浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

ヒネモス・ウインド・オーケストラ 第七回定期演奏会

2015-04-28 09:55:28 | 吹奏楽

ヒネモス・ウインド・オーケストラ。

毎年、どこかで名前を聴いたことがある、その程度の印象しか持っていませんでした。(コンクールには出ていないようですね。)

ところが今年に入って、何かのキッカケでこの日の演奏会のことを知りました。(多分、どこかの演奏会でもらったチラシだったような。)

そして、曲目に、とても興味をそそられたのです。

チラシで拝見すると昔の課題曲の名がズラッと並んでいるし、なかなか聴けない曲もある。

初めて、“接する”団体ですが、非常に楽しみに思いながら演奏会当日を迎えました…。

 

「ヒネモス・ウインド・オーケストラ」は、東京都内、練馬区・豊島区を中心に活動拠点を持っている団体のようです。

『吹奏楽オリジナル作品の魅力を追及する』という目的のために『年1回の定期演奏会』『アンサンブル演奏会』『地域の音楽祭への出演など』を中心に活動されているとか。

今回の演奏会は、『ニッポンの吹奏楽』というテーマを掲げ、『日本の吹奏楽業界に多大な影響を与えた内外の作曲家の作品』や『日本人の持つ独自の音楽観に深く根差した作品』を取り上げるのだそうです。

私の好みにピッタリのテーマ、楽しみです。

 

2015年(平成27年)4月19日、日曜日。

昨年の11月、カナディアン・ブラスの演奏会以来の“ルネこだいら”大ホールです。

以前、“ルネこだいら”を訪れた時は気付かなかったのですが、建物に隣接して、でっかい郵便ポストがありますねぇ。

何でも、小平市は、使用出来る旧型の“丸ポスト”が31本あり、東京都の自治体では一番、数が多いのだそうです。

それを記念してか、“日本一大きな丸ポスト”が“ルネこだいら”前に設置されたとのこと。

以上、余談でした。

 

さて、演奏会の方に話を戻しましょう。

プログラムの演奏曲目に目を通してみます。

前半は、オール課題曲ですね。(もちろん、過去の。)

しかも、渋い曲が多い。

『吹奏楽オリジナル作品の宝庫と呼ぶべき過去の課題曲を改めてレパートリーの選択肢と捉えられる某かの機会になるよう願いを込めてのプログラム』なのだそうです。(うれしいことを言ってくれるじゃありませんか!)

休憩をはさんで後半は、「雲のコラージュ」のみが課題曲です。

こちらの選曲は、『抽象的、感覚的な「ニッポンの吹奏楽」』を意図し、『作品に内在する「和」の様式美』を味わってほしいとのこと。

とても、“考えられた”プログラムです。

そして、開演の時間です。

 

[演奏]Hynemos Wind Orchestra(ヒネモス・ウインド・オーケストラ)

[指揮]岡田 渉(音楽監督)

 

ロバート・ジェイガー/ジュビラーテ

Robert Jager/Jubilaté

田村 文生/饗応夫人 ~太宰治作「饗応夫人」のための音楽~

Fumio Tamura/Kyo-oh Fujin

川崎 美保/パルス・モーションⅡ

Miho Kawasaki/Pulse MotionⅡ

間宮 芳生/ベリーを摘んだらダンスにしよう

Michio Mamiya/Berry and Step a Dance

三善 晃/吹奏楽のための「クロス・バイ マーチ」

Akira Miyoshi/“Cross-by March” for Wind Brass Ensemble

アルフレッド・リード/シンフォニック・プレリュード

Alfred Reed/A Symphonic Prelude based on “Black is the Color of My True Lover’s Hair”

 

【休憩】

 

大栗 裕(辻井 清幸 編曲)/吹奏楽のための「大阪俗謡による幻想曲」

Hiroshi Ohguri (arr.by Kiyoyuki Tsujii)/Fantasy on Osaka Folk Tunes for Band

櫛田 胅之扶/雲のコラージュ〈改訂版〉

Tetsunosuke Kushida/Clouds in Collage

グスターヴ・ホルスト(ジョン・ボイド 編曲)/日本組曲 作品33

Gustav Theodore Holst (arr. By John Boyd)/Japanese Suite, Op. 33

大栗 裕/吹奏楽のための神話 ~天の岩屋戸の物語による

Hiroshi Ohguri/A Myth for Symphonic Band – On the Story of “AMENO-IWAYADO”

 

前半は、課題曲を楽しみましょう。

今回のプログラムの曲は、作曲者が“巨匠”ばかりです。

だから、課題曲とは言え、名曲ぞろいですね。

最初の曲は、ジェイガーの「ジュビラーテ」。

1978年(昭和53年)、第26回全日本吹奏楽コンクールの“課題曲A”です。

作曲者のジェイガーは、私の年代には、たまらない作曲家ですね。(代表作のひとつである「シンフォニア・ノビリッシマ」は昔、よく演奏したものです。)

この年は、吹連発足40周年を記念して課題曲は委嘱作品ばかりだったようです。(フランシス・マクベスも委嘱され、課題曲を書いてます。)

この日の演奏は、とても懐かしく聴かせて頂きました。

きれいにまとまった演奏で安心して聴けましたが、もう少し、躍動感やスピード感があると、より良くなるのではと、思いました。

 

そして、ここからは3曲、1994年(平成6年)、第42回大会の課題曲が続きます。

まずは、“課題曲Ⅲ”の「饗応夫人」。

現在は、神戸大学大学院の准教授をされている田村文生先生の作品です。

この曲は、現代でも語り継がれている名曲ですね。

演奏時間は、課題曲史上、もっとも長い約7分、そして、その難易度の高さ。

太宰治の小説がモチーフになった曲ですが、“標題音楽”故か、演奏者にしてみれば、表現力が要求されます。

だからこそ観客は、非常に聴きごたえがある。

そんな気がします。

ヒネモス・ウインド・オーケストラの演奏は、ダイナミクスに留意し、ある部分はデリケートに、またある部分は大胆にと緩急を意識していて良かったと思います。

演奏の加速が増してきたようです…。

続いては、「パルス・モーションⅡ」。

実は、私事ながら、この1994年という年は、人生の中でイチバン吹奏楽から離れていた時期です。

ですから、前述の「饗応夫人」も含めてリアルタイムでは、知りません。

その中でも、この「パルス・モーションⅡ」は何故だか最も印象が薄いんです。

でも今では、とても好きな曲ですが…。

最初、何となく始まったような印象があった演奏でした。

でも、徐々に音楽に流れを感じました。

だから、非常に自然な形で音を受け入れられる…。

各パートのアンサンブルがしっかりとかみ合っていて、一見、機械的にも感じるこの曲の違った形の良さを引き出してくれているように思いました。

1994年の課題曲、前半の最後の曲は、間宮芳生先生の「ベリーを摘んだらダンスにしよう」。(「吹奏楽のための序曲」〈1986〉、「カタロニアの栄光」〈1990〉に続く、3曲目の課題曲です。)

『野に出てベリーを摘み太陽光を満喫するのが北欧の民の短い夏の楽しみ』であると言う事を表現しているそうな。

メロディのモチーフは、『スカンジナビアの舞曲や民謡から』のものだそうです。

ポイントを押さえたリズム感あふれる演奏でしたが、もう少し、メロディラインから読み取れる“諧謔味”が表現されていると良いかなと思いました。

 

“1994年シリーズ”は、一旦、終了。

次の曲は、三善晃先生の「クロス・バイ・マーチ」。

最近、良く取り上げられますよね。

吹奏楽の演奏会では良く耳にします。(今年の3月の“芸劇ウインド・オーケストラ”の演奏会でも聴かせて頂きました。また、三善先生は、1988年〈昭和53年〉の「深層の祭」に続いて2度目の課題曲でした。)

この曲は、1992年(平成4年)第40回大会の“課題曲C”です。

マーチと名前がついてはいますが、色々なことを考えると“それ”を越えた実にセンスの良い吹奏楽オリジナル曲だと思います…。

冒頭からハギレ良いサウンドを聴かせて頂きました。

音色も曲に合っていてバッチリ決まっています。

“曲の最後の一音”に向かって、演奏者全員が同じ方向を向いていると感じられるパフォーマンスは、とても良かった。

但し、途中で独特のリズムに振り回されていると感じられた部分がなかったとは言えませんが…。

 

前半最後の曲は、アルフレッド・リードの「シンフォニック・プレリュード」。

この曲は、1965年(昭和40年)第13回大会の“大学の部・一般の部”の課題曲です。

さすがに私もリアルタイムで、この曲は知りません。

ですが、滅多に聴けないこの曲には縁があるのか、2月の大宮吹奏楽団の演奏会でも聴かせて頂き、今年は2回目の“出会い”でした。

ゆったりとした、どこか宗教色(もちろんキリスト教)も感じられる曲調を持った名曲だと思います。

これからも、色々な団体が色々な機会に取り上げて頂きたいものです。(“Ⅲ”を除いて今年の課題曲なんかより、よっぽど良いかなと思います。個人的意見です。悪しからず。)

ハーモニーやサウンドの融合に気を使った演奏は、とてもステキでした。

最後まで、厳かな雰囲気は崩れず、“至福の時”を与えてくれた…。

 

休憩をはさんで後半は、「和」の中にどっぷりとツカりましょう。

最初は、この日の演奏会の曲の中で最も有名な曲と言っても過言ではないでしょう。

大栗裕先生の「大阪俗謡による幻想曲」。

この曲は、全日本吹奏楽連盟理事長も務められたことのある日本を代表する指揮者、朝比奈隆先生がヨーロッパ演奏旅行に行かれるに際して、ベルリン・フィルからの要請に従って作曲された曲です。

もともと、上記の理由でオーケストラのために作られていますが、今では、まるで吹奏楽のオリジナル曲ように演奏されていますよね。

華やかな曲調に即した演奏でした。

何度聴いても聴き飽きないこの曲を新鮮な感覚で受け入れさせてくれるように思いました。

音量的には十分なのだけれど、この曲の独特の土俗性やスピード感がもう少し出れば、もっと良くなるのではと感じました。

それと、トランペット、少しバテ気味でしたかね?

 

次は、前半から続く、“1994年課題曲シリーズ”?最後の曲、「雲のコラージュ」です。

ゆったりとした、キレイな曲です。(私も大好きです。)

今回は、後に大編成用に出版された“改訂版”の演奏です。

冒頭のフルートソロも含めて、非常に美しい演奏でした。

とても、曲名に即した雰囲気があって良かった。

どこか懐かしさを感じるような“優しい”時間を味あわせて頂きました…。

後半、3曲目は、ホルストの「日本組曲」。

渡欧して活躍した舞踏家伊藤道郎とホルストとの出会いが生んだ楽曲です。

何でも伊藤氏が口笛で吹いた日本のメロディをホルストが書きとめていって作られた曲のようです。

決して激しくはありませんが、「和」的な要素をわかりやすく表現している演奏でした。

なかなかの熱演だったと思いましたが、多少、ソロパートに不安を感じました。

 

さあ、大トリの曲は、またまた、大栗裕先生の「神話」です。

この曲、昔はケッコウ、コンクール自由曲として流行ったんですが、最近はめっきり演奏される機会がなくなりましたね。

いわゆる古事記の「天の岩屋戸の物語」を描いた“標題音楽”です。

メインの曲だけあって気合いが入ってましたな。

徐々に盛り上がってくる感じがとても良い。

サウンドが(どちらかと言えば)深いので、こういう曲に合ってるかも。

最後に相応しい演奏でした。

 

全ての演奏が終わり、アンコール。

曲は、スーザの「雷神」でした。

本音で言いますと、ここまで課題曲にこだわったのだから、アンコール曲は、課題曲として作曲されたマーチをやって頂けるとカッコ良かったかなぁ…。

 

ともかく、今回の演奏会のコンセプトは素晴らしかった!

ただ、バラエティに富んだ内容というだけではなく、アカデミックな側面からも吹奏楽を分析する試みは素晴らしいと思います。

これからも普通と違った切り口で演奏会を開催して頂ければと思います。

期待しています、ヒネモス・ウインド・オーケストラ!


おおみや市民吹奏楽団ジョイントコンサート2015 ~ウェストファーレン・ウィンズを迎えて~

2015-04-27 10:10:42 | 吹奏楽

「おおみや市民吹奏楽団」の演奏を初めて聴かせて頂いたのは、今年1月25日に行なわれた「さいたま市吹奏楽協会第8回合同演奏会」でのことでした。

そして、その時、今回のコンサートことも知りました。

何とクラシック音楽の本場ドイツから、吹奏楽団を招いてジョイントコンサートを開催するとのこと。

うーん、実に興味がワキマスネェ。

と言うことで、2015年(平成27年)4月4日の土曜日に今年2度目となる“さいたま市民会館おおみや”へと向かったのでした…。

 

「おおみや市民吹奏楽団」は、年2回の自主公演を中心に活動されている団体です。

『1993年に秋山紀夫先生を中心とした発起人の方々の呼びかけに旧大宮市内在住または在勤の音楽愛好者』が集まった吹奏楽団とのこと。

地域に根差した活動と同時に、海外への演奏活動もされているとか。

なかなか活発なバンドのようです。

ところが私にとって同じ“さいたま市内”の吹奏楽団、いわば地元の団体にもかかわらず、恥ずかしながら、最近まで存在をよく把握しておりませんでした…。

それは、私が“さいたま市”でも旧浦和市在住ということも影響しているでしょう。( “旧大宮市”と“旧浦和市”は、現在では合併して“さいたま市”と言う政令指定都市になっています。他にお住まいの方々は、なかなか理解できないでしょうが、“浦和”と“大宮”は、それぞれに地域性や住民の意識に独自の文化を持っており、お互い“相容れない”部分があるのです。そのため、なかなか情報が入ってこない。まるで、よその町なのですね…。)

ですが、それ以上に吹奏楽コンクールに出場していないことも大きい。

様々なバンド(特に一般バンド)は、演奏会等の告知をできる限り、やっておられるのでしょうが、私のような吹奏楽愛好者ですら全部を把握することは無理だと思います。

そんな中で吹奏楽コンクールは、私にとっては、楽団の“見本市”的な意味合いが強い。(表現が失礼な感じがする方は、どうかご容赦下さい。)

つまり、コンクールで知る団体が圧倒的に多いのです…。

 

その「おおみや市民吹奏楽団」を指導されているのが、秋山紀夫先生。

全日本吹奏楽連盟副理事長をはじめ、様々な要職に付かれ吹奏楽の発展のために多大な寄与をされた方です。

いわば、吹奏楽界の“レジェンド”ですね…。

個人的に言わせて頂きますと秋山先生と言えば、“ブラスのひびき”の印象が強い。

私が学生の頃、日曜朝のNHK・FMでやっていた番組で様々な吹奏楽作品を紹介していました。

その番組のパーソナリティが秋山先生。

朝の時間帯に似合う爽やかな声で理路整然とした曲の解説を行なう様子に私も毎週、楽しみにしていた番組でした。

今回、初めてお姿を拝見する機会に恵まれ、実に感慨深く思いました。

そして、“あの頃”と変わらぬ“美声”は、昔と些かもかわらず、私の意識まで学生時代にもどった心持ちになりました…。

これからも、お元気でご活躍されることを強く望みます…。

 

一方、今回のジョイントコンサートでドイツより来られた「ウェストファーレン・ウインズ」について。(私には、この楽団について全く知識がございませんので、プログラムの楽団紹介にもとづいて書かせて頂きます。)

このバンドは、『ドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州ザウアーラントに本拠地を置く、アマチュアのプロジェクト吹奏楽団』。

『前身は1982年に創立されたホッホザウアーラント音楽学校所属の吹奏楽団』でしたが、『1996年に独立』したようですね。

『オリジナル曲の委嘱やプロの演奏家との共演などを精力的に行なっており、数々の国際コンクールで優秀な成績を収めてい』らっしゃるとのこと。

アマチュアながら、実力のある団体と推察できます。

 

指揮をされる芸術監督のウルリッヒ・シュミット氏は、『1970年生まれ。ドイツ・エッセン市のフォルクヴァンク音楽大学』でトランペットを中心に専門の音楽教育を受けられました。

その後、様々な団体、音楽学校にて、楽器奏者や指揮者、指導者として活躍してこられた方のようです。

現在は、『ブレーメン近郊のジューケ市内の公立学校にて音楽教師として勤務。』

『ウェストファーレン・ウインズにおいては、当初は客演指揮者として1年間芸術監督を務め、その後2005年にフランツ・シュルテ=ヒュールマンの後任として音楽監督に就任しました。』

 

【第1部】

[演奏]ファミリーウィンズ和

[指揮]秋山 紀夫

 

ようかい体操第一 (菊谷 知樹/arr. 宮川 成治)

Youkai Taisou Daiichi(A Specter Exercise First)/Tomoki Kikuya

日本民謡組曲 (ハロルド・ウォルターズ)

Japanese Folk Suite/Harold L. Walters

 

【第2部】

[演奏]おおみや市民吹奏楽団

[指揮]秋山 紀夫

 

楽劇「ニーベルングの指環」第1夜「ワルキューレ」第3幕第1場前奏曲

ワルキューレの騎行 (リヒャルト・ワーグナー/arr. ロバート・ロングフィールド)

The ride of the Valkyries from the “Valkyries”:The Ring of the Nibelung/Richard Wagner:Arr. Robert Longfield

三つのジャポニズム (真島 俊夫)

  Ⅰ.鶴が舞う Ⅱ.雪の川 Ⅲ.祭り

Les trios notes du Japon/Toshio Mashima

  Ⅰ.La Danse des Grues Ⅱ.La Rivière Enneigée Ⅲ.La Fête du Feu

歌劇「ローエングリン」第2幕第4場より

エルザの大聖堂への行列 (リヒャルト・ワーグナー/arr. ルシアン・カイエ)

Elsa’s Procession to the Cathedral from the “Lohengrin”/Richard Wagner:Arr. Lucien Calliet

 

【第3部】

[演奏]Westfalen Winds e.V.

[指揮]Ulrich Schmidt

 

吹奏楽のための序曲 (フェリックス・メンデルスゾーン/arr. ジョン・ボイド、ウルリッヒ・シュミット)

Overture for Winds – for 11 Wind Instruments or Symphonic Band/Felix Mendelssohn:Arr. John Boyd, Ulrich Schmidt

時代の終わり -予兆《日本初演》 (ロルフ・ルディン)

Vom Ende der Zeit -eine Vorahnung/Rolf Rudin

巫女の詠えるうた (大栗 裕)

Miko no Utaeru Uta/Hiroshi Oguri

 

【合同ステージ】

[演奏]ウェストファーレン・ウィンズ&おおみや市民吹奏楽団

    Westfalen Winds e.V.&Omiya Wind Symphony

 

[指揮]Ulrich Schmidt

歌劇「ヘンゼルとグレーテル」第2幕より

夕べの祈りとパントマイム (エンゲルベルト・フンパーディング/arr. 鈴木 英史)

Evening Prayer and Pantomime from “Hänsel und Gretel”/Engelbert Humperdinck:Arr. Eiji Suzuki

 

[指揮]秋山 紀夫

日本民謡組曲「わらべ唄」 (兼田 敏)

  Ⅰ.あんたがたどこさ Ⅱ.子守唄 Ⅲ.山寺の和尚さん

Japanese folk song suite “Warabe-uta”/Bin Kaneda

  Ⅰ.Where are you from? Ⅱ.Lullaby Ⅲ.An ancient priest in a mountain temple

 

第1部が始まりました。

まず、「おおみや市民吹奏楽団」の関連団体だという「ファミリーウィンズ和(なごみ)」の演奏から。

「ファミリーウィンズ和」は、『老若男女を問わず参加OK』『子連れ参加OK』の『昼間に活動する市民吹奏楽団』というコンセプトのもと『音楽を楽しんで』いるとのこと。

秋山先生を常任指揮者に沖田千佳氏をトレーナーに迎えて活動するアットホームな団体です。

最初は、今、子供たちに大人気の「ようかい体操第一」。(と言っても“浦和のオヤジ”はよくわからないのですが…。)

団員の皆さん方のお子様たち20~30名くらいが演奏に合わせて“たいそう”を踊りました…。

それがとっても愛らしかった…。

1曲目が終わり、すんなり2曲目に進むと思いきや、ここで突然、秋山先生がマイクを握られます。

よく見るとフルートパートの中のひとつの席に花束が飾ってある…。

そして、秋山先生が訥々とした口調で以下の事を話して下さいました。

このコンサートの日より、わずか3週間前の3月14日、練習中にフルートパートの木村さんと言う方が、たおれたのだそうです。(プログラムに書いてある楽団員の名前の中に“木村真希子”さんと言うお名前が見受けられます。多分、この方なのでしょうか?間違っていたら、ごめんなさい。)

すぐに自治医大に搬送されましたが、残念なことにお亡くなりになったそうです。

病名は“くも膜下出血”、まだ、37歳の若さでした…。

そんなお話を聞いたからではないのですが、「ファミリーウィンズ和」の最後の曲、「日本民謡組曲」は情緒あふれる演奏に聴こえました…。

正直言って技術的な部分では、甘いところもありましたが、そういう部分を越えたところにある丁寧さが光る演奏でした。

日本のメロディをちりばめた、この曲は時に郷愁をそそり、時に物悲しく、時に快活…。

なつかしさに心奪われるのは、私が日本人だからでしょうか?

木村さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 

さて、ここで初めての休憩です。

この“さいたま市民会館おおみや”は、緞帳(どんちょう)があるんですよねぇ。

最近、あまり見かけなくなりましたが…。(“緞帳”がわからない学生さん、若い方々は、ご自分でお調べ下さい…。)

 

さて、第2部は、コンサートの主役、「おおみや市民吹奏楽団」の登場です。

最初の曲は、「ワルキューレの騎行」。

一般的には1979年にフランシス・フォード・コッポラ監督の映画「地獄の黙示録」で劇中音楽として使用され有名になりましたよね。(ちなみに、映画で使われた演奏は、ショルティ指揮、ウィーン・フィルだったようです。)

全体的に上品でキレイな演奏でした。

ただ、この曲はやはり、荒々しくして欲しかったかな?

何か迫りくる“威圧感”があってもよかったと思います。

2曲目は、真島俊夫先生の名曲「三つのジャポニズム」。

演奏前に秋山先生が曲の解説をして下さいました。

“優れた楽曲は、たとえ吹奏楽の曲であっても管弦楽へと編曲されることがある。例えば、カレル・フサの「プラハのための音楽1968」。そんな中でも、この「三つのジャポニズム」は、日本の吹奏楽の曲で初めて、オーケストラにアレンジされた曲なのではないか。”

こんな内容だったと思います。

まずは、“鶴が舞う”ですね。

日本の楽団のせいか“和”的なメロディが似合います。

表現力も増したような。

“雪の川”は、とにかく、木管ソロパートが素晴らしかった。

“祭り”は非常に盛り上がってましたね。

“チャンチキ”感がよく出ていて華やかでした。

それにしても何度も聴いた「三つのジャポニズム」ですが、本当に名曲です!

と、感慨に浸っていたら、作曲者の真島先生が会場にいらしていて、ビックリ!

やはり、秋山先生の力がなせる技なのでしょうか?

第2部、最後の曲は、吹奏楽ファンなら定番の「エルザ」ですね。

静かで厳かな雰囲気をよく出していましたね。

曲全般を通して、金管楽器がよくまとまっていて、演奏を“リード”していました。

ただ、全体的にピッチが気になりましたが…。

 

第3部は、いよいよ「ウェストファーレン・ウインズ」の登場です。

アマチュアとは言え、本場ドイツの楽団がどのような演奏をしてくれるのか非常に興味があります。

指揮のシュミット氏の挨拶に続いて、最初の曲は、メンデルスゾーンの「吹奏楽のための序曲」。

滅多に聴けない曲ですけど、今年は2度目になりますね。(今年3月に芸劇ウインドオーケストラの演奏会で聴かせて頂いた以来です。)

前半のゆったりした部分、最初の方で少し、アンサンブルにぎこちなさを感じたところもありましたが、すぐに安定した演奏に。

それにしても、とても透明感のあるサウンドです。

後半の速いテンポのところに入るとエンジン掛かってきましたかねぇ。

曲のフレーズの流れが見事で自然な感じに聴こえました。

また、技術的な面でもアインザッツの処理とかが見事でステキな演奏でした。

さすがに「芸劇ウインドオーケストラ」での演奏には及びませんでしたが…。

2曲目は、日本初演の「時代の終わり -予兆」。

プログラムの曲目解説を見ますと、かなり哲学的なテーマを扱った曲ですね。

ざっくり言うと「死」に対する考え方を扱った曲と言う事でしょうか。

作曲者のロルフ・ルディンは、彼自身の『宗教的、およびスピリチュアルな思考や神学的なテーマについての探求を反映』した作曲活動を行なわれているようです。

難しい曲でした。

いわゆる“現代曲”です。

私のような素人には、どう評価して良いか、わからない曲でした…。

ただ、素晴らしく練習を積んだ演奏だなと思いました。

きっと、やり慣れている曲なのでしょう。

独特の世界観を醸し出していましたね。

第3部も最後の曲となりました。

これは、大栗裕先生の「巫女の詠えるうた」。

大栗先生の作品ですが、私にとっては、初めて聴く曲でした。

曲名からもわかるように土俗的雰囲気がプンプンの神秘的な曲でした。

プログラムに曲の解説が載っていなかったので、調べてみましたら、1979年に作曲されたようです。

青森県の恐山の風景と霊場の“イタコ”を題材にした曲とのこと。

1980年3月26日に尼崎市吹奏楽団第15回定期演奏会で辻井清幸先生の指揮により、委嘱作品として初演されました。

この日の演奏も雰囲気が出ていて、とても良かったと思います。

それにしても、「ウェストファーレン・ウインズ」は、前の曲といい、暗い曲が好きなんでしょうか…。(指揮のシュミット氏が今回の演奏会で日本の曲を入れたかったとおっしゃっておられましたが、日本人の作曲した日本的な曲でも、もっと明るい作品があるのにと思ったので。蛇足ながら…。)

 

祝電の紹介の後、最後は合同ステージです。

最初はシュミット氏の指揮で歌劇「ヘンゼルとグレーテル」。

全体的に楽しんで聴けました。

それと、合同演奏と言う事で、大味なカンジになるのかなと危惧する気持ちもありましたが、驚くほど、ふたつの楽団のサウンドが融け合っていて聴きやすかったように思いました。

大トリの曲は兼田敏先生の曲ですね。

日本人だったら、幼い頃から慣れ親しんでいるメロディが次々と出てきます…。

会場の観客の皆様も大いに楽しまれたのではないでしょうか?

やさしいサウンドにとても温かい気持ちになりました…。

 

アンコール曲は、記憶があいまいなのですが、「旧友」だったでしょうか?

こうして、ジョイントコンサートは盛大に終了しました…。

 

テロだ、内戦だと物騒な世の中ですが、こういう国の垣根を越えた文化交流は、とっても大切だと思いますし、大賛成です。

音楽をはじめとした芸術やスポーツを楽しむことこそが、人間の心を豊かにし、真の平和な世界を作り出す力になるのではないか。

と、真面目に考えてしまった“浦和のオヤジ”でした…。

(また、時間がかかってしまった…。)


青木フィルハーモニー吹奏楽団 第22回定期演奏会

2015-04-13 20:40:15 | 吹奏楽

青木フィルハーモニー吹奏楽団の定期演奏会に行かせて頂くのは二度目になります。

一昨年の第20回の時が最初です。

その前年(2012年)のコンクール県大会で初めて、このバンドに出会い、サウンドの柔らかさがステキだったので、定期演奏会に伺いました。(この時の演奏会の模様もこのブログに書いてあります。)

それから、2年経って、再び聴かせて頂けるのを楽しみにしておりました…。

 

「青木フィルハーモーニー吹奏楽団」は、1992年創団。

川口市を拠点に活動しているアマチュア吹奏楽団です。

年1回の定期演奏会、吹奏楽コンクールを中心に他にも様々な企画で活動を行なっているようですね。

コンクールは、2004、2011、2012と3回、西関東大会に進んでいます。

“群雄割拠”する埼玉県の実力バンドです。

指揮は酒井敦氏。

音大卒業後、川口市内で8年間教員をされたあと、指揮者に転身。

プロアマ問わず、様々なオーケストラ、吹奏楽団の指揮や指導をされ、ご活躍の様子です。今年の4月からは、東京藝術大学指揮科助教に就任されたようです。(詳しくは「青木フィル」のHPをご覧ください。)

 

[演奏]青木フィルハーモニー吹奏楽団

[指揮]酒井 敦(常任指揮者)

 

【第1部】

スタジオジブリの世界

World of Studio Ghibli

 

【第2部】

アルメニアン・ダンス パートⅠ(アルフレッド・リード)

Armenian Dances PartⅠ

   a.杏の木 Tzirani Tzar(The Apricot Tree)

   b.ヤマウズラの歌 Gakavi Yerk(Partidge’s Song)

   c.おーい、僕のナザン Hoy, Nazan Eem(Hoy, My Nazan)

   d.アラギャズ山 Alagyaz(Alagyaz)

   e.行け、行け Gna, Gna(Go, Go)

アルメニアン・ダンス パートⅡ(アルフレッド・リード)

Armenian Dances PartⅡ

   Ⅰ.農民の訴え Hov Arek(The Peasant’s Plea)

   Ⅱ.結婚の舞曲 Khoomar(Wedding Dance)

   Ⅲ.ロリの歌 Lorva Horovel(Songs from Lori)

 

2015年(平成27年)3月29日、日曜日。

私も1階席に座り開演を待ちます。

2階席以上は見えないのですが、ケッコウお客さん、入ってますね。

2002席ある「川口リリア メインホール」が、“満員御礼”に近いんじゃないでしょうか?

 

そうこうしていると、開演時間になりました。

但し、会場の照明は薄暗いまま。

等間隔に同じ音を叩き続けるチューブラーベルに合わせて、しずしずと団員の皆さんが入場してきます。(私は詳しく存じ上げないので、ちゃんと説明できないのですが、この団体の創団や発展に寄与された大木さんと言う方が亡くなられたとのことで“追悼のアナウンス”が流れました。少し、記憶が曖昧なので間違っていたら、ゴメンナサイ。)

そして、サックスのアンサンブルのあと、いよいよ開演です。

 

第1部は、“スタジオジブリの世界”。

これは、理屈抜きに楽しめる音楽でしょう。

どんな年代の方でも、知っているメロディは心が和むし、楽しいですよね。

青木フィルハーモニーのみなさんも感情豊かにのびのびと演奏されているのが印象的でした。

また、賛助出演されていた蕨一中の須賀萌花さんの美しい歌声や横瀬町立横瀬中学校の演奏も素晴らしかった!

何か、“動く絵本”を見る様で、圧巻の45分、とてもステキでした。

 

前半が終わり、ロビーから線路の方をみますと、この時期の風物詩、サクラがきれいです。

まだ、満開ではないようですが、桜を愛でる感情が湧きあがる自分に“日本人”を感じるのは私だけでしょうか?

 

後半は、アルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス」の全曲です。

これまで、色々なコンサートで数多くの「アルメニアン・ダンス」を聴いてきましたが、何度、聴いても飽きないですね。

次世代まで残したいと思える名曲です。

まずは、パートⅠ。

青木フィルの柔らかい音質に合った演奏が好感触。

多少、アンサンブルの怪しい場面もありましたが、全体的にさわやかな印象が際立ちました。

ただ、泥臭くないエキゾチックさがもう少し感じられれば、より、私の好みだったかも。

パートⅡに入って、エンジンが掛かって来ましたねぇ。

丁寧に演奏しているのですが、曲の“終点”にかけての追い込みが良い。

特に木管楽器の“活躍”が目立ちます。

“華麗に”曲は終わりました…。

ただ、多少の“激しさ”もあるとカッコいいんじゃないかと思いました。

それと私のような“吹奏楽オタク”なら渋い選曲だと思うんですが、そうでない一般のお客様にとって、アルメニアン・ダンス全曲を通しで聴くのは、少し疲れるのではと…。

 

プログラム上の曲は、全部終了。

その後に団長の挨拶。(前述の大木先生のことを中心に話されました。)

そして、お馴染みの「エルザ大聖堂への行列」がアンコール曲。

こうして、とても、アットホームで愛にあふれたコンサートが終わりました。

 

「青木フィルハーモニー吹奏楽団」の良いところは、観客目線で演奏しているところ。

アマチュア吹奏楽団の常として、「自己満足」のステージを見せ付けられることが多々、あるのですが、今回の演奏会には“それ”がなかった。

だから、多くの人に楽しめる演奏会になる…。

そんな気がします。

 

これからも、頑張って頂きたい。

それとコンクールに出場するならば、結果を残して頂きたいなぁ。

“Competition”は結果が全てですから。

期待しています!!

 

(演奏会から半月も経ってしまいました…。申し訳ありません。心身共に、すぐれぬ日々が続いたもので…。)


東邦音楽大学・短期大学 ウインドアンサンブル演奏会2015

2015-04-05 23:46:23 | 吹奏楽

東急東横線の“都立大学駅”って降りたことがあったかなぁ、と考えてみる。

だけど、何度考えてみても、駅の印象がないんです。

間違いなく降りたことがない、と思う。

20代の頃、4~5年住んでいた世田谷区の地域と隣接しているのだけれど、同じ東急電鉄ながら路線が違ったので、あまり馴染みがない地域です。(私の住んでいたのは東急田園都市線の“駒澤大学駅”付近。ちなみに“田園都市線”は、私が学生の頃は、渋谷~二子玉川の間は、“新玉川線”と言っていた。)

その“都立大学駅”で初めて降車することになったのは、“吹奏楽”を聴きに行くためです。

 

2015年3月20日、金曜日。

「東邦音楽大学ウインドアンサンブル」の演奏会が“めぐろパーシモンホール”で開催されました。

東邦音大と言えば昨年の暮れ、東京都北区王子にある“北とぴあ さくらホール”であった「ウインドオーケストラ」の演奏会にも行かせて頂きました。

しかし、今回は「ウインドアンサンブル」の方ですね。

メンバーの方は、大きく違わないのでしょうが、吹奏楽の授業の成果発表としての団体が「ウインドオーケストラ」。

有志による学生主体の『企画・構成・運営』で行なわれるのが、「ウインドアンサンブル」です。

そう言えば、「ウインドアンサンブル」も「ウインドオーケストラ」も私、ケッコウ聴かせて頂いてるんですよね…。

 

話を演奏会当日の3月20日にもどします。

開演時間に合わせて“都立大学駅”に降り立った“浦和のオヤジ”は、改札から出て左折、しばらく歩くと目黒通りが見えてきます。

都立大学駅前交差点を横切って、しばらく歩くと少し坂になっています。(多分、“天神坂”と言うらしい…。)

その坂を登りきったところが、“めぐろパーシモンホール”。

 

『めぐろ区民キャンパス』の中に財団法人目黒区芸術文化振興財団が運営する“めぐろパーシモンホール”はあります。

『めぐろ区民キャンパス』は、東京都立大学人文学部の跡地に建てられた目黒区の複合施設で、“めぐろパーシモンホール”の他に図書館、葬儀場、身障者センター等があるようです。(“都立大学駅”と言いながら、都立大学は、ないようですね。もっとも、都立大学自体も“首都大学東京”と名前を変え、存在しなくなりましたが…。)

 

“めぐろパーシモンホール”の概要について。

2002年完成と言いますから、比較的新しいホールですね。

座席数1200の大ホールと同200の小ホールがあります。

今回、演奏会が行なわれたのは、大ホールの方です。

典型的なプロセニアム形式のキレイなホールでした。

 

[演奏]東邦音楽大学・短期大学ウインドアンサンブル

[指揮]磯部 周平(東邦音楽大学特任教授)

 

ハンティンドン・セレブレーション (P.スパーク)

A Huntingdon Celebration/Philip Sparke

マードックからの最後の手紙 (樽屋 雅徳)

The last letter from Murdoch/Masanori Taruya

カンタベリーコラール (J.ヴァン=デル=ロースト)

Canterbury Chorale/Jan Frans Joseph Van der Roost

交響詩「魔法使いの弟子」 (P.デュカス)

L’apprenti sorcier , scherzo symrhonique/Paul  Abraham Dukas

 

【休憩】

 

マーチ「ブルースカイ」 (高木 登古)

March“Blue Sky”/Tohko Takagi

梁塵秘抄 ~熊野古道の幻想~ (福島 弘和)

RYOJINHISHOU ― Fantasy of KUMANOKODO/Hirokazu Fukushima

交響曲第3番より 第3楽章 第4楽章 (J.バーンズ)

Third Symphony/James Charles Barnes

      Ⅲ.Mest for Natalie

      Ⅳ.Finale, Allegro giocoso

 

コンサートの幕開けは、スパークの「ハンティンドン・セレブレーション」。

私の記憶が正しければ、初めて聴く曲だと思います。(“ハンティンドン・コンサート・バンド”創立10周年記念作品)

スパークらしい明るい曲。

民謡風のメロディがあるせいか、どこか懐かしく親しみやすい感じもしました。

軽快な演奏は、コンサートの幕開けにふさわしかった。

2曲目は、吹奏楽ファンにとってはポピュラーな曲、「マードックからの最後の手紙」。

私でさえ、今まで何度も聴いたことのある曲です。

抒情感あふれる曲調は、複雑な感情が入り混じっているのを感じさせます。

ドラマチックに仕上げた演奏でした。

ただ、あと少しだけ、メロディを感情豊かに歌い上げることが出来たら、と思いました。

3曲目、「カンタベリーコラール」。

この曲、個人的に好きなんですよね。

最初のイングリッシュホルンのソロ、ステキでした。

ゆったりした曲に丁寧な演奏、好感が持てます。

時々、目を見張るような素晴らしいアンサンブルの響きが聴こえてきます。

反面、ソロ楽器中心に若干、ミスがあったのが残念でしたが。

全体的に低音楽器がよく響いていて、良い意味で“曲を支配”していたので、心地よいサウンドに仕上がっていました。

最後の金管楽器によるミュートのロングトーン、とても美しかった。

前半最後の曲は、デュカスの「魔法使いの弟子」。

この曲は、クラシック音楽に興味のない方でも、おそらくご存知の曲です。(ディズニーの“名”アニメーション、「ファンタジア」で使用されたことで幅広く認知された曲ですよね。)

最初、ハープの調子が悪かったのか若干、曲が始まるのに手間取りましたが、無事に演奏開始。

初めこそ、不明瞭な感じで始まった感もありましたが、曲が進むにつれて表現力が増してきたように思いました。

この曲を聴くと、どうしてもミッキーマウスの姿が思い浮かんでしまいますが、それにも十分、“対応できていた”演奏でした。

ただ、多少、“おとなしめのミッキーマウス”でしたが…。

 

休憩中。

前半の演奏を振り返りながら、ホール内の自分の席で大きく深呼吸をしてみる。

すると、鼻孔をくすぐる“木の香り”。

いい匂い、新しいホールの香りです。

とても、好きなんですよ、私。

美しい音楽と共に心が洗われるような気がするんですよね…。

 

後半、最初の曲は、マーチ「ブルースカイ」。

2007年度、第55回全日本吹奏楽コンクールの課題曲。

底抜けに明るく、美しいメロディが特徴です。

パワーあふれる演奏でした。

若者らしい、ハツラツとしたさわやかなサウンドに納得。

続いては、福島弘和先生の作品、「梁塵秘抄~熊野古道の幻想~」です。

『楽曲解説』によりますと、「梁塵秘抄」とは、“後白河法皇が流行歌謡詩を集めたもの”なのだそうです。(そう言えば、学校で勉強しましたよね?)

この曲は、2006年和歌山県立田辺中学・高等学校吹奏楽部の委嘱で作曲されました。

“和的”な感じが前面に出た演奏でした。

ある種の“標題音楽”ですから、雰囲気を出すのは、非常に重要なことです。

そういう意味では、的を射た演奏だったと思います。

トリの曲は、バーンズの「交響曲第3番」。

比較的、コンサートで演奏されることが多い曲のように思います。

この日は、第3、4楽章のみの演奏のようですね。

特に第3楽章は、バーンズが幼くして亡くなった愛娘に捧げた音楽で、単独で演奏されることも多いです。

その第3楽章「ナタリーのために」は、丁寧な演奏でしたが、私の好みから言うと、もう少し、叙情的な感じが出ると良かったかも。

第4楽章は、とても華やかでした。

バーンズの魅力を如何なく発揮して頂けたと思います。

 

演奏後、楽団のインスペクターである本郷海音さんが舞台に登場し、挨拶されました。

ほとんどがこのバンドを指導されている先生方への感謝の言葉で、その愛情あふれるスピーチは学生の皆さんが、いかに素敵な環境の中で学園生活を送っているか、推測するに余りあるものでした…。

そして、指揮の磯部先生と共に指導されている益田善太東邦音大講師(フルート専攻)も登場し、ふたりの先生方に花束贈呈。

見ている観客の私でさえ、ホッコリした気持ちになりましたね。

 

アンコールは、上記の2曲。

特に大好きな行進曲「アルセナール」は、“浦和のオヤジ”も大満足!(ちなみに指揮は益田先生。)

楽しく、演奏会は終わりました…。

また、行かせて頂きますね。

でも、場所は、「ウインドオーケストラ」が演奏会を行った“北とぴあ”がいいですね。

だって、私は埼玉県人。

王子は近いもの…。