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私の家から阿倍野のハローワークへの往路は26号線の岸里交差点から松虫通を東へと上町台地への坂道を上っていくのですが、あべの筋の松虫の交差点から熊野街道に入る手前に松虫塚という玉垣に囲まれた小さな祠があります。いつもは通り過ぎるだけですが、ネタも少なくなっている昨今ですから足を止めて、どんなところなのかと見てみることにしました。
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塚と言えばこんもりとした小山を思い浮かべますが、ここは平坦な場所です。旅人が松虫が鳴く声に聴き入り、命途絶えたことを憐れんで供養したと書かれていますが、勝手な想像でしょう。どんな悠長な人間でも虫が命絶えるまで鳴き声に耳を傾けることなど出来るものではありません。
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この句は松虫塚を詠ったものではありません。“秋の野に 人まつ虫の声すなり われかと行きて いざとぶらはん”という古今和歌集の詩です。こじつけてここに碑を建てたものとしか考えようがありません。
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やたらと『松虫塚』あるいは『松蟲塚』と書かれた碑が建てられていて、いささかウンザリします。
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ここは市有地だという説明があります。宗教活動が禁止されているそうで、道理で何のお供えも無いわけです。
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先ほどの“秋の野に・・・”の句の説明文があるようですが、この句の意味するものは、私を待っている声がする、さぁ訪れようということであり、“二人の親友が・・・”とある説明はこの句とは関係なく、謡曲松虫のストーリーです。
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岸里方面(西側)から上がってきたときに見える松虫塚。
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こちらは東側から、1枚目の写真は対面の歩道から撮ったものです。
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