「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

風に吹かれるミノムシのごとく Long Good-bye 2023・10・29

2023-10-29 05:44:00 | Weblog

 

   今日の「 お気に入り 」は 、南木佳士さんのエッセイ

  「 からだのままに 」 ( (株)文藝春秋 刊 ) から 、

  「 からだ 」と題した文章 。

   備忘のため 、抜き書き 。

   引用はじめ 。

  「 第一線の現場で働く内科の臨床医となって初老と呼ばれる

   年代に深く入るまで生きてしまったのに 、そして 、たく

   さんの亡くなる人たちを見送ってきたのに 、いまだに死に

   関する定まった視点を持ち得ないでいる 。医者になりたて

   のころ 、死は完璧に他者のものであり 、こちらはたまたま

   臨終の場面に立ち会わねばならぬ職業についたまでで 、やが

   ては慣れるだろうと たかをくくっていた 。

    中年にさしかかると 、日々見慣れたはずの死が 、じつは

   自分の背後にそっと迫っているのを知り 、慄然とした 。他

   者に起こることはすべてわたしにも起こりえるのだと肌身に

   しみた 。本当の大人になるとはこういう大事を知ってしまう

   ことなのだろうから 、わたしは厄年のあたりでようやく成人

   したのだ 。

    それからは 、自分が存在することそのものが不安で 、夜も

   眠れなくなり 、結果として病棟の担当を降りねばならないほ

   ど心身を病んだ 。

   『 百歳まで生きたいのでしたら手術をしますが 、そうでない

   のならこのまま様子をみたほうがいいのではないでしょうか 』

    先日 、病棟で 、高齢のがん患者さんにこういう話し方をして

   いる医者がいたから 、あとで 、それはちょっと違うような気

   がするけどなあ 、と第一線を退いた身は遠慮しつつ告げた 。

    毎日 外来で 多くの高齢者を相手にしているが 、九十歳を超え

   た方には必ずおなじ質問をする 。お若いころ 、こんなに長生

   きをすると思っておられましたか 、と 。答えはすべておなじ

   で 、まったく思っていませんでした 、となる 。

    だれも 、百歳まで生きよう 、などとたくらまずに 、生活の

   細部を 手抜きなく こなしてきた結果 が 長寿 なのだ 。強いて長寿

   の理由を挙げてもらうと 、運 でしょうかね 、との回答が最も

   多い 。

    みんな 、きょう死ぬかもしれない朝にも 、自分が死ぬとは

   思っていない 。なぜなら 、死のそのときまでは生きている

   のだから

    ここで急に男と女の話になるが 、からだに不調を感じたとき 、

   無理をしないように話すと 、それを守るのが女 、守れない

   のが男という傾向はたしかにある 。男はからだを理屈でコン

   トロールできると無邪気に信じているのかもしれない 。総合

   感冒薬のテレビCMに出てくる 、薬を飲めばすぐに会議に出

   られる 、といった単純な物語を好む人も男が多い 。こういう

   無理の積み重ねが男女の寿命差につながっている気がしてなら

   ない 。

    死ぬまでは必ず生きている 「 からだ 」 。その圧倒的な存在

   感のまえで色あせない世俗の価値を探すのはきわめて難しい 。

    理屈を寄せ集めて世俗の価値を追い求めているとき 、その理屈

   を支えているのが ほかならぬ自分の自然なる からだ なのだと自覚

   できている人を見つけるのも 、おなじように困難だ 。

    かように書きながら悟りきれないわたしは風に吹かれるミノムシ

   のごとくからだのままに揺れている 。 」

   引用おわり 。

    ( ´_ゝ`)。

   ( ついでながらの

     筆者註: 「 南木 佳士( なぎ けいし 、本名:霜田 哲夫 、
          1951年(昭和26年)10月13日 - )は 、日本
          の小説家 、医師 。既婚 。

           代表作は 芥川賞受賞作 『 ダイヤモンドダスト 』 
          ( 1988年 ) 、『 阿弥陀堂だより 』 ( 1995年 ) 。
          自身のうつ病の経験から 、生と死をテーマにした作品
          が多い 。

          経 歴
           群馬県吾妻郡嬬恋村出身 。嬬恋村立東小学校 、
          嬬恋村立東中学校 、保谷市立保谷中学校 、
          東京都立国立高等学校を経て 、秋田大学医学部
          医学科を卒業後 、佐久総合病院に勤務 。

           1981年( 昭和56年 )、『 破水 』 で第53回文学
          界新人賞を受賞し小説家デビュー 。翌年 、『 重い陽
          光 』 で 第87回芥川賞候補 。1983年に 『 活火山 』 、
          1985年に 『 木の家 』 、1986年も 『 エチオピアからの
          手紙 』 で芥川賞候補となる 。

           1989年( 昭和64年/平成元年 )、『 ダイヤモンド
          ダスト 』 で 第100回芥川賞を受賞 。

           1990年( 平成2年 )から 1996年( 平成8年 )、
          パニック障害で病棟責任者を辞任 。その後 鬱病 を
          発症 。

           2008年( 平成20年 )、 『 草すべり その他の
          短編 』 で 泉鏡花文学賞 を受賞 。翌年には 『 草
          すべり 』 で 芸術選奨文部科学大臣賞を受賞 。

          以上ウィキ情報 。  )   

 

 

 

 

    

 

 キリギリス ではなく 、クビキリギス ってやつかな ? それとも ショウリョウバッタ ?

 これほど大きいのを 、わが家の庭でみるのは初めてのような気がする 。

 右の写真は 、ドイツの鉄鋼大手ティッセン・クルップのグループ会社が製造した 、

 古いわが家の バリアフリーのために レンタルで利用している 、屋外用の階段昇降機 。

 家庭用電源を使用 、椅子の脚部にモーターが入っている造りらしい 。モノレール 。

クビキリギス ( Euconocephalus thunbergi ) は 、バッタ目キリギリス科の昆虫 。

 クビキリギリス ともいう 。」 、それとも

「 ショウリョウバッタ( 精霊蝗虫)Acrida cinerea は 、バッタ目 ・バッタ科 に分類

される昆虫の一種 。日本に分布するバッタの中では最大種で 、斜め上に尖った頭部が

特徴である 。別名 ショウジョウバッタ 。 」。

 多分後者 。

 

 

「 草木国土悉皆成仏 」  

      ( 弘法大師 空海 )

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする