浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

吹奏楽コンクール雑感

2011-11-25 15:00:40 | 吹奏楽

もう一ヵ月ほど前になりますが、今年は、幸いにも全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴く機会がありました。
前半だけでしたが、非常に有意義な時間であったと思います。
(その時の各団体への感想などは以前にこのブログに書かせて頂きました。)
私は特に専門の音楽教育を受けているわけではありません。
遠い昔の学生時代に吹奏楽をやっていただけです。
ですから、演奏を聴いて感想は述べられますが、批評はできません。
心の感じるままに演奏を受け入れるのみなのです。
コンクールから一ヵ月たって、落ち着いた心でいろいろ考えてみました。オヤジの独り言です。
Cimg0169

今から30年近く前の事です。
私は、その頃、学生で確か土曜日の昼下がりだったと思います。
何とはなしにNHKのFMラジオを聴いていました。
まだ、カラヤンが健在でベルリンフィルとムソルグスキーの「展覧会の絵」(もちろん、ラヴェル版)を演奏し、そのライブ録音の放送でした。
当時、私がアパートで持っていたのは、"ラジカセ″というやつで当然、放送を聴くのに良い環境とはいえません。(一応、ステレオ放送にはなりましたが…。)
しかし、演奏が進むにつれ、自分のカラダが異常に熱くなってくるのを感じました。
それほど、素晴らしい演奏でした。絶句モノです。
(実況していたアナウンサーだか解説者だかも絶句していたように思います。)
音質においては生演奏と比較するのは、あまりにナンセンスです。
それでは、ラジカセから出てくる音で何を感じとって感動したか?
やはり、「情熱」「プライド」「精神力」といったものを私自身が心で感じとったからだと思います。
もちろん、天下のベルリンフィルですから恐ろしく高度な技術を駆使し私たちを魅了している部分も確かにあります。
でも、それ以上に世界トップの自覚と言うか、プライドに裏打ちされた心意気みたいなものが存在すると思います。
彼らには「失敗」という言葉はないのです。
最高の演奏をして当たり前、そして次回は、それより良い演奏をする…だって彼らはベルリンフィルなのだから。
Cimg0207

今回の全国大会で、私が聴いた高校前半の部の中で1校だけ、プライドを感じる団体がありました。
それは、岡山学芸館高校です。
難曲「華麗なる舞曲」に挑戦し、見事な演奏をしてくれました。
しかし、それ以上に、恐ろしくハードであっただろうと予測できる練習が彼らを逞しくしました。
どうだ、我々の演奏をじっくりと聴いてみろと叫んでいるように感じました。
人の心を打つ演奏には、きっと演奏者の心の叫びが聴衆に届くのでしょう。
昨今のコンクールでは、キムヨナのような戦い方をする団体が多くなったような気がします。
いわゆる減点法対策の演奏です。
非常にうまいけど、情熱を感じない、つまらない演奏。
ただ、よい成績をとるためだけの演奏や選曲。
そういう事をしていて楽しいのだろうかと思わざるをえません。
もちろん、金賞はとらねばなりません、コンクールなのですから。
でも、聴衆を魅了させてやろうという気概が必要ではないでしょうか?
岡山学芸館高校が自由曲に選んだ「華麗なる舞曲」は決して金賞を取りやすい曲ではありません。
いや、逆に非常に取りにくい曲です。
そういう難曲だからこそ、チャレンジして栄光を勝ち取る。
この精神は、絶賛に値するものと信じて疑いません。
Cimg0201

何がなんでもやる。
これが日本人の美徳であったように思いますが、今はそれが、なくなってしまったようで残念です。
日本の吹奏楽の発展のためにも、高校生の皆さんには、もっと「熱い」演奏を期待します。