浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第43回川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団定期演奏会

2011-12-26 20:31:04 | 吹奏楽

平成23年12月23日の天皇誕生日、川口総合文化センター“リリア”に向かいました。(あれから、4日たちました…)
同じ、埼玉県内に居ながら、やっと“リリア”デビューです。
目的は、川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団の第43回定期演奏会に訪れるためでした。
当然、私も以前から知っている一般バンドです。
しかし、わたしの興味の中心は高校の吹奏楽部にあり、高校以外の演奏会にいったのは、去年暮れに東京芸術劇場であったパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団以来です。
私自身も遠い昔、一般バンドに在籍していた経験があります。
(学生時代の部活動と違って、毎日、練習出来るわけでもなく、フラストレーションが溜まった思い出があります。)

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ある日、「チケットぴあ」のサイトをみていますとアンサンブルリベルテの演奏会があるとのっていました。
そして、全国的にも高名な一般バンドでもあり、昔の自分を思い出して興奮?し、早速、チケットを購入してしまいました。
ですが、ハッキリ言うと演奏会当日まで、過剰な期待はしていませんでした。
まあ、学生の様な“ひたむきさ”もないだろうし、落ち着いた大人の演奏会になるだろうなあ、くらいのカンジでした。
しかし、いい意味で裏切られた。
どういう経歴の方々が団員なのかわかりませんが、個人のレベルが高いのに驚きました。
いずれにせよ、楽しい音楽のひと時を過ごさせて頂きました。
それでは、コンサートのお話をしましょう。
まず、初体験の「リリア・メインホール」のことから。
よく、響くホールです。(サントリーホールほどではありませんが…。)
私は、プロではないので確かではないかもしれませんが、南浦和のさいたま市文化センターやソニックシティの大ホールより、響くのではと思います。

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脱線した話をもとにもどします。
まず、最初の曲は昨年、神戸シンフォニックバンドの委嘱で作曲された真島俊夫作曲の「Renaissance(ルネッサンスー復興ー)~大震災への鎮魂歌、そして復興への賛歌」です。
実際は阪神淡路大震災をモチーフにした曲だったようですが、東日本大震災後、広く震災への思いをこめて、サブタイトルから「阪神淡路」の文字を削ったのだそうです。
また、楽譜(エイト・カンパニー社)の収益は全て、被災者の復興支援に寄付されるとの事です。
さあ、いよいよ常任指揮者・福本信太郎氏の指揮で開演です。
「ルネッサンス」は、どちらかというと明るく前向きな感じの曲でした。
難解ではなく、バンドのよさを表現できやすく感じましたので、特に中・高生の方々に取り組んでもらいたい曲ですね。
それと初めて聴いたアンサンブルリベルテの印象は、きれいな音をしているバンドだなと思いました。
同じ楽器でも、音質に統一性があるとすごく澄んだ、美しいバンドの音になると私は信じてます。
この楽団は、それがある、だから、美しい音色と感じました。好みのサウンドです。(上から目線でスミマセン。)
2曲目は、A・リードの「ハムレットへの音楽」。
懐かしい曲です。
そして、実に心地よいサウンドです。
あっという間にリードの世界に引き込んでくれます。
この曲は得意な曲なんですかね。
そういえば、司会の方がおっしゃってましたが、何でもリード氏を指揮に迎えたこともあるとの事。
納得です。
そうこうしているうちに、Ⅰ部の最後の曲になりました。
東京交響楽団首席クラリネット奏者、十亀正司氏を迎えて、バスクラリネット協奏曲とでもいえるような「スポットライト・オン・ザ・バスクラリネット」(J.ハーデルマン作曲)です。
ジャズテイストの曲で前の曲のクラシック感バリバリの感じから打って変っての柔らかいメロディは、一服の清涼感に満ち溢れていました。
木管楽器でジャズというとサックスを連想しますが、バスクラもなかなか合うなあと新発見です。

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15分間の休憩をはさんで、Ⅱ部の開演です。
1曲目は「バグパイプ・ファンタジー」(中村克己作曲)。
先程、Ⅰ部の最後の曲で素晴らしい演奏をされた十亀氏がスコットランドの民族衣装を身にまとい、バスクラリネットからバグパイプに楽器を持ち替えての登場です。
演出も良かった。
最初、客席の一番奥からバグパイプを演奏する十亀氏が舞台へ向かって、ゆっくりと近づいてくる。
まるで、遠いスコットランドの田園風景が目に浮かぶようです。(行ったことはないですけれど…。)
それにしても初めてバグパイプの音色を生で聴きましたが、あんなに大きな音が出るとは思いませんでした。
演奏後の十亀氏の楽器説明も楽しかった。
ブラボーです。
さて、2曲目は指揮が客演指揮者の津田雄二郎氏に代わり、リスト(淀彰編曲)の「ハンガリー狂詩曲第2番」です。
この楽団の音色はステキです。
特に木管楽器は音色が統一されている上に艶っぽい。
ですから、主旋律を奏でるユニゾンがとっても美しい。
この曲とマッチしてますね。
最後は、大曲「バレエ音楽“ダフニスとクロエ”第2組曲」(M・ラヴェル作曲/真島俊夫編曲)。
この曲の吹奏楽での演奏は、昨年のパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団東京公演(東京芸術劇場)で聴かせてもらいました。
他にも何回か生演奏を聴かせてもらったことがありますが、ギャルドの演奏は他の追随を許さぬ圧倒的なうまさでした。
今回のアンサンブルリベルテの演奏は、それには及びませんが、フランス音楽のしかもラヴェルの華やかさを良く表現していたと思います。
また、コンクール自由曲の時はカットされる“無言劇”の部分のフルートソロパートの奮闘ぶりに賛辞を贈りたいと思います。
とてもいい演奏でした。
なりやまぬ拍手の中、常任指揮者福本先生のサックスソロでジャズの曲(曲名は紹介されていたのですが、聞きそびれました。スミマセン。)をアンコールの曲として演奏されました。
やさしく色気のある音色は観客を十分、魅了していました。
アンコール2曲目は、レスピーギの交響詩「ローマの松」より“アッピア街道の松”です。
今年は普門館の高校の部で久々に出雲北陵高校が演奏しましたが、私の若い頃のコンクール自由曲としてはポピュラーな曲でした。
大好きな曲なので期待大です。
結論から言うと、いやー素晴らしい演奏でした。
古代ローマ軍の勇壮な行進が目に浮かぶようです。
最後の方では2階の客席に陣取ったバンダの皆さんのファンファーレの音が雨あられとホール内に降り注ぎ、自分の身が音楽に一体化したような錯覚に陥った程です。
このように心地よい〝音楽″の時間は過ぎ、盛大な拍手のうちに演奏会は終了しました。
リリアから外に出ると美しい夕日が暮れようとしていました。
豊かな気持ちに浸りながら、浦和の自宅へと帰宅の途についた次第です。

            

最後に感想を一言。
「演奏会に来てヨカッタ。」それのみです。
これからも、川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団に注目を続けていこうと思います。
(明日の夜は、東海大学付属高輪台高校吹奏楽部の第22回定期演奏会に行ってきます。)


華麗なる舞曲

2011-12-22 01:05:21 | 吹奏楽

福岡工業大学付属城東高校
精華女子高校
埼玉栄高校
洛南高校
福島県立磐城高校
岡山学芸館高校
土気シビックウインドオーケストラ
東京佼成ウインドオーケストラ
大阪市音楽団

           

上記の日本の吹奏楽団が演奏したある曲の音源が私の手元にあります。
それは、クロード・トーマス・スミスの作曲した「華麗なる舞曲」です。
この曲は吹奏楽ファンや関係者には難曲として知れ渡っています。
と同時に多くの羨望の的になっている曲です。
即ち、この曲を凌駕すれば、ものすごい称賛のの嵐に包まれるからです。
私も初めて聴いた時は、ジェットコースターのような曲だと思いました。
そして、この曲の虜になるまで時間はかかりませんでした。

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日本人による演奏でまず、忘れてはならないのは、第40回(1992)全日本吹奏楽コンクール高校の部で演奏し金賞を獲得した洛南高校の演奏でしょう。
これは、すでに"伝説"の域に入った演奏で高校生がコンクール等でこの曲を演奏するたび、引き合いに出される名演です。
私はながらく、この演奏をYoutubeでしか見た事はなかったのですが、やっとCDを手に入れ聴かせて頂きました。
聴き終わって、率直に思ったのは「細かいミスが思ってたより多いなあ」という事でした。
しかし、音楽の流れがきちんと出来ており、非常に心地よい。
最後の一音をめざして全員が一直線に進んで行く様子が「伝説」の名に値する…、そんな気がしました。
コンクールデータベースで検索してみると洛南高校は何と3回(1987,1992,1998)もコンクール自由曲として、この曲を選んでいます。(以下は"コンクールデータベース"の情報です。)
しかし、全国大会に進めたのは「伝説」の演奏の1992のみです。
また、支部大会以上ではコンクールで「華麗なる舞曲」を自由曲として選んでいるのは、洛南高校が最初に名が出てきます。
ところで「華麗なる舞曲」を全国大会で演奏した団体の最初は宮崎市立生目南中学校(第37回大会1989・銅賞)みたいです。
中学校レベルでどのような演奏をしたのか興味津々ですが…。
“伝説”の洛南高校(1992)の演奏以来、「華麗なる舞曲」の全国大会登場は第55回大会(2007)大学の部の静岡大学(銀賞)を待たなければなりません。
全国金賞に至っては、その2年後の第57回大会(2009)の精華女子高校まで17年間出ていません。
いかにこの曲が難解であるかの証拠でしょう。

             

支部大会で敗退してしまった中でいえば、第33回九州大会(1988)での福岡工業大学付属高校[現・福岡工業大学付属城東高校]の演奏は根強い人気があるようです。
現在ネバダ州立大学教授の鈴木孝佳氏の指導のもとの黄金期?の頃の演奏です。
残念ながら、私は、ニコニコ動画でしか聴いていませんが、それでも十分、全国大会で通用するレベルの演奏だと思います。
というか、かなりの名演で九州代表にならなかった意味がわからない。
(その年の九州の全国大会代表校の自由曲をみると編曲ものとアルフレッド・リードなので流行りにやられたなってカンジです。九州といえば、この後、久々にこの曲が脚光をあびる第57回大会の精華女子高校に行きつくワケです。)
この曲の難易度が高いせいか、時々、支部レベルで演奏されていた事はいたのですが、結局、全国で演奏する団体はなくなり、少しマイナーになりかかっていました。

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精華女子高校の演奏はミスが多くて、荒削りです。(支部大会の方が良かったという人もいるらしい。)
でも、恐ろしいくらいにこの曲にあった音色をしている。
明るくて華やかな音、それが少々のミスなんか吹き飛ばす「勢い」を作っています。
だから、聴いていて楽しい。
「金賞」の評価は当然ではないでしょうか?

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それと対照的なのが翌年(第58回大会[2010])福島県立磐城高校です。
ミスが少なく、十分に曲を歌い上げていて、うまい。
しかし、なぜだか曲に隠されたメッセージのようなものさえ聴こえてきそうな気がする。
難解な曲に聴こえるんです。
何故だろう?と考えてみると、その秘密は音色にあると思います。
深くて、温かみのある音。
まるで暖炉の灯のような味わいのある音はイギリスのオケの金管楽器を連想させます。
やはり、磐城高校は編曲モノの方がより効果的な演奏を出来る様に思います。
(素人が生意気言ってスミマセン。)
(今年の全国大会で聴いた"トッカータとフーガ"はものすごくヨカッタ!!銀では納得いかなかった。)

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ある日、タワーレコードでCD漁りをしていると〝もうひとつの全国大会"という文字が眼に飛び込んできました。
早速、手に取って内容を見てみると2008年の「三出団体(さんしゅつだんたい)[全日本吹奏楽コンクールに3年連続出場すると4年目はコンクールに出られないという規定]」を中心に、さいたま市文化センターにて行なった演奏会のライブ録音のようです。
出場団体は高校では、埼玉栄、春日部共栄、伊奈学園総合、東海大付属高輪台、福工大付属城東、一般では川越奏和奏友会、川口のアンサンブルリベルテ吹奏楽団といったそうそうたるメンバーです。
その中で、あの埼玉栄高校が、この曲を演奏していました。
ライブ感あふれる演奏です。
しかし、少し余裕がないように聴こえます。
バタバタとあわてているような感じで、早いパッセージのアンサンブルの乱れが何ともオシイ。
しかし、サウンドの豊かさは、さすが埼玉栄と思わせますが、やっぱり合わないかなあ、この曲は。

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何故だか、ここ数年コンクールに出ていない土気シビックウインドオーケストラのこの曲の演奏が収録されているCDも発見し、早速、購入しました。
なかなか、いいサウンドですねぇ。
各、個人個人の技量の高さが窺いしれる演奏です。
曲にサウンドが合う合わない以前に“合わせて来ている”スゴさを感じます。
多分、観客を前に演奏しているのではないと思うのですが、ライブの緊張感みたいなものがあれば、完璧なものになったような気がします。

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東京佼成ウインドオーケストラの演奏も聴いてみました。
プロの演奏ということで非常に期待して聴いたのですが…。
遅い、遅すぎる。
まず、出だしから驚いてしまう。
楽譜には[Allegro Vivo 142-152]と書いてあるのに、どう考えてもマーチのテンポでもおかしくないくらい。
サウンドとか演奏とか以前に「華麗なる舞曲」という曲ではなかった…。
指揮者の解釈なのだろうけれど、「華麗なるー」ではなくて「優雅なるー」って感じがしました。

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それとは対称的なのが、大阪市音楽団です。
これは、スリル満点の演奏です。
それこそ、「THE華麗なる舞曲」とでもいいましょうか。
(定演での演奏のライブ盤ですが、演奏後お客さん、非常に盛り上がってます。)
すごい演奏です。
でも、一番すごいのは、同じ大阪市音楽団の1992年に岡山シンフォニーホールでのライブでしょう。
これは、文句のつけようのない「華麗なる舞曲」です。(Youtubeで聴きました。)
一回、聴く価値は十分にあると思います。

             

さて、再三、言ってますように今年は私も全日本吹奏楽コンクールの高校前半の部を拝聴する事が出来ました。
そして、たまたま「華麗なる舞曲」に遭遇し、非常に感銘を受ける事となりました。
岡山学芸館高校、彼らの血のにじむような努力の跡が目に見えるようです。
まず、ミスが少ない。
そして、明るい音色でスピーディーで華やかな演奏に仕上がっていました。
特に金管、それもトランペットが大きな役割をはたしていたように思いました。
聴く前は、正直、そんなに期待していなかったのですが、いい意味で裏切られた感じです。
ただ惜しむらくは、ホルンが曲の最後の方の幾つかの見せ場でバテてしまったことでしょうか?
まだ、CDが発売されていませんので、聴き比べられませんが、高校では洛南高校と並ぶくらいの演奏といっても過言ではないのではと強く感じます。(本当の事を言うとYoutubeで演奏を確認しました。この録音はわりと状態がよく、実際に聴いた時感じた事を再確認できました。

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番外編としてアメリカ・カンサス大学の演奏。
簡単に言うともっと練習してこいよというレベルです。
曲の途中でアンサンブルが乱れたり、音程が気になったり…。
日本の高校生のほうが数倍うまい。
(また、同じCDの中のフェスティバル・バリエーションは泣けてくる「迷演?」です。)
Youtubeで流れているアメリカ空軍軍楽隊の演奏がカンサス大学の演奏ではないかとの「ウワサ」がありますが、このCDの演奏とは全く、別物ですね。

              

この曲は、吹奏楽を愛する者にとって、心躍らせる何かを持っています。
そして、これからも「完璧」を目指して多くの人々が挑戦してくれることでしょう。
「伝説の名演」が増える事をこの曲のファンとして心より願っています。

(追記 2013.7.2)

先日(2013.6.5)、東京・池袋の東京芸術劇場で行われた「なにわ《オーケストラル》ウインズ2013」の東京公演に行かせて頂きました。

とても、素晴らしい演奏会でした。

このバンドはスゴイ!!

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昨年の演奏会で「華麗なる舞曲」をやってます。CDにもなってますので是非、お聴き下さい。

このブログでいろいろ書いてますが、最高傑作です!!http://blog.goo.ne.jp/urawa_kappa/d/20130511