福岡工業大学付属城東高校
精華女子高校
埼玉栄高校
洛南高校
福島県立磐城高校
岡山学芸館高校
土気シビックウインドオーケストラ
東京佼成ウインドオーケストラ
大阪市音楽団
上記の日本の吹奏楽団が演奏したある曲の音源が私の手元にあります。
それは、クロード・トーマス・スミスの作曲した「華麗なる舞曲」です。
この曲は吹奏楽ファンや関係者には難曲として知れ渡っています。
と同時に多くの羨望の的になっている曲です。
即ち、この曲を凌駕すれば、ものすごい称賛のの嵐に包まれるからです。
私も初めて聴いた時は、ジェットコースターのような曲だと思いました。
そして、この曲の虜になるまで時間はかかりませんでした。
日本人による演奏でまず、忘れてはならないのは、第40回(1992)全日本吹奏楽コンクール高校の部で演奏し金賞を獲得した洛南高校の演奏でしょう。
これは、すでに"伝説"の域に入った演奏で高校生がコンクール等でこの曲を演奏するたび、引き合いに出される名演です。
私はながらく、この演奏をYoutubeでしか見た事はなかったのですが、やっとCDを手に入れ聴かせて頂きました。
聴き終わって、率直に思ったのは「細かいミスが思ってたより多いなあ」という事でした。
しかし、音楽の流れがきちんと出来ており、非常に心地よい。
最後の一音をめざして全員が一直線に進んで行く様子が「伝説」の名に値する…、そんな気がしました。
コンクールデータベースで検索してみると洛南高校は何と3回(1987,1992,1998)もコンクール自由曲として、この曲を選んでいます。(以下は"コンクールデータベース"の情報です。)
しかし、全国大会に進めたのは「伝説」の演奏の1992のみです。
また、支部大会以上ではコンクールで「華麗なる舞曲」を自由曲として選んでいるのは、洛南高校が最初に名が出てきます。
ところで「華麗なる舞曲」を全国大会で演奏した団体の最初は宮崎市立生目南中学校(第37回大会1989・銅賞)みたいです。
中学校レベルでどのような演奏をしたのか興味津々ですが…。
“伝説”の洛南高校(1992)の演奏以来、「華麗なる舞曲」の全国大会登場は第55回大会(2007)大学の部の静岡大学(銀賞)を待たなければなりません。
全国金賞に至っては、その2年後の第57回大会(2009)の精華女子高校まで17年間出ていません。
いかにこの曲が難解であるかの証拠でしょう。
支部大会で敗退してしまった中でいえば、第33回九州大会(1988)での福岡工業大学付属高校[現・福岡工業大学付属城東高校]の演奏は根強い人気があるようです。
現在ネバダ州立大学教授の鈴木孝佳氏の指導のもとの黄金期?の頃の演奏です。
残念ながら、私は、ニコニコ動画でしか聴いていませんが、それでも十分、全国大会で通用するレベルの演奏だと思います。
というか、かなりの名演で九州代表にならなかった意味がわからない。
(その年の九州の全国大会代表校の自由曲をみると編曲ものとアルフレッド・リードなので流行りにやられたなってカンジです。九州といえば、この後、久々にこの曲が脚光をあびる第57回大会の精華女子高校に行きつくワケです。)
この曲の難易度が高いせいか、時々、支部レベルで演奏されていた事はいたのですが、結局、全国で演奏する団体はなくなり、少しマイナーになりかかっていました。
精華女子高校の演奏はミスが多くて、荒削りです。(支部大会の方が良かったという人もいるらしい。)
でも、恐ろしいくらいにこの曲にあった音色をしている。
明るくて華やかな音、それが少々のミスなんか吹き飛ばす「勢い」を作っています。
だから、聴いていて楽しい。
「金賞」の評価は当然ではないでしょうか?
それと対照的なのが翌年(第58回大会[2010])福島県立磐城高校です。
ミスが少なく、十分に曲を歌い上げていて、うまい。
しかし、なぜだか曲に隠されたメッセージのようなものさえ聴こえてきそうな気がする。
難解な曲に聴こえるんです。
何故だろう?と考えてみると、その秘密は音色にあると思います。
深くて、温かみのある音。
まるで暖炉の灯のような味わいのある音はイギリスのオケの金管楽器を連想させます。
やはり、磐城高校は編曲モノの方がより効果的な演奏を出来る様に思います。
(素人が生意気言ってスミマセン。)
(今年の全国大会で聴いた"トッカータとフーガ"はものすごくヨカッタ!!銀では納得いかなかった。)
ある日、タワーレコードでCD漁りをしていると〝もうひとつの全国大会"という文字が眼に飛び込んできました。
早速、手に取って内容を見てみると2008年の「三出団体(さんしゅつだんたい)[全日本吹奏楽コンクールに3年連続出場すると4年目はコンクールに出られないという規定]」を中心に、さいたま市文化センターにて行なった演奏会のライブ録音のようです。
出場団体は高校では、埼玉栄、春日部共栄、伊奈学園総合、東海大付属高輪台、福工大付属城東、一般では川越奏和奏友会、川口のアンサンブルリベルテ吹奏楽団といったそうそうたるメンバーです。
その中で、あの埼玉栄高校が、この曲を演奏していました。
ライブ感あふれる演奏です。
しかし、少し余裕がないように聴こえます。
バタバタとあわてているような感じで、早いパッセージのアンサンブルの乱れが何ともオシイ。
しかし、サウンドの豊かさは、さすが埼玉栄と思わせますが、やっぱり合わないかなあ、この曲は。
何故だか、ここ数年コンクールに出ていない土気シビックウインドオーケストラのこの曲の演奏が収録されているCDも発見し、早速、購入しました。
なかなか、いいサウンドですねぇ。
各、個人個人の技量の高さが窺いしれる演奏です。
曲にサウンドが合う合わない以前に“合わせて来ている”スゴさを感じます。
多分、観客を前に演奏しているのではないと思うのですが、ライブの緊張感みたいなものがあれば、完璧なものになったような気がします。
東京佼成ウインドオーケストラの演奏も聴いてみました。
プロの演奏ということで非常に期待して聴いたのですが…。
遅い、遅すぎる。
まず、出だしから驚いてしまう。
楽譜には[Allegro Vivo 142-152]と書いてあるのに、どう考えてもマーチのテンポでもおかしくないくらい。
サウンドとか演奏とか以前に「華麗なる舞曲」という曲ではなかった…。
指揮者の解釈なのだろうけれど、「華麗なるー」ではなくて「優雅なるー」って感じがしました。
それとは対称的なのが、大阪市音楽団です。
これは、スリル満点の演奏です。
それこそ、「THE華麗なる舞曲」とでもいいましょうか。
(定演での演奏のライブ盤ですが、演奏後お客さん、非常に盛り上がってます。)
すごい演奏です。
でも、一番すごいのは、同じ大阪市音楽団の1992年に岡山シンフォニーホールでのライブでしょう。
これは、文句のつけようのない「華麗なる舞曲」です。(Youtubeで聴きました。)
一回、聴く価値は十分にあると思います。
さて、再三、言ってますように今年は私も全日本吹奏楽コンクールの高校前半の部を拝聴する事が出来ました。
そして、たまたま「華麗なる舞曲」に遭遇し、非常に感銘を受ける事となりました。
岡山学芸館高校、彼らの血のにじむような努力の跡が目に見えるようです。
まず、ミスが少ない。
そして、明るい音色でスピーディーで華やかな演奏に仕上がっていました。
特に金管、それもトランペットが大きな役割をはたしていたように思いました。
聴く前は、正直、そんなに期待していなかったのですが、いい意味で裏切られた感じです。
ただ惜しむらくは、ホルンが曲の最後の方の幾つかの見せ場でバテてしまったことでしょうか?
まだ、CDが発売されていませんので、聴き比べられませんが、高校では洛南高校と並ぶくらいの演奏といっても過言ではないのではと強く感じます。(本当の事を言うとYoutubeで演奏を確認しました。この録音はわりと状態がよく、実際に聴いた時感じた事を再確認できました。
番外編としてアメリカ・カンサス大学の演奏。
簡単に言うともっと練習してこいよというレベルです。
曲の途中でアンサンブルが乱れたり、音程が気になったり…。
日本の高校生のほうが数倍うまい。
(また、同じCDの中のフェスティバル・バリエーションは泣けてくる「迷演?」です。)
Youtubeで流れているアメリカ空軍軍楽隊の演奏がカンサス大学の演奏ではないかとの「ウワサ」がありますが、このCDの演奏とは全く、別物ですね。
この曲は、吹奏楽を愛する者にとって、心躍らせる何かを持っています。
そして、これからも「完璧」を目指して多くの人々が挑戦してくれることでしょう。
「伝説の名演」が増える事をこの曲のファンとして心より願っています。
(追記 2013.7.2)
先日(2013.6.5)、東京・池袋の東京芸術劇場で行われた「なにわ《オーケストラル》ウインズ2013」の東京公演に行かせて頂きました。
とても、素晴らしい演奏会でした。
このバンドはスゴイ!!
昨年の演奏会で「華麗なる舞曲」をやってます。CDにもなってますので是非、お聴き下さい。
このブログでいろいろ書いてますが、最高傑作です!!http://blog.goo.ne.jp/urawa_kappa/d/20130511
私が聞いた話だと、88年の福工大附属は課題曲の深層の祭が途中止まりそうになり大幅な減点で代表にならず。
土気シビックのコンクール不参加は、人数制限65人になったからだそうですよ。
65人制限だと降り番がでて、皆楽器吹きたくて集まってるのに意味がないって理由だそうで。
失礼いたしましたm(__)m
95年関西支部のセントシンディアンサンブルというのもあります。荒いですが聞き応えあります。
いろんな音源があると思いますので、情報があれば、お知らせ下さい。
「華麗なる舞曲」、本当にいい曲です。
先月も東京芸術劇場で開催された東京音楽大学シンフォニックウィンドアンサンブルの定期演奏会で生演奏を聴かせて頂いたばかりです。猛スピード(笑)のスゴい演奏でした。(6月には、TADの演奏会にも念願叶って行くことが出来ました。鈴木先生のお姿を拝見し、感慨深いものがありました。)
おっしゃる通り、福工大の「華麗なる舞曲」は“伝説”ですね!
空軍バンドは、聴いた事ないかも知れません。
どうやったら、聴けるのでしょう?
情報ありがとうございます。
やっぱり、この曲の奥の深さには感銘を受けます。
これからもまた、何か情報がありましたら、お知らせ下さい。
よろしくお願いします!
精華女子高は、そんなに素晴らしかったですか。さすがですよね。でも、あそこのサウンド、苦手なんです。淀川工科とか東海大高輪台とかに共通するサウンドです。音色は明るいし、テクニックもバツグン、圧倒されるパワー、素晴らしいんです。でも、あのサウンドじゃなあ…。私が考える最高の吹奏楽団はパリ・ギャルドレピュブりケーヌ吹奏楽団です。あの甘いサウンドは、同じ楽器を吹いてる人間とは思えなかった。それにイチバン近い日本の高校吹奏楽部は、ダントツで市立習志野高校です!色っぽくて、透明感のあるサウンドは、ゾコゾクします。昨年のコンクールでもイチバンのの演奏だと思いました。あと、金管楽器だけだったら岡山学芸館かなあ。やっぱり、九州の学校だったら、1980年代全盛期だった中村学園女子高のサウンドを出してほしいです。(オヤジなので生で聴きましたが、凄かった!)軍楽隊のような音じゃなくて…。(気を悪くしたらゴメンナサイ。)
ところで、私は埼玉県大会(地区大会)を見に行きましたが、今年の埼玉栄はすごいですよ!恐ろしいくらいの完成度です!!極端に言うと半分、音大生がいるんじゃないかと思うくらい。