浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

武蔵野音楽大学 ウィンドアンサンブル演奏会2013(7月)

2013-07-23 06:20:37 | 吹奏楽

国立音大(7/5)、東京音大(7/10)に続く、音大吹奏楽団の第3弾!
武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブルの登場です。
2013年7月16日、火曜日。
東京芸術劇場コンサートホール。
指揮はインディアナ大学名誉教授、そして武蔵野音楽大学の名誉教授でもあるクレーマー氏。
プログラムのプロフィールで確認してみますとかなり高名な方なんですね。
いちいち書きませんが、アメリカを中心に吹奏楽のありとあらゆる要職に就いてらっしゃる。
しかも、このバンドを指導して20年以上になるとのこと。
演奏が楽しみです。

Dsc_0290

さて、当日のプログラムは以下のとおりです。

[演奏]武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブル

[指揮]レイ・E.クレーマー
[トランペット独奏]クリストファー・マーティン

● モニュメント・ファンファーレ・アンド・トリビュート《日本初演》  (P.ロスマン)
● ファイブ・エリザベサン・ダンス《日本初演》  (D.フロイント)
 第1部 ガリアート:入場の舞曲(もったいぶって)
 第2部 バス・ダンス:ロメオがジュリエットを見る(優しく)
 第3部 ダンプ:怒ったタイボルト(重く、粗野に)
 第4部 パヴァン:愛撫(外面はクールに、内は燃えて)
 第5部 ラ・ヴォルタ:自身にもどって・旅立ち(陽気に)
● シール・ララバイ  (E.ウィテカー)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ“祝典行進曲「ライジングサン」  (白岩優拓)
● 交響曲第4番「ブックマークス・フロム・ジャパン」 《世界初演》  (J.A.ジルー)
   Ⅰ.富士山
   Ⅱ.日本橋
   Ⅲ.神奈川沖浪裏
   Ⅳ.金龍山浅草寺
   Ⅴ.蒲原 夜之雪
   Ⅵ.箱根

P7160284

~休憩~

P7160288

● 眩い星座になるために… 《2013年改訂版・初演》  (八木澤教司)
● ファンタジー・イン・フレンチ 《日本初演》  (J.A.ジルー)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ“エンターテイメント・マーチ”  (川北栄樹)
● トランペットとウィンドアンサンブルのための協奏曲『ガウチョ』 《日本初演》
(K.ヴァルツィック)

Dsc_0291

実に意欲的なプログラムです。
私の好みで言ったら、選曲の面白さは3音大の中ではダントツですね。
しかも、《初演》の文字がプログラムにたくさん踊っています。
そして、決定的なことなんですが、今年の課題曲の演奏を除いて、私が知ってる曲が一つもない。
福山雅治じゃないですが、「実に面白い…。」(オヤジギャグです。スミマセン。)

Dsc_0288

(私にとって初めて聴く曲ばかりなので、プログラムの解説をもとに書かせて頂きます。)
最初の曲は、「モニュメント・ファンファーレ・アンド・トリビュート」。
南北戦争時の北軍の将軍で第18代アメリカ大統領、ユリシーズ・グラントの生誕祭の式典のために書かれた曲だそうです。
金管楽器のファンファーレの目立つ華やかな曲でした。
武蔵野音大のアメリカ的なサウンドによくマッチしていました。
この曲によって、観客の心をつかんだように思いました。
2曲目も1曲目と同じく、日本初演の曲ですね。

P7160285

「ファイブ・エリザベサン・ダンス」。
もともとは、シェークスピアの「ロメオとジュリエット」をもとにピアノと歌手のために作曲された曲で、2011年にウィンドアンサンブルのために改編したそうです。
曲名にある「エリザベサン」とはイギリス黄金期を統治したエリザベス1世の時代のことで、同時期に活躍したのがシェークスピアだったので、この曲名になったようです。
16世紀のイギリスの舞曲集をもとに作られているだけあって、格調高い雰囲気を持った曲でした。
作曲者のフロイント教授(インディアナ大学)のアレンジも素晴らしく、合わせて武蔵野音大の演奏も丁寧で素晴らしかった。

P7160286

次は、「シール・ララバイ」。
子守歌ですよ。
美しくノーブルなメロディが曲の中核をなしています。
特にピアノの役割は大きいですね。
武蔵野音大のサウンドが溶け合って、優雅な世界を作り上げておりました…。

P7160287

少し、大人しい曲が続いたので、少し、大きな音も聴きたいなあと思っておりましたら、今年の課題曲Ⅱですね。
アメリカの有名なバンドディレクターが日本のアマチュアコンクールの課題曲を振る姿なんて滅多に見られるもんじゃないんで、少し興奮しました。
少し、テンポが速く感じましたが、素晴らしい演奏でした。
特にクラリネットの小さい音量での音の響かせ方は絶妙でした!
会場に来ていた中学生、高校生の皆さんは非常に参考になったと思いますし、参考にすべき演奏でした。

P7160289

前半最後の曲です。
しかも、「世界初演」です。
ジルー作曲、「交響曲第4番“ブックマークス・フロム・ジャパン」。
プログラムによりますと、指揮のクレーマー名誉教授が武蔵野音大と共に作曲者自身の数多くの作品を紹介しているのに感謝して献呈した作品なのだそうです。
“ブックマークス”とは“本のしおり”という意味です。
この作品の作曲者のジルー女史がクレーマー先生よりの日本土産の栞(しおり)を見て、素晴らしさに感銘を受け曲の題材にしたとのこと。
そして、ブックマークに描かれていたのは、どうも歌川広重や葛飾北斎の浮世絵であったようですね。
実に日本的な世界を見事に表現した楽曲でした。
曲名や字面の内容から読み取ると真島俊夫先生の「三つのジャポニズム」みたいな曲かなと想像しました。
確かに似た「和テイスト」の部分もありましたが、全く違う感性で浮世絵の世界を表現しているのには驚かされました。
特に第5楽章の「蒲原 夜之雪」は素晴らしかった。
ハープの音色が“琴”に聴こえてならなかった…。
ネットで検索して、元になった広重の浮世絵も見ましたが、まさにイメージどおり。
夜の東海道・蒲原宿。
深々と降りつもる雪の中をすれ違う旅人三人。
武蔵野音大の皆さんは、見事な表現力でこの情景を描き切っていましたね。
ブラヴォーです!!
楽譜が、出版されているようですので、日本のバンドも演奏会等で取り上げて頂きたいと思った次第。(プログラムには出版社の名前が「ムシカ・プロプリア」と書いてありました。)
また、作曲者のジルーさんも会場にお見えになっており、観客の大きな拍手を受けられておりました…。

P7160290

15分の休憩をはさんで後半の開始です。
まずは、武蔵野音大OBで作曲家の八木澤教司氏の作品「眩い星座になるために…」。
この曲は関東学園大学付属高等学校創立50周年記念の委嘱作品です。
2008年11月に同校吹奏楽部によって初演され、今回は2013年改訂版として演奏されます。
中学、高校の生徒の皆さんが演奏するのにふさわしい明るく快活な曲でした。
武蔵野音大の演奏も、あくまでも軽やかに躍動感のある、この曲の特徴を生かしたものでした。
好演です。(作曲者の八木澤先生も会場にお見えになっておられました。)

P7160291

後半2曲目は、またまた、ジルー女史の作品「ファンタジー・イン・フレンチ」です。
サン=サーンス、サティ、ドッビュッシーなどのフランスの作曲家が作った著名なメロディを使った美しい曲でした。
女性らしい優しいタッチで作曲されており、武蔵野音大の透明感のある演奏は、観客を魅了していたと確信します。

P7160293

さて、後半も課題曲の演奏がありました。
今度は課題曲Ⅳですね。(前半、後半の2曲の課題曲とも“マーチ”でしたね。ちなみにプログラムには“2013年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲より”としか書かれておらず、演奏が始まるまで、どの曲だかわかりませんでした。)
前半に演奏したⅡと同じように模範的な演奏でした。
スマートなコンサートマーチに聴こえました。

P7160296

いよいよ、最後の曲です。
メインのトランペット協奏曲ですね。
この曲のサブタイトルにある「ガウチョ」とは南アメリカの遊牧民のことなのだそうです。
その「ガウチョ」の人々に歌い続けられている音楽を使用しているため、この曲名になったとのこと。
作曲者のヴァルツィック氏も会場にいらっしゃっており、曲が終わったあと盛大な拍手に包まれながら、挨拶をされておりました。
さて、トランペット・ソロはシカゴ交響楽団の首席奏者、クリストファー・マーティン氏です。

曲が始まりました。
異国情緒あふれるメロディが会場に響きわたります。
それにしてもマーティン氏のトランペットの響きの美しいこと…。
テクニックがハイレベルなのは当然ですが、それにしても、その音色の素晴らしさと言ったら…。
ここ数年のうちに、私が聴いたソロ・トランペット奏者の中では一番、良かったかな。(個人的意見です。)
楽しい時間はあっという間で、このままずっと聴いていたいような思いに駆られながらもマーティン氏の演奏は終わりました。
ブラヴォー!

Dsc_0292

アンコール曲等は以下のとおりです。

P7160295

(ナット・キング・コールの名曲“スターダスト”をフリューゲルホルンで演奏するマーティン氏の音色もシビレましたね。)

ここ10日間くらいの間に集中して東京芸術劇場での在京3音大、吹奏楽団の演奏を聴かせて頂きました。
それぞれに、独自の個性があり、どこがイチバン良いなんて決められないですね。
国立音大は、ギャルドに似た甘いサウンドにシビレましたし、東京音大のパワーと表現力は、弦楽器に負けないようなスケール感を作り出していました。
そして、武蔵野音大のアメリカ的な洗練されたサウンドは、アマチュアバンドが向かうべき最良のお手本のように感じられました。

Dsc_0292_2

そして、この幸せな3日間が終わったことを少し残念に思いながらも、豊かな気持ちで家路を急ぐ浦和のオヤジでした…。

P7160294

正直言うとサウンドの好みは国立音大かな…。(あくまでも、個人的意見です。)


東京音楽大学 シンフォニック ウインド アンサンブル 第44回定期演奏会

2013-07-16 17:02:58 | 吹奏楽

2013年(平成25年)7月10日、水曜日。
さあ、この日は、ほぼ同時期にある3音楽大学(国立音大、東京音大、武蔵野音大)の吹奏楽団のコンサート第2弾、東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブルの第44回定期演奏会です。
昨年も7月に3音大のコンサートへ行かせて頂きました。
音大生の皆さんが去年と比べて、どう“進化”しているか、楽しみです。

P7100266

場所は東京芸術劇場コンサートホール。
開演は18:30。
指揮は同大学教授の山本孝氏。
(5日前に聴かせて頂いた国立音楽大学ブラスオルケターのコンサートと同じホールですので比較する事ができますね。)

P7100264

当日のプログラムは以下のとおりです。

Dsc_0281

[演奏]東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル
[指揮]山本 孝
[ホルン]冨成 裕一
     水野 信行
     守山 光三
     吉永 雅人

Dsc_0283

● シンフォニエッタ  (L.ヤナーチェク/arr.D.ウィック)
 第1楽章 ファンファーレ
 第2楽章 城
 第3楽章 僧院
 第4楽章 道
 第5楽章 市役所
● シンフォニックバンドのためのパッサカリア  (兼田 敏)
● 4本のホルンのための協奏曲  (H.ヒューブラー/arr.山本 正人)

Dsc_0279_2

~休憩~

Dsc_0280

● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ“勇者のマズルカ”  (三澤 慶)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ“祝典行進曲「ライジングサン」  (白岩優拓)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ“復興への序曲「夢の明日に」  (岩井直溥)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ“エンターテイメント・マーチ”  (川北栄樹)
● 2013年度吹奏楽コンクール課題曲Ⅴ“流沙”  (広瀬 正憲)

● 組曲「ハーリ・ヤーノシュ」作品35a  (Z.コダーイ/G.C.バイナム)
   第1曲 前奏曲、おとぎ話が始まる
   第2曲 ウィーンの音楽時計
   第3曲 歌
   第4曲 戦争とナポレオンの敗北
   第5曲 間奏曲
   第6曲 皇帝と廷臣たちの入場

P7100265

開演前の舞台上。
整然と椅子、譜面台、打楽器などがセッティングされています。
それにしても、椅子の数が多いですね。
100は越えているでしょうか?
大吹奏楽団です。
しかし、課題曲の演奏を除いては、ほぼオーケストラ曲です。
ですから、このくらいの人数がいた方が効果的な演奏が期待できるのではないでしょうか?
納得の編成だと思いました。(5日前に聴いた国立音大では曲によって演奏人数に幅がありましたが、東京音大は多少のメンバーの入れ替わりはあったものの、ホルン協奏曲以外は、ほぼ同じ大編成で演奏したのが、興味深く思いました。)

P7100267

開演です。
第1曲目は、「シンフォニエッタ」です。
いきなりの大曲ですね。
サウンドがとてもやわらかくて素晴らしい。
特に金管楽器がいい。
この曲は、どうしても弦の音を意識しないといけないと思うのですけれど、しっかりと管楽器で弦楽器の雰囲気を再現しているように聴こえました。
正直なところ、昨年はパワーや躍動感の方が目立った印象がありました。
ハイレベルの演奏なのだけれど、元気が良すぎるが故にオーケストラ編曲モノは、サウンドに合わない気がしたのを覚えています。(シャブリエの狂詩曲スペインとか。しかし、吹奏楽オリジナル曲は素晴らしく、スミスのフェスティヴァル・ヴァリエーションズなどは“名演”でした。)
しかし、今年は細部まで気を配った演奏がステキです。
実に心地よい時間でした…。

P7100268

次は兼田敏先生の「パッサカリア」です。
そう言えば、兼田先生がお亡くなりなってから、もう10年以上経つんですね…。
感慨深いものがあります。
昨年は東京芸大で同期の保科洋先生の「復興」が脚光をあびましたが、私の若い頃から、吹奏楽界をけん引してこられた兼田先生がご存命であったらと思うと…。
残念でなりません。(兼田先生、保科先生が今日の吹奏楽界の発展の基礎を作ったと言っても過言ではありません。)
余談が長くなりました…。
人数が多いのでド迫力でしたが、私のイメージする「パッサカリア」とは違う演奏のように感じました。
とにかく、素晴らしい演奏で懐かしかった。
前半の最後の曲は「4本のホルンのための協奏曲」。
東京音大で教えてらっしゃる先生方による演奏でした。
ホルンの美しいハーモニーが会場いっぱいに広がり、仕事で疲れた私の頭を随分、癒して頂きました。
東京音大の皆さんも、軽やかに出しゃばらず、素敵な“伴奏”でした。

P7100269

休憩です。
5日前の国立音大の時に比べて、会場には中高生の皆さんの数が多い様でした。
ただ練習するだけではなく、このような優れた演奏を聴くことも、生徒さん達にとって、ひとつの“練習”なのだと思います。
大いに感じとって、見本にして頂きたいなあと浦和のオヤジは考えるのでした。

P7100270

さあ、後半の最初は、本年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲の全曲演奏です。
「Ⅰ」は軽快でリズミカルな演奏に引き込まれましたし、「Ⅱ」は冒頭の金管ファンファーレがとてつもなく、美しかった。
「Ⅲ」は課題曲の枠をこえた、ポップス吹奏楽の楽しさが十分、伝わってきました。
「Ⅳ」はコンサートマーチの見本のような演奏でしたし、「Ⅴ」は楽曲に対する豊かな表現力が際立っていました。
それぞれに完成された演奏を聴かせて頂いたなあというのが感想ですかね。

P7100271

そして、会場に来ていた中高生の皆さんも非常に参考になったことと思います。
と言いたいところですけど、コンクール参考演奏にはチョット…。
どうしてかと言うと、100人を越える大編成、しかも音大生という技術を備えた人間の演奏です。
吹奏楽コンクールでは、中学校で50名、高校で55名という人数制限があります。
人数の違いによって、おのずと個々の吹き方も変わるはずです。
ですから、参考演奏して聴くにはチョット無理があるのではないかと。
しかし、楽曲の鑑賞としては十分に楽しめました!(また、会場には、Ⅰの三澤慶氏、Ⅱの白岩優拓氏、Ⅴの広瀬正憲氏の各作曲者の先生が来場されていました。)
最後はメインの「ハーリ・ヤーノシュ」です。
「ハーリ・ヤーノシュ」の吹奏楽での演奏と言うと私が思い出すのが、第22回の全国大会(1974年、昭和49年)の駒澤大学の演奏です。(古いですねぇ…。)
当時の私にとっては、憧れの演奏でした。
この曲は、私個人の印象として管弦楽曲にもかかわらず、管楽器の方が目立っているような気がします。
だから、吹奏楽でも楽曲が映えるんだと思います。
この日の演奏も物語性のある特色を生かした、まるで絵本でも見ているかのような演奏でした。
何か、独特の世界を醸し出していましたね。

P7100272

そのあと、数曲のアンコールを楽しく演奏して頂きました。
アンコール曲の合間にコンサートミストレスの吉田かなえさん(だと思います。ハッキリわからない…。)が今年、古希を迎える指揮の山本教授に感謝の言葉を述べられました。
実にアットホームですね。
青春だなあってカンジです。
このような心の結びつきによって、あの素晴らしいサウンドが生まれるのだなと感心する事しきり。

P7100273

やっぱり、音楽はハートがものを言う、と妙に納得し、池袋の街をさまよう浦和のオヤジでした…。


ベルリンフィル12人の金管奏者たち

2013-07-13 01:49:49 | アンサンブル

「音楽は誰もが理解できる唯一の共通語です。素晴らしい演奏を皆様にお届けできれば光栄です。」
これは、公演紹介のチラシに書いてあった“ベルリンフィル12人の金管奏者たち”からのメッセージです。
そして、このメッセージどおりの感動を私は感じたのでした…。

P7110282

私が若い頃、ブラスアンサンブルと言えば、やはり、フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルでした。
NHKのFM放送から録音した演奏を繰り返し聴いて楽しんでいた覚えがあります。
自分がン十年前、吹奏楽部でトロンボーンを吹いていたせいか、こういった少人数の金管アンサンブルに非常に興味がありました。
よく、部活の仲間とセッションしましたなあ、目的もないのに…。(その頃は大昔ですので、アンサンブルコンテストなんて、なかったのです。)

P7110279

ここのところ、吹奏楽団という大編成の演奏しか聴いてなかったので、視点をかえる意味で、その日に至ったわけでございました。
しかも、世界最高峰と言っても過言ではない、ベルリンフィルの金管楽器奏者の皆さんの演奏が聴けるのです。(学生の頃は、ベルリンフィルのトロンボーン奏者、ヨハン・ドムスが私にとっての“神”でした!)
いやあ、当日まで楽しみでなりませんでしたよ!

P7110275

2013年(平成25年)7月11日、木曜日、19:00開演。
場所は、東京・初台にある東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル。
そろそろ開演を知らせるベルが鳴りそうです…。

P7110276

[演奏]ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 金管楽器奏者
   【TRUMPET】 ガーボル・タルケヴィ
           ゲオルク・ヒルザー
           ギヨーム・ジェル
           マルティン・クレッツアー
           マティアス・ヘフス

   【HORN】   サラ・ウィリス
   【TROMBONE】クリストハルト・ゲスリンク
           オラフ・オット
           トーマス・ライエンデッカー
           イェスパー・ブルク・ソレンセン
           ウーヴェ・フュッセル

   【TUBA】      アレクサンダー・フォン・プットカーマー

P7110280

当日のプログラムです。

P7110281

PART.1“アリア・アラカルト”

● 組曲《アブデラザール》より
  序曲 - ロンド - アリアⅡ - ホーンパイプ - アリア
  (H.パーセル)
● 教会カンタータ《我らが神は堅き砦》BWV80より
  我らが神は堅き砦
  (J.S.バッハ)
● 歌劇《セヴィリアの理髪師》より
  それは私だわ…だましちゃいやよ?
  (G.ロッシーニ)
● 管弦楽組曲第3番ニ長調 BWV1068より
  G線上のアリアとジーク
  (J.S.バッハ)
● 歌劇《タンホイザー》より
  歌の殿堂をたたえよう
  (R.ワーグナー)
● 組曲《カルメン》より
  アラゴネーズ、アルカラの竜騎兵、ハバネラ、ジプシーの踊り
  (G.ビゼー)

P7110277

~休憩~

P7110278

PART.2“ベルリーナー・ルフト”

● 歌劇《アイーダ》より
  凱旋行進曲
  (G.ヴェルディ)
●《舞台管弦楽のための組曲》より
  行進曲、ワルツ第2番、小さなポルカ、ダンス第1番
  (D.ショスタコーヴィチ)
● 金髪のジェニー
  (S.C.フォスター)
●《ヘイレ・カティ》
  チャールダーシュの情景 第4番Op.32
  (J.フバイ)
● 組曲《三匹の猫》より
  ミスター・ジャムス
  (C.ヘイゼル)
●《グレン・ミラー・ストーリー》
  ムーンライト・セレナーデ - アメリカン・パトロール - 真珠の首飾り - ペンシルヴェニア6-5000 - イン・ザ・ムード
  (グレン・ミラー)

12blech_2013_t

~アンコール~

● オペレッタ《ルーナ夫人》より
  ベルリーナー・ルフト

Dsc_0284

月並な言い方かもしれませんが、素晴らしかった!
どうしたら、あんな音が出るんだろうと不思議でなりませんでした!
全ての楽曲が完璧で、聴いている私に実に幸福な時間を与えてくれましたね。
だから、今回に限って個々の楽曲の感想を述べるのをやめさせて頂きます!
ただひとつだけ。
特にグレン・ミラーのメドレーの時、まるでサックスがいるかのような音が出ていたのが不思議でした。
スゴイ事ですよね…。感動です。

Dsc_0287

最後は、ベルリンフィルのメンバーらしく、ヴァルトビューネ野外音楽堂での演奏会で恒例のリンケ「ベルリンの風(ベルリーナー・ルフト)」で締めくくり、大盛況のうちに演奏会は終了しました。

P7110283

数えてみますと今年は、現在の時点まで吹奏楽を中心に27のコンサートに行かせて頂きました。
その中でも、この日のコンサートはワタクシ的に今年のベスト3に入るものだと確信しました。(あくまでも、7/11現在までの話です。)
帰りの埼京線は、いつものように混み合っておりましたが、そんなことが気にならないくらい幸せな気持ちで家路を急ぐ浦和のオヤジでした…。


国立音楽大学 第54回 ブラスオルケスター定期演奏会

2013-07-08 06:30:46 | 吹奏楽

昨年(2012)の7月は、国立音大(7/8)、東京音大(7/12)、武蔵野音大(7/13)とそれぞれの学校の吹奏楽団の演奏会に行かせて頂きました。
各大学によってサウンドがまるっきり違い、どの学校も素晴らしく非常に有意義な時を過ごす事ができました。
ということで、今年も同時期にある3音大の演奏会に訪れる事となりました。(単に私が行きたかっただけですが…。)

P7050253_2

昨年もコンサートの時期は同じでしたが、会場が違いました。(国立音大⇒サントリーホール、東京音大⇒文京シビックホール、武蔵野音大⇒東京オペラシティ)
しかし、今年は3大学とも東京芸術劇場でのコンサートです。
私のような素人でも、わかりやすく聴き比べができますよ。
楽しみですね。

P7050251

まず最初は、国立音楽大学ブラスオルケスターの演奏会です。(ちなみに7/10が東京音大、7/16が武蔵野音大です。)
正直に申し上げますと、技術的なことではなく、単純にサウンドとして上記3音大のどの学校の音が好きかと言えば、私は圧倒的に国立音大と答えるでしょう。(あくまでも、個人的な意見です。)

Dsc_0271

私が今まで聴いた吹奏楽団の中で最高だと思うのは、「パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団」です。
弦楽器の響きを意識した透明感のある甘く色気のあるサウンド。
たまりませんよ。
そして、そのギャルドの首席指揮者フランソワ・ブーランジェ氏を5年前から迎えての国立音大の定期演奏会。
“パリ・ギャルドの伝統をくにたちの響きで”というテーマのもと、昨年は素晴らしいサウンドを披露して頂きました。
今年は、どうでしょうか?
さて、能書きはこれくらいにして、コンサートの話に移りましょう。

Dsc_0275

2013年7月5日(金) 19:00開演
場所は東京都豊島区西池袋1丁目にある東京芸術劇場コンサートホール。
プログラムは以下のとおりです。

Dsc_0276

[演奏]国立音楽大学ブラスオルケスター
[指揮]フランソワ・ブーランジェ
[トランペット]アンドレ・アンリ

P7050258

● 運命の力 序曲  (G.ヴェルディ/arr.ギルベール)
● 道化師の朝の歌  (M.ラヴェル/arr.F.ブーランジェ‐Y.E.ゴアス)
● トランペット協奏曲  (H.トマジ/arr.Y.E.ゴアス)
 第1楽章 Allegro et cadence
 第2楽章 Nocturne:Andantino
 第3楽章 Finale:Giocoso Allegro

Dsc_0274

~休憩~

P7050261

● 海  (C.ドビュッシー/arr.F.ブーランジェ)
 1.海の夜明けから真昼まで
 2.波の戯れ
 3.風と海との対話

P7050259

“ギャルド・サウンド”を十分に生かせる選曲ですね。
最初の曲は「運命の力」です。
私の若い頃は、コンクールなんかで、よく演奏された曲です。
実に懐かしい。
今年の国立音大は、どんなサウンドを出してくるのでしょう?
息を殺して曲の始まるのを待ちます…。
出だし、金管のミストーンか?
ところが、それ以後がびっくり!
なんちゅう音やねん(失礼!)、と叫びたくなるような音色が会場に広がります…。
私には難しい事はわかりませんが、サウンドがホールの空気に融けていくような感覚に陥りました。
素晴らしい演奏でした。
2曲目は、ラヴェルの「道化師の朝の歌」です。
これも素敵な演奏でした。
この曲独特のリズムが軽やかに音となって弾け、明るい色彩の風景が目に浮かぶようでした。
ギャルドの音に恐ろしく近づいているのではないでしょうか?
休憩前の最後の曲は、「トランペット協奏曲」。
作曲者のトマジのことは、私は知りませんでした。
プログラムの解説によりますと、20世紀のフランスの作曲家のようですね。(この曲は1948年の作品です。)
今回はフランスのトランペット奏者で国立音大講師でもあるアンドレ・アンリ氏を迎えての演奏です。
それにしても、難しい曲ですね。
相当の実力がないと聴くに堪えないものになる曲なのではと思いました。
アンリ氏の素晴らしい演奏技術は会場の観客を魅了しており、私もグイグイと引き込まれていくのを感じました。
特に2楽章のスローテンポなメロディの表現力には脱帽です。
(アンリ氏は観客の拍手に応え、アンコールに1曲披露して下さいました。曲名は後記。)

Dsc_0272

休憩です。
前半の3曲の演奏を思い返してみます。
昨年は、どちらかというと全体のサウンドにおいて、木管楽器の優位性を感じなくもなかったのですが、今年は木管金管問わず、全体的に一段とレベルアップしているように思いました。
着実に“パリ・ギャルドの伝統をくにたちの響きで”というコンセプトは精度を増しています。
もし、このバンドが人間の女の人だったら、惚れてしまいそうです…。

P7050256

さて、大トリの曲、「海」です。
ここまで聴いてきた中で、ここのサウンドに間違いなく合うと思える曲ですね。
私のようなシロウトにはドビュッシーがどのような技法を用いて、この曲を構築しているか全くわかりません。
ただ、「海」というタイトルだけで十分ですと言いたくなるような演奏でした。
鮮やかな色、淡いパステルカラーのような色、それにキラキラと輝く光、そんな様々な“色彩”を表現できていて、印象派の絵画を連想させます。
まさに、しっかりとした表現力の産物と言っても過言ではないでしょう!
ブラヴォーです!

Dsc_0277

アンコール曲目は以下のとおりです。

P7050263

実にノーブルな演奏会でした。
昨年は、メインの曲がガーシュインでした。
それは、それで楽しめたのですが、やはり、ここのサウンドを生かすには今年の選曲がベストですね。
同時にギャルドを意識した演奏は進化しており、年を経るごとに楽しみになって行く気がします。
これからも、その素晴らしい演奏を私に聴かせて下さい!
期待しています!

Dsc_0278

(次の“音大シリーズ”は東京音大です。)

P7050255

今年はパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団が秋に来日します。
私も既にチケットを購入してありますが、楽しみでなりません。
国立音大のサウンドを聴いていたら、ますます待ち遠しくなりました。