浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

平成27年度 東京都大学吹奏楽コンクール(10団体しか聴いてません…)

2015-08-29 18:38:39 | 吹奏楽

私は、吹奏楽のコンサートに行くのが大好きです。

ですが、8月は吹奏楽コンクールの時期でもあり、プロ以外の演奏会が行なわれることが極端に少なくなります。

8月2日の埼玉県大会、大学・職場一般の部に行かせて頂いて以来、3週間近く、楽器の音を聴けない毎日が続き、悶々とした日々を過ごしておりました…。(8月18日、文京シビックホールで行われたシエナのコンサートに行く予定にしておりましたが、うっかりしてチケットを取り忘れ、気付いた時には“SOLD OUT”でした…。)

 

そんな、2015年8月22日の土曜日。

私は仕事が休みでした。(私は、決まった曜日が休みではなく、不定期な“休日”の仕事なのです。)

午前中に、独り身の悲しさか“家事”を終え、時計の短針と長針が重なり合おうとしている頃、自宅でこの日の予定を思案しておりました。

何気なく、PCをいじって、おりましたら、どこかの大学の方が「今日、コンクール本番です。頑張ります。」みたいなことをツイートしてる。

良く見てみると「東京都大学吹奏楽コンクール」が開催されているというでは、ありませんか!

あれだけ、吹奏楽に飢えていたのに…。

“大”後悔です…。

 

さっそく、PCで調べます。

場所は、“江戸川区総合文化センター”ですね。

どこにあるのだろう…、新小岩か。

遠いなぁ。

しばし、考えたのち、まるで会社に遅刻した時のように大慌てで自宅を飛び出したのでした。

 

私は、日頃から、なるべくコンクールも聴きたいと思っています。

ですから、地元、埼玉県を中心に毎年、行かせて頂いております。

しかし、東京都の大会は日程が重なることが多く、他県だと、どうしても神奈川に行ってしまう。(それに神奈川県大会とか、とても面白いのです。)

今年も予選の日程表を見ていて、東京は無理だなぁと思っておりました。

迂闊でした。

“見落とし”ですね。

考えてみると東京都のコンクールに行くのは“全部門”を通じて初めてなんです。

どういう事になるのか?

いずれにせよ急ぎ、“新小岩”へと向かう“浦和のオヤジ”でした。

 

電車で1時間余り、JR新小岩駅に降り立ちました。

会場まで確か徒歩で15分と案内に書いてあったような…。

バス便もあるようですが、よくわからないし、タクシーは金がもったいないし…。

健康のために歩いて行くことにしました。

でも、これが案外、遠かった…。

真夏の炎天下、汗だくになりながら、会場の江戸川区総合文化センターに到着。

ここは初めて来るホールです。

昭和58年(1983)の開業と言いますから、もう30年以上経過しているんですね。

舞台となる大ホールは客席数1497の大きなホールです。

典型的なプロセニアム方式の多目的ホールは、少し勾配がきついように思われましたが、堂々たる威容を誇っています。

 

急いで、当日券を購入し、大ホールのホワイエへ。

その時は、どこかの団体の演奏中でした。

中には入れません。

ホワイエには数台のテレビモニターが設置されており、また、スピーカーで“音”も流しています。

聴いていると、ちょうどラフマニノフの「交響的舞曲」が始まったばかりのようです。

プログラムで確認してみますと13番目の青山学院大学の自由曲ようですね。

つまり、23団体中、半分も聴けないのか…。

あらためて、後悔しましたねぇ。

 

と言う事で14番目の大東文化大学から10団体の演奏を聴かせて頂きました。

私の世田谷にある母校の演奏(「金賞」で都大会出場できるようです)や、佐藤正人先生の率いる立正大学の「おほなゐ」、いわゆる唯一の「ダメ金」であった専修大の他の金賞団体との違いとか聴いてみたかった気がしますが、物理的に無理なものは致し方ありません。(幸い、後半に都大会に進んだ団体が多かったので重量感のある演奏が聴けてラッキーな部分もありました。)

今回は、聴くことができた団体から“感想”を述べさせて頂きましたが、一応、プログラムに載っている全団体の内容は書きましたので、ご覧下さい。

まずは、毎度おなじみ課題曲の紹介から。

 

【2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】

Ⅰ.石原 勇太郎/天空の旅-吹奏楽のための譚詩-(第25回朝日作曲賞受賞作品)

     Yutarou Ishihara/Pilgrimage – Ballade for wind orchestra

Ⅱ.佐藤 邦宏/マーチ「春の道を歩こう」

     Kunihiro Sato/Walk down the Spring Path March

Ⅲ.西村 朗/秘儀Ⅲ-旋回舞踊のためのヘテロフォニー-

     Akira Nishimura/HigiⅢ – Heterophony for Whirl Dance

Ⅳ.田坂 直樹/マーチ「プロヴァンスの風」

     Naoki Tasaka/March “Wind of Provence”

Ⅴ.朴 守賢/暁闇の宴〔※高校・大学・職場一般のみ〕

  (第7回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)

     Park, Soo-Hyun/The Scintillating Dawn

 

【審査員紹介】

石津谷 治法(習志野市立習志野高等学校吹奏楽部 音楽監督)

大浦 綾子(東京佼成ウインドオーケストラ クラリネット奏者)

久保 昌一(NHK交響楽団 首席打楽器奏者)

森田 一浩(作曲家)

山内 研自(東京フィルハーモニー交響楽団 ホルン奏者)

 

【大学の部】

 

1.國學院大學体育連合会吹奏楽部 (指揮)杉山 淳

 [課]Ⅱ[自]交響的神話「木花之佐久夜姫」(青島 譲二)

[銀賞]

 

2.国士舘大学吹奏楽部 (指揮)津守 祥三

 [課]Ⅲ[自]Jalan-jalan ~ 神々の島の幻影~(高橋 伸哉)

[銅賞]

 

3.學習院大學應援團吹奏楽部 (指揮)岩下 光樹

 [課]Ⅰ[自]アパラチアの春(アーロン・コープランド/編曲 森田 一浩)

[銀賞]

 

4.拓殖大学麗澤会総務局吹奏楽部 (指揮)樫野 哲也

 [課]Ⅱ[自]歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(ピエトロ・マスカーニ/編曲 高世 聡一郎、樫野 哲也)

[銅賞]

 

5.日本大学吹奏楽研究会 (指揮)石井 孝明

 [課]Ⅱ[自]アウディヴィ・メディア・ノクテ(オリヴァー・ヴェースピ)

[銀賞]

 

6.創価大学パイオニア吹奏楽団 (指揮)磯貝 富治男

 [課]Ⅱ[自]アッフェローチェ(高 昌帥)

[金賞・代表]

 

7.早稲田大学応援部吹奏楽団 (指揮)佃 馨

 [課]Ⅳ[自]バレエ音楽「青銅の騎士」より(レインゴリト・グリエール/編曲 石津谷 治法)

[銀賞]

 

8.駒澤大学吹奏楽部 (指揮)二宮 和弘

 [課]Ⅳ[自]ニーベルングの指環より(リヒャルト・ワーグナー/編曲 稲川 榮一)

        Ⅰ.ジークフリートとブリュンヒルデを包む愛の光

        Ⅱ.ヴォーダンの怒り

[金賞・代表]

 

9.立正大学吹奏楽部 (指揮)佐藤 正人

 [課]Ⅲ[自]「おほなゐ」1995.1.17 阪神淡路大震災へのオマージュ(天野 正道)

[金賞・代表]

 

10.明治大学応援団吹奏楽部 (指揮)石津 成人

 [課]Ⅱ[自]歌劇「トゥーランドット」より(ジャコモ・プッチーニ/編曲 後藤 洋)

[銀賞]

 

11.専修大学吹奏楽研究会 (指揮)大橋 晃一

 [課]Ⅱ[自]交響的詩曲「地獄変」(福島 弘和)

[金賞]

 

12.東京理科大学Ⅰ部体育局吹奏楽部 (指揮)金田 耕一

 [課]Ⅱ[自]Rhincodon typus ~蒼き海の守り神~(樽屋 雅徳)

[銀賞]

 

13.青山学院大学学友会吹奏楽バトントワリング部 (指揮)山岡 潤

 [課]Ⅴ[自]交響的舞曲(セルゲイ・ラフマニノフ/編曲 森山 祐美)

[銀賞]

 

ここから、私も聴かせて頂きました。

ホール内は、涼しいのですけれど、まだ私の身体からは汗が噴き出しています。

でも、徐々に集中して演奏にのめり込んでいきました…。

 

14.大東文化大学学生自治会文化団体連合会吹奏楽団 (指揮)野村 秀樹

 [課]Ⅰ[自]交響曲第3番ハ短調「オルガン付き」(カミーユ・サン=サーンス/編曲 マーク・ハインズレー)

まずは、大東文化大学からです。

課題曲Ⅰの演奏。

人数は少なめですね。

25~6名というところですか?

演奏が始まりました…。

打楽器とか元気が良いのだけれど、聴こえにくいパートもある。

特にメロディのセクションが浮き出てこないと、曲としてどうなのかなと思います。

全体的にダイナミクスの振り幅が少なく、よって単調に感じました。

それとピッチが気になるところがあったのが残念でした。

自由曲は「オルガン付き」ですね。

原曲は、曲名が表わしているとおり、オルガンを使う規模の大きな曲です。

ですから、華やかで壮大でなくてはなりません。

吹奏楽で扱う場合、私が考えるに100名くらいは演奏者いた方が良いのではと思います。

そうでないと、この曲の雰囲気が出せないからです。

こういう点から考えると、このバンドの規模で自由曲に選ぶのは…。

どうしても無理な部分が出てきて負担になるところがある演奏でした…。

[銅賞]

 

15.桜美林大学吹奏楽団 (指揮)芹野 浩三

 [課]Ⅱ[自]喜歌劇「微笑みの国」セレクション(フランツ・レハール/編曲 鈴木 英史)

課題曲は、“Ⅱ”。

若干、ゆったりとしたテンポのように思います。

そのせいかわかりませんが多少、軽快さに欠けるような…。

コンサートマーチと言うより、本来のマーチに近いような感じがします。

あと金管の音の処理の仕方が気になりました。(“後押し”がキツイように聴こえます。)

自由曲はオペレッタの名曲で最近では吹奏楽でも、しばしば取り上げられる曲です。

最初は、恐る恐る演奏しているように聴こえました。

メロディを歌っている感じがしなかった。

だから、楽しそうな雰囲気が出されていない。

でも、そんな感じも途中まで。

曲が進むにつれて、サウンドに明るさが増し、聴きやすくなりました。(課題曲に比べて練習量が多いように感じました。)

最後は、うまくまとまりましたね。

[銅賞]

 

16.亜細亜大学吹奏楽団 (指揮)大澤 健一

 [課]Ⅱ[自]レッドライン・タンゴ(ジョン・マッキー)

課題曲Ⅱが続きます。

コンサートマーチのポイントを押さえた演奏だと思いました。

何よりも“軽快な”ことがイチバンです。

反面、多少、音量過多かなぁ。

(A)からのクラリネットのメロディ、もう少し響くといいですね。

ですが、全員が同じスタンスで演奏している感じがとてもステキでした。

ただ、一つだけ気になったのが、途中のrit.

少し、クサくやりすぎかも。

自由曲は、マッキーの代表作と言っても過言でない曲。

マッキー独特の躍動感がうまく表現された“好演”でした。

個人の技量が高く、この曲の魅力であるアクセントの付け方も素晴らしく、マッキーの世界を堪能した次第。

ただ、ほんの僅かに“オーバーヒート”気味に感じられた瞬間もありました。

でも、これはホールの構造が影響しているように思いましたが…。

[金賞・代表]

 

17.東洋大学吹奏楽研究部 (指揮)村松 匡

 [課]Ⅲ[自]アブサロン(ベルト・アッペルモント)

課題曲の(A)からの木管のメロディ、少し楽譜にない強弱をつけていたような…。

打楽器が全体的にリズムを牽引しないといけないと思うのですが、少し消極的なように感じました。(だから、“回りながら踊っている感じ”がイマイチ。)

それとチャイニーズゴングの音量が弱く感じました。

楽器によって、聴こえ方に特徴があるのでしょうが、パンチが聴いていると効果的だと思います。(西村先生も「チャイニーズゴングは、力強く」と言う意味のことをおっしゃっていらした画像を見たことがあります。Youtubeで。)

曲の中でaccel.のかかるところが数カ所ありますが、多少、乱れ気味だったでしょうか?

神秘性を含む雰囲気を持つ、この曲にあったサウンドだけに少し残念に感じました。

自由曲は、人気の高いアッペルモントの作品。

曲名の「アブサロン」とはデンマークの偉人の名前のようですね。

実に都会的な演奏でした。

細部まで気を使った感じが観客まで伝わってきます。

アンサンブルもしっかりしていて、とてもノーブルな印象でした。

ただ、金管楽器の音が少し暗めで、それによって重厚感は十分すぎるほどアピール出来ていたのですが、反面、華やかさに欠ける場面もあったような気がしました…。

[銀賞]

 

18.明星大学学友会吹奏楽団 (指揮)玉寄 勝治

 [課]Ⅲ[自]アッフェローチェ(高 昌帥)

課題曲は、続いてⅢ。

最初の(A)からのメロディ、とてもキレイでした。

でも、私の個人的好みからいけば、もう少し荒々しい感じの方が好きかも。

僅かにアンサンブルが乱れた場面もあったように感じましたが、全体的にパンチが効いていて、作曲者の意図にあった演奏を自分たちのスタイルで表現しているように思いました。

印象に残る演奏でした。

あっ、それから前の団体同様、チャイニーズゴングは、もっと激しい方が私は好きです。

自由曲は、都賀先生が春日部共栄での最後のコンクール自由曲であった「アッフェローチェ」。

共栄ファン(最近は、“埼玉栄”も同じくらい“大ファン”です)の私としては、“勝手に”思い入れがある曲です。

何せメロディが良いですよね。(私は、ふと口ずさんでしまうことがあります。)

最初のオーボエのソロ、とっても良かった。

色っぽいです。

そして、私が口ずさんでしまうメロディ。

木管のユニゾンがとても美しい。

全体的にクラリネットを軸にとても素晴らしいアンサンブルを披露してくれています。

ミスがなかったわけではありませんが、素人的な表現をさせてもらえば、「実に感じの良い演奏」でした。

金管も明るいサウンドで華やかで、「アッフェローチェ」を堪能させて頂きました!

[金賞・代表]

 

19.法政大学応援団吹奏楽部 (指揮)山田 昌弘

 [課]Ⅱ[自]地風升(天野 正道)

NTT東日本東京吹奏楽団や浦和吹奏楽団で指揮をされている山田昌弘氏の登場です。(どちらの楽団も演奏会に伺わせて頂いたことがあります。)

何でも法政大学のOBのようですね。

私の地元の浦和吹奏楽団を指導されていることもあり、何か親近感がわきます。

課題曲。

軽快な演奏で聴きやすいのですが、時折、伴奏と主旋律のバランスが悪くなるように見受けられました。

雰囲気がとても良いのに残念に思いました。

それと、少し元気が良すぎたかも。(金管の“音の出し方”に原因があったかも知れません。)

自由曲は天野先生の作品。

バランスの良いアンサンブルが出来ていて、バンドのセンスの良さを感じる演奏です。

個人の技術力も高いような気がします。

でも、何だろう…。

何かが足りないような…。

天野先生の作品の持つ独特のエネルギー感が希薄なような…。

私の個人的な好みなのかもしれませんが、泥臭さも多少、必要なのではと思います。

[銀賞]

 

20.帝京大学学友会文化局吹奏楽部 (指揮)武島 恒明

 [課]Ⅱ[自]組曲「万象の中へ」(長生 淳)

舞台上の配置を見て思ったのですが、何で演奏者が上手(かみて)側に片寄っているのでしょう?(下手(しもて)側は、打楽器がずらりと勢揃いしています。)

何か意図があるのでしょうか?(素人の私にはわかりません…。)

(A)からのメロディは、もう少し、響かせてアピール出来るといいですね。

少し、“棒読み”っぽく感じました。

あと、複数の楽器でピッチが気になるところがありました。

そして、自由曲です。

長生先生の作品ですか。

最初こそ、何か唐突に始まった感じがしましたが、“長生節”の細密な曲想を表現しようと工夫した思いがアンサンブルに表れていたように思います。

長生先生の曲は、素人の私から見ても実に複雑です。

帝京大の皆さんのご苦労、お察し申し上げます。

ですが、やっぱり完全に“咀嚼”できているとは言えない感じがしたのも事実です。

頑張りは感じますが、多少、単調な演奏のように思いました。

[銅賞]

 

21.玉川大学吹奏楽団 (指揮)上原 宏

 [課]Ⅲ[自]I still have a dream(長生 淳)

ここからは、「金賞・代表」の三団体です。(聴きごたえがありました。)

玉川大の課題曲は、この日、最後に演奏された“課題曲Ⅲ”でした。

出だしのパーカッション、慎重になりすぎたのか、よく聴こえなかった。

pではあるけれども、もっと響くと良かったですね。

でも、気になったのは、そこだけでした。

まず、(A)からの木管の“ズレの”メロディで心つかまれました。

何よりも力強いのが良い。

(V)からのティパニのソロも、とてもカッコ良かった。

そして、チャイニーズゴングも迫力満点。

この日、聴いた3団体の“課題曲Ⅲ”で、イチバン良いと思った演奏でした。

自由曲は前の団体に引き続いて長生先生の作品です。

驚いたことにサウンドが一転して、ソフトになったような。

細かい部分の事よりも全体的に表現力豊かな“音楽の流れ”を感じました。

統一感のあるパフォーマンスは本当に心地よい。

木管を中心に良く響くサウンドは、このバンドの持つ表現力に花を添えているかのようでした…。

[金賞・代表]

 

22.東海大学吹奏楽研究会 (指揮)福本 信太郎

 [課]Ⅴ[自]遥か天鵞絨(朴 守賢)

久し振りに福本先生の指揮を拝見いたします(笑)

2012年から、昨年まで3年連続全国大会で金賞を獲得している、今、“絶好調”といっても過言ではない東海大学の登場です。

正直なところ、この大学の演奏をイチバン楽しみにしておりました…。

そして、期待に違わぬ素晴らしい演奏を披露して頂いたのです。

課題曲は“Ⅴ”。

難曲です。

表現するのが難しい。

実力の乏しいバンドが演奏すると、“ぼやける”か“音楽でないシロモノ”になってしまう可能性が高い。

東海大の演奏は、いい意味で計算しつくされた演奏でした。

ものすごい音量が出ているのに全然、うるさくない。

そして、アンサンブルに一糸の乱れもない。

全員が同じ間合いで、同じ呼吸の中で演奏している…、そんな気がしました。

自由曲は、課題曲の作曲者でもある朴守賢氏の作品です。

まず、東海大の“音圧”がすごい!

圧倒されてしまいます。

そして、作品からは結構、甘い旋律も聴こえてくる…。(少し、“天野”臭もするかなぁ?)

そして、ドラマチックさは、比類なき演奏!

躍動感にあふれ素晴らしいのひとことでした。

個人的にこの日聴かせて頂いた10団体の中では、“ナンバーワン”だと思いました。

[金賞・代表]

 

23.中央大学学友会文化連盟音楽研究会吹奏楽部 (指揮)大和田 雅弘

 [課]Ⅴ[自]楓葉の舞(長生 淳)

さあ、いよいよ最後の団体です。

課題曲は、東海大と同じ“Ⅲ”。

こちらもなかなかの音圧、迫力があります。

しかも表現力も豊かです。

まるで“映像音楽”のように“情景”を伝えることの出来るバンドですね。

ただし、一部、微妙に“ズレた感”があったところも。

ただ、それを補って余りある“音楽のストーリー”を表現できていたのが素晴らしかった!

印象に残る演奏でした。

さて、この日、本当に最後の曲ですね。

長生先生の曲って本当に細かくて、私たち観客からは、目に見えない苦労が演奏者の方にはあると思います。

でも、それを表現しないと長生作品ではなくなってしまう。

ところが中央大の演奏は、長生先生の作品の特徴を見事なまでに捉え、音として“具現化”している。

その上、何よりも各楽器のサウンドが厚く、キラキラしている。

また、力強さがある、雑然としていない。

この日聴いた“長生作品”の中では、いちばん良い演奏だと思いました。

[金賞・代表]

 

全団体の演奏が終わりました。

しつこいようですが、全団体の演奏が聴けなかったのが悔やまれてなりません。

全体的に申し上げますと正直、技術や表現力に格差があるなと感じた次第。

ですから、へんな言い方ですが、“わかりやすかった”。(それが証拠に、私が効いた10団体で個人的に「金賞・銀賞・銅賞」の予測を立ててみたのですが、珍しく全て“当たりました”。)

いずれにせよ、若者のエネルギーを満喫できて大満足。

都大会には行けませんが、代表になった団体の活躍を期待してます。

それにしても、参加団体が23団体とは、ある意味、壮観です。

埼玉県人としては、うらやましい限りです。

 

なお、このブログに載せられている文言は、“浦和河童”の個人的感想です。

決して、悪意を持って書かれているものではありません。

ただ、もし、ご不快に思われる方がいらっしゃいましたら、オヤジの戯れ事と思い、ご容赦頂ければ幸いです。

 


第56回埼玉県吹奏楽コンクール 大学・職場一般Aの部(第21回西関東吹奏楽コンクール予選)

2015-08-12 01:21:58 | 吹奏楽

今年もコンクールの季節がやって参りました!

やっぱり、アマチュア吹奏楽界のメインのイベントですよね。

私も若い頃の事が脳裏によみがえってきます…。

まずは地元、埼玉のコンクールから。

私がメインで追いかけているのは「職場一般の部」。

余力があれば、「大学の部」も拝見させて頂きます。(県、支部のレベルでは、この二つの部門を同時にやっていることも多いです。)

 

2015年8月2日、日曜日。

場所は、埼玉県の“普門館”(笑)、「さいたま市文化センター」です。

私、このホールには9割方、コンクールのためにおとずれているかなぁ。

だから、来ると何だか身が引き締まる思いがします。

個人的なことなのですが、実は、この日の数日前に“ギックリ腰”になってしまいまして、今年の県大会は難儀なことでありました…。

さあ、平成27年度、最初のコンクールは埼玉県の大学と職場一般の皆さんの演奏を聴かせて頂きます!

 

【2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲】

Ⅰ.石原 勇太郎/天空の旅-吹奏楽のための譚詩-(第25回朝日作曲賞受賞作品)

     Yutarou Ishihara/Pilgrimage – Ballade for wind orchestra

Ⅱ.佐藤 邦宏/マーチ「春の道を歩こう」

     Kunihiro Sato/Walk down the Spring Path March

Ⅲ.西村 朗/秘儀Ⅲ-旋回舞踊のためのヘテロフォニー-

     Akira Nishimura/HigiⅢ – Heterophony for Whirl Dance

Ⅳ.田坂 直樹/マーチ「プロヴァンスの風」

     Naoki Tasaka/March “Wind of Provence”

Ⅴ.朴 守賢/暁闇の宴〔※高校・大学・職場一般のみ〕

  (第7回全日本吹奏楽連盟作曲コンクール第1位作品)

    Park, Soo-Hyun/The Scintillating Dawn

 

【大学Aの部】

 

1.埼玉大学 (指揮)松元 宏康

 [課]Ⅲ[自]バレエ音楽「三角帽子」より 終幕の踊り(M.ファリャ/小野寺 真 編曲)

最初の団体は、埼玉大学。

ブリッツ フィルハーモニック ウインズの音楽監督、松元宏康氏の指揮での登場です。

余談ですが、埼大の皆さんがステージに入場してくる時、バストロンボーンの方でしょうか、楽器にはめてあったミュートが外れて床に落ちてしまいました…。

やっぱり、緊張していたのでしょうか?(笑)

何だか、とても微笑ましい光景でした。

課題曲の演奏が始まりました。

出だしの打楽器、サマーコンサートで聴かせて頂いた時とは、少し違ったクレッシェンドやアクセントをつけていたような…。

とてもメリハリのある演奏でした。

全体的に音量強めで、それがまた実に効果的だったと思います。

“旋回舞踊”の回っている感じがイメージできていてカッコ良かった。

ただ、強いて言わせてもらうとすれば、全員で徐々に音を大きくしていくところで(最後の方とか)、やり方に、人によってムラがあったのが残念でした。

それにしても、朝イチとは思えぬ迫力を見せて頂きました。

続いては自由曲。

ファリャの「三角帽子」。

出だし、フワッと始まったのが意表をつかれました(笑)

リズムをきっちりと刻んでいるので、躍動感がハッキリと感じられます。

サマコンの時より、数段レベルアップしているようです。

それをヒシヒシと感じます。

欲を言えば、もう少し、金管楽器を中心に華やかさが欲しかった。

それを除けば、ステキな“大人の演奏”でした。(蛇足ながら、サマーコンサートの時のブログにも書いたとおり、自由曲として、チェザリーニの「青い水平線」を聴きたかったなぁ…。)

来年に期待します。

[銀賞]

 

2.文教大学 (指揮)佐川 聖二

 [課]Ⅲ[自]シネマ シメリック(天野 正道)

まあ、このような完成された演奏するバンドが登場すると会場の空気すら変えてしまうような気がします。

課題曲の最初の打楽器、若干、不明瞭になったのが残念でした。

でも、気になったのはそれだけ。

あとは、突っ込みどころのない演奏でした。

ともかく、ダイナミクス云々よりも、それ以前にサウンドが響くこと…。

決して、“音響”に優れているとは言えないホールで、会場中に“音”の飽和状態を作り出すとは…。(音量がデカイという意味ではありません。)

素晴らしいのひと言です。

自由曲は、文教大学が天野先生へ委嘱した作品「シネマ シメリック」。

『架空の映画の為のサウンドトラック』というコンセプトで作られただけに表現力を試される曲です。

少しの乱れもなくて、それでいて情感にあふれていて…。

途中のフリューゲルホルンのソロが吹く、物悲しいメロディにはジーンと来ましたねぇ。

すごい演奏でした。

何も言う事はありません…。

[金賞・代表]

 

3.東京国際大学 (指揮)稲垣 征夫

 [課]Ⅱ[自]コサック民族舞曲(F.チェザリーニ)

少し人数が少ない。

プログラムには25名と書いてありますが…。

この人数で大学の部と言いますと、もう4年前になりますか…、第18回東関東吹奏楽コンクールのことを思い出します。

24名という人数で支部大会を勝ち抜き、見事に全国大会に進んだ流通経済大学のことを思い出します。(ちなみに、この時の自由曲はチェザリーニの「青い水平線」。)

あの少人数で倍以上人数のいるライバルたちを上回る迫力は、納得のパフォーマンスでした。

そのような例もあるので、絶対数の少ない団体にも頑張って頂きたいと思います。

課題曲は、コンサートマーチの軽快さをうまく表現していました。

指揮者を中心にまとまろうとする意識は高く、その努力の結果が演奏に生かされていましたね。

ただ、音程が気になるところが数カ所あったのが残念でした。

自由曲。

民族音楽独特の泥臭さの雰囲気が出ていて、曲を聴きやすくしていました。

ただ、Tubaが一本だけで、あと弦バスもいなかったので曲の重厚さが弱く感じました。

その中でもトランペットのソロが明るくひときわ目立っていて素晴らしかった。

全体的には良いサウンドだと思いましたが、やっぱりピッチが気になりました。

[銅賞]

 

大学の部を聴いて。

やっぱり、文教大学の圧倒的優位は、どなたが見ても明らかです。

それにしても、文教大学の自由曲の「シネマ シメリック」。

神奈川の一般バンド「グラールウインドオーケストラ」も自由曲なのです。

部門は違いますが、コンクールでの“競演”楽しみにしています。

それと、県大会で“大学の部”の出場団体が3団体とは、非常に寂しい。

他の大学の皆さんも是非、出場して欲しいものです。

出場団体が増えれば支部大会の出場枠も多くなるのでしょうか?

もし、そうなれば、埼玉県吹奏楽界の活性化にも繋がると思うのですが…。(個人的には、埼玉大学を西関東へ出場させてやりたいなぁと思います…。頑張っているので…。)

さあ、続いては、いよいよ“職場一般の部”です。

 

1.与野吹奏楽団 (指揮)森田 新一郎

 [課]Ⅰ[自]「スペイン狂詩曲」より Ⅳ祭り(M.ラヴェル/森田 新一郎 編曲)

2008年以来、西関東支部大会の常連であった与野吹奏楽団でしたが、昨年は、まさかの県大会で敗退。

捲土重来を期しての気合いの入ったコンクールになっていることでしょう。

課題曲は、この日の“大学・職場一般の部”全ての団体の中で唯一の「課題曲Ⅰ」。(何となくの話ですが、「Ⅰ」って人気ないみたいですね…。)

音は、よく出ています。

会場中を巻き込むようです。

何よりも全体的なサウンドのバランスがとても良い。

中間部のソロパートの技量も高く安心して聴ける演奏です。

速いテンポのところは、“軽快”にスローテンポのところは“美しい”感じが存分に出ていました。

ただ、前半部分を中心にメロディに伴奏が“勝って”しまうところが、若干あったのが残念でした。

今年の自由曲は、「スペイン狂詩曲」ですか。

派手できらびやかな曲ですね。

与野吹の自由曲と言えば、このようなスケールのデカいオケ編曲モノの印象が強い。(昨年は、吹奏楽オリジナル委嘱作品でしたが…。)

とても情熱的な演奏でした。

明るいサウンドで、技術力も高く、パワーもある。

そして、何よりもこの曲に必要な華やかさがあるんです。

観客を引き込む演奏にならないわけはない…。

でもね、強いて言うならば、“色気”“艶っぽさ”が足りないかも。

そこが、他の団体との“差別化”を図るポイントなのではと思います。

結果は…、残念でした。

来年の“復活”を期待します。(カギは“自由曲の選択”なのではと個人的に思っています。)

[銀賞]

 

2.ソールリジェール吹奏楽団 (指揮)佐川 聖二

 [課]Ⅲ[自]彩雲の螺旋 -吹奏楽のための(中橋 愛生)

ソールリジェール吹奏楽団と言えば、首都圏以外の方は、あまりご存じないかも知れませんが、あの有名な文教大学吹奏楽部のOBOGバンドです。

ですから、文教大学の指導されている、佐川聖二先生が指揮をされるようですね。

課題曲は、安定感のある演奏でした。

ここぞと言うポイントは押さえていたような気がします。

反面、それだからこそ、大人しかったようにも感じました。

多少、物足りないような…。

(V)からのティンパニの“見せ場”、正確で素晴らしかったのですが、もっと、“存在”を強調出来るとカッコ良かったですね。

自由曲は、「彩雲の螺旋」。

かっこいい曲です。

だからこそ、捉えどころのなく、難しい曲でもある。

ソールリジェールの皆さんは、そこのところを十分、理解しているようで、ステキな“音楽の流れ”を感じました。

ソロの方々も情感あふれる演奏で会場の観客を魅了していました。

全体的に、やわらかく、厚く、艶っぽいサウンド。

印象に残る演奏でした…。

今回は、「銀賞」ではありましたが、西関東大会に進めることになりましたね。

一層の奮起を期待します!

[銀賞・代表]

 

3.大宮シティウィンドオーケストラ (指揮)大島 俊哉

 [課]Ⅳ[自]ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/森田 一浩 編曲)

課題曲は、この日、初めての「Ⅳ」です。

それなりに華やかに始まりました。

でも、明るさがイマイチ。

何でかなぁと思っていたら、やっぱり、金管楽器(特にトランペット)の音が出ていないような…。

それと、メロディを吹く方のピッチが多少、気になる場面がありました。

だから、何となくユニゾンが揃ってないように聴こえ、そのために“軽快さ”が薄く感じられました。

楽器ごとのまとまりは、すごくいいのに勿体なかった。

自由曲はミュージカルの美しい楽曲なので丁寧に演奏しようという意識を感じられるパフォーマンスでした。

ただ、皆さん、緊張されていたのか、音楽的な“乱れ”を感じる部分があったのが残念でした。

“I Dreamed a Dream”のメロディのサックスソロ、これ以上やると“クサく”なるというところで、寸止めしていた。

非常に気持ちが入っていてよかったですよ。

[銅賞]

 

4.越谷市音楽団 (指揮)佐々木 幹尚

 [課]Ⅳ[自]スピリティッド・アウェイ《千と千尋の神隠し》より(久石 譲・木村 弓/森田 一浩 編曲)

ここ数年、西関東大会出場が定着してきた越谷市音楽団。

今年の自由曲は“ジブリ”ですか。

昨年は、“レミゼ”だったようなので、2年連続の“映像音楽”で勝負ですね。

課題曲の出だし、もっと華やかなのが私の個人的な好みです。

やっぱり、金管の類がハッキリ聴こえないような…。

ピッチとかアンサンブルの乱れとか、基礎的な部分では何の心配もない楽団ですが、この曲に関しては、ライトに仕上げ過ぎたのかも知れません。

こういう演奏の仕方は、課題曲Ⅱだったら、良かったかも。

自由曲。

これはもう、多くを語らずとも聴いた人間にはわかる演奏でした。

標題音楽、映像音楽を表現力豊かに演奏出来ています。

激しいところは、激しく、美しいところは、美しくと言った一見単純に見える作業を見事に具現化している。

ファンタジーの世界です。

観客が感情移入してしまいそうな仕上がり、とても良い演奏でした!

[金賞・代表]

 

5.川越奏和奏友会吹奏楽団 (指揮)佐藤 正人

 [課]Ⅴ[自]「ヘンリーⅤ世」より(W.ウォルトン/佐藤 正人 編曲)

さあ、待ってました!

川越奏和の登場です。

それにしても、埼玉県って、とてもステキです。

県大会の段階で文教大学や奏和やリベルテが聴ける…。

何て贅沢なことでしょう!

いやいや、脱線が過ぎましたので元にもどします。

まずは課題曲から。

出だしから完璧です。

よく音が出ていると言うか、響きわたっています。

“音圧”がスゴイですよ、実際。

ソロパートもうまいですねぇ。

ひとりひとりの技量が際立っています。

アンサンブルもバッチリで言う事のない演奏でした。

自由曲は、ウォルトンの「ヘンリーⅤ世」。

よく知らない曲なので調べてみましたら、映画音楽なんですね。

1945年と言いますから、昭和20年のイギリス映画“Henry Ⅴ”の曲だそうです。(少し、バロック調の部分もある音楽でした。)

映画の音楽でありますから、多少、派手な面もありますが、それを上手に生かしたクオリティの高い演奏を聴かせて頂きました。

他の団体とは比べものにならないような重厚なサウンドがバンバン客席に迫ってくる…。

吹奏楽と言う息を吹き込む動作によって成立する“合奏”。

それをする上で音の処理の仕方が感動モノです。

特にtuttiの部分は全体のサウンドがパイプオルガンのように聴こえ、素晴らしかった!

選曲や演奏で、個人的にこの日の出場団体の中でイチバン好きな演奏でした。

[金賞・代表]

 

6.浦和吹奏楽団 (指揮)山田 昌弘

 [課]Ⅴ[自]輪廻の八魂~仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌~(樽屋 雅徳)

課題曲は、最初から力強さが漲っていて、この曲の持つ雰囲気を際立たせていたような気がします。

反面、ピッチとかが気になる場面にも出くわし、若干の不安定さも感じました。(特に金管楽器の“音の出し方”が気になりました。)

楽譜の(E)のところから、少し乱れがあったでしょうか?

全体的には、まとまった演奏でしたが、難解な課題曲だけに細心の注意を払えば、もっと素晴らしくなれたのにと思いました。

和的なテイスト満載の自由曲です。

作曲者の樽屋先生の曲は、やはり、躍動感が持ち味ですね。

浦和は、そういった雰囲気をうまく表現出来ていました。

ソロパートの人たちも、なかなかのテクニックを持っています。

出だしこそ、不明瞭な部分もありましたが、実にまとまりのある演奏です。

強いて言うならば、もう少し、華やかさがあればなぁ…。

和太鼓とか目立つ楽器が演奏しているのにもかかわらず、チョット、その点で欠けていたように感じました。

[銀賞]

 

7.青木フィルハーモニー吹奏楽団 (指揮)酒井 敦

 [課]Ⅱ[自]風姿花伝~秘すれば花~(福島 弘和)

今年は、定期演奏会にも行かせて頂きました。

このバンドのサウンドは、私は好みの音ですね。

やわらかで、温かみのある音は、曲の選択を間違わなければ、素晴らしい“音楽”になる…。

課題曲はⅡのマーチです。

予想通りのやさしいソフトなサウンド。

軽快な感じが心地よい。

ただ、少しライト過ぎるかも知れません。

言葉を言いかえれば、これと言った特徴がない…。

“減点法”を意識するとこのような演奏になってしまうのでしょうが、個人的には、もう少し、訴えかけるものがあったほうが好みです…。

自由曲は、福島先生の曲ですね。

曲名から言っても、“和”の匂いがプンプンですが、この曲、青木フィルにとても合っているように思いました。

何より、曲の雰囲気がふんだんに出ていて、舞台上にひとつの“世界”を作り出していました。

そして、“音”がキレイです。

反面、音圧の面で客席に迫るものが足りないような…。

もう少し、メロディラインを強調して、目立つようにした方が私の好みに近くなります。(時には、メロディを“クサク”演奏する事も重要なのでは?)

サウンドが素晴らしいのですから、表現力さえ強化すれば、“鬼に金棒”になると思います。

期待しています。

[銀賞]

 

8.杉の子吹奏楽団 (指揮)小川 慎

 [課]Ⅲ[自]梁塵秘抄~熊野古道の幻想~(福島 弘和)

正直言ってよろしいでしょうか?

杉の子吹奏楽団に関しては、あまり良い印象ではありませんでした。

何故かって?

まあ、簡単に言えば、今までのコンクールで、私好みの演奏をして頂けなかったとでも申し上げれば良いでしょうか?

団体名に“杉”の字が入っているので、おそらく杉戸町にゆかりのある団体かと思っておりましたら、まさに“そのとおり”でした。

HPを拝見しますと平成元年に県立杉戸高校吹奏楽部のOBOGバンドとして発足し、コンクールへは、「Dの部」に結成当時から参加されていたようですね。

支部大会という上部大会のある「Aの部」に参加し出したのは、平成24年からです。

そして、昨年までの3回すべてが“銅賞”という結果でした。(2年連続、コンクール県大会で出演順が、川越奏和とアンサンブルリベルテに、はさまれるという不運はありましたが…。)

だから、あまり期待はしていなかった…。

しかし…、演奏が始まってみると大いに期待を裏切られたのでした!(もちろん、良い意味で!)

課題曲は、私の好きなⅢ。

出だし、木管のいわゆる“ズレのメロディ”、とても良かった!

曲全体を通して、バランスがとても良く、この曲の独特の世界を自分たちのサウンドで表現出来ていたのが非常に好感を持てました。

もちろん、ミスがなかったわけではありません。

各個人が、アンサンブルの基礎である“合わせる”ということをもっともっと意識すれば、途轍もなく良い演奏になると思った次第。

自由曲は、福島先生の曲で、このところ良く耳にする曲です。

はっきり言って“熱演”でしたね。

曲の意味をキチンと理解し、整理された感のある演奏。

同時に非常に気持ちが入っていましたね。

とても印象に残る演奏でした。

もう少し、金管を中心に音が出ていると、もっと良かったと思います。

“一皮むけた”感じのするこのバンド。

来年が楽しみです。

[銀賞]

 

9.埼玉県ユースホステル協会吹奏楽団 (指揮)熊谷 一郎

 [課]Ⅲ[自]「ミシシッピ組曲」より Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ(F.グローフェ/森田 一浩 編曲)

課題曲は、続いてⅢです。

ピアノではありますが、出だしのティパニに聴こえ辛かったです。

(A)からの木管の方々も同様な感じ。

少し、音を大きく響かせるように意識したら、印象が変わって聴こえるような気がしました。

あと、金管と木管の間でダイナミクスのバランスが問題だと思いました。

木管に比べて金管が音量過多。

もっと、他の楽器の音を聴いて吹けば良いのかも。

Ⅲの独特の雰囲気は出ていたのに、そこが残念でした。

自由曲になって、全体的に音が前に出るようになってきました。

明るいサウンドなので、賑やかな曲に合っていて、とても聴きやすい。

ただ、時折、ピッチが気になる場面があったのとやっぱり、楽器間のバランスが悪い時があるのが残念でした。

[銅賞]

 

10.川口市・アンサンブルリベルテ吹奏楽団 (指揮)福本 信太郎

 [課]Ⅴ[自]花鳥諷詠(長生 淳)

今年のアンサンブルリベルテの自由曲は何だろうと思っておりましたら、長生淳先生の委嘱作品「花鳥諷詠」。(正確に言うと、この曲は“リベルテ”ではなく、“文京シビックホール”が委嘱した作品。)

この曲は、今年の5月24日、『文京シビックホール15周年記念公演』として開催されたアンサンブルリベルテの特別演奏会で、《世界初演》されたものです。

昨年の自由曲が、めずらしくオケ編曲モノで個人的にフラストレーションがたまる感じだったので、今年はうれしいですねぇ。

やっぱり、リベルテは吹奏楽オリジナル曲でなくちゃ!

埼玉県の二大巨頭、“リベルテ”と“川越奏和”は、課題曲は、毎年、“Ⅴ”をやります。

“Ⅴ”は、中学生は課題曲として“選択できない”ということでもわかるように難解な曲が多い。

ところが、このふたつの団体は、その“課題曲Ⅴ”、対称的な演奏をします。

“川越奏和”は、良い意味で“力でねじ伏せる”ような演奏をします。

だから、難解な“課題曲Ⅴ”をいとも簡単にわかりやすくしてくれる…。

それに対して“リベルテ”は、曲を膨らませることによって、奥行きやスケール感を出して表現してくれる。

そんな気がします。

どちらも力を持ったバンドだからこそ出来る“技”ですね。

この日のアンサンブルリベルテも“課題曲Ⅴ”をそのテクニックで見事に料理してくれました。

それにしても、何とサウンドの美しいことでしょう!

“川越奏和”同様、私がコメントする事などない、完成された演奏でした。

自由曲の「花鳥諷詠」。

これもステキな演奏でした。

長生先生の曲って、多分、聴いている観客が感じるよりもはるかに難しい曲だと思うんです。

じっと耳を傾けていると絶えず、何かしらの楽器が細かい動きをしていて複雑です。

全体がしっかりとしたアンサンブルが出来ていないと、とんでもないことになってしまう。

それなのに“リベルテ”は、キチンとした“合奏力”を土台にサウンドに表情まで付けてしまうのです。

“表現力がある”とは、こういう事をいうのです、きっと。

やっぱり、実力は計り知れない団体ですね…。

[金賞・代表]

 

11.伊奈学園OB吹奏楽団 (指揮)宇畑 知樹

 [課]Ⅱ[自]ミュージカル「レ・ミゼラブル」より(C.M.シェーンベルク/森田 一浩 編曲)

指揮は、吹奏楽の名門校、埼玉県立伊奈学園総合高等学校吹奏楽部顧問、宇畑知樹先生です。

伊奈学園のOBOGバンドですから、指揮なさるのは当たり前と言ったら、当たり前ですが。

でも、有名な方が指揮されると演奏も会場の雰囲気も締まった感じがして良いですね。

私は個人的になぜか、伊奈学園とは接点が薄いので、まずは卒業生の皆さんのサウンドから、“知って”行きたいと思います…。

課題曲は、“Ⅱ”。

課題曲のコンサートマーチらしく、ソフトな出だし。

でも、それだけではありません。

ただ、ソフトなだけでは、つまらない演奏になってしまいますが、このバンドはここからがスゴい。

メリハリではなく、“ライト”な演奏に徹していた。

ある意味、ソフト路線の“極致”と言っても過言ではないと思います。

だからと言って、物足りなさは感じない。

そして、“減点法”に強い演奏…。

自由曲は、「レミゼ」です。

伊奈学園で「レ・ミゼラブル」と言えば、2013年、第61回全国大会の演奏を思い出します。(もちろん、“高校の部”の事です。)

これはもう、大変素晴らしい演奏でした。

“名演”と言っても、良いでしょう。

今回の演奏者の中で、2年前、名古屋国際会議場の舞台に立って、この曲を披露された方もいらっしゃると思います。

演奏は、とてもドラマチックなものでした。

と言うか、そういうふうに演奏しようと心がけているように感じました。(2年前の演奏はCDで何十回も聴いていますが、今回の演奏は、それとは少し“カット”が違うように思ったのですが…。どうでしょう?)

このようなミュージカル音楽で重要な“メロディ”の歌い方は、名門、伊奈学園のOBバンドだけあって、“さすが”と言うしかありません。

それだけで、観客を“音楽”の中に引きずり込むことが可能な特別な世界を持っています。

ただ、厳しいことを言わせて頂けるなら、非常に優れた演奏であるが故に、時折、出て来るケアレスミス的なところが目立ってしまう。

そういう細かいところが西関東大会に向けての課題となると思います。

[金賞・代表]

 

12.所沢市民吹奏楽団 (指揮)吉田 謙治

 [課]Ⅳ[自]歌劇「トゥーランドット」より(G.プッチーニ/後藤 洋 編曲)

課題曲は、“Ⅳ”。

今年の課題曲の中でイチバン、明るい曲だと思います。

所沢市民のサウンドは、深く重厚なものに感じました。

だから、曲のイメージとは違うような…。

スケールの大きな演奏なのだけれど、南欧のはち切れんばかりのイメージとは少し違うかなぁ。(華やかさがイマイチ…。)

かと言って、音楽的には優れた演奏なので文句の付けようはないのですが…。

このサウンドと“課題曲Ⅲ”とかだったら、最高の組み合わせになるように思いました。(あるいは、“Ⅰ”)

自由曲は、「トゥーランドット」。

一時期ほどではありませんが、流行の曲です。

自由曲としては、所沢市民のサウンドを考えると最高の選択だと個人的に思いました。

メロディラインの歌い方もとても感情が乗っていて素晴らしかった。

ソロの皆さんも技量が高く、とても、うまい。

何よりもスケールの大きな合奏、客席に“音圧”が迫ってきて圧倒されそう。

まさに“劇的”な雰囲気を持った演奏でした。

多少、ダイナミクスの振り幅が狭く、単調に感じた部分もありましたが、それ以上に“埼玉県代表”としての格調を備えた演奏でした!

[金賞・代表]

 

13.本庄ウィンドシンフォニカ (指揮)萩原 定夫

 [課]Ⅲ[自]梁塵秘抄~熊野古道の幻想~(福島 弘和)

課題曲の出だし、打楽器が少し不明瞭な感じがしました。

そして、(A)からのメロディ、フォルテなのだから、もう少し力強さが欲しかったですね。

逆に金管は頑張り過ぎかも。

人数が少ないのだから、全体のバランスを意識したほうが良いのではと思いました。

(V)からのティンパニの3連譜、難しいですよね。

マレット(バチ)同士が当たっちゃいましたかね。(他の団体でも、このような状況が見受けられました…。)

ただ、ミスはあったものの曲の雰囲気を的確に掴んでいる演奏だと感じました。

自由曲は、“和”をいかに表現するかが大きな課題です。

そういう意味では、成功していたと思います。

しかし、少し神経質になりすぎた演奏だった?

シロフォンかマリンバのパーカッションの女性の演奏が軽快でとても印象的でした。

[銅賞]

 

14.大宮吹奏楽団 (指揮)永薗 喜章

 [課]Ⅱ[自]祈りとトッカータ(J.バーンズ)

このバンドも今年、定期演奏会に行かせて頂きました。

普段の演奏活動では、常に観客を意識せねばならず、ご苦労もあろうかと思われますが、コンクールにおいて対峙するのは審査員だけ。

そう言う意味でのびのびと演奏している感じがするパフォーマンスでした。

課題曲は、軽快さに重点をおいていたように思います。

さわやかさ満点ではありましたが、そのためか強烈なインパクトを受ける事はありませんでした。

でも、そういう曲なんですよね、“課題曲Ⅱ”は。

自由曲の「祈りとトッカータ」。

昔は、確か「呪文とトッカータ」って言ってましたよね。(原曲名は、“Invocation and Toccata”)

私にとっては、とても懐かしい曲です。

最初の“祈り”の部分の不気味な雰囲気と“トッカータ”に入ってからのリズミカルな部分の対比が上手に表現されていて、楽しめる演奏でした。

ただ、今少しだけ、バーンズ特有の“激しさ”が加味されれば、と思いました。

非常に緊張感のあるステージで良かったです。

[銀賞]

 

15.あおぞらハーモニー吹奏楽団 (指揮)阿部 和博

 [課]Ⅲ[自]「巨人の肩に乗って」より Ⅰ、Ⅲ(P.グレイアム)

あおぞらハーモニーは、昨年、一昨年と連続して西関東に駒を進めている登り調子の団体ですね。

今年は、どんな“コンクール”を見せて頂けるのか楽しみでした。

まずは、課題曲から。

ケッコウ、力強い出だし。

アクセントを効かせた演奏です。

個人的にこういうスタイルすきですねぇ。

チャイニーズゴングは、もっと激しく叩くと好みです。

(V)からのティンパニ、カッコ良かったです。

全体的に勢いを感じる演奏でした。

自由曲は、「巨人の肩に乗って」ですか。

もともと、ブラスバンドのために作曲されたようですね。

これ、とってもいい曲なんですけど、やっぱり、第1楽章、冒頭のブルックナー交響曲8番第4楽章のテーマをモチーフにした金管楽器のファンファーレにつきます。

これをうまくやらないと曲の魅力が落ちてしまう…。(ような気がする。)

正直言って、このファンファーレはもう少し、迫力、重厚感が欲しかった。(少し、スタミナ切れの感じもしました。)

全体的にはリズムにのった都会的な演奏だったと思います。

それにしても難しい曲ですよね。

今後に期待します。

[銀賞]

 

16.飯能vivace wind orchestra (指揮)三浦 広嵩

 [課]Ⅱ[自]エルトゥールル号の記憶~太陽と新月の絆~(清水 大輔)

グッと演奏者の人数が減りましたね。

プログラムには、35名って書いてありますけど、それよりも明らかに少ないです。

課題曲は、マーチの“Ⅱ”。

無難な選曲だと思います。

出だしが明確に聴こえなかったのが残念でしたが、楽器の足りない部分を考えて補っていこうとする工夫が随所に散りばめられた演奏でした。

ただ、全体的に主旋律の方がもっと主導権を握れるようであったら、スゴく良かったと思います。

自由曲は人気作曲家、清水大輔先生の作品。

残念な事に私は初めて聴く曲です。

清水先生らしく、映像音楽的な色彩にとんだ楽曲でした。

課題曲同様に工夫した演奏ではありましたが、アインザッツやピッチと言った音の処理の仕方に今一歩、意識を高めると、より良くなるような気がしました。

[銅賞]

 

17.桶川市民吹奏楽団 (指揮)花坂 義孝

 [課]Ⅱ[自]「エニグマ変奏曲」より(E.エルガー/杉本 幸一 編曲)

こちらの団体も人数が少ない。

30数名くらいでしょうか?

でも、パワーがありました。

課題曲の出だしなど、音を出し過ぎと思うくらいでした。

ただ、元気なのは非常に好感が持てるのですが、金管楽器が音を割り過ぎかなとも感じました。

もう少し、サウンドに統一性というか、各個人個人の音が融け合う意識を持っていると良いのでは?

でも、マーチに不可欠な“躍動感”が前面に出ている演奏は、聴く者を楽しくさせる要素があると思いました。

自由曲は「エニグマ変奏曲」。

変奏曲ですから、もとになるメロディがあるのですが、その“テーマ”の演奏は実にゆったりとしたテンポでした。

“テーマ”の後には“変奏”に入っていきます。

それぞれの“変奏”の特徴を生かした丁寧な演奏だと思いました。

ただ、テンポの速い“変奏”で多少、基礎的な事が雑に聴こえたのが残念でした。(有名な第9変奏「ニムロッド」では、ピッチが気になるところがありました。)

終曲は、少しダイナミクス的に飛ばし過ぎかなぁ。

全体的には、エルガーの楽曲の格調高い雰囲気がよく出ていたように思います。

[銀賞]

 

コンクールの独特の雰囲気は格別のものです。

張りつめた緊張感の中で行われる迫真の演奏。

私のようなジジィになっても忘れられない想いは、吹奏楽の独特の世界を形成する中核です。

普通の演奏会も良いですが、このようなコンクールの場も私の命が尽きるまで毎年、出会う事ができたら、この上ない喜びですね。

来年も県大会、楽しみにしています!

 

なお、このブログに載せられている文言は、“浦和河童”の個人的感想です。

決して、悪意を持って書かれているものではありません。

ただ、もし、ご不快に思われる方がいらっしゃいましたら、オヤジの戯れ事と思い、ご容赦頂ければ幸いです。

 

蛇足ながら、次に行く“コンクール”は9月20日の東関東大会、大学・職場一般の部です…。


グラールウインドオーケストラ 創立25周年記念第35回定期演奏会

2015-08-01 21:55:24 | 吹奏楽

休日の川崎駅前は、大勢の人であふれかえっていました。

川崎駅前も昔とは随分、印象が変わりました。

川崎と言えば、東口の商店街というか繁華街のことを思い出します。

ですが、西口方面となると…。

以前に何があったかと言われても、ハッキリ言って思い出せません。

その川崎駅西口の旧東芝川崎事業所跡地に2006年に開業したのが大型商業施設「ラゾーナ川崎」。

このあたりから、川崎駅の印象が変わり始めました。

工場の印象が強かった川崎がいっぺんに垢抜けたと言うか…。

 

そして、その「ラゾーナ川崎」に先駆けること2年前、2004年に開館したのが、今回の演奏会の会場、「ミューザ川崎シンフォニーホール」です。

2015年7月19日、日曜日。

連休の中日という事もあってか、かなりの人出です。

川崎駅の改札を抜け、左折。

まっすぐ行くと「ラゾーナ川崎」ですが、もう一回、左折して駅と結ばれたペデストリアンデッキを直進すると…、見えて来るのが「ミューザ川崎」。

オフィスビルや商業施設が併設されている、その外観は、それはそれは、とてもステキです。

 

その「ミューザ川崎シンフォニーホール」にこの日、やって来た理由は、全国的にも著名なアマチュア吹奏楽団「グラールウインドオーケストラ」の定期演奏会に伺うためです。

グラールの演奏会に来させて頂くのも、この日が3回目になりますか。

最初は、一昨年の昭和女子大人見記念講堂でのコンサートでした。

真島俊夫先生の委嘱作品“レント・ラメントーソ”が情感あふれる演奏で素晴らしかったのを昨日の事のように思い出します。

全国大会に何度も出場している「グラールウインドオーケストラ」、今年のコンクールを占う上でも外せない演奏会です…。

 

長いエスカレーターを登るとシンフォニーホールの入口にたどり着きます。

外観だけではなくて、ホワイエもステキです。

もちろん、ホールの中も美しい。

“響き”も申し分ない。

でも、個人的にあの渦巻き状の客席の配置は、どうも好きになれない。

ステージに向かって、客席にヘンな勾配が付いているので席によっては、余計な階段を上ったりしなければ、ならないのが難儀です。(わずか2、3段ですが…。)

デザイン的には斬新でカッコイイのでしょうが、決して年配者や身体の不自由な方々へは優しい設計と言えるのでしょうか?(もちろん、そういう方々のための“席”は、別に用意されているでしょうが…。)

余計なこと書いてスミマセン。

また、「ミューザ川崎」で開催されるコンサートを聴きに行くたびに、今までも同じようなことを書いているかも知れません。

くどいと感じる方がいらっしゃったら、お許し下さい。

さて、話はコンサートへ。

 

プログラムのイチバン最初にこう書いてあります。

「開演前にステージにてウェルカムコンサートがございます。」

ウェルカムコンサートの曲名は以下のとおりです。

 

トランペット十重奏

四季の奏鳴より Ⅰ.Summer Breeze/井澗 昌樹

ダブルリード四重奏

Quatuor d’anches/天野 正道[当団ダブルリードパート委嘱作品]

Ⅰ.Chant

Ⅱ.Danse

 

[演奏]グラールウインドオーケストラ

[指揮]佐川 聖二

[ユーフォニアムソリスト]外囿 祥一郎

 

◆第1部◆

コンサート・マーチ「テイク・オフⅡ」/建部 知弘

秘儀Ⅲ-旋回舞踏のためのヘテロフォニー/西村 朗

(2015年度全日本吹奏楽コンクール課題曲)

Cinéma Chimérique/天野 正道

 

― 休憩(15分)―

 

◆第2部◆

ユーフォニアム協奏曲「皇帝」/マルセル・ケンツビッチ

 

― 休憩(15分)―

 

◆第3部◆

世俗カンカータ「カルミナ・ブラーナ」より/C. オルフ:arr. J.P. クランス

おお、運命の女神よ

運命の女神に傷つけられて

はら、楽しい春が

ダンス

森は花いっぱい

たとえ世界が僕のものになっても

天使は気ままに飛び回る

俺は修道院長

酒場にいる時は

揺れる心

この世で一番愛するひとよ

ようこそ、最も美しいひとよ

おお、運命の女神よ

 

[司会]石尾 和子

 

今年のメイン曲は、「カルミナ・ブラーナ」ですね。

スケールの大きな曲なので、どのような“表現”で演奏して頂けるのか、考えるとワクワクします。

ただ、ひとつ残念なのが、おそらく、今年の自由曲になったであろう井澗昌樹氏の“委嘱作品”が“諸般の事情”で演奏されないのが心残りですね。

 

さあ、指揮の佐川聖二先生が登場しました!

まず、1曲目。

“コンサート・マーチ「テイク・オフⅡ」”です。

もとの曲は、1986年度全日本吹奏楽コンクールの課題曲ですね。

ただ、今回は、“Ⅱ”と曲名に付いているとおり、“改訂版”。

明るく、爽やかな印象のあった課題曲ですが、懐かしさもあって、楽しみな演奏です。

曲が始まりました。

親しみやすいメロディが会場を包み込みます…。

私のいた席が悪いのか、若干、クラリネットを中心とした木管楽器群が聴こえづらいような…。

テンポが速くなってから、軽快感が前面に出て来はじめて、曲の意図する雰囲気を観客に十分アピール出来てましたね。

ただ、最初の曲でもあり、楽器によっての“エンジンのかかり具合”にバラツキがあったような気がしました…。

 

続いては、今年の課題曲Ⅲ。

西村朗先生の傑作です。

課題曲の演奏は、この曲しかないようですから、Ⅲでコンクールを戦うのだと推察いたしますが、それにしても気合の入った演奏でした。

パンチが効いているから、インパクトがものすごくあります。

中間部のリズムの刻みが若干、乱れた感じがするところがありましたが、そんな事が気にならないくらい聴き応えのある演奏だったと思います。

 

第1部、最後の曲は、「シネマ・シメリック」。(それに先立って、司会の石尾和子さんから、事前の告知とは違う曲であることのお詫び(?)がありました。)

この曲は、文教大学の今年のコンクール自由曲で、天野正道先生の委嘱作品です。(後日、知ったのですがグラールでも“自由曲”なのだそうです。)

この曲は、映画音楽を手がけられている天野先生が作曲された『架空の映画の為のサウンドトラック』という位置付けの曲で、それであるが故に劇的で感情豊かに演奏しなければならないと思います。

いわゆる“表現力”を試される作品ですね。

迫力のある出だしでした。

エンジン全開で加速が増してきたような。

ホールの響きの良さと相まって、サウンドが艶っぽく聴こえました。

多少、金管にピッチやリズムに不安を感じる部分がありましたが、全体的にまとまった演奏で楽しませて頂きました。

木管は、最初の「テイク・オフ」と比較して、随分、響いていて好印象でした。

正直な話、この日の時点では文教大学の演奏の方が上かなぁと思いましたが、コンクールまでに必ずや完璧に近い演奏になるものと確信しております。

なお、演奏後、天野先生が舞台に上がられ、挨拶されました。

 

第2部は、マルセル・ケンツビッチこと津堅直弘東京音大教授の作品でこの日のユーフォニアム・ソリストの外囿祥一郎氏の委嘱で作曲された“ユーフォニアム協奏曲「皇帝」”。

私は、多分、東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルの演奏会で聴いた事があるなと思っていましたら、勘違いでした。(聴いた事あるのは、この曲以前に作曲された同じく、津堅先生の“ユーフォニアム協奏曲「レジェンド」”でした。)

外囿先生は、何度もその演奏を聴かせて頂いたことがありますが、いつ聴いても甘い音色ですね。

ユーフォニアムって低音楽器で楽器も大きいですから、割とリズムを刻むのが難しいと思うのですが、外囿先生の“それ”は、楽器の特性を生かしつつ、実にクリアに演奏していたのが印象的でした。

まさに“超絶技巧”です!

グラールも素晴らしいユーフォニアムの音色に負けない演奏をしていましたよ。

特に最初の方のtuttiが素晴らしかった!

うまく、ソリストを盛り立てて行くカンジは、さすが実力のあるバンドだと思った次第。

ただ、スローテンポで外囿先生がメロディを歌い上げている時に木管(クラ?)のリードミスがあったような。

少し、残念でした。(リードミスは、致し方ない部分もあるのですが、“やってはいけない場面”もあるのではないかと思います。)

ただ、これは私の耳が聞き違えたのかも知れません。

自身がないので、もし、間違いであった時は、ご容赦下さい!!

アンコールとして、外囿先生がこの曲の最後の部分を再度、演奏して下さいました。

また、会場にお見えになっていた津堅先生が舞台に上がられ観客からの拍手を受けられました。

それと、これは演奏とは関係ないんですが、カデンツァとかの割と“静寂”を必要とする場面で、モノを落としたり、荷物をガサガサとまさぐったりして、音をたてている客がいたのが非常に迷惑でした。

ルールは守って頂きたいと思います。

 

祝電紹介のあと、第3部、最後のステージは、オルフの「カルミナ・ブラーナ」です。(全24曲中、13曲の抜粋。)

『19世紀の初めにドイツの修道院にて発見された世俗的な詩歌集』にドイツの作曲家オルフが曲をつけたものです。

実際は、大規模な“合唱”“オーケストラ”によって演奏される曲なんですが、この日は、吹奏楽のみの演奏となりました。

スケールの大きなまとまった演奏でした。

長い演奏時間を飽きさせない展開力がありましたね。

メリハリがはっきりしていて、少し極端な感じもしましたが、これくらいオーバーにやった方が、この曲の雰囲気を表現できると思った次第。

トリに相応しい演奏でした。

 

アンコール曲は上記のとおり。

特にアンコールでも外囿先生の“超絶技巧”を見せて頂けたのが嬉しかった!(チャルダッシュ)

 

既に日本のアマチュア吹奏楽界では、コンクール真っ盛りです。

今年は、仕事の都合で“大学・職場一般の部”の神奈川県大会に行けません。(神奈川県大会って、ケッコウ面白いのです。)

ただ、東関東大会や全国大会に行く予定にしていますので、その時、「グラールウインドオーケストラ」&佐川先生を見たいものです。

 

明日は、コンクール埼玉県大会“大学・職場一般の部”に行くつもりです…。