浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第61回全日本吹奏楽コンクール 職場・一般の部

2013-10-30 01:42:16 | 吹奏楽

楽しみにしていた全国大会(職場一般の部)です。
しかも、大好きな街、福岡での開催。
昨年の宇都宮市文化会館での全国大会以来、待ち遠しかった。
本音を言うとヤマハ吹奏楽団浜松が最後の「3出[さんしゅつ。3年連続全国大会に出場するとその次の年は1回だけコンクールに出場できないという大会規定。本年度より廃止。]」で出場できないのが残念ですが…。
前日、仕事が終わった足で羽田空港へ。
1時間半あまりで福岡空港に到着。
そして、福岡市営地下鉄で博多駅まで移動します。
10分もかかりません。(福岡空港の良いところは中心部まで非常に近いということですね。)
疲れているので博多駅近くの以前宿泊したことのあるビジネスホテルに急いでチェックイン。
やっと来ました福岡へ!(空腹でしたので、博多駅のラーメン屋さんで“本場”を頂きました。)
ぐっすりと休み明日へと備えます。

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翌朝、早めに起きて博多駅より、バスで福岡サンパレスホールまで。
10分弱で到着です。

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福岡サンパレスホール。
20年以上前に九州支部大会を聴きにきたことがあるような…。
きっと、それ以来の再訪だと思います。きっと…。
最大座席数2316。
堂々たる大ホールです。
私の知っているホールでは、大宮ソニックシティの大ホールに似ていますね。
でも、客席の勾配が緩やかなので広く感じます。

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まず最初に課題曲を紹介します。

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Ⅰ “勇者のマズルカ”[第23回朝日作曲賞受賞作品]  (三澤 慶)
Ⅱ “祝典行進曲「ライジングサン」  (白岩優拓)
Ⅲ “復興への序曲「夢の明日に」  (岩井直溥)
Ⅳ “エンターテイメント・マーチ”  (川北栄樹)
Ⅴ “流沙”〈※高校・大学・職場一般のみ〉  (広瀬 正憲)
   (第5回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)

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さあ、2013年10月20日、日曜日、9:30。
第61回全日本吹奏楽コンクール、職場・一般の部の開幕です。

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『職場・一般の部(前半)』

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1.東北代表 宮城県 名取交響吹奏楽団  (指揮)楊 鴻泰
    [課]Ⅲ [自]ドラゴンの年 (P.スパーク)

課題曲は岩井先生の作品です。
そして、とても、柔らかいサウンドの団体です。
ただ、初めて訪れたも同様のホールなので、響き方が、まだ把握できません。
これは、比較する団体を聴いてからですね。
Eからのサックスソロ。
なぜ、前に出てきて吹くのでしょう?
よく、わかりません。
そして、テンポを揺らして演奏する部分が多かったように思います。
あまり、私の好みではありません…。(クサく感じる…。)
自由曲は私が初めて聴く曲です。
出だしは、ジャズっぽいですね。
とても素敵に感じます。
中間部のスローテンポで音量を抑えたところで、音程の気になるところがあったものの、全体的に非常にまとまった演奏に感じました。
特に最後のtuttiは見事でした!
(演奏中、ほんのわずかな間でしたが、幼児がホール内で泣いていました。こういう、非常識な行為はやめてほしいものです。子供に罪はありません。親の自覚に期待するのみです。)
【金賞】

2.北陸代表 福井県 福井ブラスアカデミー (指揮)奥野 一
  [課]Ⅲ [自]シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」 (福島 弘和)

名取交響吹奏楽団と同じ課題曲Ⅲですね。
クリアなサウンドが好印象です。
前の団体に比べてサウンドの厚みがないような。
ですが、課題曲を演奏しているということを意識したパフォーマンスでした。
コンパクトにまとめようとしている意図が見え、工夫している様子が窺われました。
自由曲は「祈りの鐘」ですか。
もう何年前だろう?
春日部共栄高校の定期演奏会で、この曲の初演を聴いたのは。
ポピュラーな曲になりましたよね。
余計な事はさておいて、曲の冒頭の方で、メロディラインと打楽器やその他のセクションとの間に僅かな乱れがあったのが残念でした。
全体的に安定的な演奏でしたが、他の表現で言えば、大人しい演奏?
個人的な意見としては、もう少し、メリハリを付け、“うたって”欲しかった。
【銅賞】

3.西関東代表 埼玉県 川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮)萩原 亮彦
  [課]Ⅴ [自]沈黙の地球~レイチェル・カーソンに捧ぐ (阿部 勇一)

今年から、同一部門では、ひとりの指揮者が複数の団体を指揮することが出来なくなった全国大会。(支部大会クラスでもそのようですね?)
ですから、指揮は佐藤正人先生ではなく、萩原亮彦先生。
勉強不足で、よく存じ上げなかったのですが、以前に伊奈学園OBを率いて全国大会に出場されたことがあるようです。(また、現在は埼玉県立越谷南高校を指導されているのでしょうか?)
課題曲、最初のサックスソロ、ものすごく、よく響いています。
リズムが各パートでよく揃っていて、素敵です。
“メロディ”を感じることが出来て良い演奏だと思いました。
ただ、終盤でわずかなアンサンブルの乱れを感じたのが残念でした。
自由曲は、冒頭の不協和音が見事でした。
劇場で演劇を鑑賞しているかのようなドラマチックさを感じました。
フォルテシモの良さを発見した思いでした。
パワーが目立った曲とは言え、もっと表現力を評価して欲しかった。
私、“埼玉県人”でありますので、偏った意見かもしれませんが、結果は、非常に残念です。
【銀賞】

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4.東関東代表 神奈川県 Pastorale Symphonic Band (指揮)佐川 聖二
  [課]Ⅲ [自]大いなる約束の大地~チンギス・ハーン (鈴木 英史)

佐川先生の指導されている団体の今年のコンクールでの成績は、あまり芳しくなかった。
西関東支部(埼玉代表)の文教大学は安定していたものの(前日の“大学の部”で金賞受賞)、東京のデアクライス・ブラスオルケスター、東関東(神奈川)のグラール・ウィンド・オーケストラという全国大会常連組も予選敗退し、このパストラーレのみが職場一般の部での全国大会進出です。
パストラーレ・シンフォニック・バンドと私との出会いは昨年5月の川崎市教育文化会館で行われた第2回定期演奏会です。
全然、知らなかったバンドですが、佐川先生が指導されていると聴き、ある意味、“衝動的”に行った演奏会でした。
しかし、1961席を誇る大ホールに観客は、どうみても2、3割以下でした…。
それでも、その年、コンクールに初出場し、神奈川県大会を突破した上、東関東大会で金賞という快挙!
そして、今年は、その東関東大会すら突破し、堂々の全国金賞。
昨年の定期演奏会を目の当たりにしている身からすると、涙が出るほど、うれしいですね。
余計なことを書きすぎてしまいました。
演奏の方の感想です。
他の団体に比べて些か、人数少なめでしょうか?
でも、課題曲Ⅲの華やかさをうまく表現できていたと思います。
音もよく出ていますね。
自由曲に移ります。
土俗的な雰囲気を醸し出している好演でした。
何より、勢いがあります。
特に出だしのフルートソロ、とてもステキでした…。
金賞、納得です。
これからも、頑張って下さい。(来年の定演にも行きますよ!)
【金賞】

5.九州代表 福岡県 飯塚吹奏楽団 (指揮)谷口 宗生
  [課]Ⅳ [自]オリエンタルラプソディ2013~ウインドオーケストラのための
       (片岡 寛晶)

以前から、私個人が気になっていた課題曲Ⅳ、7小節目からのシロフォンとフルート等とのユニゾン。
何か、音量を調節して目立たたなくしているように感じ、あまり、良い印象を持てなかった。(キチンとやっているのだけど、ごまかしているような錯覚に陥りました。)
メロディラインを演奏しているクラリネットが、遠慮しすぎている。
もう少し、積極性を持った方が良いのではと思いました。
全体的には、無難な演奏でしたが、だからこそ、物足りなく感じました。
自由曲。
人数が揃っている割には、それだけのスケール感を感じなかった。
統一したサウンドを感じなかったからでしょうか?
曲のせいか、メリハリに欠けたように思います。
見せ場があればなと感じました。
【銀賞】

6.北海道代表 北海道 上磯吹奏楽団 (指揮)高橋 徹
  [課]Ⅲ [自]バレエ音楽「青銅の騎士」より (R.グリエール/arr.林 紀人)

ポップス調の課題曲Ⅲ。
出だし、トランペットが華やかに炸裂して欲しかった。
少し、お上品過ぎましたかね。
サウンドは重厚な感じがします。
ヨーロッパ的音色です。
だからこそ、明るさが足りない。
そして、軽快さに欠ける。
大変申し訳ない言い方かもしれませんが、サウンドに合わない課題曲だったのでは?
あと、若干、アンサンブルの乱れがあったのが残念でした。
自由曲に入りました。
最初のロングトーン、無造作な感じがしました。(演劇のセリフで言えば、“棒読み”のような…。)
でも、サウンドは、この自由曲にバッチリあってます!
だから、音楽に流れが出来ているように思いました。
ところで(多分ですが)、パートごとの練習が足りないのでは?
その結果、時折、アンサンブルの乱れが起こるのかなあと思いました。(特に木管)
それでも曲のエンドのに向かってのまとまり方は好感が持てました。
【銅賞】

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7.九州代表 鹿児島県 J.S.B.吹奏楽団 (指揮)東 久照
  [課]Ⅴ [自]信長~ルネサンスの光芒 (鈴木 英史)

以前のブログでも紹介したことがありますが、作曲者の意図する課題曲Ⅴを演奏するにあたっての注意点は“対比”の妙を表現することです。
作曲された広瀬正憲氏は「和と洋」「機能と無機能」「繊細さと猛々しさ」と言った、相反する“対比”の表現を意図して曲を書いていらっしゃいます。
その上で、《「メロディ(メロディライン)」を意識して“歌”に心掛け》てほしいとおっしゃっておられます。
しかしながら、この団体の演奏では、この“要素”を感じられなかった。
平板な“音”の羅列はタイクツです…。
自由曲になると元気になってきました。
課題曲とは練習量が違うのではと感じるような演奏でした。
全国大会クラスに出場してくる団体は、それぞれ高い技量を持っていると思います。
それでも、優劣をつけなければならないとするならば、音楽に対する“表現力”の差だと思います。
それでは、その“表現力”の中核は何か?
私が思うに、ズバリ“サウンド”です。
多少のミスがあろうとも、演奏にのめり込んでしまうのは、その団体が持つサウンドですね。
私のような素人のオヤジには、うまく表現できませんが、言葉に表せない独特のサウンドこそ一番の武器だと思います。(私は、以前に全国大会常連の一般バンドの団員の方のお話を窺ったことがありますが、音楽に対する意識が非常に高いレベルにあり圧倒されました。そういった姿勢が確固たる“サウンド”を作り上げるものと確信します。)
そう言ったものを作っていくことがもっと上のステージに進む鍵になるのではないかと思います。
この団体も特徴になるようなサウンドが作れるかどうかがカギですね。
とにかく、観客を意識した“音楽”を演奏して頂けるよう希望します。
“自己満足”では、モッタイナイデス。
【銅賞】

8.東海代表 愛知県 東海市吹奏楽団 (指揮)大澤 健一
  [課]Ⅳ [自]バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲より 
       (M.ラヴェル/arr.大澤 健一)

課題曲の出だしのtutti一音目、破裂音みたいで気になりました。
トロンボーンの後打ち、微妙にずれていたような…。
あと、打楽器がオーバーヒート気味ですね。
それと、触れたくないんですが、ピッコロソロ、ブットンじゃいましたね。
目立つところなのに残念です。
自由曲は「ダフニスとクロエ」です。
一時期、流行った曲も最近ではめずらしいでしょうか?
課題曲の失敗が影響してか、イマイチ、ピッコロに冴えがない。
前半の“夜明け”のところでは、Tuba4、弦バス1であるのにもかかわらず、低音部が弱く感じ、音楽の壮大なスケール感に欠けていたような。
最後の“全員の踊り”では、盛り上がって、躍動感にあふれていて楽しめました。
【銀賞】

9.東北代表 秋田県 秋田吹奏楽団 (指揮)佐藤 正人
  [課]Ⅲ [自]パガニーニ・ロスト・イン・ウィンド (長生 淳)

課題曲Ⅲは、このバンドの持っている明るいサウンドが功を奏して、聴きやすい演奏でした。
メロディラインのトランペット、素敵です。
低音部のリズムセクションがよく響いているので、より軽快に聴こえます。
でも、少し音を出しすぎかな?
出ました!パガニーニ・ロスト・イン・ウインド!
大好きな曲です。
この団体のようにコンクールの自由曲として演奏してみたいですね。
ノリのいい演奏でした。
ただ、イチバン最後のサックスソロのミスは痛かった。
曲の後半の方は、そのサックスソロを頂点として曲を構成していると思うので…。
【銀賞】

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10.中国代表 岡山県 倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニー (指揮)佐藤 道郎
  [課]Ⅳ [自]楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊り
       (R.シュトラウス/arr.M.ハインズレー)

軽快な課題曲でした。
リズムがはっきり聴こえて、ヘンな言い方かもしれませんが、「滑舌の良い」演奏のように感じました。
ただ、個人的には少し躍動感に欠けた演奏のように思いました…。(無難すぎると言うか…。)
自由曲は、サロメですね。
やっぱり、妖艶な雰囲気で泥臭くやる団体が多い中、この演奏は少し違っていました。
ひとことで言えば、キレイな演奏でした。
さらっと感があって、さわやかな雰囲気すら漂わせています。
サウンドのせいでしょうか?
表題音楽としては、ちょっと違うのかもしれませんが、単純に曲として聴くのならば、こういう表現の仕方もアリなのかなと思いました。
それと曲の終盤、盛り上がりましたね。
【金賞】

11.関西代表 兵庫県 尼崎市吹奏楽団 (指揮)辻井 清幸
  [課]Ⅳ [自]交響的断章 (V.ネリベル)

ここまでの課題曲Ⅳとしては、イチバン、私の好みの演奏でした。
各楽器の音がよく響いています。
特に金管楽器のハーモニーは温かみがあって、最高でした。
昨年の全国大会でも感じましたが、この団体のサウンドは非常に素敵です。
自由曲は、交響的断章です。
この曲は、私が若い頃から、様々な団体の演奏を聴いてきました。
聴くに堪えないものや背筋がゾクゾクする名演があったり…。
でも、今回の演奏を聴くと、やり方によっては、こんなにゴージャスな曲になるんだと感心致しました。
特にこの曲の特徴であるアクセントのついた音符が素晴らしい。(フォルテシモもキレイ。)
これぞシンフォニックバンドって感じで、表現力も豊かでした。(先程から申しておりますとおり、確固たる“サウンド”が存在する団体だからこその為せる技ですね。)
途中で、若干のアンサンブルの乱れがあったので、「銀賞」という結果に異論はないですが、個人的には、「金賞」あげたかったように思います。(あくまでも、個人的意見です。)
昨年の「大阪俗謡-」もよかったですし、いいものを毎年、聴かせて頂けて、うれしかった。
【銀賞】

12.四国代表 高知県 鏡野吹奏楽団 (指揮)弘田 靖明
  [課]Ⅴ [自]風の渡る丘 吹奏楽のための (中橋 愛生)

課題曲の最初のサックスソロ、もっとデリケートに入って欲しかった。
メゾピアノなのに音が大きすぎるように思えました。(音量大きくするより、音を響かせるようにした方が…。)
金管の数がちょっとバランス的にどうなのかな?(トランペット4、トロンボーン7、ホルン7、ユーホ5、数え間違えていたらゴメンナサイ。)
全体的にまとまってはいましたが。
自由曲は、中橋先生の曲ですね。
私は聴いた事ないです。
ハッキリは分からないのですが、曲の中でオルゴールとかも使ってますかね?
面白い曲です。
時々、音程が気になるところがあったものの、ひとつひとつの楽器の音が全体的に“統一性”のある響きを持っていて聴きやすかった。
熱演でございました。
【銀賞】

13.東京代表 東京都 東京隆生吹奏楽団 (指揮)畠田 貴生
  [課]Ⅲ [自]宇宙の音楽 (P.スパーク)

一般的にコンクールで演奏する曲は練習量が多いでしょうから、完成度が高くなっていくのは当然です。(全国大会に出場する団体だったら、なおの事です。)
私は、これまで全国大会常連組も含めて、いろいろなアマチュア一般吹奏楽団の演奏会に行かせて頂きましたが、全体的に満足できたと思えた団体は、アンサンブルリベルテ、川越奏和、そして、この東京隆生だけでした。(全国金賞を獲った事のある団体でも、これはチョットと思った演奏会も複数回ありました。なお、私は関東在住ですので関東地方のバンドに限ったことです。決して他の地域の団体が劣っているというわけではありません。)
なによりもサウンドが厚いのが素敵です。
曲が映えるサウンドです。
今回、演奏した課題曲Ⅲもポップス調の曲なので、うまくやらないと演奏者のマスターベーション的な演奏になってしまう可能性があります。
しかし、聴く者を意識した演奏を披露してもらったように感じました。
自由曲は、「宇宙の音楽」。
この団体のサウンドにドンピシャリの選曲だと思います。
出だしのホルンソロは少し、上がり気味だったでしょうか(笑)
パワーを感じさせる演奏。
特に華やかな部分は映えますねぇ。
パーフェクトではないですが、かなりの好演です。
最後のファンファーレというか金管の演奏、今まで聴いてきた「宇宙の音楽」とは違う音が聴こえてきたような?(倍音?)
アレンジしているのでしょうか?
【金賞】

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前半が終わりました。
結果的には特に大きな波乱がなかったように思います。
特に倉敷市民吹奏楽団グリーンハーモニーの皆さん、初の全国金賞、おめでとうございました。
これからも、素晴らしいサウンドを聴かせて下さい。

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『職場・一般の部(後半)』

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1. 東関東代表 神奈川県 横浜ブラスオルケスター (指揮)近藤 久敦
  [課]Ⅴ [自]「管弦楽のための協奏曲」より (B.バルトーク/arr.仲田 守)

課題曲の冒頭、クラリネットが乱れたように聴こえたのは気のせいでしょうか?
演奏的には可もなく不可もなくという感じで、さすが、試合巧者の横浜ブラスと思えました。
ただ、少しダイナミクスに難あり?
音、出しすぎかな?
自由曲。
回転良くメロディが流れ、アンサンブルもステキです。
オケ曲に向いた厚いサウンドで、弦楽器に負けないスケール感を出しています。
それと同時に音に輝きがあります。
曲の終りに向かっての盛り上げ方、近藤先生、さすがです。
東関東大会同様、最後はバッチリ決まりました!
でも何かが、物足りない…。
何なんだろう…、わからない…。
そこが「金賞」と「銀賞」の違いなのでしょうか?
【銀賞】

2. 西関東代表 埼玉県 川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団(指揮)福本 信太郎
  [課]Ⅴ [自]時に道は美し -愛について- (長生 淳)

埼玉県民としては、前半の川越奏和の「銀賞」にいささか動揺しています。
だから、リベルテの演奏が始まる前に勝手にドキドキしてしまいました。
そんな浦和のオヤジとは関係なく、演奏が始まりました。
課題曲。
入りはバッチリでした。
でも、曲が進むにつれて何かしっくりきてないような。
そんな不安感がBのトロンボーンの掛け合いの部分で具現化しました。
僅かではありましたが、ズレたというか、遅れたというか…。
リベルテにしては非常に珍しいミスですね。
その後は、福本先生の棒も冴えわたり、安心して聴けました。
自由曲は素晴らしかった。
長生先生の委嘱作品を実にノーブルに仕上げてました。
この団体は、(何十回と申してきましたが、)サウンドの色っぽさは出色モノです。
特に木管はスゴイ。
他の一般団体にはない独特の世界がありますね。
それにしても、「金賞」を獲得できて、本当に良かった!
【金賞】

3. 東関東代表 千葉県 光ウィンドオーケストラ (指揮)佐藤 博
       [課]Ⅳ [自]「ガリレオの月」より (R.シシー)

激戦の東関東大会を勝ち抜いてきた光ウィンド。
それ以後、どのような進化をしてきたか楽しみです。
課題曲のマーチ。
伴奏低音部がよく響いているので、とても軽快なサウンドに感じます。
特にバスクラリネットの音が良いですねぇ。
自由曲、冒頭のフルートソロは独特な世界を醸し出していますね。
おとぎ話のような不思議な感覚に陥ります。
表現力に長けています。
木管楽器がメロディラインを奏でるとき、とても美しく感じました。
音色がバンド全体で揃っているせいでしょうか?
テンポが早くなった時、多少のアンサンブルに乱れはあったものの全体的に細部まで気を配った演奏だと思いました。
ただ、支部大会からの“進化”という面を考えてみると、私個人としては少し不満が残ったかもしれません。
【銀賞】

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4. 中国代表 山口県 防府吹奏楽団 (指揮)竹中 俊二
       [課]Ⅲ [自]セルゲイ・モンタージュ (鈴木 英史)
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ブラス・クインテッド ウィーン=ベルリン 2013

2013-10-14 05:46:29 | アンサンブル

今年の7月、東京オペラシティコンサートホールで行なわれた「ベルリン・フィル 12人の金管奏者たち」に伺わせて頂きました。
学生時代、トロンボーンを演奏していた私には、B.P.O.の皆さんのその究極とも言えるサウンドにいたく感動し、夢心地のひとときを過ごす事が出来ました。
多人数のオーケストラや吹奏楽団も良いですが、超一流の技術を持った演奏者の小アンサンブルは芸術の極致ですね。

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さて、今回はベルリン・フィルとウィーン・フィルという落語で言ったら、“志ん生”と“文楽”みたいな豪華メンバーによるブラスアンサンブルの演奏会です。
前から、楽しみにしてました!(それと、10月20日の全日本吹奏楽コンクール、職場一般の部を聴きに行く前に、どうしても、脳に超一流の音を刻みつけておきたかったので…。)

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2013年(平成25年)10月9日、水曜日。
場所は、東京芸術劇場大ホール。
演奏者は以下の方々です。

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[演奏]
   【Trumpet】ガボール・タルケヴィ(ベルリン・フィル首席奏者)
         ギヨーム・ジェル(ベルリン・フィル奏者)

   【Trombone】ディートマル・キューブルベック(ウィーン・フィル首席奏者)
   【Horn】   トーマス・イェプストル(ウィーン・フィル奏者)
   【Tuba】 アレクサンダー・フォン・プットカマー(ベルリン・フィル奏者)

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トランペットとテューバで参加しているベルリン・フィルのメンバーは前述した「ベルリン・フィル 12人の金管奏者たち」にも出演されていますね。
素晴らしい演奏をもう一度、って気持ちです。

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演奏曲目は、次のとおりです。

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● フーガ ト短調 BWV578 (J.S.バッハ)
● 金管の魅力 より (S.ペレシュ)
● コントラプンクトゥス 第9番 (J.S.バッハ)
● フランス組曲 より (F.プーランク)
● 金管五重奏曲 第1番 Op.5 (V.エヴァルド)

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(休憩)

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● 金づちをポケットに持った男 より (W.ピルヒナー)
● パヴァーヌ Op.50 (G.フォーレ)
● シュタイアー風舞曲 (J.ランナー)
● リベルタンゴ (A.ピアソラ)
● 天使のミロンガ (A.ピアソラ)
● 5つの艦隊 (T.ガンシュ)

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今回は、小編成のブラスアンサンブルということもあり、前から3列目に陣取らせて頂きました。
イチバン距離的に近かったトランペットのタルケヴィ氏からは、多分、4メートルくらいしか離れていませんよ、きっと。
演奏者の細かい表情まで読み取れ、臨場感が増した気がしました。

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演奏は、予想通り、素晴らしいものでした。
いや、予想以上でした!
この日のメンバーは普段、2つの別々のオーケストラで演奏活動をしています。
やっぱり、楽団が違えば、それぞれに独特のサウンドがあるわけで、一流になればなるほど、それが魅力なんだと思います。
ところが、それぞれの楽器の音が恐ろしいほどに“融合”していて、非常に心地よい。
まるで、化学反応を起こしているような錯覚に陥りそうです。
まさに超一流のなせる技でしょうか?
それと、私のような素人のオヤジが言うのもオコガマシイですが、タンギングにびっくり仰天でした。(表現が古い…。)
シングルでもダブルの時でも、均等な雨粒のように音が会場に放たれ、私を幸福にしてくれました。
どうやったら、どういう練習をしたら、あんな音が出るんだろう?
やっぱり、そう思っちゃいますよね…。

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曲目についていえば、バロック音楽からタンゴのリズムまで聴かせてもらえた多彩な選曲でしたが、特にエヴァルトの金管五重奏曲は懐かしかった!
若かりし頃、カセットテープに吹き込んだフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルの演奏を何回も聴いていた思い出があります。
そして、私の記憶が間違っていなければ、数十年前、“生徒”だった頃、この曲を練習していたような…。
金管パート5人での練習は、鮮明に覚えているのですが、この曲だったかどうか…。
多分、間違いないと思うのですが…。
まあ、余計な昔話は、これくらいにしましょう。

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アンコールの曲は以下のとおりです。

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休憩前の前半では、ホールの空調の風のせいでタルケヴィ氏の楽譜が譜面台から落ちること二度。
そんな時も、わざとミュートを譜面台に立てかけて、譜面の“押さえ”にしてしまったり…。
一瞬にして、アクシデントをユーモアにかえてしまうところに一流の演奏をする人の人間性が垣間見えたように感じました。
また、トロンボーンのキューブルベック氏が曲の紹介や解説をして下さったのもよかった。
もちろん、全部、英語でしたので、100%理解できたわけではなかったですが、朴訥な口調による温かみのあるお話は気品さえ感じた次第。
ともかく、楽しい、そして、心が洗われるような気持ちになった演奏会でした。
本当にいい音楽を聴くと心が豊かになったかのように思えます。
気持ちが安らかになります。
こんな気持ちになるために、私は“音楽”を聴き続けているのかもしれません…。

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10月20日は、この“清らかな気持ち”のままで、福岡サンパレスホールに行ってまいります!


陸上自衛隊 東部方面音楽隊 第60回定期演奏会

2013-10-07 12:36:44 | 吹奏楽

2013年(平成25年)9月27日(金)。
場所は、上野の東京文化会館大ホール。
9月8日の中央音楽隊に続いて、同じ陸上自衛隊の東部方面音楽隊、第60回定期演奏会に訪れました。
今回は、世界的なマリンバ奏者、安倍圭子氏を迎えての演奏会です。
どのようなパフォーマンスをみせて頂けるか非常に楽しみですね。
プログラムは以下のとおりです。

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演奏]陸上自衛隊東部方面音楽隊
[指揮]隊長 3等陸佐 田村 守

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【第1部】

● 行進曲「絆」~復興応援行進曲~ (大沢 宏直)
● ノアの方舟 (B.アッペルモント)
  〈ナレーション:片岡 勝衛〉
● シェナンドァー (F.ティケリ)
● 《東部方面音楽隊第60回定期演奏会委嘱作品》
『竜虎相克』~川中島の戦い~吹奏楽のために (田中 賢)
  第一章「戦い前夜」
  第二章「夜、河を渡る」
  第三章「竜虎相打つ」
  第四章「祈り」

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【第2部】

● 組曲「火の鳥」[1919版] (I.ストラヴィンスキー)
● 「The WAVE」独奏マリンバと吹奏楽のための小協奏曲 (安倍 圭子・和田 薫)
  マリンバ独奏:安倍 圭子

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東京文化会館に来たのは5月にインバル指揮、都響の演奏会以来でしょうか?(その時のメインはブルックナーの9番。)
さあ、19:00になりました。
コンサートの開演です。

まず、最初の曲は、行進曲「絆」。
東部方面音楽隊のオーボエ奏者でもある大沢3等陸曹の作品です。
東日本大震災のために今でも苦しんでおられる被災者の方に勇気を与える、とても良い曲でした。
オープニングにふさわしい曲だと思いました。
次は、アッペルモンドの「ノアの方舟」。
私には、あまり馴染みのない曲ですが、若い方でしたら演奏する機会も多かったのではないでしょうか?
片岡氏の素敵なナレーションが演奏を盛りたてて、心地よい時間を過ごさせて頂きました。
3曲目はアメリカ民謡を題材に作曲されたという「シェナンドァー」。
東部方面音楽隊が演奏する機会が多いとのことで味わいのある演奏を聴かせて頂きました。
第1部、最後の曲は今回の演奏会のための委嘱作品、また、世界初演の曲です。
「竜虎相克」。
武田信玄と上杉謙信の名勝負、川中島の戦いをモチーフにしているようですね。
当然、和的な要素をふんだんに盛り込んだ「動」と「静」の対比を感じさせる曲でした。
個人的感想から言うと映画音楽っぽい気がしました。
いずれにせよ、大熱演でした。

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休憩の後、第2部の開演です。
最初の曲は、大曲の「火の鳥」。
透明感のあふれる演奏で好感が持てました。
ただ、Pastorale Symphonic Bandの演奏会の時も感じたのですが、吹奏楽でこの曲を演奏する時はやはり、100人規模の大人数じゃないと迫力の面でチョット…。
物理的な面は抜きにして、素敵な演奏でした。
さて、トリの曲は、「The WAVE」。
マリンバと吹奏楽の“協演”です。
素晴らしい演奏でした。
安倍先生のエネルギッシュなパフォーマンスは、まるで高校生のような躍動感があり、それでいて、“いぶし銀”のごとく、深みのある音色は観客を魅了していました。
曲も変化に富んでいて、聴く人間を音楽の中に引きずり込む魅力を持った曲ですね。
こうして、プログラム上の曲は全て、終了しました。

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アンコール1曲目は、安倍先生のマリンバ独奏で、ご自身の作となる「祭りの太鼓」。
和太鼓をイメージしてお書きになった作品のようですが、あの大ホールの静寂の中に響くマリンバの音色は、とても心を打つモノでした。

次にサプライズゲストとして登場したのが、ロンドンオリンピック女子レスリング48kg級金メダリスト、小原日登美さん。
陸上自衛隊員でもある小原さんは2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を祝すと共に今後の抱負を語っておられました。

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そして、もうこうなると中央音楽隊の時と同じように会場は、オリンピック招致の祝賀ムード一色に染まります。
東京オリンピックファンファーレに続いて、東京オリンピックマーチ。
安倍先生も加わっての盛大なフィナーレです。

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会場を出た時は、“上野の森”は夕闇に包まれておりましたが、まだまだ、熱気を感じながら京浜東北線の車中の人となった浦和のオヤジでした…。