浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第20回記念“吹奏楽の響き”(第44回川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団定期演奏会)埼玉県中学校選

2012-06-25 19:33:42 | 吹奏楽

2012年6月17日(日)に開催された川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団の演奏会の表題は非常に長いものでした。
「東日本大震災 復興応援チャリティー 第20回記念“吹奏楽の響き”(第44回定期演奏会) 埼玉県中学校選抜吹奏楽団 創団記念」
どうです、長いでしょう!
しかし、長い分だけ、満足させてくれる素晴らしい演奏会でした。
蛇足ながら申し上げますと本当は他の高校吹奏楽部の演奏会に伺う事を予定していたのですが、前回の演奏会が素晴らしかったので、急遽、予定を変更したのです。

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演奏会は3部構成になっていました。
Ⅰ部は、常任指揮者の福本信太郎氏の指揮で。
Ⅱ部は、埼玉県中学校選抜吹奏楽団の演奏です。
Ⅲ部は、客演指揮者の時任康文氏の指揮で。

まず、Ⅰ部から。プログラムは以下のとおりです。
[Ⅰ部]
1.マーキュリー(J.ヴァンデルロースト)
2.パッサカリアとトッカータ[第15回“響宴”平成24年度JBA下谷奨励賞受賞作品](福島弘和)
3.香り立つ刹那[2012年度全日本吹奏楽コンクール 課題曲Ⅴ](長生 淳)
4.ロスト・ベガス(M.ドアティ)
    (以上 指揮 福本 信太郎)
初っ端の曲、「マーキュリー」。
軽やかでいい演奏です。
J.ヴァンデルローストの行進曲と言えば「アルセナール」が有名ですが、この曲も素敵な曲ですね。
それにしても、アンサンブルリベルテは、どんな曲でも、そつなくこなす。
脱帽です。
2曲目は福島先生の曲です。
初めて聴かせて頂きましたが、ここ最近の春日部共栄高校の委嘱作品とは少し、趣が違う曲のように思いました。
もっと、激しくて現代曲っぽい。
アンサンブルリベルテにあっていると思いました。
演奏はブラボーです。
序盤のパッサカリアの部分では、音の安定感、特に金管を中心とした低音部には背中がゾクゾクしました。
また、トッカータの早いパッセージの演奏の見事な事!
この日の全ての曲の演奏の中で(私の個人的意見では)、最高の演奏でした。
次は課題曲Ⅴです。
演奏する前から、まるでアンサンブルリベルテの委嘱作品のような雰囲気のする曲だと思っていましたが(それだけ、この曲にフィット感がある楽団だと言う意味です)、思った以上に私を満足させてくれました。
今年、様々な演奏会で何回も課題曲Ⅴの演奏を聴きましたが(この前日も大宮ソニックシティで埼玉栄を聴きました)、間違いなくイチバンの演奏でした。
(ハプニングとして課題曲Ⅴの作曲者、長生淳先生が会場にお見えになっている事が指揮の福本先生から案内があり、紹介して頂くと会場が非常に盛り上がりました。)
Ⅰ部最後の曲は、吹奏楽の世界では「ストコフスキーの鐘」の作曲者として有名なドアティの作品「ロスト・ベガス」。
初めて聴きましたが、楽器の使い方も面白いし、ジャズテイストも入った楽しい曲でした。
このように会場を盛り上げるのに打ってつけの曲をアンサンブルリベルテは大人の演奏で観客を魅了していました…。

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吹奏楽王国埼玉県でも近年、吹奏楽指導者の世代交代が進んでいるとのことで、新しい指導者育成のために考えられたのが、「埼玉県中学校選抜吹奏楽団」の構想なのだそうです。
今回は準備期間がなかったため、越谷市立北中学校、志木市立志木中学校、川口市立芝東中学校の3校の3年生で1期生としてのスタートです。
ゆくゆくは、団員を全県オーディションにて選抜し、技術力のアップ、情報交換等をしながら、指導者を育てていくのだそうです。
そんな「埼玉県中学校選抜吹奏楽団」1期生の皆さんが演奏したのがⅡ部のプログラムです。
[Ⅱ部]
1.アルセナール(J.ヴァンデルロースト) [指揮:鈴木直樹(志木市立志木中顧問)]
2.デリー地方のアイルランド民謡(ロンドンデリーの歌)(P.グレインジャー) [指揮:外﨑三吉(川口市立芝東中顧問)]
3.春の猟犬(A.リード) [指揮:田中秀和(越谷市立北中顧問)]

ヴァンデルローストの有名な行進曲「アルセナール」が始まりました。
ん?え?なんでこんなにうまいの?
2週間前に同じリリアで聴いた中学生の演奏は元気よくて、心を打つものがありましたが、はっきり言って未熟でした。
しかし、この演奏は格段に完成度が違う。
現在の中学校吹奏楽界には疎い私ですが、Ⅱ部の司会をされていた芝東中の外﨑先生によると越谷北中は全国大会3年連続出場で今年は3出。
志木中と芝東中は去年、西関東大会で金賞を受賞されたとのこと。
そりゃあ、ウマいはずだと納得した次第。
ただ、2曲目の「デリー地方の―」はスローなテンポの曲のせいかアンサンブルが少し崩れ、ピッチも気になりました。
3曲目の「春の猟犬」は中学生らしく溌剌とした元気な演奏でした。
少し、合同練習の時間が足りなかったのかなと思わせる部分もありましたが、さすが埼玉県の選抜の皆さんです。
他県には無いレベルの高さを感じさせてくれる、ひと時でした。

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Ⅲ部はアンサンブルリベルテの演奏にもどり、客演指揮の時任先生のタクトに代わります。
[Ⅲ部]
1.ウィークエンド・イン・ニューヨーク(P.スパーク)
2.イギリス民謡組曲(R.V.ウィリアムズ)
  Ⅰ.行進曲「日曜日には17歳」
  Ⅱ.間奏曲「私の素敵な人」
  Ⅲ.行進曲「サマーセットの民謡」
3.カルメン組曲(G.ビゼー/高橋徹)
    Ⅰ.闘牛士
  Ⅱ.前奏曲
  Ⅲ.アラゴネーズ
  Ⅳ.衛兵の交代
  Ⅴ.間奏曲
  Ⅵ.アルカラの竜騎兵
  Ⅶ.闘牛士の歌
  Ⅷ.ハバネラ
  Ⅸ.ロマの踊り(ジプシーの踊り)

1曲目の「ウィークエンド・イン・ニューヨーク」は指揮の時任先生もおっしゃっておられましたが、イギリス人フィリップ・スパークの感じるニューヨークです。
だから、ジャズテイスト満載なのだけれど、ジャズ特有の陰気なところの少ない(ある意味、生真面目な)素敵な曲です。
リズムにのった素晴らしい大人の演奏でした。
でも、もっと泥臭いのが私の好みでしたケド。
「イギリス民謡組曲」懐かしいですね。
私は演奏したことはないけれど、昔はケッコウ、流行った曲だと思います。(似た感じのするホルストの組曲は有名ですが、私はこちらの曲の方が好きです。)
実にセンスのいい上品な演奏でした。
各個人の技術力の高さを感じました。
最後は、「カルメン組曲」。
妖艶な曲を見事に表現していました。
実に色っぽいですね。
弦の響きにも負けない音楽を堪能させて頂きました。

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アンコールは福本先生のサックスソロで「Saving all my love for you」(だと思う。違ってたら、ごめんなさい。)。
ほんとに最後は中学生の皆さんも交えて「翼をください」の合唱でした。

それにしてもほんの8日前にこのリリアホールで聴いた東海大高輪台と伊奈学園総合のジョイントコンサートで感じた音の不快感(音がウルサイと感じた気持ち)は今回、全くなかった。(前回より前の席で聴いたのに。)
やっぱり、技量の差なのでしょうか?

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今年も普門館で高校の部の全国大会を聴くつもりでしたが、名古屋に会場が移ったので行けそうにありません。
そのかわり、一般・職場の部が宇都宮であるようですので、チケットが取れれば、伺おうかと思っています。
とにかく、また、演奏会があるときは必ず、お邪魔させて頂きますので。
すごく、期待しています。


埼玉栄中学・高等学校吹奏楽部 第36回定期演奏会

2012-06-19 02:28:53 | 吹奏楽

4月28日の春日部共栄高校の定期演奏会。
また、6月9日、伊奈学園総合高校が行なった東海大学付属高輪台高校とのジョイントコンサート。
そして、6月16日の埼玉栄高校の第36回定期演奏会。
やっと今年は、全国にとどろく埼玉県高校ビッグ3を制覇?です。
晩春から初夏にかけての近い時期に、埼玉県の吹奏楽名門校のコンディションをみることが出来て幸せです。
ただ、埼玉栄高校は昨年の第59回全日本吹奏楽コンクールで、まさかの銅賞をくらってしまい、悔しい思いで「三出(全国大会は三年連続出場すると4年目はコンクールに出場できないという規定)」迎えていることでしょう。
(私は実際に普門館で生演奏を聴きましたが、金賞はともかく、銅賞の演奏ではなかった。)
ただし、今年は7月にウィーン国際青少年音楽祭のコンクールに出場されるとのことで、去年の悔しさもバネに日本代表として頑張ってほしいものです。
その埼玉栄がどんなパフォーマンスをみせてくれるのか、興味津々でした。

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仕事を終えてからの大宮ソニックシティホールです。
午後5時前に着きましたが、会場の前は人であふれかえっています。
初めてこの定期演奏会に来たので座席の指定券をもらうのにまごついてしまい余計な時間がかかったように思います。
手続きがもう少し、わかりやすければ…。

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余計なことはこれくらいにします。
私もようやく、ホール内に入りました。
今回は大宮ソニックシティホール初めての二階席です。
しかも、自分の席に着きますと周りは女子中学生だらけでした。
オジサンは多少、居心地悪く思いながらも開演を待つしかありません。
演奏会は3部構成になっており、2番目がいわゆる硬軟取り混ぜるの中の“軟”の部分です。
通常、高校の場合、3部構成なら、一番最後がポピュラー音楽とかの場合が多いのにと思いました。

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開演時間になりました。
まず、最初は学生指揮による校歌演奏。
それに続いて校長の挨拶。
堅苦しいように思いますが、学校の名を背負って演奏会をやっているのですから、私には非常に好感が持てました。
さあ、お待ちかね第一部の開演です。
「交響曲第3番“ドン・キホーテ”より」(R.W.スミス)。
出だしの音、美しい。
ユーホの音もとてもきれいです。
定期演奏会に行くと初っ端の曲は、ぼやけた演奏になる団体が多々ありますが、しっかりとした演奏を聴かせてくれ、さすが埼玉栄だなと。
2曲目は「ただ憧れを知る者のみが」(P.I.チャイコフスキー/木村政巳)。
ゆったりと流れる、美しいメロディ。
前夜の睡眠不足も影響し、あまりの心地よさに記憶のとんだ一瞬もありました…。
ただ、惜しむらくは多少、音程の気になるところがあったことです。
次は今年の課題曲2曲。
課題曲Ⅳ「行進曲“希望の空”」(和田 信)は、今年、都立片倉高校、東海大学付属仰星高校、神奈川大学の演奏を生で聴かせて頂きました。
神奈川大学の洗練された完成度の高い演奏には及びませんが、高校の演奏の中では埼玉栄が一番好みの演奏でした。
課題曲Ⅴ「香り立つ刹那」(長生 淳)は、難曲を見事にこなしていました。
私のような素人からみると、どこをどう聴いていれば複数の演奏を順位をつけて評価できるのか、さっぱりわからない曲です。
それでも、演奏の巧拙ではなくて、雰囲気やその団体にマッチしているかどうかの意見(ハッキリ言ってしまうと私の“好き嫌い”)で判断するしかないなと思った次第。
第一部、最後の曲は「パガニーニ ヴァリエーション」(P.ウィルビー)です。
偶然ですが、ちょうど一週間前、川口リリアで行われた、地元埼玉の伊奈学園総合高校と東海大付属高輪台高校のジョイントコンサートでこの曲を伊奈学園の演奏で聴いています。
どちらも甲乙つけがたい優れた演奏でしたが、“歌ってる”と思ったのは埼玉栄の方でした。(これは個人的な意見です。)
埼玉栄はメロディラインの表現の仕方が素晴らしいとあらためて思いました。

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第二部は「From the SAKAE 2012 ~207人の笑顔~」(吹奏楽部3年 企画・構成)と題したステージです。
皆さんの芸達者ぶりには感服いたしました。
演奏はもちろん、様々な“出し物?”で楽しませてくれましたが、他の学校の同じようなステージとは少しだけ違う“部分”がありました。
それがとても良かった。
通常ですと(司会やナレーションの部分を除いて)、演奏をバックに踊る、歌う等の必ず、自分たちの演奏をからめたパフォーマンスで楽しませてくれます。
ただし、これがしばらく続くと私のようなオヤジやお年寄りは疲れてしまう。
今回の埼玉栄の演奏会では、演奏に全然関係ない事(漫才、コント等)をやり、音のなってない時間をつくり、耳を休ませてくれた。
しかも、キチンと観客を楽しませながら。
だからこそ、再び演奏が始まった時、心地よく聴けたのです。
これは、あくまでもこのような場合だけの話ですが…。

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第三部は演奏会、最後のステージです。
1曲目は「吹奏楽のための練習曲」(小林 徹)。
これは私にとってたまらない選曲です。
この曲は1975年のコンクール課題曲の中の1曲なのですが、当時は課題曲4曲のうち、A吹奏楽のための小前奏曲(郡司 孝)、Bポップス・オーバーチュア「未来への展開」(岩井直溥)のAB2曲が中学生、Cが今回の曲、D吹奏楽のためのシンフォニック・ポップスへの指標(河辺浩市)のCD2曲が高校生以上と完全に分かれていました。
私は、この年、中学3年生でコンクールに出場していましたから、演奏はしていませんが非常に懐かしい。
中学生の頃の記憶がよみがえる思いでした。
埼玉栄の演奏も素晴らしかった。
素敵な時間をありがとうってカンジです。
次はご存知、「科戸の鵲巣~吹奏楽のための祝典序曲~」(中橋愛生)。
ある意味、私にとって(私だけにと言い換えるべきか…)、本日の演奏会メインの曲でした。
埼玉栄が決して、コンクールでは自由曲に選ばないであろう曲をどう料理してくるか、楽しみです。
先程も書いたとおり、曲を歌うこと(メロディラインの表現力)は、天下一品です。
素晴らしい演奏でした。
ただ、ほんの少し違和感も感じた。
その正体は、やはり躍動感だと思う。
言い換えるとスピード感とも言えます。
テンポの速い部分を演奏していても、スピード感を感じない。
ほんとに少しだけですが、そんな部分があるように思いました。
素人のオヤジが生意気にもそんな風に感じました。ご容赦下さい。
蛇足ながら、鵲(かささぎ)の鳴き声を擬した木管のパッセージは、もっと元気よくやった方がいいと思いました。
あのままじゃ、鵲が風邪ひいてるみたいです…。
3曲目は「愛の妙薬」(G.ドニゼッティ/宍倉 晃)です。
オペラですよ。オペラ。
この手の曲で日本の高校バンドの中では埼玉栄の右に出る団体はいないでしょう。(近年、大阪桐蔭が猛追してますね。)
演奏はとても素晴らしかった。ブラボー!
まさに舞台上が“栄ワールド”になっていました。脱帽です。
大トリの曲は、人気曲「三つのジャポニズム」(真島俊夫)。
オリジナル曲ながら、日本的なメロディの聞かせどころも、ふんだんで、とてもいい演奏でした。
この曲はウィーンでも演奏されるそうですが、必ずや最高評価を得る事と確信しております。

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アンコールのあと、最大に盛り上がって定期演奏会が終了しました。
さて、オヤジが思うにコンクールにそれなりの結果を残している団体の演奏会は必ず、期待以上のものを観客に与えてくれる。
素晴らしいことです。
そして、今回もその素晴らしい思いを与えてくれた埼玉栄高校に大感謝です。
今後も埼玉県の高校吹奏楽界をけん引する原動力となって下さい!
とりあえず、ウィーン国際青少年音楽祭、ガンバッテ!!


埼玉県立伊奈学園総合高校&東海大学付属高輪台高校ジョイントコンサート2012

2012-06-13 02:24:49 | 吹奏楽

6月9日、関東地方は梅雨入りの日でした。
川口駅前も雨が降り続いています。
でも、そんな陰鬱な空気を払拭するパワーあふれるコンサートが川口リリアのメインホールでありました。
埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部と東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部のジョイントコンサートです。
17:30に開演して終了したのが21:00少し前。
休憩はあったものの3時間を超える熱演に圧倒されっぱなしでした。(というか少々、疲れました。)

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伊奈学園と高輪台は皆さん、ご存知のとおり、日本の吹奏楽界の中では超有名校です。
いかなる接点があってジョイントコンサートが開催されたのか?
その答えはプログラムの伊奈学園、宇畑先生のコメントの中にありました。
なんでも、10数年前の三重県、合歓の郷で行われた吹奏楽の講習会で同部屋になったのが知り合ったキッカケだそうです。
それ以来、伊奈学園顧問、宇畑知樹先生、高輪台顧問、畠田貴生先生を通じて両校の交流が始まりました。
高輪台は去年、一昨年と定期演奏会に伺いましたが、伊奈学園に関しては昨年の全国大会の演奏を普門館で聴いただけです。
じっくりと聴かせて頂くのは初めてなので楽しみでした。

開場になり席に着きました。
全席自由席ということもあり、皆さん早目に着席されています。
御父兄の方が数多くお越しになっているようですね。
大盛況です。

コンサートは3部構成になっており、第一部はそれぞれの中学校や1年生部員、それとゲストの東海大学付属仰星高校の演奏。
第二部は、それぞれの学校の演奏、第三部は学年ごとの合同演奏。
まず、第一部から。
プログラムは以下のとおりです。
1.東海大学付属高輪台高等学校中等部 [指揮]坂井翔太朗
  「ガリバー旅行記」(B.アッペルモント)
2.埼玉県立伊奈学園中学校 [指揮]石井友貴
  2012年度吹奏楽コンクール課題曲
  「Ⅲ 吹奏楽のための綺想曲“じゅげむ”」(足立 正)
  「バレエ音楽“ガイーヌ”」(A.ハチャトゥリアン)
3.東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部(1年生) [指揮]畠田貴生
  「セドナ」(S.ライニキー)
4.埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部(1年生) [指揮]宇畑知樹
  「ロイヤルエンパイヤ序曲」(E.ハックビー)
  「世界に一つだけの花」(槇原敬之/山里佐和子)
5.東海大学付属仰星高等学校吹奏楽部 [指揮]藤本佳宏
  2012年度吹奏楽コンクール課題曲
  「Ⅳ 行進曲“希望の空”」(和田 信)
  「交響的序曲」(J.バーンズ)

高輪台中等部は、微笑ましかった。
まだまだ未熟な演奏ですが26名という少人数での必死さが伝わってきて好感が持てた。
伊奈学園中学校は50名体制。
荒削りですが、元気な演奏です。
以前には全国大会に出てたような気がしますが、最近はどうなんでしょうか?
中学生とは違い、両校の1年生の演奏はグッと完成度が高くなっていました。
高輪台は明るい音色、伊奈学園はマイルドなサウンドです。
(私の好みだと伊奈学園でしょうか…。)
この若者たちが切磋琢磨して全国大会常連校の実力に達するのでしょう。
  
頑張って下さい。
第一部の最後の団体は大阪・枚方の東海大学付属仰星高校です。
何でも兄弟校である高輪台と合同練習のため上京中の出演となったそうです。
関西支部大会の常連で、あと少しで全国大会も狙える実力校です。
気合いの入った演奏でした。
課題曲1曲とバーンズの曲。(バーンズ、懐かしいですね。)
もしかして、これでコンクールに臨まれるのでしょうか?
当然ですが、それまでの演者よりも完成された演奏でした。
ただ、会場のせいか打楽器の鳴らしすぎ?が気になりました。
ここで演奏を聴かして頂いたのも何かの縁です。
早く、全国大会の舞台に立つことができるよう遠く埼玉の地より応援致します。

10分の休憩後、第二部です。
1.東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部 [指揮]畠田貴生
  2012年度吹奏楽コンクール課題曲
  「Ⅱ 行進曲“よろこびへ歩きだせ”」(土井康司)
  2012年度吹奏楽コンクール課題曲
  「Ⅰ さくらのうた」(福田洋介)
  「エル・カミーノ・レアル」(A.リード)
  「夜桜お七」(原田大雪 編曲)
  「ラテンスペシャル21!!」(畠田貴生 構成)
2.埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部 [指揮]宇畑知樹
  「アニヴァーサリーファンファーレ~マーチ・エイプリル・メイ」(森田一浩/矢部政男)
  2012年度吹奏楽コンクール課題曲
  「Ⅴ 香り立つ刹那」(長生 淳)
  「パガニーニ・ヴァリエーション」(P.ウィルビー)
  「ヒットメドレー」

両校ともコンクール前のコンディションは、どうなのかなという感覚で聴かせて頂きました。
高輪台は、課題曲2曲、特にⅡはスローテンポのマーチですが、明るい音色の高輪台が演奏する事によって、曲が生きてくるように思いました。
「エル・カミーノ・レアル」は圧巻でした。
高輪台のサウンドはアルフレッド・リードに非常にあっている。(まるで往年の神奈川県立野庭高校のように…。個人的意見です。)
いい演奏でした。
そのあとは、日舞あり、歌あり、ダンスありの楽しいステージを繰り広げてくれました。
吹奏楽に余りなじみのない方々でも十分に楽しめるパフォーマンスの連続です。
一昨年、昨年と定期演奏会にお邪魔させて頂いた時も思いましたが、高輪台はエンターテイメントに関しては非常に考えられた構成だと感心しました。
伊奈学園の最初の曲、「アニヴァーサリーファンファーレ~マーチ・エイプリル・メイ」は定期演奏会の定番のようですね。
(1993年度課題曲マーチ・エイプリル・メイは懐かしい。)
課題曲Ⅴは良かった。
今日、演奏された課題曲の中では(個人的に)、イチバンでした。
伊奈学園というとオケの編曲モノを演奏する印象が強いですが、このようなオリジナルの現代曲っぽいもGOOD!です。
「パガニーニ・ヴァリエーション」も良かったですし、最後はアニメソング等の曲で少々、退屈気味だった小さな子供たちが目を輝かせていたのは印象的でした。

それにしてもリリア大ホールの残響がすごい。
100人前後くらいの演奏者がいっせいにフォルテシモを奏でるとメロディラインが埋もれたり、訳がわからなくなる一瞬が何回かあったように思います。(特に打楽器。)
ホールの特性に配慮した演奏も考えてほしかった気がします。
(同じホールで川口市アンサンブルリベルテの演奏を聴いた時は、響くとは思いましたが、ウルサイとは思わなかったので…。)

第三部は合同演奏でした。
今回の東日本大震災を被災された方を励ましの意味で書かれた、日本でも人気の作曲家フィリップ・スパークの「陽はまた昇る」を2年生が、伊奈学園定番の曲「オーメンズ・オブ・ラブ」(和泉宏隆/真島俊夫編曲)を3年生がそれぞれ演奏し会場を盛り上げました。(畠田先生が演奏に参加されたりして楽しかった。)
そして、そのままアンコールになだれ込み、最後は合唱曲「あすという日が」(だと思う。自信がない。間違っていたらごめんなさい。)を演奏者全員で歌い大盛況の中、コンサートは終了しました。(それにしても最近の高校の吹奏楽のコンサートでは合唱曲がはやっているのだろうか?そういえば春日部共栄でもやってたような…。その他でも聞いた事がある様な気がする。)
正直言うと第三部の頃には(ホールのせいもあり)、自分の耳が疲労しており、演奏の内容を判断しづらい状況でした。
逆にいうとそれだけ、中身が盛りだくさんであったということです。
埼玉県立伊奈学園総合高等学校、東海大学付属高輪台高等学校、埼玉県立伊奈学園中学校、東海大学付属高輪台高等学校中等部、そして東海大学付属仰星高等学校の皆さん、本当に御苦労さまでした。

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今年もチケットが手に入れば、普門館に行くつもりでしたが、耐震性の問題で名古屋国際会議場になったようです。
名古屋だと行くのが無理なので埼玉より皆さんのご健闘をお祈りしております。


2012神奈川大学吹奏楽部サマーコンサート

2012-06-09 22:28:34 | 吹奏楽

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神奈川大学吹奏楽部は、今年、三出(さんしゅつ。全国大会に3年連続出場すると4年目は参加出来ないという大会規定)のため、全日本吹奏楽コンクールに出場できません。
そのかわり、ヨーロッパ遠征に行くようです。
しかも、ベルリンフィルの本拠地フィルハーモニーホールでの単独演奏会、また、チェコのスメタナ音楽祭への参加と「すごい!」のひとことに尽きます。
私は、単純に名門神奈川大学吹奏楽部のサマーコンサートにおとずれただけなのですが、そういう予定があることを知って、彼らの演奏を楽しもうという気持ちと同時に活動に見合った演奏をしてくれるのだろうかという興味が俄然、わいてきました。

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会場は、横浜みなとみらいホール。
私はこのホールの雰囲気や音響がとても好きです。
なぜか、ゆったりとしていて音楽に没頭できる空間ですね。
いよいよ、開演間近になりました。
2,020の客席は、ほぼ満員。
熱気にあふれています。

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さあ、2012年6月7日(木)18:30神奈川大学吹奏楽部2012サマーコンサートの開演です。
指揮は音楽監督の小澤俊朗先生。
神大の指導者として有名ですが、私のようなオジサンからすると銚子商業の印象も強い。
前半の1曲目は「幻想曲 ト長調」(J.S.バッハ)。
もともとオルガン曲だそうですが、しょっぱなの金管の音から、それを意識した演奏だと思いました。
非常に素晴らしい演奏です。
特にクラリネットがすごい。
音が太くて力強い。
この吹奏楽団の中心、核となっているパートだと感じました。
2曲目は「ユーモレスク」(高 昌帥)。
今、人気の高 昌帥氏の曲です。
曲が素敵なのはともかく、神大吹奏楽部の表現力の豊かさに驚いた次第。
フォルテッシモがおそろしくきれい。
次は今年の課題曲4曲。
「Ⅳ行進曲“希望の空”」(和田 信)、「Ⅲ吹奏楽のための綺想曲“じゅげむ”」(足立 正)、「Ⅱ行進曲“よろこびへ歩き出せ”」(土井康司)、「Ⅰさくらのうた」(福田洋介)。
Ⅳはコンクールでのお手本のような演奏、Ⅲは個人的に魅力を感じない曲ですが諧謔味のある曲を生真面目に演奏しているのが面白かった。
Ⅱは表現力が試される難しい曲だと思いますが、無難な演奏かな?
Ⅰはメロディラインに豊かさがほしい気がしました。
前半、最後の曲は「交響詩“わが祖国”よりモルダウ」(B.スメタナ)。
吹奏楽ではあまり、取り上げられない曲です。
(遠い昔、コンクールで秋田県立花輪高校が演奏しているレコードを聴いた事があります。)
どうしても弦楽器の響きを求めてしまう曲なので、どのような演奏になるか、期待して聴かせて頂きました。
見事に“吹奏楽のモルダウ”を作り上げていました。
また、ひとつひとつの音の処理の仕方に弦楽器を意識したものを感じました。
でも、モルダウはオケの演奏で聴いたほうがよいですね。

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後半の部は保科 洋先生の指揮で始まりました。
私の学生の頃は保科先生、兼田 敏先生が吹奏楽では日本人作曲家の代表格でした。
ですから、学生時代は神様の様な存在でした。
その保科先生の指揮で演奏が聴けるなんて感激です。
まず、最初の曲、「喜歌劇“こうもり”序曲」。
素晴らしい演奏でした。
しかし、オペレッタという曲の特性からして、もう少し軽快な感じがほしい気がしました。
2曲目は「復興」(保科 洋)。
作曲者自身の指揮です。
私は春日部共栄高校の演奏でこの曲を生で聴いたことがあります。
もちろん、春日部共栄の演奏も素晴らしいものでしたが、神大の演奏はそれをはるかに上回るものでした。
個人の技量の高さ、表現力の豊かさを見せつけられた気がします。
ブラボーです。
保科先生の客演指揮はここまででしたが、アンコールに盟友、兼田先生の「行進曲“わかくさ”」を指揮されステージを降りられました。
聞くところによると今回の神大のヨーロッパ遠征に保科先生も同行されるとのこと。
これからも、お元気で御活躍されることを願っております。
さて、最後の曲は小澤先生に指揮が代わって、ご存知「アルメニアンダンス Part1」(A.リード)です。
永遠の名曲の演奏は良かった。
学生時代にもどったような錯覚に陥りました。
いい演奏を聴くと身体がゾクゾクしますね。
欲を言えば、エキゾチックな雰囲気が出ると良かったですね。
少しだけ、スマートで都会的すぎたのかもしれません。
大拍手の中、アンコール3曲を演奏し、コンサートは終了しました。

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司会の方も言っておられましたが、今回はヨーロッパ遠征で演奏される曲が中心の演奏会だったようです。
チェコを意識したモルダウやドイツを意識した曲が多かったように思います。(アンコールのタイケの「旧友」などは“まさに”ですね。)
さしずめ、ヨーロッパ遠征を「本番」とするならば、「リハーサル」の演奏会だったのでしょうか?
しかし、いかに「リハーサル」?とは言え、実に得るところの大きい演奏会でした。
必ずや「本番」?も大成功される事と思います。
頑張って下さい。

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正直言うと過去の経験から、あまり大学の吹奏楽団にはいい印象はありませんでした。
しかし、神奈川大学吹奏楽部はすごいですね。
音に色気はないけれど、表現力の豊かさには感服いたしました。
コンクールでずっと金賞を取り続けているのがわかる気がします。
これからも、このサウンドを死守されることを切に望みます。

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