若殿の気ままな独り言

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強い痛み・血圧急低下… 大人の盲腸、重症化に注意   大腸がん 潜むケースも

2014-12-13 17:52:32 | 健康、フィットネス
 虫垂炎は盲腸という呼び方で知られている。若い人がかかる病気との印象があるが、実際は高齢者まで幅広い年代で発症し、いつなってもおかしくない。ストレスなどによる免疫機能の低下が原因の1つともいわれている。虫垂炎は他の大腸の病気と初期症状が似ており、「虫垂炎と思ったら大腸がんだった」というケースもある。異変を感じたら忙しくてもきちんと診断を受けることが大切だ。
(以下、日経ライフから一部抜粋)

『■異変あれば問診を
 20代後半の男性は、空腹時に上腹部に痛みを感じていた。最初は様子を見ていたが、どんどん痛みがひどくなり、痛みは右下腹部に移ってきた。吐くようになり、たまらず夜に病院を訪れたところ急性虫垂炎と診断され、そのまま入院した。翌日に虫垂の摘出手術を受け、3日後に退院した。


 盲腸は大腸と小腸がつながる場所にある。端が行き止まりという意味の「盲端」という言葉から盲腸と呼ばれるようになった。その盲腸からにゅっと垂れ下がった管状の臓器が虫垂だ。おなかの右下近辺にあり、これに何らかの原因で炎症が起きれば虫垂炎となる。

 虎の門病院(東京・港)消化器外科の黒柳洋弥部長は「10~20代の来院が多いが、発症する年代は高齢者まで幅広い」と解説する。国立病院機構まつもと医療センター松本病院(長野県松本市)によると、同病院の虫垂炎の年代別症例数(1998~2013年)は10~39歳が半数以上を占めているが、90代の患者もいた。

 本来は便になるものが石のようになる「糞石(ふんせき)」などで虫垂の中がつまると、その先が閉塞状態となり、細菌が繁殖する。その結果、虫垂が炎症を起こす。異物で詰まる原因はさまざまだが、体調が悪かったりストレスがたまったりして、病原体などから身を守る免疫機能が下がると発症しやすいとされる。外科手術で虫垂を切除すれば、2度と虫垂炎になることはない。


 虫垂炎の発症初期の多くは、まずヘソの上あたりがズキズキと痛くなる。その後、時間がたつと痛みが腹部の右下近辺に移る。その頃には発熱を伴っていることが多い。痛みの場所が移るタイミングは人それぞれで、1日で変わる人がいれば、2~3日の人もいる。

 痛み方や場所がうまく説明できない子供は問診での診断がつきにくい。このため虫垂炎を単なる腹痛と思い込み我慢しつづけると、腹膜炎などに発展する恐れがある。

 一方、成人も虫垂炎の症状は子供と同じだが、自分で痛みの種類などが判断しやすく、早期発見も比較的容易だ。ただ、社会人は「多忙で病院に行く時間がない」などの理由ですぐに受診しないケースが多く、子供と同様に症状が悪化する恐れがある。異変を感じたら早めに病院を訪れることが重要だ。

 また、虫垂炎と思って受診したら他の病気だったというケースもある。「医師は大腸の病気などを疑う必要がある」と黒柳部長は指摘する。その1つが大腸憩室炎だ。大腸の壁の一部が外に飛び出した憩室という場所に炎症が起きてしまう。腹痛や発熱があるなど、症状が虫垂炎と似ている。


 成人は大腸がんが隠れているケースもあるので要注意だ。虫垂が糞石ではなく、がん組織でつまり炎症を起こす。初期症状は虫垂炎とほぼ同じだが、詳しく検査すると大腸がんが見つかることがある。

 病院では、成人の虫垂炎が疑われたらコンピューター断層撮影装置(CT)を使って検査するのが一般的だ。黒柳部長は「もし大腸がんの可能性を疑うのであれば大腸内視鏡の検査を受けた方がよい」とすすめる。年をとれば重い病気が潜んでいる可能性が高くなる。腹部にいつもと違う異変があれば詳しく検査してもらうとよいだろう。

 虫垂炎が引き金となって発症する病気もある。その代表的なケースが腹膜炎だ。虫垂がやぶれて腹腔(ふくくう)にウミなどが散らばって炎症を起こす。我慢できないほどの強い痛みに襲われ、血圧が急激に下がるなどしてショック状態になり、意識を失うこともある。最悪の場合は敗血症で死亡する恐れもある。体力が弱い高齢者は注意が必要だ。

 虫垂がやぶれても腹腔全体には細菌が広がらない「限局性腹膜炎」になる患者もいる。この場合は小腸などが壁となりウミの散乱を防ぐ。通常の腹膜炎と違って痛みは我慢できるレベルが多いという。腸閉塞になって見つかることもある。

切除不要な症例も
 虫垂炎の治療は、腹部を切る範囲が小さい内視鏡手術による切除が大半だ。手術後1~2週間で退院できるが、軽症だと翌日に退院となる場合もある。最近は抗生物質の投与で症状の悪化を防ぐ手法も増えている。黒柳部長は「診断技術の進歩によって、最近は切らずに済む虫垂炎が判別できるケースが多くなった」と話す。

 虫垂はこれまで切除しても特に影響はないと考えられてきたが、虫垂には隠れた大切な役割があるとの研究も報告されている。免疫学が専門の大阪大学の竹田潔教授らは、虫垂が腸に免疫細胞を供給し腸内細菌のバランスを維持するのに役立っていると、マウスの実験で突き止めた。潰瘍性大腸炎などの治療法の開発につながる可能性があるとみている。

 実際に切除した人も問題なく生活しているが、これまでの常識の「盲点」を突く成果かもしれないと感じた。