浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

東邦音楽大学・短期大学 ウインドアンサンブル演奏会(2014年3月11日)

2014-03-26 11:27:09 | 吹奏楽

2014年(平成26年)3月11日、火曜日。
私は、あの東日本大震災から、まる3年を迎えるこの日に文京シビックホールを訪れました。
「東邦音楽大学・短期大学ウインドアンサンブル演奏会」のためです。

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東邦音大の吹奏楽団には、私が知っている限りでは、“ウインドオーケストラ”と“ウインドアンサンブル”があります。(どちらの演奏会にも行かせて頂いております。)
そして、“ウインドオーケストラ”は、本来の「学業」の成果発表を目的とした活動です。
それに対して“ウインドアンサンブル”は、東邦音大の学生有志により結成され、「学生が主体となり演奏会の企画・構成・運営」をしているのだそうです。
私が勝手に解釈するに「授業」と「クラブ活動」の違いのようなものでしょうか?
ただ、個人的に思うに“ウインドアンサンブル”の選曲の方が好みですね。(昨年のメインの曲、スパークの「宇宙の音楽」なんて、とても良かった。)
さて、開演の時間となりました。

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[演奏]東邦音楽大学・短期大学ウインドアンサンブル
[指揮]山本 教生

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◆ 交響的序曲(J.バーンズ)
◆ シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」(福島 弘和)
◆ 詩のない歌 (R.ルディン)
◆ イーストコーストの風景(N.ヘス)
   第1楽章 シェルター島
   第2楽章 キャッツキル山地
   第3楽章 ニューヨーク

【休憩】

◆ そよ風のマーチ〈第39回(1991年)全日本吹奏楽コンクール 課題曲D〉(松尾 善雄)
◆ ジャパニーズランドスケープ~日本民謡の調べ~(織田 英子・宇田川 不二夫)
◆ メキシコの祭り(H.O.リード)
   第1楽章 前奏曲とアズテック舞曲
   第2楽章 ミサ
   第3楽章 カーニヴァル

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まず、最初はバーンズの曲です。
サウンドが華やかです。
特に木管がステキです。
よく曲とマッチしている音質ですね。
だから、とっても聴きやすい。
ただ、この恐ろしく響く文京シビックホールのせいなのか、観客の数が影響しているのかわかりませんが、金管楽器の音の通りが悪かったのが気になりました。
全体的には“華やか”感が満載で楽しめました。

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次は福島弘和作品です。
この曲は、人気曲で、コンクール等で何回も聴いたことがあります。
音大の学生らしく、今まで聴いてきたアマチュアの演奏に比べて表現力が豊かだなと思いました。
静かなところは、より優しく、激しい部分ではスケールの大きさという感じで聴き慣れたこの曲に新しい発見をしたような気がしましたね。
何かストーリーのある“描写音楽”を聴いているようでした。

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3曲目の「詩のない歌」。
初めて聴く曲でした。
ゆったりとして美しい曲です。
だからこそ、その楽団の真価の問われる難しい曲だなと感じました。
東邦音大W.E.の演奏はメロディに抒情性を醸し出す演奏でした。
癒されました…。
それにしても、このバンドの木管(特にクラリネット)はイイですね。
私の好みのサウンドです。

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さて、前半最後の曲は、流行りの「イーストコーストの風景」。
正直なところ、私はこの曲をあまり好きではないのです。
何故って?
何か全体的に薄っぺらい感じがしてならんのです…。
思いっきり“歌う”ことが、やりづらいような…。(素人がナマイキ言ってスミマセン。)
今まで、この曲の生演奏を何回か聴いたことがありますが、どの団体の“それ”も物足りなく感じました。
そして、この日も同じように感じました。
特に3楽章は、“都会の喧騒”を描いていると思うのですが、繁華街独特の猥雑さが感じられなかった。
これは、東邦音大の演奏の巧拙と言うよりも、ある種、“曲の特徴”だと私なりに捉えた次第。(この曲に関しての私の“感想”は個人的意見であります。決して曲を誹謗中傷する意図はありません。ご不快に思われるかたが、いらっしゃいましたら、素人のオヤジのザレゴトと思い一笑に付して頂ければ幸いです。)

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前半が終わって思う事。
ホールのせいか少し金管の音がこもりがちに聴こえました。
特にホルンとトランペットをそのように感じました。
私が割と舞台に近い席だったので、バンド全体を視界的に捉えられなかったせいもあるでしょうが、音がオフステージから聴こえてくるような錯覚に陥った“瞬間”がありました。
木管はよく聴こえるのに…。
不思議です…。

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後半は、1991年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲「そよ風のマーチ」です。
と言っても私自身が吹奏楽から離れていた時期なので、馴染みが薄い曲なのですが…。
題名と同様に爽やかで軽快な演奏でした。

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次は「和テイスト」の曲ですね。
曲名にあるように日本民謡を主題にした楽曲です。
プログラムの解説によりますと、「会津磐梯山」「ソーラン節」「五木の子守歌」「コキリコ節」「八木節」の5曲のメロディを構成しているようです。
演奏を聴く前は、単純な“民謡メドレー”かなと思っていたのですが、「和」の雰囲気を保ちつつも現代的なセンスも持ち合わせたノーブルな曲でした。
東邦音大W.E.の演奏も“しっとり”かつ“躍動的”なパフォーマンスを繰り広げて頂き、楽しめました。
非常に良い曲なので、もし楽譜が出版されているのであるのなら、多くの団体で演奏して欲しいものです。

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トリの曲は、「メキシコの祭り」。
中学生の頃、私の憧れの曲でした。
天理高校の演奏をレコード(その当時はCDは、“まだ”ありません)で聴いて、ゾクゾクしたのを覚えています。
第1楽章、出だしの“チャイムの乱打”、そして“ホルンの咆哮”…。
純真無垢な中学生は、たちまち“恋に落ちた?”というところでしょうか。
いやぁ、懐かしかった。
すぐにこの曲の世界にのめり込んでしまいましたよ。
そして、東邦音大の皆さんには「素敵な演奏をありがとう!」と言いたかった。

盛大な拍手の中でプログラムは終了しました。

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ちょうど3年前のこの日、未曾有の天災のために多くの尊い命が失われました。
その悲劇に想いを込め、アンコール曲として、フィリップ・スパーク「陽はまた昇る」が演奏されました。(指揮の山本先生がゆっくりとした口調で、この曲の曲名を紹介して下さったのが非常に印象的でした。)
「陽はまた昇る」は、イギリスの作曲家フィリイプ・スパークが東日本大震災の犠牲者のために作った曲です。(厳密に言うとスパーク作曲の既存のブラスバンド曲を吹奏楽に編曲し、曲名を変えて出版したようです。なお、この曲の印税等は日本赤十字社に復興支援のために寄付されたとのこと。ありがたいことです。)
心のこもった演奏は、会場を魅了しました。
そして、2曲目のアンコール。
私の大好きなヤン・ヴァン・デル・ローストの「アルセナール」。
前の曲の影響もあってかジーンときちゃいました…。

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楽しい演奏会でした。
ただ、最後にひとつだけ。
あまり言いたくないのですが、やっぱり、観客が少なすぎると思います。
総客席数1802を誇る文京シビックホールの大ホールに3割か4割くらいの観客。
少し残念ですね。
お客さんの数によっては、ホールの響き方も変わると思うし、何とかならないものかなぁと浦和のオヤジは、勝手に思った次第。
演奏の質は満足できるものなのにもったいないですよ。
ともかく、今後も期待します!

最近、遅筆でスミマセン…。


吹奏楽の祭典「全国職場バンドフェスティバル」

2014-03-14 23:04:47 | 吹奏楽

2014年(平成26年)3月2日、日曜日。
午前中から東京・赤坂のサントリーホールにいます。
「全国職場バンドフェスティバル」の開催です。

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どこの演奏会だったか忘れてしまいましたが、その日のコンサートのプログラムにチラシが挟んであって、それを見て即、行くことに決めた演奏会です。
これまで、職場のバンドの演奏を聴く機会が非常に少なかったので、興味津々と言ったところが私の正直な印象でしょうか?
昨年の全国大会もヤマハ吹奏楽団が最後の「3出」(さんしゅつ。3年連続全国大会に出場すると4年目は出場できないという大会規定。今年度該当団体より廃止。)のため出られなかったせいもあるでしょうが、職場一般の部(全出場団体26団体)で会社の名前を背負って出場したのは、ブリヂストン吹奏楽団久留米のみ。
何か寂しいです。
このような催しを通じて職場バンドの活性化が出来たらいいですね。(この「全国職場バンドフェスティバル」の歴史がどのくらいあるかわかりませんが、少なくとも去年は浜松でやっていたみたいです。)

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サントリーホールも久し振りです。
今回は、初めての体験として2階席にチケットを取りました。
わりと有名な楽団が名を連ねているので楽しみです。
さあ、開演です。

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1.オープニング
  
■ トランペットファンファーレ(A.ヴィズッティ)

2.天方吹奏楽団〔指揮:天方 啓二/山下 敦之〕
  ■ コンサートマーチ「テイク・オフ」(建部 知弘/藤田 玄播[補作])
  ■ この木なんの木(小林 亜星/arr.杉本 幸一)
  ■ ラデツキー行進曲(ヨハン・シュトラウス/arr.網代 景介)
  ■ 吹奏楽のための「風の舞」(福田 洋介)

3.東芝府中吹奏楽団〔指揮:上原 宏〕
  
■ オセロ(A.リード)
    Ⅰ.前奏曲(ヴェニス)Ⅱ.朝の音楽(キプロス)
    Ⅲ.オセロとデズデモナ Ⅳ.廷臣たちの入場
    Ⅴ.デズデモナの死、終曲

4.六花亭管楽器アンサンブル〔指揮:太田 究〕
  
■ 船乗りと海の歌(R.W.スミス)
   ■ 幻想曲「幼い日の想い出」(藤田 玄播)

5.パナソニック エコソリューソンズ吹奏楽団〔指揮:山崎 友靖〕
  
■ サモン・ザ・ヒーロー(J.ウィリアムズ/arr.P.ラヴェンダー)
  ■「ウエスト・サイド・ストーリー」セレクション(L.バーンスタイン/arr.W.J.デュソイト)

6.東京職場合同吹奏楽団〔指揮:小林 恵子〕
  
[参加団体]NEC府中吹奏楽団・JR東日本東京吹奏楽団・千修吹奏楽団
        ソニー吹奏楽団・東急吹奏楽団・東京ガス吹奏楽団
        東京国税局吹奏楽団・東芝府中吹奏楽団・富士通川崎吹奏楽団
        日立ソリューションズ吹奏楽団・トッパンフォームズ吹奏楽団
        はましんウインドオーケストラ・ペンタックス吹奏楽団
        三井住友銀行吹奏楽団・三菱東京UFJ銀行コンサートバンド
        郵政中央吹奏楽団

  ■ マーチ「陽気な高校生」(兼田 敏)
  ■ 吹奏楽のための第3組曲〈バレエの情景〉(A.リード)

     Ⅰ.ファンファーレと序奏 Ⅱ.パ・ドゥ・ドゥ
     Ⅲ.風変わりなポルカ Ⅳ.全員の踊り

【休憩】

7.トヨタ自動車㈱吹奏楽団〔指揮:亀井 明良〕
  
■ エル・カミーノ・レアル(A.リード)
  ■ オブラディ・オブラダ(J.レノン、P.マッカートニー)

8.NEC玉川吹奏楽団〔指揮:稲垣 征夫〕
  ■ キティ・オーシーズにて~アイルランド民謡組曲~(J.デ=メイ)

9.ソニー吹奏楽団〔指揮:川本 統脩〕
  
■ 舞踏会の美女(L.アンダーソン)
  ■ アルメニアン・ダンス・パートⅠ(A.リード)

10.阪急百貨店吹奏楽団〔指揮:井上 学〕
  
■ 古いアメリカ舞曲による組曲より(R.R.ベネット)
    1楽章Cake Walk、2楽章 Shottische、5楽章 Rag
   ■ ワシントンポスト(J.P.スーザ)
    ■ バーナム&ベイリーの愛好曲(K.L.キング)

11.NTT東日本東京吹奏楽団〔指揮:山田 昌弘〕
  
■ 吹奏楽のための「クロス・バイ・マーチ」(三善 晃)
   ■ 束の間の恋の歌(井澗 昌樹)

12.ヤマハ吹奏楽団〔指揮:須川 展也〕
  ■「アイ・ガット・リズム」変奏曲(G.ガーシュイン/arr.中橋 愛生)
  ■ シング・シング・シング(L.プリマ/arr.角田 健一)

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オープニングは、金管楽器の皆さんが舞台後方、パイプオルガンの前に陣取ってファンファーレの演奏からです。
各団体からの選抜メンバーなのでしょうか?
プログラムに何も書いてないので、よくわかりません。
演奏が始まりました…。
アレレ…?
アンサンブルに乱れがあって、音程も不安定。
“こんなものなのかなぁ”と少し不安になった次第です。

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さあ、気分を入れ替えて演奏に集中しましょう!
最初の団体は、天方吹奏楽団です。
母体となる企業は、天方産業という浜松市に本社を置く会社だそうです。
演奏の最初と最後に往年のコンクール課題曲を配置し、32名という少人数ながら、スマートな演奏を聴かせて頂きました。
また、天方産業が日立の特約店をしているとのことで、2曲目にCMでお馴染みの「この木なんの木」を演奏したのが職場バンドらしくて面白かった。
全体的にまとまった演奏でしたが、ピッチが気になるところが少なからずあったのが、残念でした。

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2番目の団体は東芝府中吹奏楽団。
2007年には、スパークの「宇宙の音楽」で全国大会にも出場している団体です。
指揮は東京佼成ウインドオーケストラのホルン奏者として活躍されている上原宏氏で音楽監督でもあるようです。
演奏曲目は、A.リードの名曲「オセロ」。
力演でした。
豊かな表現力で、吹奏楽としては壮大な曲を盛りたてているように感じました。
ただ、ほんの数回だけ、アンサンブルの乱れなのか曲の流れが途切れるような場面があったのが残念でした。
スケール感のある演奏を楽しめました。

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次は、六花亭管楽器アンサンブルです。
六花亭と言えば、皆様ご存知の北海道・帯広にある有名なお菓子メーカーですね。(と、知っているかのように言っている浦和のオヤジですが、根っからの酒飲みの私は甘いものが苦手なので、失礼ながら、存じ上げませんでした。ちなみに会社の同僚の女性に聞いたところ、殆どの人間が知ってました…。)
演奏の方はといえば、まず、サウンドが厚くて、やわらかい。
ステキです。
特に藤田玄播先生がお作りになった往年のコンクール課題曲「幼い日の想い出」はサウンドにマッチした選曲でよかった。
ほんの僅かにピッチに不安を感じるところもありましたが、さすがに全国大会2回出場の実績はダテじゃないと感じました。 (もし、団員がこの日の人数でMAXだとしたら、少し寂しいです…。もう少し、数が増えるといいですね。)

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北海道の団体から続いては、大阪の団体です。
パナソニック エコソリューションズ吹奏楽団。
いわゆる私のようなオヤジに聞き慣れた名称で言うならば、“松下電工”のことらしいです。
アトランタオリンピックのテーマ曲やミュージカル音楽といった肩の張らない選曲で観客の皆さんも楽しんだのではないでしょうか?
何よりも、関西のイメージにあった明るいサウンドは好感が持てました。
少し、オーバーヒート気味かなと思った場面もありましたけど。

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前半、最後は、この日のために結成された東京職場合同吹奏楽団。
首都圏で活躍されている職場バンドの有志の方で構成されたスペシャルバンドです。
16団体、総勢107名の皆さんによる大吹奏楽団ですね。
サントリーホールの舞台に負けない堂々たる陣容は圧倒されます。
普段、一緒に活動してないですし、いわば“寄せ集め”のバンドで、この人数ですので、大味になるのかと思ってましたら、いい意味で予想を裏切る演奏でした。
吹奏楽指導で著名な小林恵子先生の指揮で迫力のある演奏を聴かせて頂きました。(小林先生の指導力の高さと実感した次第。)
特に今は亡き兼田敏先生の作品“マーチ「陽気な高校生」”を聴くことが出来てうれしかった。
全体的にサウンドが溶け合っていて、聴きやすい演奏だと感じました。
団員が少なすぎて単独に活動しづらい団体もあると思います。
そういったバンドも、このような活動を通して吹奏楽界の発展や自分たちの技術向上にもなると思いますから、是非、続けていってほしいと一吹奏楽ファンは願っております…。

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前半が終わりました。
初っ端のファンファーレを聴いた時は、正直どうなることかと思いましたが、それぞれのバンドが個性を出した演奏を聴かせて頂いて安心しました。
ただ、前半を聴く限り、一般バンドの全国大会出場団体と比較すると何かが足りないかなとも感じました。

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後半の最初はトヨタ自動車㈱吹奏楽団です。
アルフレッド・リードの名曲とビートルズナンバーですね。
オブラディ・オブラダは私も中学生の時に演奏したことがあります。
100%明言できませんが、その時と同じアレンジのような…。
とにかく、プログラムの出演団体の紹介のところに書いてあった「明るく・楽しく・元気よく・ときに厳しく」という団のモットーどおりの演奏を聴かせて頂きました。

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次はNEC玉川吹奏楽団。
曲はデ=メイの作品です。
ギターなんかも演奏で使われていて、素朴で美しい曲を情感いっぱいに演奏して頂きました。
ソロパートの皆さんも大変良かった。
各個人個人のレベルの高さがうかがい知れます。
このバンド、吹奏楽コンクールに出場してないんでしょうか?(そう言えば、昨年の神奈川県大会でも姿を見てません。)
職場バンドがコンクールに出場するのにメリット・デメリットあると思いますが、コンクールでの“勇姿”を拝見したい団体ですね。

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続々と実力のあるバンドが続きます。
9番目の登場は、ソニー吹奏楽団。
トランペットパートには外国の方もいらっしゃるようで、さすが国際的に展開している企業ですね。
サウンドがソフトで艶っぽい響きなのがいい。
私の好みのサウンドです。
ところで、2曲目に演奏されたアルメニアン・ダンス・パートⅠは、何と、ソニー吹奏楽団が“日本初演”したそうです。
何でも前任の常任指揮者、秋山紀夫先生が作曲者のアルフレッド・リード氏と親交が厚かった縁によるものだとか。(吹奏楽をかじった人間だったら、一度は演奏したことがあるであろうこの曲のエピソードでした。)
いずれにせよ、この団体の特徴を生かした好演だったと思います。

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続いての登場は、阪急百貨店吹奏楽団。
懐かしい名前です。
私が学生の頃は憧れのバンドで、コンクールでの数々の名演が思い出されます。
生演奏を聴かせて頂くのは初めてですね。
重厚なサウンドです。
だから、曲が格調高く聴こえます。
最後に演奏した「バーナム&ベイリーの愛好曲」は特に懐かしい。(私が若い頃には曲名を「バーナムとベイリーのお気に入り」で覚えています。阪急百貨店の十八番〔おはこ〕の印象が強いです。)
ともかく、観客を意識した“楽しい”演奏でした!

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次はNTT東日本東京吹奏楽団。
ここは、コンクールでもお馴染みの団体ですね。(2009年に職場・一般の部に統合されてから全国大会出場はないですが…。)
演奏曲目も意欲的です。
昨年亡くなられた三善先生が作曲され、1992年度全日本吹奏楽コンクール課題曲の「クロス・バイ・マーチ」と人気の作曲家、井澗昌樹氏の「束の間の恋の歌」。
技術力の高さが垣間見られる優れた演奏で楽しませて頂きました。
特に井澗作品は、激しい感じの曲が多いので基礎のしっかりしていない団体が演奏すると、ただの“ウルサイ音楽”になってしまいがちですが、この団体は表現力を生かして聴きごたえのある曲に仕上げているように思いました。

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さあ、大トリです。
ヤマハ吹奏楽団です。
この団体の演奏を聴くのが楽しみでなりませんでした。
演奏するのはガーシュインやベニー・グッドマンのナンバーですか。
本音で言うとガチガチの現代邦人作品とかを聴きたかったような…。
でも、演奏が始まるとそんな考えは、どこかに吹き飛んでしまいました!
まず、サウンドが別格です。
そして、素晴らしいテクニック!
何をとってもベストです。

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私は、個人的にアマチュアの吹奏楽団の中で、アンサンブルリベルテ吹奏楽団がイチバン好きです。(その気持ちは、今でも変わりません。)
なぜならば、他の団体より優れた独特のサウンド、テクニックを持っているからです。
でも、ヤマハは、もっとすごい。
スゴイはずです。
何でも(指揮の須川先生もおっしゃっておられましたが)、団員の8割以上の方が楽器の開発や製作をされているとか。
また、中には自分で作った楽器を演奏しているメンバーもいるようです。
楽器を知り尽くしているんですよ。
これじゃあ、どんな団体も、かなうわけがない…。
それにしても、最後の「シング・シング・シング」は盛り上がりました。
特にドラムの方は素晴らしかった!

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最高の盛り上がりの中でコンサートは終了しました。
前々から楽しみしていた演奏会でしたが、期待以上でした。
2009年度より吹奏楽コンクールより、「職場の部」と「一般の部」が統合されてから、何となく元気がなくなったように思えた職場バンドでしたが(個人的意見です)、この日のコンサートで“職場バンド、ここにあり!”とハッキリ感じました。
また来年も東京で、この演奏会をやって頂きたい!と思いながら、港区から埼玉県へ家路を急いだ浦和のオヤジでした。

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このところ、遅筆でスミマセン。
気分の乗らない日が多くて…。


横浜ブラスオルケスター 第15回定期演奏会

2014-03-03 20:35:18 | 吹奏楽

それにしても2月は、散々でした。
いくつかコンサートに行く予定にしていたのですが、関東地方ではめずらしい“あの”大雪のために断念したり、体調不良が重なったり…。
と言う事で、やっと1月19日の読響の定期公演以来の出動となりました。

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2014年(平成26年)2月23日、日曜日。
場所は、ミューザ川崎シンフォニーホール。
ところが前夜、川崎駅付近で工事車両と京浜東北線の回送電車が衝突事故を起こし、京浜東北線が蒲田~鶴見の間で不通とのこと。
まあ、東海道線が動いていましたんで、事なきを得ましたが…。(事前に調べておいてヨカッタ!)
京浜東北線で行く予定でしたので、気がつかなければ、遅れていたかも知れません。
やっぱり、2月は私をコンサートに行かせまいとする“見えない力”が、はたらいているのでしょうか?

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それにしても「ミューザ川崎」って、外観も中もキレイですよね。
客席の配置もユニークです。
2~3階席など“波打っている”ような配列になっています。
今回は2階のステージに対して正面の席をとらせて頂きました。
音響はどうでしょう?
けっこう舞台に近く感じますから、悪くなさそうな気がします。

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2階ロビーの一画にはザルツブルグ市のコーナーなんていうのもあります。
今まで知らなかったんですが、川崎市は、ザルツブルグ音楽祭で有名なザルツブルグ市と「友好都市」関係にあるんですね。
川崎と言えば(私の印象ですが)、“工業の街”のイメージが強い。
それなのにモーツァルトやカラヤンの生まれた街と友好都市だなんて、何だかステキですね。
この素晴らしいホールに似合う行動です。

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さあ、開演です。
舞台上段のパイプオルガンのところにトランペットパートの方々が出て来ました。
そして、華やかなファンファーレが奏でられ、コンサートが始まりました…。

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[演奏]横浜ブラスオルケスター
[ユーフォニアム]外囿 祥一郎
[指揮]近藤 久敦(音楽監督)

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【Ⅰ部】

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● ロレーヌ州行進曲 (L.ガンヌ)
● 吹奏楽のための「深層の祭」 (三善 晃)
● ミュージカル「レ・ミゼラブル」より (L.シェーンベルク/arr.福島 弘和)

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【Ⅱ部】

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~ユーフォニアム奏者 外囿 祥一郎氏を迎えて~
● ユーフォニアム協奏曲 (M.エレビー)

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【Ⅲ部】

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~R.シュトラウス生誕150年記念~
● 「アルプス交響曲」作品64より (R.シュトラウス/arr.石毛 里佳)

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演奏会は、3部構成ですね。
まずは第Ⅰ部から。
バラエティに富んだ構成です。
最初の「ロレーヌ州行進曲」ですが、まさに“行進するための音楽”と言う感じの曲でした。
演奏も勇ましいながらも、ノスタルジックな抒情を醸し出していて、良かった。
コンサートの最初の演奏は、ある意味、その日の会場の雰囲気を左右する大事なものですが、とてもうまくいったと思います。

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次は「深層の祭」。
昨年、惜しくも亡くなられた三善晃先生が1988年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲として作曲された曲です。
丁度、私が吹奏楽から離れていた時期の課題曲なので、馴染みの薄い曲なんですが、今、聴いても素晴らしい曲だと思います。
演奏も緩急のハッキリしたキレのよいパフォーマンスのように感じました。
こういう曲、横浜B.O.に合ってますよね。

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さあ、Ⅰ部最後の曲は、「レ・ミゼラブル」です。
編曲は福島弘和先生。
“福島版レ・ミゼラブル”は、昨年10月の全国大会で春日部共栄高校が演奏しましたね。(残念ながら、「銀賞」でしたが。ソロパートも充実していたし、サウンドも素晴らしかったのですが、曲の後半で僅かなアンサンブルの乱れがあったのが残念でした。)
今回は、コンクール用にカットされたものではなく、“全曲版”なのでしょうか?
ミュージカル音楽ですので、横浜B.O.のような“オトナ”が演奏すると表現力が増しますね。
十分、楽しませて頂きました。
ただ、少しだけ惜しかったのは、音量が抑えられたスローテンポなフレーズでサウンドに不安定さを感じる場面があったことでした…。

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Ⅱ部は、外囿(ほかぞの)祥一郎氏を迎えての「ユーフォニアム協奏曲」です。
あたり前のことなんですが、まさに外囿氏の独壇場でしたね。
“超絶技巧”の演奏は観客を魅了しました。
それとバックの演奏も、なかなか難易度が高そうでしたが、横浜B.O.が頑張って外囿氏を盛りたてていると感じました。
全体的にとても良い演奏だと思いました。

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そして、Ⅲ部、最後の「アルプス交響曲」。
何でも今年は、リヒャルト・シュトラウスの生誕150周年だとか。
だから、1月の神奈川大学の演奏会でも、この曲をやったんですね、きっと。
横浜B.O.の良いところは、音のアタックが非常にキレイなところです。
主に大きな音(ffとか)を吹いている時は素晴らしいですね。
中間部の激しい部分は非常に効果的な演奏でした。
サウンドがまとまっているから、かなりのスケール感で音楽を聴くことができ、私としては満足に感じました。
ただ、導入部や終りの部分(静かな情景を描いた部分)で音程やアンサンブルに若干、“ン?”って思う部分があったのが残念でした。
いずれにせよ壮大なリヒャルト・シュトラウスの世界を堪能させて頂きました。

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アンコールは以下のとおりです。

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昨年10月、福岡での全国大会で横浜ブラスオルケスターの演奏を聴かせて頂きました。
結果は惜しくも銀賞でしたが、躍動感あふれるバルトークでした。
これからも注目していきたい団体ですね。
強豪ひしめく東関東支部の職場一般ですが、是非、頑張って頂きたいと思います。

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前回、ブログを更新してから、約1ヵ月経ってしまいました。
体調がすぐれなかったり、いろいろな“大人の事情”のためです。
でも、3月は頑張りますので、よかったら読んで下さい!