前夜、仕事のため終電近くになったので、いささか睡眠不足ながら、ワクワクしながら川崎へと向かいました。
2012年8月12日、日曜日。
第61回神奈川県吹奏楽コンクール、大学・職場一般の部を拝見させて頂くためです。
パストラーレ・シンフォニックバンドの演奏会で伺ったことのある川崎市教育文化会館が会場です。
ちょうど一週間前に地元埼玉県の同じ大学・職場一般の部を聴かせて頂いておりましたので他県との比較に非常に興味がわいておりました。
それと以前に気紛れで演奏会に訪れたことのあるパストラーレ・シンフォニックバンドがどんな活躍をするのか確かめようと思ったのが神奈川県大会を見に来た一番の理由でしょうか。
まずは入り口で当日券をロビーでプログラムを購入しホールに入りました。
(どうでもいいことですけど、埼玉県より入場料で210円、プログラムで100円高い。)
ちなみに課題曲は以下の5曲です。
Ⅰ さくらのうた (福田洋介)
Ⅱ 行進曲「よろこびへ歩きだせ」 (土井康司)
Ⅲ 吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」 (足立 正)
Ⅳ 行進曲「希望の空」 (和田 信)
Ⅴ 香り立つ刹那 (長生 淳)
まずは大学の部からです。
1.文教大学湘南校舎 (指揮)高橋 充
[課]Ⅱ [自] バイバイ・ヴァイオレット (井澗昌樹)
埼玉県大会で圧倒的優位を誇った文教大学の湘南キャンパス(茅ヶ崎)の皆さんですね。
文教大学は学部によって場所が違うようです。
演奏は無難にまとめているような感じでしたが、細かいアンサンブルとかピッチとか課題の残る演奏のように感じました。
[金賞・県代表]
2.明治大学生田校舎 (指揮)瀬戸翔平
[課]Ⅲ [自] ケルト民謡による組曲 (ケルト民謡/建部知弘)
課題曲の出だしのパーカッション、少し元気ありすぎかなあ。
自由曲は私の好みの曲でしたが、演奏が平板になりアンサンブルの乱れが気になりました。
[銅賞]
3.北里大学 (指揮)西村 友
[課]Ⅲ [自] 交響曲より Ⅳ (矢代秋雄/西村 友)
課題曲はこの曲の生命線である“リズム感”がとてもよく感じられました。
ダイナミクスもバランスがよくて聴きやすい演奏でした。
中間部の音程が気になりましたが…。
自由曲は、よく練習してあるなと思いました。
力任せに演奏すると“騒音”となりかねない曲を私のような素人にもわかるように音楽として伝えてくれる演奏でした。
[金賞・県代表]
4.フェリス女学院大学 (指揮)西澤春代
[課]Ⅳ [自] 喜歌劇「こうもり」序曲 (J.シュトラウスⅡ/板倉康明)
人数が少ない。
20名にも満たないようです。
さすがに楽器が少ない分、音が薄く不利であることは間違いないでしょう。
しかし、各個人個人の音がキレイでアンサンブルがしっかりしていると思いました。
特にひとりしかいなかったトロンボーンは、とてもいい音をしていました。
人数がいたら、確実にいいバンドになると思います。
[銀賞]
以上で大学の部の演奏が終了しました。
4団体のうち、2団体が東関東支部大会に進めるそうです。
埼玉県大会の大学の部は5団体出場して1団体しか支部大会に進めないのに何か規約でもあるのでしょうか?
とにかく、あの神奈川大学が3出(全国大会に3年連続出場すると4年目は出場できないという大会規定)でいないことを割り引いてみても大学のレベルは少しだけ、埼玉県の方が高い気がしました。
続いて、一般の部に突入です。
1.相模原市民吹奏楽団 (指揮)福本信太郎
[課]Ⅳ [自] 交響的詩曲「地獄変」 (福島弘和)
いきなり、大物の登場。
ここのところ、全国大会常連の相模原市民吹奏楽団です。
初めて生演奏を聴かせて頂きましたが、うまいですね。
当日の全ての団体でイチバンの演奏でした。
そういえば、一週間前の埼玉県大会でもアンサンブルリベルテ吹奏楽団を指揮しておられた福本先生。
埼玉県民として申し上げます。
アンサンブルリベルテをよろしくお願いします。
[金賞・県代表]
2.Pastorale Symphonic Band (指揮)佐川聖二
[課]Ⅲ [自] ピエトロ・モンタージュ (鈴木英史)
いよいよ、目的のパストラーレの登場です。
定期演奏会で聴かせて頂いた時より、数段進歩しているように思いました。
特に自由曲は金賞・県代表、納得の演奏でした。
ただ、練習の比重を課題曲より自由曲の方においているように感じられたのが残念でした。
話は変わります。
埼玉県大会であらためて気付いたのですが佐川先生って文教大学を指揮されていたんですね…。
[金賞・県代表]
3.日立製作所横浜事業所音楽隊 (指揮)野上博幸
[課]Ⅳ [自] バレエ音楽「コッぺリア」 (L.ドリーブ/小長谷宗一)
自由曲は大昔のコンクールで中村学園女子高の演奏を聴いて感銘を受けたのが思い出される曲です。
そして、この日唯一の“職場”の団体です。
丁寧に演奏しておられましたが、細かい部分のミスが気になりました。
少し、元気が良すぎたかも。(特に課題曲)
好感がもてる演奏でした。
[銅賞]
4.ヴェントムジカオルケストラ (指揮)船木喜行
[課]Ⅰ [自] 増えては消える音の輪~吹奏楽の為の祝典前奏曲 (清水大輔)
この団体も練習時間を自由曲に多くさいているように思いました。
自由曲はバリバリの現代曲の上、ffだらけで考えて演奏しないと“騒音”になってしまうよというワナにまんまとはまってしまったのでは?
課題曲はコンパクトにまとめた演奏が好印象だっただけに残念です。
[銅賞]
5.神奈川ウインドオーケストラ (指揮)志村健一
[課]Ⅴ [自] 交響曲第1番「HIROSHIMA」 (佐村河内 守)
大会規定違反により評価が出ませんでした。
時間オーバー?
[失格]
6.ウインドオーケストラ音秘 (指揮)小塚 類
[課]Ⅳ [自] オセロ Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ (A.リード)
課題曲はコンサートマーチである事を意識した演奏でした。
やわらかいサウンドでとても聴きやすかった。
自由曲はアルフレッド・リードの往年の名曲です。
曲の特徴をつかんだ華やかな演奏には聴き入りました。
ただ、曲の終りの方で金管が頑張りすぎてバテちゃいましたかね。
[金賞]
7.ジョイフル・ブラス・オーケストラ (指揮)関谷 真
[課]Ⅰ [自] リヴァー・ダンス (B.ウィーラン/G.バイテンハイス)
課題曲はコンパクトにまとまっていましたが、ソロパートのミスが気になりました。
この曲でソロをミスしては目立ってマイナスです。
自由曲では伴奏部門とメロディラインのズレが非常に気になりました。
[銅賞]
8.大磯ウインドアンサンブル (指揮)加藤 優
[課]Ⅳ [自] 吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より Ⅰ,Ⅱ,Ⅳ (高 昌帥)
Ⅳを演奏した中で軽快さでは一番だと思いました。
この課題曲を選んで正解では?
サウンドが曲とマッチしてます。
自由曲は初めて聴かせて頂きましたが、とても良い曲ですね。
演奏の方も聴きごたえがありました。
なにより、このバンドの良いところは独自のサウンドをもっているところです。
音質が揃っているから、細かい表現も生きてくる。
難曲を見事にこなしていました。
[金賞・県代表]
9.横浜市民吹奏楽団 (指揮)新野慎一
[課]Ⅱ [自] 三日月に架かるヤコブの梯子 (真島俊夫)
課題曲の出だしのパーカッションはとてもいいと思いました。
しかし、曲が進むにつれて少し快活で音量がありすぎるかなと感じました。
もう少し、落ち着いた感じの方がよかったかな。
自由曲は熱演でした。
明るい華やかなサウンドで曲が映えます。
特にホルンのffが印象に残りました。(好みの音です。)
ただし、金管が無造作に決してキレイとはいえない割れた音を時折出しているのが気になりました。
[銀賞]
10.ユース・ウインド・オーケストラ (指揮)高田 亮
[課]Ⅴ [自] 鳳凰が舞う~印象 京都 石庭 金閣寺 (真島俊夫)
この団体には、いろいろ驚かされました。
まず、指揮者の方。
髪の毛は金髪というか茶髪というか、そんな感じで服装は“氣志團”のようでとビジュアルから度肝を抜かれました。
あと、演奏の方もパワー満点、ド迫力でした。
表現力がかなりあり、思いが伝わってくるようでした。
ただ、この演奏を1日で数回聴いたら、私のようなオヤジは疲れきってしまいます…。
[金賞・県代表]
11.アクエリアス ウインズ (指揮)清水郷志
[課]Ⅱ [自] バレー組曲「ガイーヌ」より 友情、バラの乙女たちの踊り、剣の舞、友情の踊り (A.ハチャトゥリアン/高橋昭平)
課題曲はとてもバンド全体のバランスのよいサウンドで、課題曲Ⅱ独特のリズムも私には心地よかった。
自由曲も木管楽器の音に色気があり、ガイーヌによくあってました。
ただ、ロシアの音楽特有の泥臭さみたいなものがあればいいかなと思いました。
[銀賞]
12.湘南交響吹奏楽団グランドシップ (指揮)清水 誠
[課]Ⅱ [自] 吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より Ⅳ (高 昌帥)
課題曲Ⅱが続きます。
今年の課題曲の中で私が一番好きな曲なので、少し嬉しかった。
演奏の方は減点されないよう気を配った好演でした。
自由曲は不協和音が心地よく、サウンドに独自のカラーがあって良い演奏だと思いました。
[銀賞]
13.西湘ウインドシンフォニー (指揮)伊藤 彬
[課]Ⅰ [自] バレエ音楽「青銅の騎士」より (R.M.グリエール/伊藤 彬)
再三、申し上げているように課題曲Ⅰは表現するのが難しい曲だと思いますが、自分たちのサウンドの個性を生かしてまとまった演奏でした。
とてもソフトなサウンドです。
自由曲は、これといったミスはないのですが、フラットな演奏でした。
もう少し、聴かせどころがあればと感じました。
[銀賞]
14.Oak Wind Symphony (指揮)榮村正吾
[課]Ⅳ [自] 三つのジャポニズム (真島俊夫)
いいマーチの演奏を聴くと心がなごみます。
この団体の演奏はこの典型例のようでした。
やさしいサウンド、軽快なリズム、とても良かったです。
自由曲も課題曲とは変わって躍動感にあふれ、聴きごたえのある演奏でした。
この曲は、考えてやらないと音量やリズムが収拾がつかなくなったりすると思います。(実際、そういう演奏を聴いた事があります。)
しかし、ffでもppでも心地よく響かせてくれました。
とてもいいパフォーマンスでした。
[金賞・県代表]
15.青陵ウインドオーケストラ (指揮)西村 友
[課]Ⅲ [自] カルミナ・ブラーナより 10,14,23,24,25 (C.オルフ/J.クランス)
この日、しばらく課題曲Ⅲを演奏する団体がなかったので新鮮な気持ちで聴くことが出来ました。
ミスのない様に注意をはらった演奏に聴こえました。
その分、「じゅげむ」の躍動感が薄れた感じだったように思います。
自由曲は指揮者の指揮と同じく情熱的な演奏でした。
ただ、金管のファンファーレ部分、複数回、音を外したのが目立ちました。
見せ場なのにそこだけが残念でした。
[銀賞]
16.横浜バッカスブラスオーケストラ (指揮)檜野康則
[課]Ⅱ [自] バレエ音楽「シバの女王ベルキス」より Ⅰ,Ⅲ,Ⅳ (O.レスピーギ/木村吉宏)
課題曲のアタマ、少しだけテンポが速くないでしょうか?
それと、少し元気良すぎる音量かも。
神奈川で「ベルキス」というと私なんぞは、すぐ野庭高校を思い出しちゃいますね。
自由曲は課題曲同様、少し音が出すぎのように思いました。
あと、細かいアンサンブルの乱れが気になりました。
[銅賞]
17.横浜栄区民吹奏楽団 (指揮)廣瀬康二
[課]Ⅰ [自] 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」より Ⅴ,Ⅵ (Z.コダーイ/廣瀬康二)
出場辞退。
18.鶴見高校OB吹奏楽団 (指揮)久保寺 淳
[課]Ⅰ [自] もののけ姫 セレクション (久石 譲/森田一浩)
課題曲は、細かいミスや音程が気になりました。
自由曲は久石氏の映画音楽の世界を抒情的に歌い、うまく表現していました。
課題曲と自由曲の練習量の比重が違うように思いました。
(蛇足ながら、Picc.のお嬢さんがとてもキレイでした。)
[銅賞]
19.Y校吹奏楽部OBバンド (指揮)足立昭夫
[課]Ⅱ [自] 百年祭 (福島弘和)
さあ、本日最後の団体の演奏です。
人数が少ない団体ですね。20名を少し超えるくらいでしょうか?
課題曲。
人が少ないのをカバーするやわらかいサウンドです。
ただ、各楽器の数のバランスを考えてほしかったと感じました。(メロディが聴こえづらくなった時があったので。)
自由曲は丁寧に演奏され、コンパクトにまとめられていました。
好演だと思います。
[銅賞]
職場一般の部の印象です。
全体的には一週間前に聴いた埼玉県よりレベルが少し高い気がしました。
埼玉県は上位と下位の間に差がありましたが、神奈川県はそれが、あまりないように感じました。
特に印象に残ったのは相模原市民吹奏楽団、大磯ウインドアンサンブル、Oak Wind Symphonyでした。
ただ、横浜ブラスオルケスター、グラールウインドオーケストラの3出団体がいたせいかもしれませんが、埼玉のアンサンブルリベルテのような圧倒的1位と(私が)感じた団体がいなかった。
とにかく、県代表になった団体の皆さんは東関東大会でのご健闘、心よりお祈り申し上げております。