課題曲は、コンサートマーチの軽やかさと言うより、いわゆる“行進曲”ように聴こえました。
少し、重いかな。
ただ、演奏と言う面から見ると、こういう解釈もありかなと思いました。
自由曲は、標題音楽らしい雰囲気を持った演奏でした。
ただ、レズギンカは、速いテンポ乗り切れていないところがあったように思いました。
それがために音楽のスケール感が少し足りないように感じました。
[銅賞]

2.神奈川県代表 Pastorale Symphonic Band (指揮)川村 慎敬
 [課]Ⅲ[自]歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/arr.後藤 洋)

さあ、昨年、初出場ながらも全国大会金賞を獲得したパストラーレ。
演奏した鈴木英史先生作曲の「~チンギス・ハーン」は、今年のコンクールでは大人気です。
去年は頂点まで行ってしまったのですから、今年からは“挑戦者”ではありません。
今が“正念場”ですね。
指揮は音楽監督の佐川先生じゃないようです。
課題曲が始まりました。
出だしのロングトーン、素晴らし。
ただ、中間部(E)のトランペットとトロンボーンの掛け合いみたいなところが不明瞭だったのが残念でした。
多少、細かいミスが続きましたが、最後はそれなりにまとまったかなと思える演奏でした。
自由曲は、「トゥーランドット」ですか。
個人的な思いとしては、吹奏楽オリジナル曲で勝負してほしかった。
人数が少なめなので、その方がいいと思うのです。(個人的意見です。)
メロディラインが程良い音量でよく歌い込まれています。
表現力も素晴らしい。
でも、うーん、うまく表現できないのですが、少しオペラの独特のドラマチックさが希薄で“音楽の流れ”が停滞しているように聴こえました。
昨年の福岡サンパレスでの素晴らしい演奏を生で聴いただけに残念な気がしました。
聴き終った瞬間、東関東のレベルの高さからして、「ヤバイぞ」と思いました。
来年の復活に期待します!
[銀賞]

3.千葉県代表 習志野ウィンド・オーケストラ (指揮)須藤 卓眞
 [課]Ⅰ[自]「スペイン狂詩曲」より 祭り(M.ラヴェル/arr.森田 一浩)

指揮は松戸四中の須藤先生ですね。
私は初めてお目にかかる団体です。
課題曲はⅠ。
難しい曲です。
第一音目、アクセントが付いているのはわかるのですが、“破裂音”に聴こえました。(トロンボーンあたりの音でしょうか?)
ただ、合奏部分は、とてもソフトなサウンドで聴きやすかった。
アンサンブルも各楽器がしっかり融合していて響きが美しいと思いました。
それでもB Cあたりからの細かいフレーズの転換にスムーズさがなかったのが残念に思いました。
サウンドがキレイでカラフルな感じがするので、自由曲のラヴェルはベストの選曲だと思いました。
極端な言い方をすれば、“色っぽい”演奏とでも言えるでしょうか?
奏者の技量も高く、ソロパートの表現力も秀逸。
とても良い演奏だと思いました。
[銀賞]

4.神奈川県代表 グラールウインドオーケストラ (指揮)佐川 聖二
 [課]Ⅱ[自]トラジチニ ソナタ ナ ジュレバカ イ プウォーヴェ(天野 正道)

昨年は涙をのんだグラール。
真島先生の渾身の委嘱作品でコンクールに臨みましたが、結果は支部敗退。
今年は、指揮も佐川先生のようですので、期待しましょう!
明るい課題曲Ⅱから。
少しだけ、テンポが速いのでしょうか?
軽快な演奏です。
ポップな感じがこの課題曲に合っていて、とても良かった。
ただ、少し“軽く流した”様にも聴こえましたが…。
自由曲は、今年6月の定期演奏会でも聴かせて頂きました。
天野正道先生の委嘱作品です。
曲名はポーランド語だとのこと。
それで、東欧風というかロシアっぽい旋律も出てくるんですね。
あと教会音楽のような感じもするところがあります。
さすが、グラール、そつなく演奏しましたね。
天野作品独特の激しさを見事に表現していました。
全国大会では、より完成度の高い演奏でご活躍されることを期待致します。
[金賞・代表]

5.茨城県代表 水戸交響吹奏楽団 (指揮)萩原 健
 [課]Ⅱ[自]ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/arr.森田 一浩)

課題曲から。
金管楽器と木管楽器のバランスが良い演奏だと思いました。
ただ、多少、音量過多でしょうか?
長い時間聴くと少し耳が疲れるかも知れません。
元気があって、良いとは思うのですが…。
自由曲は、ミュージカル音楽「レ・ミゼラブル」です。
大人気の曲ですね。
静かなフレーズは美しいのですが、tuttiになると俄然元気が出てきます。
パンチの聴いた演奏です。
でも、やっぱり音量が…。
とは言え、勢いのあるエネルギーを感じる演奏でした。
[銅賞]

6.神奈川県代表 相模原市民吹奏楽団 (指揮)建部 知弘
 [課]Ⅱ[自]鼓響・・・故郷(天野 正道)

ここ数年は、全国大会常連であったグラールと相模原市民が昨年は支部敗退ということで全国大会には進めませんでした。
そんな二つの団体は、今年、復活のステージに立ちましたが明暗を分ける形になりました…。
指揮は福本信太郎先生ではなく、作曲家の建部知弘先生です。
課題曲の出だしは、バランスがよく、とても心地良かった。
サウンドも洗練されていて、さすが相模原市民です。
全体的に大きなミスもなく、“見本”のような演奏でした。
自由曲は、天野作品です。
天野先生の独特の世界をうまく表現していました。
ソロを吹いている演奏者から次の演奏者につないで行き方が見事です。
“和”と西洋的な部分の対比をうまく表現していたのは素晴らしかった。
間違いなく僅差での代表落選だと思いますが、来年こそは全国大会での雄姿を見たいものです。
[金賞]

7.茨城県代表 水戸市民吹奏楽団 (指揮)浅野 正樹
 [課]Ⅳ[自]宇宙の音楽(P.スパーク)

課題曲の出だし、なかなか軽快です。
明るく、マーチに合ったサウンドです。
ただ、メロディと伴奏(後打ち等)に、ほんの僅かなズレが生じているように思いました。
そのために曲の流れが妨げられているように感じました。
それと課題曲Ⅳで特徴的なファゴットのソロがほとんど聴こえなかったのが残念でした。
自由曲は「宇宙の音楽」。
冒頭のホルンソロがうまくいかないと、私の個人としては、心が萎えちゃうんですけど、この団体は、うまく決めました。
このソロに合ったホルンの方の音質です。(でも、少しだけ独特の“節回し”をしていたのが気になりました。)
全体的な印象としては、よく練習してあるなと思いました。
アンサンブルの乱れもなく、正確な演奏を心がけているようでした。
曲の終りに向かっての盛り上がりは、効果的だったと感じました。
ただ、この曲の持つ、スピード感だとかバタくささだとか、そういう迫力に欠けているような気もしました…。
[銅賞]

8.栃木県代表 矢板ウインドオーケストラ (指揮)黒尾 実
 [課]Ⅰ[自]ネビュラ(鋒山 亘)

課題曲の演奏が始まりました。
全体的なサウンドとして音色が揃っています。
だから、音に雑味が感じられず、聴きやすい。
B C場面転換の多少の不具合は、あったものの、アクセントの付け方がうまいので、曲が映えて聴こえます。
音の処理の仕方もキレイでした。
自由曲は、初めて聴かせて頂く曲です。
何か映画音楽のようにも感じました。(サスペンスものだったら、より合いそうな感じです。)
もちろん、全くミスがなかったわけではありませんが、表情豊かに感情を込めて演奏していたと思います。
とても心に響く演奏でした。
[金賞]

9.千葉県代表 習志野シンフォニックブラス (指揮)須藤 信也
 [課]Ⅳ[自]虹は碧き山々へ(真島 俊夫)

課題曲Ⅳは、やっぱり、コンサートマーチですので、明るく楽しく演奏して欲しいと思いますが、まさに、それを実践している演奏でした。
特にメロディの歌い方が表情豊かで好感が持てました。
飛びぬけて光っているわけではないのですが、オーソドックスであるこの団体の演奏は、安心できるパフォーマンスでした。
反面、悪い言い方をすれば、単調にも感じた次第。
自由曲は真島先生の曲ですが、私は聴いたことがない曲でした。
冒頭の部分は何かネリベルっぽい。
それに楽器の使い方が華やかですね。
真島先生らしい作品です。
アンサンブルがしっかりしている演奏だったので、安心して聴けました。
ドラマチックな部分もしっかり観客に伝わって来て、上手にこの曲を“料理”出来ていましたね。
[銀賞]

10.千葉県代表 船橋市交響吹奏楽団 (指揮)牛渡 克之
 [課]Ⅳ[自]「ダンスリーズ」第1集・第2集より(K.ヘスケス)

課題曲、1小節目の音符のアクセントが効いていなくて、少し拍子抜けしてしまった。
でも、そこだけが気になっただけで、あとは模範的演奏でした。
特にテューバの音がよく響いていたのが印象に残りました。
自由曲は中世的な感じのする美しい曲でした。
1、2曲目は、ゆったりとしたテンポの曲を丁寧に演奏しているのが好感を持てました。
ただ、もう少し遊び心があっても良いのかなと思いましたが。(生真面目な演奏でした。)
3曲目は、これまた中世的なテンポの速い曲です。
実に上品にまとめていましたが、少しだけ躍動感をプラスしたら、もっと良くなったのになと思いました。
[銀賞]

11.神奈川県代表 横浜ブラスオルケスター (指揮)近藤 久敦
 [課]Ⅳ[自]祝典序曲(J.イベール/arr.近藤 久敦)

今だから申し上げますが、昨年のコンクール自由曲、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」を福岡サンパレスでの全国大会で聴き終った瞬間に「こりゃ銀賞だ。」と思いました。
確かにうまいんだけれど、何かが物足りない。
そんな感じがしていました。(それでも、この激戦の東関東支部で、しつこく《失礼!》全国大会への代表となっている底力は、相当なものがあると思いますが。)
しかし、今年は、いい意味で裏切られました!
まずは課題曲。
洗練された甘いサウンドは統制がとれていて非常に心地よい。(こんな音出す印象はなかったのですが…。)
よく響いてますね。
話題のファゴット・ソロもよく聴こえてサイコーです。
この日、演奏した団体の中でナンバーワンの課題曲Ⅳでした。
自由曲は、イベールの「祝典序曲」です。
恥ずかしながら、私は聴いた事がありませんでした。
華やかさの溢れ出るような演奏でした。
うまいです。
こまかいアンサンブルに気を使っている様子がわかります。
演奏している皆さんにテクニックがあるから、イベールのエキゾチックな世界をうまく表現出来ています。
最後の方のホルンのベルアップ、揃っていてカッコよかったなあ。
仕上がった演奏でした。
[金賞・代表]

12.栃木県代表 宇都宮音楽集団 (指揮)鈴木 太志
 [課]Ⅰ[自]鳥之石楠船神~吹奏楽と打楽器のための神話(片岡 寛晶)

作曲者の「映画の予告編」を意図した世界とは違う課題曲Ⅰに思えた。
例えば、息を吹き込むとかバルブを押すとかの“物理的”行為は、ほぼ正確に行なわれていた。
でも、それに“感情”と言うものが加味されて音楽になっていくと思うのですが、何故だか単調に聴こえました。
サラッと流そうとしているような…。
聴きやすい演奏でしたが、ダイナミクスの変化に乏しかったので、そう聴こえたのかもしれません。
自由曲は、曲名から推察できるとおり、「和」が満載の曲でした。
自由曲に多く練習の時間を割いているのか、アンサンブルもしっかりしていたし、音楽に流れを感じました。
メロディ部分のtuttiは、キレイで素晴らしかった。
躍動感もあっていい演奏だなと思いました。
ただ、何かが物足りない気がしました。
何だろう、私のような素人には、わかりません…。
[銅賞]

13.茨城県代表 関城吹奏楽団 (指揮)豊田 晃生
 [課]Ⅳ[自]シダス(T.ドス)

調べてみますと2002年からは、ずっと東関東大会に出場し続けている団体です。
しかも、ここ6年間は、すべて金賞ですね。
全国大会は1回しか出場していませんが、東関東では名門バンドでしょう。
課題曲は軽やかに始まりました。
でも、サウンドは厚い。
木管のメロディラインの演奏が素晴らしい。
よく響いています。
ファゴット・ソロは、ファゴットがないんですかね。
ユーフォニアムで“代用”していたようです。
何れにせよ格調高い演奏でした…。
自由曲。
サウンドが力強く、各パートの音の融合が美しい。
音楽の基礎的な部分を忠実に表現しているように思いました。
最後は、実に華やかに終わりました。
ただ、残念だったのは出だしの低音部がずれたこと。
全体的に上品な演奏だと思いましたが、もう少し激しさとかの情熱的な部分が表現出来れば良いかと思いました。
そして、結果は…、残念でした。
来年の奮起を期待します。
[銀賞]

14.千葉県代表 アルファモニック吹奏楽団 (指揮)原田 拓実
 [課]Ⅳ[自]歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/arr.後藤 洋)

課題曲は、ひとつ前の関城と同じⅣです。
でも、演奏は対称的なものに感じました。
高音部は、よく響いて聴こえるのに中低音楽器が弱い感じがしてサウンドに物足りなさをおぼえました。
軽快で明るく、リズムセクションも躍動していたのに、その点が残念でした。
自由曲はお馴染み「トゥーランドット」ですね。
音がよく出ています。
オペラ音楽らしく迫力もありますね。
個人的な考えですが、こういう標題音楽は“表現力”の問題だと思うんですよね。
素人なんで、うまく表現できませんが、同じ曲を演奏するにせよ他の団体との「差別化」を図るというか…。
楽譜の中にある作曲者や編曲者の“想い”をアナリーゼしていくことに価値があるんじゃないでしょうか?
そう言った部分に少しだけ欠けたかなあと思いました。
[銅賞]

15.茨城県代表 日立市民吹奏楽団 (指揮)原 進
 [課]Ⅰ[自]大いなる約束の大地~チンギス・ハーン(鈴木 英史)

ケッコウ、私と同年代くらいの方もいらっしゃるような気がします。
私もン十年振りに楽器を吹きたくなっちゃいました…。
課題曲は、標題音楽のような感情のこもった演奏が出来ていて好感が持てました。
でも、曲の速い展開について行けてない部分もあったような。
あと、ちょっとした音の処理の仕方(タンギングやアクセント)があやふやに感じたところがありました。
しかし、大まかなところでは雰囲気のある演奏で聴きやすかった。
自由曲は、昨年の全国大会、パストラーレ・シンフォニックバンドが金賞を獲得した「大いなる約束の大地~チンギス・ハーン」です。
やっぱり印象の強い曲なので去年のパストラーレと比較しちゃいますね。
冒頭のフルート・ソロ、素晴らしかったです。
ただ、もう少し激しさがあった方が私の好みでしょうか?
この曲って、今年、多くの団体が取り上げて何度も聴く機会があります。
何度も聴いて思うのですが、実に観客受けする曲ですね。
支部大会に出場出来るくらいの実力がある団体なら、十分に客を音楽に引きつけられる…。
鈴木英史先生の作曲技術がすごいんだと思います。(演奏すると必ず盛り上がるスミスの“華麗なる舞曲”に似た感覚があると思います。曲調は全然違いますが…。)
そして、このバンドも、濃密な練習に基づいたステキな演奏を聴かせて頂きました。
とても良い選曲をしたと思いました。
[銀賞]

16.千葉県代表 光ウィンドオーケストラ (指揮)佐藤 博
 [課]Ⅰ[自]白磁の月の輝宮夜(樽屋 雅徳)

昨年は東関東支部の代表として全国大会での雄姿を私も拝見させて頂きました。(私の個人的な好みで言うと全国出場の昨年よりも、一昨年、東関東大会で聴いた長生先生の「紺碧の波濤」の演奏の方が好きでした。“ダメ金”でしたが。)
今年は、どんな演奏を聴かせて頂けるのでしょう?
課題曲は、Ⅰですね。
まずは、音色がキレイに揃っているのでサウンドが美しく聴こえます。
そして、何よりも「映画の予告編」と言うコンセプトを具現化しているように聴こえました。
表現をある程度クサくしているのですが、これ以上やっちゃダメと言う限界まで微妙に“寸止め”しているのが、実に見事です。
ポイント、ポイントを押さえた見事なパフォーマンスでした。
自由曲は、「白磁の月の輝宮夜」。
昨年の全国大会高校の部で幕張総合高校が素晴らしい演奏で金賞を獲得した曲です。
しかも指揮は、この日と同じ、佐藤博先生。
自由曲と指揮者は同じで吹奏楽団だけ違うと言う事ですね。
太鼓のパフォーマンスが派手な曲で、そちらの方に目が向けられがちですが演奏も素晴らしかった。
テンポやダイナミクスが変わっても曲の流れに連続性を感じられるので、ついつい“音楽”に引き込まれてしまう。
表現能力が高いと言うことなのでしょう。
指揮者が同じなので幕張総合に似た感じもしましたが、レベルの高い演奏を堪能させて頂きました。
[金賞・代表]

17.茨城県代表 古河シティウインドオーケストラ (指揮)山崎 徹
 [課]Ⅳ[自]宇宙の音楽(P.スパーク)

次も東関東大会常連、全国大会も2度出場したことのある名門バンドです。(一昨年の「セルゲイ・モンタージュ」、良い演奏でした。宇都宮で聴かせて頂きました。)
課題曲はマーチを選びましたね。
サウンドが明るい音質でキラキラしたカンジです。(特に金管楽器)
音量が程良いバランスを保っているので前述のサウンドが映えます。
だから、より軽快に聴こえるという、一種の相乗効果を生み出しているようです。
実に都会的なまとまった演奏でした。
自由曲は、皆様ご存知の「宇宙の音楽」です。
もともとブラスバンドのための曲ですから、金管の音色が明るいこのバンドに向いた選曲だと思いました。
演奏が始まると私の勝手な予想通り、この曲の持つ“華やかさ”を見事に表現したパフォーマンスだと感じました。
曲の終りに向かっての盛り上げ方は、なかなかのものでした。
ただ、曲の冒頭の見事なホルン・ソロのあと、合奏に入る部分で多少、モヤモヤっと不明瞭に感じたのが残念でした。
これだけ完成度の高い演奏をされるとわずかなミスでも気になっちゃうんですよね…。
[金賞]

18.栃木県代表 作新楽音会 (指揮)齋藤 崇
 [課]Ⅲ[自]カントゥス・ソナーレ(鈴木 英史)

人数が少し少なめですね。
このバンドはメロディラインの表現の仕方がうまいと感じました。
ですから、メロディを前面に出してきている課題曲Ⅲを選択したのは正解だと思いました。
人数の割には音がよく出ていて響いています。
ただ、時折、音の処理の仕方やピッチが気になった部分がありましたが。
自由曲は鈴木英史先生の作品です。
出だしは、上々の滑り出しです。
よく練習が出来てますね。
各楽器が“表現”しようと一生懸命です。(特に木管楽器の健闘が光ります。)
細かなミスはあったものの「熱演」を聴かせて頂きました。
[銀賞]

19.神奈川県代表 ユース・ウィンド・オーケストラ (指揮)高田 亮
 [課]Ⅰ[自]トリトン・エムファシス(長生 淳)

毎年、ド派手な衣装で指揮をされる高田亮氏は、洗足学園音楽大学出身の打楽器奏者の方なんですね。(ここ数年、ユース・ウィンドの指揮でお姿は拝見していたのですが、今年、初めて知りました。)
今年は、どんな衣装で登場されるのでしょう?
舞台上では、前の団体の演奏が終わり、いよいよユース・ウィンドのセッティングが始まりました…。
高田氏も登場しました…。
今年は、黒一色のコートと言うかマントみたいな出で立ちです。(私は、オヤジで、その上、ファッションに疎いものですから、何と表現していいのか、わかりません…。)
イヤイヤ、そんな事はさて置いて、演奏に集中しましょう!
課題曲は表現の難しいⅠです。
流れの途切れやすいⅠの曲の特性に注意した演奏でした。
だから、“音楽の流れ”をすごく感じられて聴きやすかった。
アクセントを効かせた、とても良い演奏だと思いました。
ですが、“慎重さ”のためか、物足りなく感じた部分もありましたが。
自由曲は、コンクールでは一昨年、文教大学が素晴らしい演奏で「全国金賞」を獲得した長生淳先生の「トリトン・エムファシス」です。(ちなみに指揮台の上では高田氏が形状は同じですが、純白のモノに“衣替え”されておりました…。)
出だしこそ、モヤモヤ感があったもののテンポが速くなってきた部分では、“生き返り”ましたね。
スピード感満点の演奏でした。
迫力がありますよ。
私の個人的なユース・ウィンドに対する印象でもある「パワー」を満喫させて頂きました。
楽しかった。
[銀賞]

20.千葉県代表 船橋吹奏楽団 (指揮)大塚 哲也
 [課]Ⅳ[自]オリエントの光芒~ウインドオーケストラのために~(片岡 寛晶)

さて、職場一般の部、トリの演奏です。
課題曲は、この日の職場一般の出場団体でなんと9団体が演奏した「Ⅳ」です。
きっちりとした言わば、正統派の演奏でした。
反面、音楽として、もっと楽しく聴けると良いなと思いました。
ミスを恐れて“保守的”な演奏に感じてしまったので。
あと、ピッチが気になる楽器があったのが惜しかったです。
ファゴット・ソロは楽器がないためかバスクラで代用していたようですね。(間違っていたら、ゴメンナサイ。)
自由曲は、“オリエント”的な部分を表現できていた演奏だと思いました。
細部までの配慮を感じられたパフォーマンスでしたが、曲名の割には、こじんまりとし過ぎたかも知れませんね。
[銅賞]

職場一般の20団体の演奏が終わりました。
昨年は、“賞”とか“代表”とかいう面で混沌とした部分があったのですが、今年は、わかりやすかったように思います。(少なくとも私にとっては。)
聴き終って、横浜ブラスと光ウィンドは「代表」間違いなしと感じましたし、あと1団体の「代表」は、グラールか相模原市民ではと。
ほぼ、“その通り”になりましたので、そのように思った次第です。
ただ、西関東におけるアンサンブルリベルテや川越奏和のような絶対的な団体がいないのが残念と言えば残念ですが。
まあ、逆に言えば、そう言う団体がいないからこそ面白いのかも知れません。
しかも、この高レベルで。

【大学の部】

1.神奈川県代表 北里大学北里文化会吹奏楽団 (指揮)西村 友
 [課]Ⅲ[自]組曲「展覧会の絵」より(M.ムソルグスキー/arr.西村 友)
        市場,雌鶏の脚の上の小屋,ボガドゥイーリの門

さて、次は大学の部です。
大学では唯一の課題曲Ⅲですね。
最初の一音目、アクセントというかアタックが効かなかったですね。(特にメロディの人たちではなくて、ロングトーンしている方。)
ポワーンって感じで聴こえちゃったんで、メロディが生きなかった…。
躍動感があって良いなあと思いましたが、打楽器が少しハリキリ過ぎかな。
少し伴奏パートでピッチが気になる方がいました…。
自由曲はスケールを大きく見せようと努力している演奏でした。
ただ、全体的に音量過多に聴こえたような…。
そのためか最終曲(“ボガドゥイーリの門”と記載された曲?私は、素人なので“キエフの大門”と認識しています。)は、金管がバテたのかメロディが聴こえ辛かった。
そして、やっぱり打楽器が元気良すぎたかも。
最後に言いますが、“情熱的”な指揮がステキでした。
[銅賞]

2.千葉県代表 千葉大学吹奏楽団 (指揮)小 将大
 [課]Ⅰ[自]プラトンの洞窟からの脱出(S.メリロ)

課題曲。
少しテンポが早く感じましたが、逆にそれもアリだなと思いました。
ただ、そのためか、音符のアタックが雑に感じるところもありました。
象徴的だったのは、冒頭の木管楽器の6連符と7連符が不明瞭に聴こえたところでした。躍動感がある演奏だっただけに、そこが残念でした。
さて、自由曲に移ります。
快活に演奏が始まったのがとても効果的に感じましたね。
有りがちな事ですが、課題曲と自由曲の練習量が明らかに違うのでは?
アンサンブルも良く合い、かみ合っていて聴きごたえのある演奏でした。
[銀賞]

3.栃木県代表 白鷗大学ウインドオーケストラ (指揮)堂阪 知之
 [課]Ⅱ[自]ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス(D.R.ギリングハム)

演奏者の人数が少ないですね。
プログラムには“30名”と書いてあります。
ただ、流通経済大学の例もある通り、基礎的な部分がしっかりしていれば、勝つこともあるんじゃないでしょうか?(一昨年、24名という人数で全国大会に出場した茨城県代表、流通経済大学の演奏は素晴らしかった!もちろん、神奈川大学が「3出」でコンクール不出場の年ではありましたが…。詳しくは、こちらをご覧ください。)
(http://kamisugi2.ocnsupport.jp/urawa_kappa/e/a5a380668adc9b1a153cd179b90ff8b9)
まずは、課題曲から。
人数の少なさを感じさせないくらい音が出ています。
音色は、とても明るく、軽快に感じます。
でも…、やはり、サウンドの“薄さ”は如何ともし難い。
自由曲は、“努力”を非常に感じる演奏でした。
いかにスケールを大きく見せるかに工夫の跡を思わせるパフォーマンスです。
特に打楽器が効果的でしたね。
[銅賞]

4.茨城県代表 茨城大学吹奏楽団 (指揮)桑名 洸典
 [課]Ⅳ[自]歌劇「ばらの騎士」組曲(R.シュトラウス/arr.桑名 洸典)

課題曲Ⅳの演奏からです。
少し大きく音を出し過ぎかなとも思いましたが、不思議とウルサク聴こえない。
それどころか、鋭い音で強さを表現し、静かな部分と対比感を出して、メリハリを付けた演奏をしていました。
他との“差別化”に成功していましたね。
それと面白かったのは、“話題の”ファゴットが指揮者のすぐ脇、上手(かみて)側最前列いたこと。
それも、オーボエとの持ち替えでした。(明らかにオーボエがメインのようでしたが。)
当然、ファゴット・ソロも良く聴こえました。
自由曲は、リヒャルト・シュトラウス。
アレンジものに合ったサウンドです。(特にクラリネットが素晴らしい。)
しかも、練習や努力が演奏に表れているようです。
華やかでスケールの大きなパフォーマンスでした!
[金賞]

5.茨城県代表 筑波大学吹奏楽団 (指揮)鈴木 竜哉
 [課]Ⅳ[自]永遠の翼を持つイカルス(鈴木 英史)

昨年は東関東大会で金賞を獲得した筑波大学。
今年も活躍に期待しましょう。
茨城大学に続いて、同じ課題曲Ⅳです。
まず、舞台を見て思うのが配置のこと。
他の団体と比較して少しだけ、椅子の並びが客席に対して平行に感じますね。(何か効果があるのでしょうか?)
曲が始まりました。
テンポが遅いというのではなく、何となく、ゆったりしたマーチに聴こえます。
サウンドが厚く感じてステキです。
それぞれの楽器のレベルが高いのかメロディが明瞭に聴こえます。(もちろん、ファゴット・ソロもばっちりでした。)
まとまりのある演奏だったと思います。
自由曲は、「永遠の翼を持つイカルス」。
鈴木英史先生の作品です。
課題曲と同様、ヘンな言い方ですが、“滑舌のハッキリした”演奏でした。
楽器ごとのアンサンブルがしっかりしているので、とてもドラマチックに聴こえます。
サウンドも厚い感じがします。
ただ、“明快”すぎたかも知れません。
[銀賞]

6.神奈川県代表 神奈川大学吹奏楽部 (指揮)小澤 俊朗
 [課]Ⅴ[自]バレエ音楽「中国の不思議な役人」より(B.バルトーク/arr.小澤 俊朗)

今回の東関東大会のプログラム、神奈川大学のところを見て驚いたことが二つありました。
まずは、自由曲。
「中国の不思議な役人」とは…。
アンサンブルリベルテの時も、そうだったんですが、何故に「中国の不思議な役人」…。
確かに難曲で素晴らしい作品ですが、この大流行りの曲を今さら、リベルテや神大が挑まなくても良いのではと思ったからでした。(心が少し萎えてしまいます…。)
二つめは、指揮者。
プログラムには神奈川大吹奏学部コーチの中村俊哉先生の名前が書いてある。
まあ、それはコーチをやってらっしゃるのですから、あり得ないことではないでしょう。
でも、演奏前の舞台上を見ると…、あれ、小澤先生だ。
そして、やはり、小澤先生の指揮で演奏が始まったのでした…。(神奈川大学吹奏楽部のHPを拝見しますと、今年は県大会を中村コーチ、東関東を小澤先生の指揮と書いてありました。全国大会はいったい誰が指揮するのでしょう?)
あぁ、忘れてました。
コンクールの演奏の事ですね。
私のような音楽の素人が書かなくても、賢明な皆様には、おわかりになると思いますが…。
ただ、ひとこと「神大ワールド」でした…。
特に“聴き飽きた”「役人」が新鮮なものに聴こえたのは驚きでした。
明らかに“別格”でした。
今回は、同じ曲でもリベルテよりも感銘を受けました…。(と言ってもリベルテは県大会しか聴いていませんが。)
[金賞・代表]

全26団体の演奏が終わりました。
疲れました。
それにしても東関東支部の職場一般は面白い。
先程も書いたと思うのですが、レベルの高い団体がゴロゴロいて飽きないんですよ、これが。
そして、ここ5、6年でずっと全国大会に出場しているのは、横浜ブラスオルケスターだけで、その横浜ブラスでさえ、“安泰”ってカンジじゃない。
演奏者の皆さんは、気が気ではないでしょうが、第3者からみると実に楽しい(失礼!)し、ワクワクします。

それと毎度、申し上げておりますが、ここに書き連ねた文字の数々は、音楽素人のオヤジの戯言(ざれごと)、寝言の類です。
どうか大きな心で笑い飛ばして頂ければ、幸いです。


最後にお知らせです。
今年も職場一般の部、全国大会に行く予定でおりましたが、どうしても仕事のため行くこと叶わず、新潟行きを断念した次第であります。(ホテルまで予約してあったのに…。来年の札幌には必ず行きますよ!)
それにしても、全国大会でヤマハを聴きたかったなぁ…、残念。

読売日本交響楽団 第574回サントリーホール名曲シリーズ

2014-09-19 02:56:25 | オーケストラ

久し振りのコンサートです。
でも、吹奏楽じゃないんです。
今回は、2014年9月16日、火曜日の「第574回サントリーホール名曲シリーズ」に行かせて頂きました。


サントリーホール。
首都圏では、優れたホールが数多くありますが、素人目から見ても格調の高さは、このホールが一番ですね。
独特の雰囲気を持っています。
さて、私がこのコンサートを拝見させて頂こうと思ったのは、この日の演目に惹かれたからでした。
吹奏楽の世界では、著名なチェコ出身の作曲家カレル・フサの作品「この地球を神と崇める」の管弦楽版が演奏されると知ったからです。
もちろん、フサの吹奏楽曲では「プラハ1968年のための音楽」が一番、有名です。
いわゆる「プラハの春」と呼ばれるチェコスロヴァキアの社会主義改革運動がソビエト連邦の牛耳るワルシャワ条約機構軍の軍事進攻によって弾圧された「チェコ事件」に抗議して作曲された曲で、強い政治的メッセージ性を持っています。(吹奏楽の世界では、時折、演奏される曲なのでこのブログをお読みになっている方なら、ご存知だと思います。)
ところが、この「この地球を神と崇める」は、それよりも、もっと大きなテーマを扱った曲なのです。
地球上で今現在も起こっている戦争、天災、環境破壊などの出来事を憂い、また、そのような事象を誘発する愚かな人間の行為に“音楽”によって警告を発しているのです。
初めて、この曲の吹奏楽版を聴いたのは何時だったか忘れましたが、若かった私は、強い衝撃を受けたのを覚えています。(調べてみますと吹奏楽の全国大会でも4つの団体が演奏していますね。)
そのステキな曲がオーケストラと合唱で形を変えて演奏されるとのこと。
ワクワクせざるを得ません。


[演奏]読売日本交響楽団
[指揮]下野 竜也(首席客演指揮者)
[ピアノ]小川 典子
[合唱]上野学園大学合唱団
[コンサートマスター]ダニエル・ゲーテ



◆ 松村 禎三/ゲッセマネの夜に
TEIZO MATSUMURA/To the Night of Gethsemane
◆ モーツァルト/ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491
MOZART/Piano Concerto No.24 in C minor,K.491
Ⅰ.Allegro
Ⅱ.Larghetto
Ⅲ.Allegretto



【休憩】


◆ J.S.バッハ(ストコフスキー編)/ゲッセマネのわが主よ BWV487
  J.S.BACH(arr.Stokowski)/
              Mein Jesu(Geistliches Lied from Schemelli’s Gesang-Buch),BMV487

◆ カレル・フサ/この地球を神と崇める(管弦楽版日本初演)
    KAREL HUSA/Apotheosis of this Earth
Ⅰ.Apotheosis
Ⅱ.Tragedy of Destruction
Ⅲ.Postscript



さあ、演奏会の始まりです。
指揮は下野竜也氏です。
このマエストロは、なかなか面白いプログラムを組んで下さるので大好きな指揮者のひとりですね。(今年の1月に横浜のみなとみらいホールで同じ読響の演奏会を聴かせて頂きましたが、ヘンリー・ウッド版の「展覧会の絵」は非常に感銘を受けました。)
広島ウィンドオーケストラの音楽監督もされていて吹奏楽にも造詣が深い事と推察されます。(昨年4月の広島ウィンドオーケストラ東京公演も行かせて頂き、非常に楽しいひと時を過ごさせて頂きました。)
だから、フサの曲と言う発想が出たのではないでしょうか?
推測ですが…。


最初の曲は、松村禎三先生の「ゲッセマネの夜に」。
素人のオヤジなので恥ずかしながら、松村先生の曲を真剣に聴いた事がありませんでした。(生演奏は初めてだと思います。)
少し、小さな楽器編成の曲ですね。
金管楽器などは、2管編成のように見えますが…。
プログラムの解説を読みますと編成の小さいオーケストラ、“アンサンブル金沢”のために作曲されたとのこと。
“ゲッセマネ”とは新約聖書に登場する地名で、キリストが、かの有名な“最後の晩餐”をした場所なんだそうです。
また、同時にキリストが捕えられた所でもあるのですが、ユダの裏切りによって捕縛される様を描いたジョット作「ユダの接吻」という絵画でこの時の様子を窺い知ることが出来るとのこと。(松村先生は、「ゲッセマネの夜に」を書く時に傍らにこの絵を置いていたそうです。)
いわゆる現代音楽ではありますが、流れの美しい上品な曲のように思えました。
神秘的でもありますよね。
宗教的な背景もあると思いますが、そんなところを越えた世界があるような気がしました。
続いては、小川典子氏の演奏によるモーツァルトのピアノ協奏曲。
なんと力強いピアノの音色でしょう!
何であんなに響くんだろうと感嘆してしまいます。
小川氏の素晴らしいパフォーマンスでした。
それにしても、モーツァルトって、何と心地よい気持ちにしてくれるのでしょうか。
良い意味で精神が弛緩していくのを感じます…。


休憩を挟んで後半の楽曲です。
バッハの「ゲッセマネのわが主よ」と、お待ちかね「この地球を神と崇める」です。
ところで、プログラムにわざわざ、以下のような文言が書かれているのを発見しました。
『指揮者・下野竜也氏の意向により、バッハとフサの両作品は続けて演奏されます。』
演奏を全て聴き終った時、何となくその意図がわかったような気がしました…。


最初は、バッハ。
また、“ゲッセマネ”ですか?
この日のプログラムは宗教を含めた精神世界がテーマなんでしょうか?
もともと“宗教的歌曲”を収録した「シェメッリ賛美歌集」の中の1曲だそうで、名指揮者ストコフスキーの編曲により、格調高い弦楽合奏曲として生まれ変わりました。
ゆったりとして深みのある弦楽器の響きは、私のような凡人の心の中まで沁み入ってきます。
キリストの苦悩に満ちた感情が素晴らしいほどの音の連鎖になって脳に伝わって来るようです。
そして、最後は、この日の目的でもあった「この地球を神と崇める」です。
吹奏楽版では、生演奏で聴いたことがありません。
ただ、レコードかCDの音源で聴いたのみです。(画像としては、youtubeで都立永山高校の全国大会での演奏を拝見したことがあります。)
吹奏楽版には、難解で迫力のある曲という印象が強く、この曲本来のメッセージ性とかに目を向けるまで至らなかった気がします。(私が、まだ若かったからかもしれませんが。)
ところが、今回の管弦楽・合唱版に関しては、曲に潜む作曲者フサの想いがガンガン心に響いてきました…。
と言うか、それがイチバン感じられた。
おそらく、その最大の要因は読響の演奏が素晴らしかったからだと思います。
同時に演奏に管弦楽と合唱になることによって、“演出効果”が上がったのではないでしょうか?
特に合唱が加わったのが効果バツグンでした!
本来の“声”だけではなく、“手拍子”や“足踏み”を交えたパフォーマンスは素晴らしかった!(上野学園大学合唱団の皆さん、ご苦労さまでした!)
いずれにせよ、“フサの世界”をじっくり堪能させて頂いた30分余でした…。
今年、聴いた中では、吹奏楽、オーケストラを問わず(私にとって)、一二を争う演奏だったと思います…。


サントリーホールより外に出ますと、目の前のカフェでは、まだ多くの客で席が埋まり、賑わっているようです。
そんな都会の喧騒も心地よくさえ感じられる幸せな気分になって、地下鉄南北線六本木一丁目駅から家路を急ぐ浦和のオヤジでした…。


追伸
この度、「OCNブログ人」サービス終了に伴い、“浦和河童便り”は、「gooブログ」に移らせて頂きました。

第55回埼玉県吹奏楽コンクール 高校Aの部 地区大会(8/6)

2014-09-19 01:30:35 | 吹奏楽
まず最初に申し上げておかなければならないのは、今回のブログの記事は8月12日に行なわれた県大会のものではないということです。
予めご了承下さい。


吹奏楽コンクールで高校Aの部を聴きに来たのは何年振りのことでしょう?
調べてみますとコンクールで高校生の演奏を聴いたのは、2011年(平成23年)10月23日、普門館であった全国大会以来ですね。(聴いたのは“前半”のみ。チケットが取れなかったので。しかも、“最後の普門館”とは…。イチバン感動した演奏は、岡山学芸館高校の“華麗なる舞曲”。素晴らしい演奏でした。)


という事で、コンクールで、ここ数年、大学・職場・一般の部を聴き続けた浦和のオヤジが久々に高校の皆さんの演奏を聴きに参りました。
本当の事を言うと今まで、高校の皆さんの演奏も聴きたかった。
でも、聴くんだったら、地区大会から全国大会まで全部聴きたい。
難しいんですよ。
埼玉県の仕組みでは。
地区大会、県大会の前売りチケットは、出場団体関係者じゃないと買えないみたいです。(間違っていたら、ゴメンナサイ。)
だから、当日券に並ばないといけない…。
しかも、県大会は前半後半入れ替え制だったと思います。
純粋に演奏を聴きたいという吹奏楽ファンは、どうしたら良いのでしょう?
並ぶ余裕のない人も多くいらっしゃると思います。
出場の団体のご父兄(だと、思います。)の中には、自分の子供の演奏を聴いて、後は席に荷物を置いて(席を確保して)、どこかにいなくなってしまう、という情景を今回も数多く見ました。(本当に嫌になるほど、数多く。)
だったら、本当に聴きたい人に開放して頂くスベを考えて頂けないでしょうか?
例えば、生徒さんの席を確保しなければならないのならば、もう少し広い大宮ソニックシティを使うとか…。
できないでしょうね…、期待していません。


2014年8月6日、水曜日。
第55回埼玉県吹奏楽コンクール、高等学校Aの部地区大会、第1日目。(第2日目は、仕事で行くことが出来ませんでした。)
始まります。
課題曲は以下の通りです。


【2014年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】
Ⅰ.中西 英介/最果ての城のゼビア(第24回朝日作曲賞受賞作品)
Eisuke Nakanishi/The Farthest Castle
Ⅱ.高橋 宏樹/行進曲「勇気のトビラ」
Hiroki Takahashi/Courageous Entry
Ⅲ.合田 佳代子/「斎太郎節」の主題による幻想
Kayoko Goda/Saitara Bushi Fantasy
Ⅳ.小林 武夫/コンサートマーチ「青葉の街で」
Takeo Kobayashi/Concert March“At the Verdurous Town”
Ⅴ.谷地村 博人/きみは林檎の樹を植える〔※高校・大学・職場一般のみ〕
  (第6回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)
Hiroto Yachimura/Even till the end, sew new appleseed



1.県立久喜高等学校 (指揮)黒川 圭一
 [課]Ⅱ[自]喜歌劇「伯爵夫人 マリツァ」セレクション(E.カールマン/arr.鈴木 英史)

吹奏楽コンクールにおいて、朝イチは非常にツライ。
ホールが温まってないから、音が響かないんですよね。
課題曲はⅡです。
朝イチの“呪縛”にハマってしまったかな。
冒頭、メロディラインが聴きにくかった。(特にトランペット。)
全体的な演奏は、あっさりした軽快なものでしたが、サウンドに統制が取れていたら、もっと良くなったと思います。
自由曲は、よく練習してありますね。
出だしのヴィブラフォンとか、とってもキレイでした。
全体的に丁寧に曲作りをしている生真面目な演奏に感じました。
だからこそ、もっと“表情”があると良かったかなと思いました。
[銀賞]


2.県立越谷西高等学校 (指揮)福原 一
 [課]Ⅱ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

課題曲Ⅱ。
2番目の出演順にしては音がよく出ています。
それと明るいサウンドをしていますね。
聴きやすいです。
ただ、諧謔味のある曲なので少しだけでも、それに合わせた“演出”が欲しい気がしました。
自由曲は、「ラッキードラゴン」。
コンクール、演奏会を問わずの大人気曲です。(この日も越谷西を入れて3団体が演奏していました。)
この曲は、2009年に春日部共栄高校の委嘱で福島弘和先生によって作曲されました。
1954年、ビキニ環礁でアメリカが行なった水爆実験により、焼津のマグロ漁船、第五福竜丸が被ばくしました。
そして、この事をアメリカ人画家ベン・シャーンが絵本にしたのです。
この絵本「ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸」をご覧になった福島先生が触発されて「ラッキードラゴン」を作曲されたようです。(ちなみに関係者に第五福竜丸は“福竜”と呼ばれており、それでそのまま「ラッキードラゴン」。)
この曲の背景には、核兵器廃絶とか世界平和とか、そう言うメッセージがあるのでしょうが、このような“標題音楽”を演奏するにあたっては、やはり、そこのところを理解した上で演奏して頂いた方がいいんじゃないかと思います。
重いテーマの曲の割には、あっさりした演奏でした。
もっと、“感情”を表わしたら、良かった。
蛇足ながら、バス・トロンボーンの音が良く響いていてステキでした…。
[銀賞]


3.県立所沢西高等学校 (指揮)室伏 正隆
 [課]Ⅲ[自]「スペイン狂詩曲」より Ⅳ祭り(M.ラヴェル/arr.森田 一浩)

課題曲の冒頭のところ、全員で気持ちがピッタリ合って“決まった”のが印象的でした。
ただ、メロディは、もうちょっと粘っこくやった方が私は好きです。
あと、ロングトーンでピッチが気になるところや、メロディと伴奏のバランスが悪い部分があったようにも思いました。
自由曲はラヴェルですね。
透明感のあるサウンドはラヴェルにあっています。
出だしもキレイですね。
ただ、少しだけ表情に乏しいというか、華やかであれば良かったかな。
ラヴェルだから、派手さも必要ですものね。
[銀賞]


4.県立与野高等学校 (指揮)岩井 美徳
 [課]Ⅱ[自]舞踏詩「ラ・ヴァルス」(M.ラヴェル/arr.若井 美徳)

とてもバランスの良い温かみのあるサウンドです。
それに軽快なリズム感が花を添えて、非常に聴きやすい課題曲Ⅱのマーチになってます。
ただ残念だったのは、途中の打楽器群で不明瞭な部分があったこと。
音質が揃っているので、まとまりのある演奏だと思いました。
自由曲は、この団体もラヴェル。
最初の弦バス、テューバ(ミュート装着)のアンサンブル、すごい雰囲気が出ていて良かった。
メロディの奏で方がラヴェルらしくて、素晴らしい。
強弱のコントラストがうまく表現出来ているので音楽に流れを感じました。
ただ惜しむらくは、最後の盛り上がりがイマイチだったこと。
[金賞・地区代表]


5.県立越谷南高等学校 (指揮)萩原 亮彦
 [課]Ⅱ[自]歌劇「マノン・レスコー」より(G.プッチーニ/arr.宍倉 晃)

指揮の萩原先生は、昨年の全国大会、職場一般の部、川越奏和の指揮をされてましたね。
私は、その辺の事情を詳しくないですが…。
課題曲が始まりました。
とてもソフトなサウンドです。
でも、音がどんどん前に出てくる…。
よく響いています。
特にフルート、ピッコロの音がキラキラしていてステキです。
メロディの歌い方が上手です。
まさに“快活”な演奏でした。
自由曲は、オペラ音楽です。
課題曲の時も感じましたがサウンドが“まろやか”ですね。
トランペットソロのミスは、ご愛敬としても、とても表情豊かな演奏です。
タテヨコ、きちんと揃っているのは、やっぱり音の処理の仕方がうまいからなのでしょうか?
ドラマチックな演奏でした。
[金賞・地区代表]


6.県立川越高等学校 (指揮)本田 雅彦
 [課]Ⅱ[自]エスカペイド(J.スパニョーラ)

男子校ですね。
まずは課題曲Ⅱから。
軽快な出だしです。
でも、もう少し音が響くと良いですね。
舞台上で“停滞”している感じがします。
リズム的には心地よかったのに、惜しい気がしました。
自由曲。
こちらは、逆に課題曲で良く思えた“リズム”に翻弄されたようです。
ラテン的な軽やかなリズムにイマイチ乗りきれてないと言うか…。
だから、単調に聴こえるような。
それでも、ソロパートの皆さんとかは頑張っていて、好感が持てましたし、曲の終盤にかけて、うまくまとまって来ましたね。
[銅賞]


7.川口市立川口高等学校 (指揮)菊地 孝至
 [課]Ⅳ[自]科戸の鵲巣―吹奏楽のための祝典序曲(中橋 愛生)

1980年代を中心に活躍していた“伝説の”市立川口高校が昨年、埼玉県の高校Aの部に“復活”したと聴いてから、楽しみにしていた演奏です。
もちろん往年の市立川口とは、いろんな意味で全く違うでしょう。
でも、校名だけで私のようなオジサンは演奏を聴きたくなっちゃいます。
オオッ真っ赤なブレザーは昔と変わらないでしょうか?
演奏が始まりました。
小刻みなリズムが気持ち良い軽快なマーチに聴こえます。
とても聴きやすい演奏だと思いました。
皆でメロディを奏でた時、音を外す方が若干いたのと低音部のリズムパートがもっと響けば、より良い演奏になったかなと思いました。
自由曲は名曲「科戸の鵲巣」。
アンサンブルがしっかりしています。
音のアクセントの付け方がうまいです。
特に最後、クライマックスに向かっていく場面の演出がとても良かった。
ただ、鵲(かささぎ)の鳴き声を表現した木管楽器が、もっと鋭く艶っぽく演奏して欲しかったなぁ…。
[金賞・地区代表]


8.県立不動岡高等学校 (指揮)金子 和明
 [課]Ⅲ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

課題曲は、冒頭から厚いサウンドで納得。
ただ、メロディの歌い方があっさりし過ぎていたように思えました。
民謡が題材なのだから、もう少し、泥臭くやっても良いのでは?と感じました。
全体的にライトな演奏に聴こえました。
そのためか演奏に物足りなさを感じた半面、矛盾するようですが、こういう演奏をしたが故に、とてもいいバランスにも思えました。
次は、本日2校目の「ラッキードラゴン」です。
全体的に“滑舌の良い”演奏で聴きやすく思いました。(特にクラリネット。)
ただ、時折、アンサンブルが“とっちらかった”部分があったのが残念でした。
[金賞・地区代表]


9.県立大宮光陵高等学校 (指揮)和田 正行
 [課]Ⅱ[自]パガニーニの主題による狂詩曲(S.ラフマニノフ/arr.森田 一浩)

課題曲は、少しテンポが早めでしょうか?
元気のいい出だしは好感が持てました。
メロディもスタッカート気味に演奏していたような。
それが故にハギレよく聴こえました。
躍動感もありましたね。
自由曲。
最近、どこかの音大の演奏会で聴いたような気がします。(思い出せない…。)
フォルテシモのtuttiがキレイな音でした。
力強い演奏の様に思いました。
中間部のスローテンポなところにアンサンブルの乱れがあったのが残念でした。
最後は、何となく終わってしまった…。
[銀賞・地区代表]


10.県立春日部高等学校 (指揮)今野 博人
 [課]Ⅳ[自]三つのジャポニズム(真島 俊夫)

昨年、日本テレビの「笑ってコラえて!」で“吹奏楽の旅”のコーナーで取り上げられていた春日部高校。
「高校Aの部」2年目の挑戦として、どんな演奏を聴かせて頂けるのでしょうか?
課題曲。
マーチなのだから、もう少し元気が欲しかった。
サウンドのせいなのか、音が前に出てきていないように感じました。
響きが足りないかな…。
それと少し、ピッチが気になる部分がありました。
でも、“話題の”ファゴットソロはステキでした。
音が響いてました。
自由曲は、真島先生の大作です。
いろんな意味で“不安”が露呈した演奏でした。
特に2曲目の「雪の川」に“それ”が集約されていました。
終曲「祭り」では華やかな雰囲気を醸し出してくれましたが、雑然とした感じで終わったのが残念でした。
[銅賞]


11.県立浦和高等学校 (指揮)堀川 高二
 [課]Ⅱ[自]ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~(福島 弘和)

春日部、浦和と男子進学校が続きます。
課題曲は、入りは軽快で良かったのですが、メロディラインの歌い方があっさりしすぎのように思いました。
音量のバランスは曲に合っていて良かった。
全体的にライトなサウンドでまとめていました。
自由曲は、またまた、「ラッキードラゴン」。
音が良く出ています。
サウンドも華やかです。(特に金管楽器。)
メロディも表現豊かに歌ってます。
でも、曲のフレーズと次のフレーズとの間に一瞬だけれども“空間”が出来たり、アンサンブルが乱れたりして、音楽の“流れ”がスムーズに感じられなかった。
それと最後の方でバテちゃいましたか?
[銅賞]


12.県立蕨高等学校 (指揮)加藤 薫
 [課]Ⅲ[自]大いなる約束の大地~チンギス・ハーン(鈴木 英史)

課題曲の出だしのロングトーン。
良いサウンドです。
とても、柔らかくて温かみのある…。(そう言えば、数年前のコンクールでも蕨高校のサウンドがステキに感じた記憶があるような…。)
メロディの表現も素晴らしいし、とても良い演奏だと思いました。
自由曲の「チンギス・ハーン」。
この曲、去年、ある一般バンドの生演奏を4回(内訳は、「定期演奏会」コンクールの「神奈川県大会」「東関東大会」「全国大会」です。)、聴いているんですよね。
そのバンドとは神奈川の一般バンド、“パストラーレ・シンフォニックバンド”。
初出場ながら、この曲で全国大会金賞を獲得しました。
人数は決して多くないバンドですが、素晴らしい演奏でした。
気のせいか、蕨高校の演奏もこのバンドとサウンドが似ているように感じました。
冒頭のフルートソロ、良かったです。
全体的にサウンドのバランスが取れているし、何よりも音がよく響いていて迫力すら感じます。
この曲の特徴であるエキゾチックさも表現されていてムード満点。
アンサンブルがしっかりしているから、音楽に流れがあって聴きやすかった。
シード校を除いてイチバン良い演奏だと思いました。
[金賞・地区代表]


13.県立桶川高等学校 (指揮)荒井 理衣
 [課]Ⅱ[自]アトランティス(樽屋 雅徳)

指揮は、まだお若い女性でしょうか?
課題曲は、指揮者の方と同様、明るく若々しい演奏でした。
気のせいか、若干、早めのテンポのように思いましたが、アンサンブルがまとまっていて、より軽快に聴こえました。
それとバンドとしては木管楽器が主導しているように感じました。
自由曲、人気作曲家の樽屋先生の作品です。
この学校は、9割以上が女性のようですけど、パワーありますね。
メロディの表現力は充実している印象を受けました。
ソロパートもうまいです。(トランペット・ソロは少し、あがってましたか…。)
ただ、最後の方のtuttiで若干、“音楽の流れ”が途切れるように思えた部分があったのが残念でした。
[金賞・地区代表]


14.県立鴻巣高等学校 (指揮)豊田 肇
 [課]Ⅱ[自]ミュージカル「ラ・マンチャの男」より(M.リー/杉本 幸一)

課題曲、シンバル、フライング気味か?
と同時に全体的に打楽器を中心に音量過多のような気がした。
ウキウキするような諧謔味のあるメロディなのだから、もう少し感情を込めた演奏が望ましかった。
正確な演奏にだっただけに、その部分にこだわり過ぎていたのでしょうか?
自由曲はミュージカル音楽ですね。
物語性が重視されると思いますので、もう少し表現を派手にしても良かったですね。
音量の問題は別にして大人しすぎたような。
あと、時々、いろんな楽器のピッチが気になりました…。
[銅賞]


15.星野高等学校 (指揮)中島 啓
 [課]Ⅱ[自]パガニーニ・ロスト・イン・ウインド(長生 淳)

課題曲は、ライトな出だしでした。
明るく楽しい課題曲Ⅱですが、メロディの音がよく出ていないので、躍動感に欠けていた。
そつなく、こなそうという意図が非常に伺いしれたような気がしました。
自由曲は、長生先生の「パガニーニ ― 」です。
私、この曲、大好きなんですよね。
冒頭のアルトサックスの掛け合い、大人しすぎ。
もっと情熱的にやらなくっちゃあ。
全体的に泥臭さが足りないように感じました。
だから、曲が盛り上がらない…。
よく練習してあり、タテヨコ、きっちり合っていたのに勿体ないと思いました。
サウンドと表現力の問題ですかね。
[銅賞]


16.県立松山女子高等学校 (指揮)高荷 裕夫
 [課]Ⅳ[自]セルゲイ・モンタージュ(鈴木 英史)

最近の高校の制服はブレザーが多いのに、この学校のセーラー服姿は、「まぶしい」のひとことですね。
私のようなオヤジには懐かしくさえ思えます。
課題曲はⅣ。
オーソドックスなコンサートマーチですけど、それだからこそ難しい。
演奏の方は、とてもバランスの良い演奏だと感じました。
自由曲は、「セルゲイ・モンタージュ」。
この曲もいいですよね。
出だし、もっとデリケートに入ってほしかった。(少し、“無造作”に聴こえた。)
でも、あとは上手にまとまっている感じがしました。
練習の成果が表れています。
特にリズムの刻み方がうまいのは、タンギングがしっかりしているからだと思います。
雰囲気のある演奏でした。
[銀賞・地区代表]


17.県立松伏高等学校 (指揮)小川 慎
 [課]Ⅴ[自]「交響的舞曲」より 第三楽章(S.ラフマニノフ/arr.佐藤 正人)

さあ、ここからは、県大会に進むことが確定しているシード校の登場です。
まず最初は、全国大会にも2回出場経験のある強豪、松伏高校から。
課題曲は、この日、初めてのⅤです。
難しい曲ですが、全体的に元気が良すぎた気がしました。
特に出だしから、飛ばしていたような…。
でも、表現力はさすがですね。
傾聴に値します。
ただダイナミクスの変化に乏しいので、単調に聴こえた部分もありました。
自由曲のラフマニノフ「交響的舞曲」。
今年、気のせいか、ちょくちょく演奏を聴くような気がします。
流行っているのでしょうか?(そう言えば、伊奈学園総合もコンクール自由曲ですよね、確か…。)
アクセントと音量のバランスが絶妙の演奏でした。
ベタな言い方をすれば、とても“じょうず”です。
一糸乱れぬアンサンブルは聴く者を魅了し、表現力を訴えかけてきます。
個人のレベルの高さがうかがい知れます。
サウンドも素晴らしい。
“見事な演奏”としか言いようがありませんでした…。
[シード・地区代表]


18.埼玉栄高等学校 (指揮)奥 章
 [課]Ⅰ[自]歌劇「蝶々夫人」(G.プッチーニ/arr.宍倉 晃)

さあ、大名門校、埼玉栄の登場です。
課題曲Ⅰですか。
この曲、とても難しいですよね。(もしかしたら、今年の課題曲で一番難しいかもしれない、と個人的に思います。)
フレーズと言うか場面の転換がめまぐるしいので、“流れ”を作るのが容易ではないように思うのです。
だからこそ、演奏団体の技量が透けて見えるような気がします。
埼玉栄、恐ろしい学校でした。
この曲を高校生とは思えない技量で“音の流れ”として表現していました。
作曲者が言うところの「映画の予告編」のような音楽という意図を見事に具現化していたように思いました。
今まで聴いてきた高校の演奏の中では、明らかに№1の課題曲Ⅰだと思いました。
自由曲は、オペラの王道「蝶々夫人」。
このクラスの学校になるとプログラムに載っている曲名を見ただけで“うまいんだろうなぁ”と思ってしまいます。
演奏が始まりました。
ひとことで言うと「栄ワールド」です。
細かく感じとると言うより、何か皮膚からしみ込んでくるようなパフォーマンス!
もう多くは語りません。
明日、全国大会があったとしても間違いなく「金賞」だと思える演奏でした!(それにしても、全国大会の下の支部大会の下の県大会の下の地区大会で「全国金賞」相当?の演奏を聴けるなんて、埼玉県民として、とても幸せな事だと思いました。)
[シード・地区代表]


19.秋草学園高等学校 (指揮)三田村 健
 [課]Ⅱ[自]宇宙の音楽(P.スパーク)

女子高の皆さんですね。
個人的な気持ちで言うと男子校の皆さんにも頑張って頂きたいものです。(共学校でも“女子率”が高いですよね。)
脱線しましたので、修正します…。
課題曲Ⅱ。
まず、サウンドがステキです。
木管のサウンドがキラキラしていて、引き込まれてしまいます。
金管楽器も暖かく包みこむようなサウンドで曲にうまく溶け込んでいます。
高校でサウンドがイチバン好きな市立習志野高校に近いモノを持っている気がしました。
メロディの歌い方も良かった。
躍動感のないⅡの演奏も多い中、ポップな感じで作曲者の意図に近いのではないでしょうか?
自由曲の「宇宙の音楽」は、1曲めの『t=0』のホルンソロがコケると魅力が半減するように思うのですが、パーフェクト!見事なパフォーマンスでした!
全体的にシード校らしく、迫力のある演奏で聴きごたえがありましたが、ただ最後の方で少しだけ、バテたように感じられたのが残念でした。
[シード・地区代表]


20.春日部共栄高等学校 (指揮)都賀 城太郎
 [課]Ⅴ[自]アッフェローチェ(高 昌帥)

さあ、トリの春日部共栄です。
昨年は私にとって意外な自由曲で大いに驚かされました!(本音で言うと自由曲に“ガッカリ”したのですが。)
今年は、「新曲・委嘱作品」という私が春日部共栄に勝手に求めている理想的な選曲です。
ファンとしては、期待大ですね。(やっぱり春日部共栄は、このスタイルが望ましい!)
この日、松伏高校と共に2校のみの演奏だった課題曲Ⅴ。
どうしても比較せざるを得ないのですが、「剛」と「柔」の対決だったように思います。
まるで別の曲に聴こえてしまう。
アクセントやテンポで表現した松伏に対して、サウンドやダイナミクスで聴かせようとしていた共栄。
どちらも素晴らしい表現力だったと思いますが、この曲を課題曲と言う枠をはずして単純に“音楽”として聴くならば、春日部共栄に軍配が挙がると思います。(ファンなので贔屓しているわけではありません。)
なぜなら、この曲独特の世界観にあっているからだと感じるので。
『深』と『浅』、『動』と『静』、『緩』と『急』とか音楽の中で対峙するものを多く内包している世界を持った課題曲Ⅴ。
ただただ、素人には難解にしか思えないこの曲を“演出”の違いによって、独特に感じられる事を意識させて頂いたことに感謝します。
それにしても、春日部共栄高校、見事な課題曲の演奏でした。
自由曲は定期演奏会でも聴かせて頂きました。
どのように磨かれた演奏になっているか楽しみです。
冒頭のオーボエソロ、美しいです。
メロディラインのクラリネットのユニゾンにもゾクゾクします。(同じ音色なので一本の楽器に聴こえるような…。)
タテヨコ、きっちり揃っているのは見事です。(タンギングが明瞭な音を作り出しているのでしょうか?)
個人のレベル高いですねぇ。
作曲者の高昌(こうちゃん)帥(す)先生の意図も十分理解しての演奏に思えます。
素晴らしいです!
さすが共栄、こうでなくっちゃ!
でも、この日の参加団体の演奏に限ってみるならば、イチバンは埼玉栄かな…。
どこに差があるって?
素人なのでうまく表現できませんが、「『栄ワールド』は感じられたのに共栄は『ワールド』まで行かなかった」と言うことでしょうか?
[シード・地区代表]


全団体、聴き終りました。
それにしても、一番下の予選の段階でこのレベルの高さ!
埼玉県、恐るべし!です。
下手すれば、どこか地方の支部大会くらいのレベルあるんじゃないかと思うくらいです。(言いすぎたらゴメンナサイ。)
ああ、埼玉県に住んでいてヨカッタと思う“浦和のオヤジ”でした。


最後にいろいろな団体にかなり失礼な事も書かせて頂きましたが、どうか素人のオヤジの戯言だと一笑に付して頂ければ幸いです。(本当に申し訳ありませんでした。)


追伸
今回の記事は手違いや致し方のない諸事情によって、1ヵ月以上経って発表することになってしまいました。
あらためて、お詫び申し上げます。
(春日部共栄高校、埼玉栄高校、伊奈学園総合高校の全国大会でのご健闘をお祈りします。特に共栄の皆さん、オメデトウ!)