浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第4回 音楽大学オーケストラフェスティバル(洗足学園音楽大学・桐朋学園大学)

2013-11-18 08:44:28 | オーケストラ

時々、無性に弦楽器の音が聴きたくなります。
普段、よく聴いている管楽器のそれとは別世界の音です。
そして(うまく表現できないですが)、吹奏楽の演奏にも非常に参考になると思います。

Pb110399

今年の11月(そう、まさに今です!)は、何と、ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウといった世界三大オケが日本に集結しています。
本当は、どれか一公演だけでも聴きに行きたい…。
でも、3万も4万も出せるほど、私は裕福なオヤジではありません。
残念です…。

1384161323333

今回、「音楽大学オーケストラフェスティバル」には大きく三つの理由で伺わせて頂きました。
ひとつ目は音大生のみなさんの演奏に興味があったから。
吹奏楽の演奏会では音大生の演奏をかなり聴かせて頂いております。
そして、その演奏は相当なレベルを保っています。
学生さんのオーケストラが、吹奏楽の“それ”と同じように素晴らしいものなのか、プロとはどのくらい違いがあるのか?
そんなことを知りたいなあという好奇心からです。(不純でしょうか?)
二つ目は生演奏の「春の祭典」を聴いてみたかった。
言わずと知れた名曲「春の祭典」。
私も何百回と聴いているとは思うのですが、残念ながら生演奏を聴いたことがない。
CDであれだけ迫力のある曲なのだから、生演奏で聴いたら、どんなにすごいんだろう…と。
そして、最後三つ目の興味は「ミューザ川崎シンフォニーホール」です。
あの3.11東日本大震災の日にホール内の天井が崩落だか破損だかしたらしくて、つい今年の春先までリニューアル工事をしていたと聞いておりました。
どのように変わったのでしょうか?
(と言っても、ミューザ川崎シンフォニーホールは数年前、東海大高輪台高校の演奏会で一度しか訪れたことしかなく、おぼろげにしか覚えていませんが…。)

Pb110402

音楽大学オーケストラフェスティバルは、平成11年(1999年)に先日亡くなられた三善晃先生の発案で始められたそうです。(その当時の名称は“音楽大学学生オーケストラの祭典”)
いったんは、5年間で終了しましたが、平成21年に再開され、今年で4回目を迎えました。
洗足学園音楽大学管弦楽団、桐朋学園オーケストラ、武蔵野音楽大学管弦楽団、昭和音楽大学管弦楽団、東邦音楽大学管弦楽団、東京藝大シンフォニーオーケストラ、東京音楽大学シンフォニーオーケストラ、国立音楽大学オーケストラという在京8音大の学生さんがミューザ川崎と東京芸術劇場にて日頃の研鑽の成果を披露して頂ける催しです。

Pb110405

平成25年(2013年)11月11日、金曜日。
場所は、ミューザ川崎シンフォニーホール。
そして出演団体は、洗足学園音楽大学、桐朋学園大学です。
音大生の皆さんのパフォーマンスに期待しましょう!

1384160917349

当日のプログラムは以下のとおりです。
なお、それぞれの大学の演奏に先立って、相手方?の大学の金管楽器奏者の皆さんがエールの意味を込めてファンファーレを奏でました。(この演出もヨカッタ。)

1384161490303

《ファンファーレ》
● Fanfare (芳澤 奏)

 【演奏】桐朋学園大学

● 交響曲 第7番 ホ長調 WAB.107[ハース版] (A.ブルックナー)
 第1楽章 アレグロ・モデラート
 第2楽章 アダージョ
 第3楽章 スケルツォ
 第4楽章 フィナーレ

 【管弦楽】洗足学園音楽大学管弦楽団
 【指揮】 秋山 和慶

1384160968374

〔休憩〕

1384161001591

《ファンファーレ》
● FANFARE Es-dur (久保 雅斗)

 【演奏】洗足学園音楽大学

● カルタ遊び (I.ストラヴィンスキー)
 第1ラウンド
 第2ラウンド
 第3ラウンド
● バレエ音楽「春の祭典」 (I.ストラヴィンスキー)
 第1部 大地礼賛(全八曲)
 第2部 いけにえの儀式(全六曲)

 【管弦楽】桐朋学園オーケストラ
 【指揮】 高関 健

Pb110401

最初は、洗足学園の演奏。
ブルックナーの7番。
指揮は秋山和慶先生です。
この曲は、CDでは聴いた事があるものの、生演奏は初めてです。
確かに重厚なサウンドというところだけをみると少し物足りなかったかも知れません。(プロのブルックナーの演奏と比べてという意味です。)
でも、全体的に透明感のある音色は、私のような素人にも感じとることができる“安らぎ”を与えてくれました。
1時間以上の大曲でありますが、ちっとも苦にならずというか、もっと続かないかなあと思える“快適な時間”でした。

Pb110403

休憩中。
ミューザ川崎シンフォニーホールがリニューアル前とどうかわったのか?
正直言うと、よくわかりません。
円形のすり鉢状に舞台を囲んでいるように感じるホールです。
こういう言い方をするとどうかと思いますが、“カッコいい”ですよ。(素人のオヤジなのでご容赦を!)
私が陣取ったのは、上手(かみて)側のイチバン端の最前列という席でございました。
弦楽器の音は、よく聴こえましたが遠い位置にいる木管楽器に“距離感”を感じるようにも思いました。(演奏者がどうのこうのと言う意味ではなく、純粋にホールの“響き”としてです。)

Pb110407

後半は、桐朋学園の皆さんです。
指揮は、高関 健先生。
2曲ともストラヴィンスキーですね。
最初の曲は、「カルタ遊び」。
初めて聴くに等しい曲なのですが、華やかなで軽快な感じがします。
そして、なんだか懐かしいようにも思える。(あとでプログラムの解説を読みましたら、ロッシーニ、ベートーヴェン、ラヴェル、ドリーブなどの楽曲の引用を“断片的”にしているとのこと。だから、このように感じたのでしょうか?)
桐朋学園の演奏も表現力に長けた良いものでした。
さて、続いてはトリの曲、春の祭典です。
いい歳をしたオヤジが生演奏を聴けるとあってワクワクしています。
いやあ、とてもステキな演奏でした。
確かに変拍子の難しい曲ですので、リズムのズレやアンサンブルの乱れがなかったわけではありません。
しかし、それを補って余りある“ハート”がありました。
そのエネルギッシュな演奏は、若者の“生命力”を感じましたね。

Pb110408

コンサートが終わった時、21:00を大きく過ぎていました。
でも、ミューザ川崎から、去り難い想いが私の心に満ち溢れていました。

Pb110409

本日、演奏して頂いた2つの音大の皆さんは、私の思っていた以上のパフォーマンスを見せて下さった。
“音楽”というカタチのないもので、様々な想いを伝え、感じさせてくれるということをあらためて思い出させてくれた演奏会でした。
これからも(この日、演奏して下さった洗足学園、桐朋学園の皆さんはもちろんですが)、音楽に真剣に向き合っていらっしゃる学生の方に、心より尊敬の念を抱きながら、今後も、ご活躍されることを願っております。

Pb110406

それにしても“弦の音”って素敵ですね!


パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団 2013年日本公演

2013-11-07 12:12:11 | 吹奏楽

前回の日本公演を聴かせて頂いたのは、改装前の東京芸術劇場でした。
2010年11月5日のことです。
あれから、3年。
再び、あのサウンドを味わえるかと思うと楽しみでなりません。

Pb040392

パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団。
私が吹奏楽部員であった中学生のころから知っている団体です。
そして、憧れの対象でもありました。
創団165年を迎えたとのこと。
歴史と伝統と、また、それに見合ったサウンドを持った吹奏楽団です。
今回は首都圏で開催される公演のうち、仕事と演奏曲目とを考慮して、みなとみらいホールで行なわれた演奏会を聴かせて頂きました。

Pb040390

2013年11月4日、横浜クイーンズスクエアは連休の最終日ということもあり、多くの人出で賑わっておりました。
いわゆる「横浜みなとみらい21」地域に存在するこのクイーンズスクエアは、みなとみらい線みなとみらい駅と直結しており、ショッピングはもとよりホテル、レストラン、多目的ギャラリーを有する大型複合商業施設です。
その中に“みなとみらいホール”はあります。
大ホールは、客席数2020席を誇る音楽専用ホールです。

Dsc_0037

他のホールだと、開演を知らせるチャイムやブザー音だったりするのですが、このホールは“ドラ”の音ですね。(もちろん録音した音ですけど。)
港町らしい風情で、素敵な演出ですね。

1383548868308

さあ、ホール内に“ドラの音”が響きわたりました。
まもなく、開演です。

1383540933049

[演奏]パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団
   (Orchestre d’Harmonie de la Garde Républicaine)

[指揮]フランソワ・ブーランジェ
   (François Boulanger)

Pb040389

● 道化師の朝の歌 (M.ラヴェル)
● ディオニソスの祭 op.62 (F.シュミット)
● 魔法使いの弟子 (P.デュカス)

1383543947032

【休憩】

1383544028995

● トランペット協奏曲 (H.トマジ)
 第1楽章 速く
 第2楽章 夜想曲/アンダンティーノ
 第3楽章 フィナーレ/アレグロ
[トランペット独奏]エリック・オービエ
         (Eric Aubier)
● 亡き王女のためのパヴァーヌ (M.ラヴェル)
● バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲 (M.ラヴェル)
   夜明け~パントマイム~全員の踊り

1383544155085

ギャルドの演奏を聴かせて頂くのは3年ぶりですが、首席指揮者フランソワ・ブーランジェ氏は1年に一回は指揮をされている姿を拝見させて頂いております。
と言うのも、昨年から国立音楽大学ブラスオルケスターの定期演奏会に伺っているのですが、その公演の指揮者として5年前から、ブーランジェ氏を迎えているからです。
(国立音楽大学ブラスオルケスターは、“パリ・ギャルドの伝統をくにたちの響きで”というテーマで活動されております。ギャルドのサウンドが大好きな私にとって、この試みは大変、嬉しい限りで、また国立音大の皆さんも素晴らしい音色で観客を魅了して下さいました。)
今年は“2回”も“お目にかかれる”なんて素晴らしいことですね。

Dsc_0034

余談が長くなりました…。(スミマセン)
まずは前半の演奏からです。
1曲目(ラヴェル)と3曲目(デュカス)は、さすがフランスものの作品だけあって見事な演奏でした。
久し振りに聴くギャルドの音色でしたが甘く透明感のあるそのサウンドは、素晴らしいのひとことです!
表現力の豊かさに圧倒されました!
そして、2曲目の「ディオニソスの祭」。
1913年にフランス人作曲家、フローラン・シュミットによってギャルドのために作られたオリジナル作品です。
吹奏楽をやる人間だったら、知らぬ者のいないくらいの古典的名曲ですね。
実際の演奏と言う点でも、歴史的な観点でも“ホンモノ”の演奏でした。

Dsc_0036

休憩中、ホワイエ内を見渡してみますと、この日の観客の皆さんは、ご年配の方がけっこういらっしゃいます。
さすが歴史ある吹奏楽団です。
古くからのファンも相当おられるのでしょうね。

Dsc_0038

後半の最初は、トランペット協奏曲。
この曲は、先程も少し触れさせて頂きました今年7月の国立音大の演奏会で聴く機会がありました。(指揮者は、ブーランジェ氏でした。)
その時の独奏者はアンドレ・アンリ氏でしたが、今回はエリック・オービエ氏。
かのモーリス・アンドレの弟子で、輝かしい履歴を持ち、かつ指導者としても偉大な活躍をされている方のようです。
曲も起伏にとんだ部分があったり、幻想的雰囲気を感じさせたりの面白い曲です。
特にミュートが頻繁に使用するのが、興味深い。
そして、その難曲をオービエ氏は見事な演奏で彩ってました。
明るい音色とフットワークの軽さ、表現力に脱帽です。

Pb040393

次に弦楽器にも負けないような響きで「亡き王女のためのパヴァーヌ」をしっとりと歌い上げたあとは、トリの曲、「ダフニスとクロエ」です。
3年前の日本公演でも、この曲を演奏しました。
素晴らしかった。
だから、もう一度聴けるのは、とても感激です。
“夜明け”の細かい動きから、華やかな“全員の踊り”まで、私は“音楽”にのめり込んでしまいました。
色彩すら感じるパフォーマンスです。
やっぱり、この甘くて色気のあるサウンドは、いつ聴いても素晴らしい。
どうやったら、あんな音が出るのか、知りたいものです。
個人的に大満足の演奏でした。

Pb040391

大歓声の中でアンコールです。
アンコール曲は以下の通りです。

Pb040394

大盛況のうちにコンサートは終わりました。
1年に一度くらいギャルドの演奏を聴ければいいのにと思いながら、家路につく浦和のオヤジでした。
またの日本公演を強く希望します!