地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

「遥かな町へ」の町で

2009年10月29日 12時55分15秒 | うろつきアーカイヴス


富士宮口からの富士山日帰り登山を行ない、亀山泊した翌日の9月22日、新名
神→名神→中国道と走る久留米への小雨の帰路、鳥取県三朝町と倉吉市へ大き
く寄り道しました。

鳥取県へ何しに行ったのかと言うと、①近年、知名度上昇著しい、三朝町の三徳
山(標高900㍍)へ登り、国宝、投入堂を拝んでくる。残念ながら雨天の場合は
登山口の偵察。 ②昔から愛読していた「谷口ジロー」の代表作「遥かな町へ」の
舞台、倉吉市街地とその背後にある打吹山のロケーションを確認したい、平たく
言うと、ミーハーファンとして作者作出時の心象風景を追体験してみたい、との
願望を満たす為。


1000円乗り放題の料金に煽られ発生した(僕も原因マンの中の一人である)休日
ラッシュの吹田ジャンクションから中国道で岡山県下、そして枝道の米子道へ。
山中の湯原ICで高速道路を下り、低い中国山地を縫って走る数字の大きな田舎
国道を走って亀山から5時間かけて三朝温泉着となりました。

三朝温泉街を南に巻くバイパスを東に走り、三徳山登り口。小雨がポツポツして
きたので、登山口の偵察のみに気持ちを切換えました。


(車中、走りながら撮り。筑後一宮 高良大社の三の鳥居から本殿見上げた雰囲気)

いわゆるスポーツ登山的山岳とは異なった密教信仰部分の比重が大きそうな山で
す。


(「Wikipedia」からの借物写真。山体全域が三徳山三仏寺(天台宗)の境内となっ
ており、「投入堂」の名で知られる奥院の建物は、垂直に切り立った絶壁(と言うか
オーバーハング)の窪みに建てられています)

次回の鳥取県訪問は11月13日(金)の鳥取市内での全鍍連西日本ブロック会議
時。会議翌日と翌々日の土日曜に幾つか山登っちゃろー、と企画しており、まずは
その下調べ程度にとどめておくことにしました。


三徳山麓から西へ10分で第2目的の倉吉市。市街地南にこんもりと小高く形の良
い打吹山があります。


(倉吉博物館に置いてあった地域PR用パンフ。綺麗な町並みです。背景の山が打
吹山)

さて、暫くの間「谷口ジロー」作の「遥かな町へ」の舞台をうろついてみることに。

まず、「遥かな町へ」って何? な方への説明から。

小学館のビッグコミック誌で1998年4月25日号から12月10日号にかけて断続的に
数回に渡り掲載された、小説で言えばさしずめノベラに該当するだろう長さの作。

内容。主人公は、東京在住48歳の中年男性。 ふとした事から郷里である鳥取県
倉吉市に生きる昭和30年代の中学生である自分に、精神のみタイムスリップしてし
まいます。中学生に戻った主人公が友人や初恋の人との交流、両親の苦悩などを
通じ、現代人にとっての「郷里」「家族」とは何かを問いかけた珠玉の作です。近々
映画化される構想があるんだとか。実現したならば必ず観にいくつもりですが、
地味な内容ですので大ヒットはしないはずです。

ついでに谷口ジローについて紹介すると、その画風は、フランスの漫画家ジャン・
ジロー(Jean Giraud ペンネーム:メビウス(Moebius))に影響された揺るがぬデッ
サンの細密画。ジャン・ジローは、映画『ブレードランナー』のキャラクター衣装デ
ザインなどをこころがけつつ多くのビジュアル系サブカルチャーにカリスマ的影響
力を持ち、業績を記念する郵便切手が発行されたほどの方なんだとか。ちなみに、
大友克洋もジャン・ジロー影響下の一人。

作風は、ここ10年ぐらいの近作では小津安二郎的な日常感溢れるエピソードを積
み重ねつつ一つの作品として仕上げていくとしたものが多く、そこら辺の渋さが受
けるのか、国内以上にフランスを中心とした海外での評価が高まり、ヨーロッパで
数々の漫画賞を受賞しています。

谷口の主な受賞歴は、
1992年 - 第37回小学館漫画賞審査員特別賞(『犬を飼う』)
1993年 - 第12回日本漫画家協会賞優秀賞(『「坊っちゃん」の時代』)
1998年 - 第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞(『「坊っちゃん」の時代』シリーズ)
1998年 - 第3回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞(『遥かな町へ』)
2001年 - 第5回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞(『神々の山嶺』)
2002年 - アングレーム国際漫画祭 最優秀脚本賞(『遥かな町へ』)
2002年 - アングレーム国際漫画祭 優秀書店賞(『遥かな町へ』)
2005年 - アングレーム国際漫画祭 最優秀美術賞(『神々の山嶺』)

さらに蛇足補足しますと、ジャン・ジローと、アニメーション監督にして漫画家の宮崎
駿は互いのファンとして影響しあい、長年の親交を保っているとのこと。ジローは風
の谷のナウシカにちなんで、長女を Nausicaä と名付けてしまっています。

「遥かな町へ」と「谷口ジロー」の説明はこれでおしまい。ご興味の向きは、小学館
刊行の下の単行本をご購入いただきたく思います。


(左が上巻。主人公と倉吉の街並み。右が下巻。主人公とヒロインの長瀬智子。背
景は倉吉のアーケード街)


(まず、上巻1ページ目の打吹山写真。昭和40年代、市内不入岡付近から撮った
もの。倉吉博物館内に原画像が掲げてありました)


(上の写真と同じアングルで撮っちゃろー、と画策し市街地北西部の不入岡と目
されるあたりで南東向いてシャッターを押してみましたが、少し違ってしまいまし
た。もう数百㍍西に移動するべきでした)


(谷口ジローが実際に通学し、設定上、主人公も通っていた倉吉東中学校は、
昭和40年代なかばに市街地北方に移転してしまっていました。写真の建物は
勤労青少年体育センターと武道館)


(作中の倉吉東中学校と打吹山)


(倉吉東中学校が元々あった所は、現在、倉吉歴史民俗資料館・倉吉博物館
や市営陸上競技場となっています)


(博物館西側の打吹山麓には、良さげな芝生とベンチ)


(昭和30年代、同じ位置で主人公と長瀬智子は色々とお話したわけです)


(作中、(恐らく)主人公が家族と住んでいた魚町・仲町の商店街筋)


(昭和30年代の描写が尋常なく細かい)


(主人公と長瀬智子がこの小鴨川の堤防上を歩いていたことになっておりま
した)


(中学校から家があった商店街までの通学路とは全く離れた位置にあり、学
校からの帰り道に歩くわきゃない小鴨川の堤防上ですが、そこはそれ、楽しく
回り道をしていたと思えば良いわけです)


(で、この堤防上を歩いていると、都合よく悪友が中学生のくせにバイクに乗っ
てやってきます)


(実家がバイク屋の悪友にカブを貸して貰い、昔取った杵柄、自由自在に小鴨
川の河川敷を乗り回す主人公。次のページでは、何と!ヒロインを後ろに乗せ
て二人乗りを決めてしまいますが、そのシーンをご覧になりたい方は単行本を
ご購入下さい)


(倉吉博物館に市内紹介パンフが何種類がありましたので、手当たり次第持ち
帰りました。この長ひょろいヤツもその中の一つ)


(その中に、地味~に「遥かな町へ」が紹介されていました)


こんな感じで、午後遅くまで小さな市街地のあっちこっち、谷口ジローの心象
痕跡を探してうろうろしていました。


元々土地勘などあろうはずのない地での夕刻、うろつきにも大概飽きた処で、
もういい加減いいやろ、と中国道に向けて車を南下させました。数十分走り、
低い山を一つ越える峠のトンネルを抜けた付近で篠つく雨がじんわり降り止み
ました。そこらあたりが山陰山陽の気象の境目なんでしょうが、いかにもナイ
スなタイミングの雨上がりに、やや不思議な心持ちでした。



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   全部カタカナ書きするのではなく「クロムめっき」または「クロム鍍金」
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