ん十年前の事です。
今はくたびれたオヤジも、確か高校1、2年の頃がありました。
(進学した高校に吹奏楽部がなく、心に穴のあいたような空虚な毎日を過ごしておりました。)
その頃、冨田勲先生のシンセサイザーによる演奏の影響かホルストの「組曲“惑星”」が流行っていたように思います。
一番人気は、やはり、カラヤン=ウィーンフィルの演奏だったでしょうか?
私は、何故だか買ったLPレコードがアンドレ・プレヴィン指揮、ロンドン響でしたが…。
先日、N響が定期公演で「惑星」を演奏することを知りました。
と同時にこんなことも思いました。
「“惑星”って生演奏を聴いたことあったっけ?」
吹奏楽では「木星」「火星」をコンクール等で聴かせて頂いたことはありますが、フルオーケストラでしかも全曲となると経験がありません。
俄然、興味が湧き、この日に至ったわけです。
2013年6月9日、日曜日。
原宿駅に降り立ち、NHKホールに向かいます。
日曜日なので代々木公園界隈は人で溢れかえっています。
まるで、お祭りのようですが、特に何かイベントがある様子もない。
さすが、東京ですね。
人ごみをかき分け?NHKホールに到着。
指揮は同郷の下野竜也氏。
ご活躍ですね。
先日も音楽監督をしてらっしゃる広島ウインドオーケストラの東京公演に行かせて頂き、感銘を受けました!
[演奏]NHK交響楽団
[指揮]下野 竜也
[コンサートマスター]堀 正文
● 幻想曲とフーガ ハ短調BWV537 (J.S.バッハ/E.エルガー編)
● ピアノ協奏曲 イ短調 作品54 (R.シューマン)
Ⅰ アレグロ・アフェットゥオーソ
Ⅱ 間奏曲:アンダンティーノ・グラツィオーソ
Ⅲ アレグロ・ヴィヴァーチェ
[ピアノ]ネルソン・ゲルナー
● 組曲「惑星」作品32 (G.ホルスト)
Ⅰ 戦争の神、火星:アレグロ
Ⅱ 平和の神、金星:アダージョ
Ⅲ 翼を持った使いの神、水星:ヴィヴァーチェ
Ⅳ 快楽の神、木星:アレグロ・ジョコーソ
Ⅴ 老年の神、土星:アダージョ
Ⅵ 魔術の神、天王星:アレグロ
Ⅶ 神秘の神、海王星:アンダンテ
[女性合唱]東京混声合唱団(合唱指揮/水戸 博之)
久々に聴く弦楽器の音です。
管楽器の音ばかり聴いていると、たまに弦の響きが恋しくなります。
何か心が安らぐなぁって思えますよ。
最初はエルガーのオーケストレーションによるバッハです。
とても素敵な演奏でした。
私には難しいことはわからないけれど、バッハの深みのある世界にエルガーというフィルターを通したことによって、華やかさが加えられたように感じられました。
1曲目から、グッと心を掴まれたようです。
続いてはネルソン・ゲルナー氏のピアノによるシューマンのピアノ協奏曲。
技術論以前に私のような素人にも理解できる独特の世界がありました。
ロマン派音楽の抒情性が遺憾なく発揮され、会場全体を芳しい香りで包み込むような音の広がり…。
ゲルナー氏の表現力が際立った好演でした。
ここで休憩。
トイレに行く時に気付いたのですが、大人が演奏会を楽しむためにNHKホールでは小さい子供さんを預ってくれるんですね。
ホールのロビー北側(正面玄関とは反対の方)の一角に女性が数人いて子供たちに世話をやいておりました。
とても良い事だと思いました。
それにしても下野氏の指揮はカッコイイ!
指揮棒の先から“音楽”が迸り出ているような…、そんな錯覚に陥りそうでした。
さて、最後はいよいよ「惑星」です。
フルオーケストラの生演奏の「惑星」は初めてですので、ワクワクします。
……… 楽しい時間でした。
1時間近くの時間があっという間に過ぎたように思えました。
「火星」の激しさ、「金星」の透明感、「水星」のスピード感、「土星」の重厚感がN響の奏でる“音”によって見事に表現されておりました。
特に「木星」は有名なアレグロ・マエストーソのメロディをゆったりと弦楽器に歌わせており、抒情感を盛りたてた素晴らしい演奏でした。
実は私は、「天王星」が一番好きなのですが、パワーに圧倒されましたね!
そして、最後の曲「海王星」。
オフステージの女性合唱がどのように聴こえてくるのか興味津々でした。
ステージ上とは、距離感を取りつつも、しっかりと存在感を示している…。
そんな風に感じました。
CDではわからないし、CDでは表現できない空間の広がりを意識出来たように思います。
そして、指揮棒の動きが止まり、曲が終わりました…。
ブラヴォー!
少し、風邪気味で体調が万全でなかったこの日の私でしたが、来てよかったなとつくづく思いました。
ただ、原宿駅へ向かう途中の雑踏で頭痛が“復活”しましたが…。
この人混みは、どうにかならんものかねと考えながら家路を急ぐ浦和のオヤジでした…。
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