浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

神奈川大学吹奏楽部サマーコンサート2014

2014-06-21 03:18:08 | 吹奏楽

“期待する”って楽しいことですよね。
しかし、思い通りになることは、滅多にないのが世の常です。
でも、神奈川大学の演奏会は、いつも“期待通り”なんですよ。
いや、期待以上の演奏をしてくれる時もある。
だから、来ちゃうんです…。

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久し振りの“横浜みなとみらいホール”です。
今年の1月19日の読響の公演以来でしょうか。
良いホールで好きなんだけれども、埼玉県民にはチト遠すぎる…。

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2014年(平成26年)6月12日、木曜日。
神奈川大学のサマーコンサートに今年もやって参りました。
確か、ここ3年間は来てるんじゃないでしょうか?
横浜まで足を延ばすのは大変なのですが、いつも来てよかったなと思って埼玉まで帰っています。
今年もそう思いながら、帰路を急ぐのでしょうね、きっと。

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[演奏]神奈川大学吹奏楽部
[指揮]小澤 俊朗(音楽監督)

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◆ 行進曲「博奕岬の光」(酒井 格)
◆ シンフォニックバンドのためのパッサカリア(兼田 敏)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅰ
   最果ての城のゼビア(中西 英介)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅱ
   行進曲「勇気のトビラ」(高橋 宏樹)
◆ 吹奏楽のための組曲“ヨコスカの海と風”(小長谷 宗一)
   Ⅰ.戦艦  Ⅱ.歌  Ⅲ.ドブ板通り

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【休憩】

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◆ 吹奏楽のための木挽唄(小山 清茂)
   ・テーマ  ・盆踊り  ・朝の歌  ・フィナーレ
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅲ
   「斎太郎節」の主題による幻想(合田 佳代子)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅳ
   コンサートマーチ「青葉の街で」(小林 武夫)
◆ 2014年全日本吹奏楽コンクール課題曲Ⅴ
   きみは林檎の木を植える(谷地村 博人)
◆ ニライカナイの海から(真島 俊夫)

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プログラムに目を通してみますと今年の課題曲全曲と今年3月の「響宴」でも演奏した2曲、その他の曲と言った構成になっています。
吹奏楽オリジナル曲のみですね。
特に課題曲全曲は、会場に詰め掛けている多くの中高生の皆さんには、大いに参考となることでしょう。
ただ、ひたすら楽器を練習するだけではなく、いい演奏を聴くことも、レベルアップに結び付いていくことだと思うからです。

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そして、開演を知らせる“ドラ”の音がホール内に鳴り響いています。
コンサートの始まりです。

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最初は、酒井格先生の“行進曲「博奕岬の光」”(平成26年度JBA下谷奨励賞受賞作品)。
この曲は、今年3月16日、文京シビックホールにて行なわれた「21世紀の吹奏楽“響宴”」でも神奈川大学によって演奏されました。(「響宴」とは“21世紀の吹奏楽”実行委員会に応募のあった楽曲の中から選考された曲の発表会です。また、選考曲は、未発表か未出版の曲に限られます。ちなみに小澤先生は、“21世紀の吹奏楽”実行委員会の代表をなさっておられます。)
もともと海上自衛隊舞鶴地方隊開隊60周年記念の委嘱作品として作曲されたとのこと。(2012年9月海上自衛隊舞鶴音楽隊により初演。)
舞鶴湾の入り口にある博奕岬(ばくちみさき)をモチーフにした作品。
海上自衛隊の艦艇の雄姿を連想させる上品でありながら、活気のある楽曲です。
コンサートの口開けに相応しい曲と演奏を堪能いたしました。(作曲者の酒井先生も会場にお見えになっておられたようです。)

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2曲目、これは私のようなオヤジにとっては、非常に懐かしい。
兼田敏先生の「パッサカリア」。
私も若かりし頃、何度も演奏しました。
1971年、音楽の友社創立30周年記念委嘱作品として作曲されました。
出だしの低音部のユニゾン、神奈川大学、素晴らしかった!
今まで聴いてきた「パッサカリア」は、ほとんどの演奏が出だしの低音部の音程があってなかったり、揃ってなかったりで、興ざめすることが多かった。
でも、この日の演奏は、聴き慣れた曲であるのにもかかわらず、新鮮な気持ちで聴かせて頂きました。
いずれにせよ、これから先も、ずっと演奏され続けてほしい名曲です。

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続いては、課題曲ⅠとⅡ。
模範となる素晴らしい演奏でした。
特にⅠは、神奈川大の表現力を生かした好演でしたね。
ただ、Ⅱの方は個人的な好みから言うと、もう少し躍動感があったらな、と思いました。

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さて、前半、最後の曲は「ヨコスカの海と風」。
この曲も「響宴」で演奏された曲です。
その時、いい曲だな、もう一度聴いてみたいなと思っておりましたので、こんなに早く聴く機会がおとずれて大変うれしく思いました。
海上自衛隊横須賀地方隊開隊60周年記念の委嘱作品として作曲されました。(2012年6月、海上自衛隊横須賀音楽隊により初演。)
曲は3つの部分より出来ており、それぞれに特徴があります。
最初の「戦艦」は、その名のごとく勇壮な曲です。
艦上で連絡のために使用するサイドパイプ(号笛)が曲の中にも効果的に使用されており、艦艇の雄姿を想像させる実に優れた“演出”です。(「響宴」の時にはホンモノの海上自衛官の方がサイドパイプを演奏されていました。)
「歌」は、“北原白秋の歌詞で有名な「城ケ島の雨」を中心に、横須賀のある三浦半島に由来した曲”を題材にして作られた曲です。
情感あふれる曲調は、どこか懐かしさを感じさせてくれるような味わい深い曲でした。
最後の「どぶ板通り」は、横須賀のダウンタウン、どぶ板通りを題材にしています。
庶民の息吹やアメリカを意識させるような部分がとてもステキです。
特にデキシーランドジャズ風の曲(だと思いますが…。)を奏でるバンダの皆さんが客席内を“行進”しながらの演奏は、横須賀の街を知らぬ人でも“雰囲気”を感じとる事が出来る粋な“演出”でした。(楽譜に指定されているのかも知れません。また、小長谷先生も会場にお見えになっておられました。)
そして、神奈川大学の皆さん、素晴らしい演奏でした!

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後半の方で小澤先生もおっしゃっておられましたが、この日の演奏会は、課題曲は別にして「海」に関係する曲がいくつかありました。
「海」がテーマなのだそうです。
港町、横浜で潮の香りを意識できる楽曲を聴けるなんてステキな演奏会ですね。

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さて、後半、初めの曲は、小山清茂先生の「木挽歌」です。
この曲を聴くと1970年代に全盛だった前橋商業高校の“名演”を思い出します。
非常に懐かしい!
九州地方の民謡を基礎に4つの部分で構成された曲ですが、それぞれに味わい深い演奏を聴くことが出来ました。
特に最初の方の主題を演奏するテナーサックスのソロはブラヴォーでした!
懐かしさや昔のことを思い出して、ウルッときちゃいました…。

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続いては、前半では演奏されなかった残りの課題曲3曲。
Ⅲは、「斎太郎節(さいたらぶし)」という宮城県の民謡を題材に取り上げています。
すぐ前に聴いた「木挽歌」にも共通することなのですが、神奈川大学の和的なメロディを演奏する時の表現力は特筆すべきものがあると感じた次第。
Ⅳは、オーソドックスなコンサートマーチを減点するところがない完璧さで仕上げているように思いました。
ただ、少し上品すぎる様な気もしましたが。
Ⅴは、完成された演奏でした。
多分、神奈川大学はこの曲でコンクールに出場するのでしょうが、明日、全国大会があっても何の問題がないと思える気がしました。
メロディらしいメロディもない曲ですが、音楽を奏でているという印象を強く受けました。
この手の曲、神大、うまいですよね。

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さて、最後の曲は、神奈川大学OBでいらっしゃる真島俊夫先生の作品です。
私は、「ニライカナイ」という言葉の響きから、アイヌ的なものを感じたのですが、沖縄の言葉なんですね。
解説によりますと神奈川大学の委嘱作品で2010年1月の第45回定期演奏会で初演されたとのこと。
「ニライカナイ」とは海の向こうの彼方にある理想郷。
年初にそこから神がやって来て幸せをもたらし、年末に帰って行くという伝説の物語です。
やはり、沖縄という南の島を題材にしているためか実にエキゾチックで美しい曲です。
そして、その雰囲気にパーランク(小型の片皮太鼓)、サンバ(三板)といった沖縄特有の打楽器が花を添えます。
真島先生の曲は素敵な曲が多いですが、同時に表現力を要求されるものが多い。
でも、神奈川大学は見事な表現力で曲を完成させていたのが印象的でした。
トリにふさわしい曲、ふさわしい演奏と感服した次第。

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感動のうちにアンコール。
今回は、以下の通り。
多めの4曲です。
最初は、吹奏楽の大家、故 兼田敏先生編曲による「海」。
海をテーマにした今回の演奏会にふさわしいアンコール曲です。
そして、先日、亡くなられた「吹奏楽ポップスの父」岩井直溥先生へ真島先生が贈られた曲「ベイ・ブリーズ」。
3曲目は、神奈川大学吹奏楽部アンコール曲の定番「美空ひばりメドレー」です。
何回か神大のコンサートを聴きに来ている私には、この曲がアンコールで演奏されないときっと物足りないだろうと思われる名曲です。(今まで、演奏されなかったことは、ありませんでしたが…。)
最後は、いつものようにスーザの「星条旗―」でマーチングの皆さんも一緒に演奏しての“大団円”でコンサートは終了しました。

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冒頭でも少し申し上げました通り、演奏会全体がクオリティの高いものであることに敬意を表したいと思います。
来年、1月の定期演奏会はサントリーホールですね。
必ず行きますよ!!

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会社の同僚から“月餅”を食べたいというリクエストがあったので、みなとみらい駅の崎陽軒の売り場で買って帰った浦和のオヤジでした。
(遅筆お許し下さい。)


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