レンタル店で借りて観た映画3本目は『駅までの道を教えて』でした。伊集院静氏の原作短編の映画化作品。主人公サヤカ(新津ちせさん)は、8歳の少女で、いつも一緒だった愛犬ルーがいなくなってしまい、まわりの大人たちはもう帰ってこないと言うのですが、サヤカは信じることができないでいました。そんなサヤカは、ある日、一匹の犬ルースに出会います。ルースの飼い主は、喫茶店を経営するフセ老人(笈田ヨシさん)でした。フセは、数十年前にいなくなった息子の死を受け入れていなかったという過去がありました。愛犬を失なったサヤカと愛する息子を失っていたフセは、お互い打ち解け合ううちに、寂しさを分かち合うことができ、いつのまにか、年の差を超えた固い友情が芽生えて行きます。愛するものを失った悲しみや寂しさをともに分かち合うことで、その感情を乗り越えた行先に、何かが生まれているのを自ら体験するサヤカの成長していく姿が素敵な映画でした。大切なものや人を失って、その悲しみや寂しさと心底向き合うことで、その寂しさや悲しみの一歩先に往きつくことができるということなんだろうなあと思いました。悲しみや寂しさから逃れているだけの間は、その悲しみや寂しさからずっと逃れることができないということなんだろうなあと思いながら見終えました。赤い電車に乗っていた人たちがみんな笑顔だったのがいつまでも心に残りました。主役のサヤカを演じておられた新津ちせさんはパプリカを歌っているメンバーの最年少の方だったというのを後で知りました。彼女の名演技は素晴らしかったです。ルーやルースの名演技も光っていた見ごたえがあった映画でした。
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