浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

武蔵野音楽大学 ウインドアンサンブル演奏会2012

2012-07-19 01:06:11 | 吹奏楽

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前日に訪れた文京シビックホールも初めてでしたが、その日、2012年7月13日(金)の東京オペラシティコンサートホールも初体験のホールでした。
この日は、ここ一週間に集中していた在京音大の吹奏楽団の演奏会、3校目である武蔵野音楽大学ウインドアンサンブル演奏会のためにここにやってまいりました。
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それにしても、「東京オペラシティコンサートホール・タケミツメモリアル」は素晴らしいホールですね。
ホール内に入ると正面にパイプオルガンが鎮座ましましており、天井が三角のピラミッド型になっていて壮観です。
ホールの形式は、ウィーン楽友協会に代表されるシューボックスタイプです。
コンサート専用ホールとしてかなりのグレードが高いものと思われますし、驚いた事に壁、天井が木で出来ている。
しかも、天井は音響のことを考えて、天然木を使用しているとのこと。また、座席が半分ずつ、ずれており、前の人の頭に邪魔されることなくステージを見ることが出来ます。
至れりつくせりですなあ。
ホワイエも、高級感ただよい、こんなホールで演奏できる方々がうらやましい限りです。
愛称に「タケミツメモリアル」とあるのは、かの有名な故・武満徹先生が企画段階から参加し、オープニングを芸術監督として監修していたらしいのですが、残念なことにその前に他界されたとのこと。
そういった武満先生への感謝の思いを込めての愛称だそうです。

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本日の演奏会はプログラムを見ますと7月7日の熊本、7月8日の長崎と続いたツアーの最終日のようです。
この素晴らしいホールでどんなパフォーマンスをみせてくれるか、ワクワクします。
指揮は、ミネソタ州立セントクラウド大学教授のリチャード・K・ハンセン氏です。
この日のプログラムは休憩をはさんで以下の曲が演奏されました。

1.リオズ・コンバージェンス (J.フリアー)
2.2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
3.ウィリアム・バード組曲 (W.バード/G.ジェイコブ)
4.歌劇「サムソンとデリラ」より ダンス・バッカナール (C.サン=サーンス)
5.トッカータ・マルツィアーレ (R.ヴォーン=ウィリアムズ)
6.愛の力 (P.A.グレインジャー)
7.スプーン・リヴァー (P.A.グレインジャー)
8.おお、大いなる神秘 (M.ローリゼン)
9.2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲より
10.「ザ・ウエスト・シンフォニー」より 第4楽章-地平線に沈む日輪は紅に燃え- (八木澤教司)

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さあ、いよいよ開演です。
気合いを入れて聴くことにします。
最初の曲は、「リオズ・コンバージェンス」。
1980年生まれの新進気鋭の作曲家、J.フリアーの作品で日本初演のようです。
アメリカ的で、リズミカルな明るい曲です。
まだ、出来たばかりの曲(2011年初演)ですが、出版予定もあるようなので日本でも取り上げてみたら面白いと思います。
それにしても、武蔵野音大のサウンドの何と、やわらかい事!
耳にやさしいサウンドです。
プログラムでは2曲目は課題曲の演奏としか書いてありませんが、課題曲Ⅱの「よろこびへ歩きだせ」(土井康司)を演奏してくれました。
今年は、様々な演奏会でこの課題曲Ⅱを聴きましたが、個人的にはイチバンの演奏でした。
やわらかで上品なサウンド。
そして、メリハリの効いたリズムが曲全体を支配しています。
マーチなのに舞踏曲の様な優雅さを感じました。
次は、「ウィリアム・バード組曲」。
プログラムの“解説”によりますと16世紀から17世紀初頭にかけて存命し、王室音楽堂のオルガン奏者として務めながら、作曲家としてもたくさんの曲を残したウィリアム・バードの曲を英国人作曲家ゴードン・ジェイコブ(1895~1984)が吹奏楽に編曲した組曲なのだそうです。
私は、エルガー、ヴォーン=ウィリアムズ,ホルストといったイギリスの作曲家が大好きですが、この曲も彼らの曲と同じように心を落ち着かせてくれる、とても素晴らしいものでした。
(「オックスフォード伯爵の行進曲」「ジョン、いまキスして」「少女の歌」「ウルジーの荒れ地」「鐘」、組曲の中から以上5曲を演奏して頂きました。)
演奏も聴き入ってしまうほどのパフォーマンスでした。
まるで、自分たちの音を知っているかのようなニクい選曲ですね。
4曲目はサン=サーンスのオペラですか。
もちろん、素晴らしい演奏だったのですが、素人なりにひとつ感じた事があります。
世の中に数多ある吹奏楽団といえどもオーケストラに対しての向きあい方がおのおの違うと思います。
それは、パリ・ギャルドに代表される弦の響きを意識した音作りをするか、しないかと言う事です。
武蔵野音大に関して、私が感じたところを申し上げるならば、100%意識してないとは言えないけれども、それよりも管楽器の最高の演奏を目指しているような気がします。
だから、オケの編曲モノでも何か新しい吹奏楽曲のような新鮮さで聴けるのです。
(生意気言ってスミマセン…)

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ここで休憩が入りました。
後半も楽しみです。
しかし、指揮者のハンセン氏は素晴らしい!

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後半1曲目は「トッカータ・マルツィアーレ」。
私は、初めて聴く曲でしたが、まさにヴォーン=ウィリアムズってカンジの曲でした。
実に丁寧な演奏に魅了されてしまいました。
グレインジャーと言えば吹奏楽を愛する者にとっては「リンカンシャーの花束」が有名ですが、本日演奏の「愛の力」「スプーン・リヴァー」も良い曲でした。
この日のプログラムは全体的に似たような曲が多いのだけれど、それでも飽きさせないサウンドが武蔵野音大の魅力ですね。
次は「おお、大いなる神秘」。
この曲は、作曲者ローリゼンが、弁護士マーシャル・ルッターの追悼曲として夫人から委嘱されたものです。
ホルンの出だしのミスや途中のクラリネットのリードミスはご愛嬌として、荘厳な曲をまとめあげており、個人の技量の高さを感じました。
2曲目のコンクール課題曲はⅢの「吹奏楽のための綺想曲“じゅげむ”」 (足立 正)。
リズムにのった素敵な演奏でしたが、個人的にもう少し躍動感があったら、私好みだったのにと思った次第。
さて、トリの曲は武蔵野音大OBの作曲家、八木澤教司氏の作品です。
この曲は何でも千葉県の高校からの委嘱作品で4年計画で1年ごとに1楽章ずつ作曲された大曲です。
今回は、最終の第4楽章の演奏でした。
この楽章の“地平線に沈む日輪は紅に燃え”というサブタイトルが表わすように壮大な曲でした。
それまでの曲とは違い、今様の吹奏楽曲は聴く者にとっては非常に新鮮です。
しかし、武蔵野音楽大学ウインドアンサンブルは、“別の顔”でこの曲を見事に演奏していました。
ブラボーです。(会場に作曲者の八木澤先生がお見えになっており、舞台に上がってご挨拶されました。)

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このあと、上記のアンコール演奏がありました。
特に1曲目に演奏したコンクール課題曲Ⅳの「行進曲“希望の空”」 (和田 信)は素晴らしかった。
今まで聴いた演奏で、(私の中では)ダントツ1位です。
会場に来ていた中高生の皆さんも大いに参考になったことでしょう。
そして、大盛り上がりのうちに演奏会は終了しました。

近い期間の中で、在京3校の音大の演奏を聴かせて頂きました。
期待はしていましたが、それ以上の満足感をどの大学も与えてくれました。
ノーブルで透明感のある国立音大。
パワーと躍動感の東京音大。
やわらかく、温かみのあるサウンドを持つ武蔵野音大。
どれも甲乙つけがたい団体ですが、一つだけ共通するのは、私のような路傍のオヤジにもわかるように吹奏楽の魅力を伝えてくれていると言う事です。

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本当に吹奏楽ってイイものですね。
ますます、好きになってしまいました。

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東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル 第43回定期演奏会

2012-07-17 09:15:31 | 吹奏楽

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文京シビックホールは初めて訪れました。
2012年7月12日(木)、九州では未曾有の集中豪雨で大変な事になっているようですが、東京では小雨降る程度です。
そんな中、東京の北の玄関口、勤務地の赤羽から仕事を終えて文京区に向かいました。
地下鉄「東京メトロ」南北線、赤羽岩淵駅より乗り換えなしで20分弱、目的の後楽園駅に着きました。
文京シビックホールは文京区の複合施設、平成6年に完成した文京シビックセンターの中にあります。
何でも旧文京公会堂跡地に区役所や区民施設など文京区の公共機関を集約させたのが文京シビックセンターなのだそうです。
(蛇足ながら、こういったひとつの自治体の公共施設が一体化された例というのは非常に珍しいとの事です。)
その文京シビックセンターの文化施設の中心が「響きの森 文京公会堂」文京シビックホールです。
客席数は1,802で、プロセニアム形式(「がくぶち舞台」舞台と客席が明確に分かれている)のホールでオーケストラピットも完備し、バレエ、オペラ、ミュージカル等の様々な催し物に対応できます。
「コンサートホール」というよりも「劇場」といったほうが近いのでしょうか?

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会場に着くとホール内に入場を待つ長蛇の列が出来ています。
熱気、ムンムンです。
ホール内に入って見渡してみますと一般的な市民会館ってカンジかなあ。
でも、出来たのが平成6年ですから、もう20年近く経とうというのにとてもキレイでまるで新築のようです。

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さあ、開演時間になりました。
東京音楽大学シンフォニック ウインド アンサンブル 第43回定期演奏会の始まりです。
指揮は、かの有名な津堅直弘東京音大教授。(私にはN響のトランペット奏者のイメージが強いですね。)
プログラムは前、後半に分かれてまして、まず、前半のプログラムは以下の通りです。

1.ツェッペリン伯爵 (C.タイケ/S.ルンデル)
2.フェスティバル・ヴァリエーションズ (C.T.スミス)
3.トロンボーン協奏曲「Rising Box」 (M.ケンツビッチ[津堅直弘])

1曲目は、タイケですか。
演奏しようによっては、重苦しくなるドイツマーチを軽やかに元気よく演奏していて良かった。
それにしても、「響きの森-」とうたっているだけあって、よく響きますなあ。
いいホールです。
2曲目は“フェスバリ”ですよ、楽しみです。
出だしのホルンの音量にビックリしましたが、カッコイイ演奏でした。
U.S. AIR FORCEって感じですよ。
それにしても、このバンドは、とてもffがきれいです。
そして、それがスミスの曲にあってる。
いいものを聴かせて頂きました。
3曲目はゲストに新日本フィルの首席トロンボーン奏者、箱山芳樹先生を迎えてのトロンボーン協奏曲です。
(作曲者のケンツビッチというのは、津堅先生のペンネームであって津堅先生がお作りになった曲のようですね。)
美しいメロディのよい曲でしたが、何よりも箱山先生の柔らかい音質の音色は心が休まりました。
ちなみにプログラムには「初演」と書いてありました。
(アンコールに「リフレクティヴ・ムード(S.ネスティコ)」を演奏して頂きました。)

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休憩をはさんで後半です。
今年度のコンクール課題曲全曲とオケの曲が2曲です。

1.2012年度 全日本吹奏楽コンクール課題曲
  Ⅰ.さくらのうた (福田洋介)
  Ⅱ.行進曲「よろこびへ歩きだせ」 (土井康司)
  Ⅲ.吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」 (足立 正)
  Ⅳ.行進曲「希望の空」 (和田 信)
  Ⅴ.香り立つ刹那 (長生 淳)
2.狂詩曲「スペイン」 (E.シャブリエ/L.カイリエ)
3.ボレロ (M.ラヴェル/村田昌己)

さあ、課題曲メドレーですね。
会場につめかけている多くの中高生におおいに参考となることでしょう。
(演奏中、まわりを見渡して見ますと多くの中高生が真剣に聴き入っている様子が新鮮でした。)
Ⅰは私はどうしても好きになれないですな。演奏は良かったですけれど。
Ⅱについて。
このバンドは私の個人的な印象では金管主体の演奏に聴こえるんですね。
しかし、この曲は木管が目立つので曲全体のバランスが非常によくなったように感じました。
とても素敵な演奏でした。
Ⅲは、この曲の特徴である躍動感を見事に体現していて素晴らしい。
今年、私の聴いた生演奏では文句なくNO.1です。
Ⅳは本領発揮です。
パワーあふれる演奏で観客を魅了しました。
ただ、個人的意見とすれば元気よすぎるかも…。
演奏が終わったあと、指揮の津堅先生が客席にいたひとりの方を観客に紹介して下さいました。
無言だったのでハッキリとはわかりませんが、作曲者の和田 信氏だったのだと思います。
Ⅴ、非常に感銘を受けました。
私にとって難解な曲もすんなりと聴けました。
そして、このような現代曲っぽい曲が非常にあってるなと思いました。

狂詩曲「スペイン」は懐かしいですね。
学生の頃はよく聴きましたが、最近は存在を忘れてました。
いい曲ですよね。
そして、演奏も流れるようなリズムにのって独特の世界を表現しているように感じました。
たまにとんでもなく、キレイなffが聴こえてきて心地よかった。
最後の曲は「ボレロ」。
ほんの4日前にサントリーホールで聴いた国立音大の演奏と、どうしても比較してしまいます。
うーん、どちらも味のある演奏ですね。
ただ、私のようなド素人が生意気にも言わせて頂きますが、ソロ部分の技量はどちらの学生さんも素晴らしく甲乙つけがたい。
きっと、楽団運営のコンセプトが違うんですね。
東京音大は、キレイな「吹奏楽の音」。
それに対して国立音大は弦の音を非常に意識している。
どちらも素晴らしく迷うところですが、結局、ここまでいくと好みなんだと思います。

このあと、下記にあるように4曲のアンコール曲を演奏して下さいました。
(特に津堅先生作曲の「正露丸の主題による4つの変奏曲」は愉快でした。)
そして、少しだけ、思ったのは、メインの曲は吹奏楽曲のハデな曲を聴きたかったなと。
たとえば、スパークの「宇宙の音楽」、スミスの「華麗なる舞曲」とか…。
だって、東京音大の音を聴いてものすごく合ってると思ったから。
素人の勝手なワガママですけど。

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なんにしろ、盛大に演奏会は終了しました。
そして、私は豊かな気持になって、家路を急ぐのでした。
さあ、明日(7月13日)の武蔵野音大の演奏会も、ますます楽しみと思いながら…。


国立音楽大学 第53回ブラスオルケスター定期演奏会

2012-07-10 00:14:20 | 吹奏楽

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2012年7月8日(日)、久々のサントリーホールです。
このところずっと、完全なアマチュアの吹奏楽団ばかり聴かせて頂きましたが、今回は音大の皆さんの演奏会です。
演奏は「国立音楽大学ブラスオルケスター」。
指揮は、パリ・ギャルド・レピュブりケーヌ吹奏楽団の主席指揮者「フランソワ・ブーランジェ」氏です。
ブーランジェ氏と言えば、一昨年のギャルドの東京公演(2010年11月5日 東京芸術劇場)を聴かせて頂き、大変感銘を受けました。
今までの人生で聴いた吹奏楽団の中でNO.1でした。(それ以後もギャルドを超える演奏はありません。)
それ以来の再会?ですね。
非常に楽しみです。

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プログラムは以下のとおりです。
1.序曲「ローマの謝肉祭」(H.ベルリオーズ/P.デュポン)
2.陽気なマーチ(E.シャブリエ/P.デュポン)
3.ボレロ(M.ラヴェル/P.デュポン)
4.ラプソディ・イン・ブルー(G.ガーシュイン/R.ブートリー)
5.パリのアメリカ人(G.ガーシュイン/D.デジレ)

オール、オケの編曲ものです。
本当は吹奏楽のオリジナル作品とか、委嘱の新作とか聴いてみたい気持ちもありますが、指揮者がギャルドの方なので致し方ないでしょう。

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1曲目の「ローマの謝肉祭」を聴いて、びっくりしました。
さすがに音大生だけあって、サウンドのやわらかさは素晴らしい。
特にクラリネットパートの透明感のある音色には、うっとりです。
プログラムの最後の方に書いてありましたが、今回の演奏会のテーマは、“パリ・ギャルドの伝統をくにたちの響きで”ということのようです。
その目的は達成に近づいていると演奏を聴いて深く実感いたしました。
(それがために過去4度連続、ブーランジェ氏を指揮に迎えたとの事。)

シャブリエと言えば、私がすぐ思いつくのは、「狂詩曲“スペイン”」です。
しかし、2曲目の「陽気なマーチ」は初めて聴く曲でした。
軽やかな曲調や演奏が身体中に清涼感を与えてくれるようで非常に好感が持てました。

休憩前の最後の曲は、ご存知「ボレロ」。
(そう言えば、ギャルドの東京公演でも演奏していましたね。)
ド素人の私が言うのも何ですが、ppでこんなに表現力があることに驚かされました。
また、徐々に盛り上がっていくさまは、素晴らしく、曲のエンドを最高の頂点に持っていく技術はさすがです。
各ソロパートの方々も、さすが音大生らしく、個人の技術の高さを感じさせてくれます。
そして何よりも、ブーランジェ氏の演出力には脱帽です。
とにかく、ブラボーでした!

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休憩をはさんで後半の演奏です。

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最初の曲は「ラプソディ・イン・ブルー」。
メインのピアノを弾いて下さるのは、同じ国立音大の小曽根 真 教授です。
小曽根先生はジャズの世界では、かなり高名な方なんですね。
もちろん、小曽根先生の演奏は素晴らしいものでした!
随所にちりばめられたアドリブが非常に心地よく、特にジャズファンでもない私でも引き込まれていく“何か”を感じました。
しかも、クラシックの世界とも、うまく融合していて、不思議な空間を醸し出しており、非常に楽しめました。
いやあ、今日ここに来て本当に良かった。
心からそう思えるひと時でした。
(それと、曲名は、わからなかったのですが、小曽根教授がアンコールで演奏されたピアノ独奏はシビレました。)

トリの曲は、これまたガーシュインの「パリのアメリカ人」。
諧謔味にあふれ、描写力に優れた演奏に観客は魅了されっぱなしでした。(少なくとも私は。)
蛇足ながら、少しだけ思ったのは、ギャルドのブーランジェ氏を指揮に迎えているのであれば、トリの曲はやはり、「ダフニスとクロエ」を聴きたかったかなあと思いました。(あっ!ストラヴィンスキーの「火の鳥」なんかもいいかも。)

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最後に今回の演奏会について思うこと。
全体的にノーブルな印象を持ちました。
フランスを中心とした印象派の音楽にマッチした透明感、躍動感は絶品でした。
最初の方でオケの編曲ものばかりだと批判めいたことを書きましたが、(特にアメリカ人作曲家の)オリジナル曲をこの透明感のある音色で聴くのは、逆にもったいない気がしてなりません。
実は、この後、7月12日に東京音大、7月13日に武蔵野音大、それぞれの吹奏楽団の演奏会が都内であります。
私は、その全部にお邪魔する予定です。
それぞれの団体が、いかに独創性を出して頂けるか、国立音楽大学ブラスオルケスターの演奏を聴いて、ますます楽しみになりました。
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与野吹奏楽団 第14回 定期演奏会

2012-07-04 02:07:10 | 吹奏楽

さいたま市文化センター」は京浜東北線南浦和駅、徒歩7分にあり毎年、吹奏楽コンクールの埼玉県大会や地区大会が行われるため、吹奏楽部員や関係者にはなじみ深いホールです。
(私も昨年の夏、高校Aの部の地区大会をこのホールで拝見させて頂きました。)
そして何より私の自宅から自転車で15分ほどで行ける便利な音楽ホールでもあります。
今回、このホールを訪れた理由は与野吹奏楽団の定期演奏会のためでした。
一週間前、川口リリアで行われたアンサンブルリベルテの定演のプログラムにチラシがはさんであったので場所も近いし、仕事も休みで予定もないし…といった軽い気持ちで訪れようと決めました。
しかし、名前くらいは聞いた事がありましたが、私は与野吹奏楽団の事をよく知りません。
なのでHPを見させて頂きました。(コンクールデータベースも見ました。)
創立は1995年2月。
コンクールには創立の年から出ています。
そして、初めて県大会で金賞を取ったのが2005年、2006年は銀でしたが、2007年には再び金賞受賞。
着実に実力をつけていったようです。
西関東支部大会初出場は翌年の2008年。
しかも、金賞(残念ながら全国大会には進めませんでした。)。
それから、去年までは支部大会に連続出場しています。
以後の西関東大会の成績は2009年銀賞、2010年は再び金賞、そして昨年2011年は銀賞と今は、もうひとつ上の段階への過渡期にあるということでしょうか?
今伸び盛りのバンドなんだなと思い、演奏会が非常に楽しみになってきました…。

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2012年6月24日(日)、雨だけが心配でしたが無事に会場まで自転車で行くことができました。
当日券を購入してホールの中に入ると昨年の高校の地区大会が脳裏によみがえりました。
早いものであれから1年近くたつのかと感慨深く、思った次第。
会場は満員とはいきませんが、定員2,006名のホールがかなり観客で埋め尽くされています。
演奏会は3部構成で、第1部と第3部が与野吹奏楽団のステージ。
第2部がゲストの川口市立芝東中学校の皆さんの演奏と合同演奏です。

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第1部のプログラムです。
1.セドナ(S.ライニキー)
2.交響組曲「風の谷のナウシカ」3章(久石 譲)
3.マードックからの最後の手紙(樽屋雅徳)

「セドナ」は東海大学付属高輪台高校の定期演奏会で聴いたことがありますが、はっきり言ってあまり印象に残っていないので初めて聴く様な気持で聴かせて頂きました。
元気が良くて好感が持てる演奏でした。
「ナウシカ」もジブリの世界に溶け込んでいて良かった。
特にクラリネットの音色は曲に合っていると思いました。
「マードックから―」も冒頭に木管のアンサンブルの乱れが少しあったものの、うまくまとめあげているように感じました。
ただ、第1部、3曲を聴いて共通に感じたことは、ダイナミクスのことです。
音の強弱の振り幅がせまい。
簡単にいうと音を出しすぎているのではないかと思ったのです。
だから、“pp”になった時、音が埋没して聴きヅライ。
生意気にもそんな風に思いました。

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さて、第2部の演奏はゲスト(芝東中)の演奏からです。
1.パイアサの飛翔(R.シェルドン)
2.歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より 交響的間奏曲(P.マスカーニ)
3.「白と黒で」より 第1,2楽章(C.ドビュッシー)
   [合同ステージ]
4.ディスコ・キッド(東海林修)
5.宝島(和泉宏隆)

第1部でパワーを見せて頂いたので中学生では少し線が細く感じるかなと思いましたが、その思いは杞憂に終わりました。
「パイアサの飛翔」は中学生らしく元気よく、良いバランスの演奏でした。
「交響的間奏曲」は、高校生(特に埼玉栄とか・・・)には艶っぽい感じは及びませんが、豊かな表現力を持っていると思いました。
また、中学生で、これだけ音色やピッチが揃っていることに驚きました。
「白と黒で」はドビュッシーの曲との事ですが、恥ずかしながら良く知りませんでした…。
演奏は、前2曲も素晴らしかったのですが、より完成度が増していました。
多分、この曲が今年のコンクールでの自由曲なのでしょうか…。
次は、合同演奏で「ディスコ・キッド」。
オジサン世代にはたまらない選曲ですね。
ひととき、青春時代を堪能させて頂きました。
(昔、この曲を演奏したことがありますが、テンポがもう少し遅いのでは?ディスコミュージックですので。)
「宝島」も楽しい曲で大いに盛り上がりました。
川口市立芝東中学校吹奏楽部の皆さん、本当に御苦労さまでした。
コンクールでのご検討をお祈りしております。
(正直な話、演奏したドビュッシーの曲なんか、全国大会で聴けたら面白いだろうにと思った次第。)

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いよいよ、最後のステージ、第3部です。
1.2012年度全日本吹奏楽コンクール課題曲
  Ⅰ.さくらのうた(福田洋介)
  Ⅱ.行進曲「よろこびへ歩き出せ」(土井康司)
  Ⅲ.吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」(足立 正)
  Ⅳ.行進曲「希望の空」(和田 信)
2.交響詩「ローマの祭り」より Ⅲ.十月祭 Ⅳ.主顕祭(O.レスピーギ)

最初に今年の課題曲の演奏です。
Ⅰは、無難にまとまっていて気持ちよく聴くことが出来ました。
(ただ、私はこの曲が、あまり好きではない。メロディ重視で聴かせどころがよくわからないし、何よりあのトロンボーンのソロが許せない。昔、トロンボーンを吹いてた身とすれば、あまりに間抜けな感じがする。)
Ⅱはすごく良かった。
スローなテンポの行進曲が少し音量も落ち着いた感じにセーブしてくれるし、単純な曲調がこのバンド特有の躍動感を際立たせてくれる。ブラボーです。
Ⅲは落語を題材とした諧謔味をいかに表現するかが課題ではないでしょうか。
与野吹奏楽団の演奏は最初、少しリズムに乗り切れてない部分があったように思いました。
でも、曲が進むにつれて、フットワークが軽快になってきたのがよかった。
Ⅳはこのバンド特有の元気、若々しいサウンドを十分に発揮していました。
でも、私の好みから申し上げますと少し、オーバーヒート気味かなぁ。
トリの曲は「ローマの祭り」。
この曲でコンクールに臨むのでしょうか?
躍動感、スピード感があってエネルギッシュな演奏、素敵でした。
ただ、「勢いがありすぎた感」も少し、感じました。

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すでに実績があり、完成された団体も良いですが、これから階段を上って行こうとするエネルギッシュな団体も素晴らしい。
そんな勢い、躍動感を与野吹奏楽団からは感じました。
少し、元気すぎるところがありますが、若々しさで是非、全国大会出場を勝ち取って下さい。
応援しています。

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それにしても、与野吹奏楽団は与野高校と関係があるのでしょうか?
創団の時期と与野高校の活躍(全国大会出場)がかぶっているような気がするのですが…。
OBの集団なのでしょうか…?

(演奏会から1週間以上、経ってしまいました。申し訳ありません。)