地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

野田新首相所信表明演説で大平元首相の滑舌を

2011年09月19日 11時05分22秒 | 時事ネタ

一昨日、2011年9月17日(土曜)付け毎日新聞2面の論説欄から。

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近聞遠見:最近の首相6人の「所信」=岩見隆夫
演説上手といわれる野田佳彦新首相、本当にうまいか。国民の心をつかめたかど
うかが肝心だ。

戦後の首相33人、いろいろな演説があった。30年も前になるが、麻生太郎元首
相に祖父のワンマン宰相、吉田茂のスピーチについて聞いたことがある。当時、麻
生は衆院当選2回、40歳だったが、言下にこう答えた。

「ああ、もうへただね。彼は政治家じゃない。たとえばね、総理大臣の所信表明、
普通あらかじめ読むわけよ。彼は読まないんだから。本番でところどころ詰まったり、
その程度なんだ。

演説の重要性とかいうことに対しては(認識が)なかったと思いますね。まあ、佐藤
栄作さんにしても吉田にしても、役人あがりの人は演説で選挙の票をかせがなけ
れば、ということはないし」

そう言われれば、官僚出身の首相は、おしなべてうまくない。官僚出でも池田勇人、
中曽根康弘らは聞かせたが、戦後は戦前にくらべると不作である。

とはいえ、首相の初の所信表明演説は新横綱の土俵入りのようなもので、内外が
注視する。国際化に加えて映像の時代、吉田のころと違う。しゃべり出しから工夫
がこらされる。最近の6人(官僚出身はいない)をみてみると--。

▽「この度、私は、内閣総理大臣に任命され……」(安倍晋三)

▽「この度、私は、内閣総理大臣に任命され……」(福田康夫)

▽「わたくし麻生太郎、この度、国権の最高機関による指名、……」(麻生太郎)

▽「あの暑い夏の総選挙の日から、すでに2カ月が……」(鳩山由紀夫)

▽「国民の皆さま、国会議員の皆さま、……」(菅直人)

▽「第178回国会の開会に当たり、東日本大震災、そして……」(野田佳彦)

久しぶりにパンチがあると評判になったのが麻生節、鳩山にはスピーチライターが
ついていた。

さて、野田演説である。

「これまで積み上げてきた<国家の信用>が今、危機にひんしている」

と述べ、3カ所に同趣旨の<国家の信用>がでてくることに、まず驚かされた。欧
米に日本批判が激しいのは承知しているが、首相自らそれを認め、信用失墜を繰
り返すほどなのか。

それなら、失墜の原因と信用挽回策を具体的に語らなければ、<国民の士気>
に響く。首相は陣頭に立つ人であり、悲観主義者では困る。

<正心誠意>

が初めとむすびで強調された。所信のキーワードだが、普通は<誠心誠意>、幕
末・維新の政治家、勝海舟(1823~99)が自伝「氷川清話」に記した。いわば勝
の造語だ。あれっ、と思った人が多い。それを借用するなら、断るべきだった。

所信演説で、歴史上の著名人を引き合いに出すケースが少なくない。野田は避け
た。首相の考えを述べる場だから、先達登場はアクセントにはなっても、主張が弱
まる。

先の6人では、福田、麻生が避け、安倍、鳩山の演説にはともに相対性理論のア
インシュタイン博士(1879~1955)がでてくる。

安倍はアインシュタインの日本人礼賛、鳩山は絆の話、引用の中身は違うが、こ
の20世紀の大学者の名が演説に重みを加えると判断したのか。菅は先輩の市
川房枝から国際政治学者の永井陽之助まで、身近な人たちを6人も登場させた。
菅らしい。

とにかく、首相交代のたびに言っていることだが、短命政権は国力を低下させ、そ
れこそ<国家の信用>を落とす。野田の猛進に期待したい。(敬称略)
                                   =毎週土曜日掲載


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岩見さんのこのコラム内で、僕が興味を持った点は、

・麻生太郎は祖父の吉田茂のスピーチを下手だと認識していた。
  → 麻生元首相は、大宰相である祖父に無条件に心酔していたわけでもなん
    でもなかった。

・役人上がりの首相はおしなべて演説が下手である。
  → 米国の大統領ならば致命的欠点なのでしょうが、ここは日本。押出しが良
    いのが必ずしも武器になるばかりでは無い、と。クリスチャンにしてYMCA
    活動に従事した大蔵省出身の元首相大平正芳など、「あーうー大平」と揶
    揄されるほどのバッドな滑舌。対外的説得力に著しく欠けるものがある、と
    大平総理時代、学生にして思っていました。

・鳩山元首相の所信表明にはスピーチライターが付いていた。
  → たしかにその手もアリでしょうが、外部にそれが漏れてはいかんじゃろが。
    やはり脇が甘い方の様です。

・岩見氏の諫言①、「失墜の原因と信用挽回策を具体的に語らなければ、<国民
 の士気>に響く。」
  → 具体的に明るい未来を語り、それへのルートマップを示すことが、我が国
    歴代リーダーに最も欠けた性質であること、否めませんので。

・岩見氏の諫言②、「首相は陣頭に立つ人であり、悲観主義者では困る。」
  → 悲観的に語る方がより知的な印象を与えるとの文脈が我が国に深く根ざ
    していますが、はっきり言ってそれは間違い。

・岩見氏の諫言③、「所信演説で、歴史上の著名人を引き合いに出すケースが少
 なくない。野田は避けた。首相の考えを述べる場だから、先達登場はアクセント
 にはなっても、主張が弱まる。」
  → 演説のレトリックとして先達を登場させることの意味合いを、よ~く考えて
    演説せにゃならんということ。修辞法の勉強になります。

・菅直人前総理は、所信表明演説中に6人もの先達を登場させた。
  → 己に自信があったので敢えて行なったのか、それとも真逆で自信が無い
    為に先達の衣を借りたのか。

・短命政権は国家の信用を落とす。
  → 欧州でも、大統領制のフランスは言わずもがな、議院内閣制のイギリスや
    疑似大統領制のドイツでも、我が国ほど頻繁な首相交代は行なわれませ
    ん。あえて言うならば国会が多党分立状態にあるイタリアが我が国類似か
    と。で、衆目によるイタリアの国家的信用はいかがなもの?

菅前首相は、就任直後の記者会見で英国のベンサムが語った「最大幸福の実
現」をひっくり返した「最小不幸」を実現させたいと述べ、フレーズが耳新しいもの
ですからマスコミや、かく言う僕もその言に飛びついたものでしたが
、結果、全く果
たせず、大震災とその後のみっともない政局騒ぎもあり、本人の志(如何程のも
のだったのか)とは全く異なったタイミングでの退陣で国中がヘナヘナに。

試運転期間を長く設定は出来ません。野田首相と政権与党の現状認識能力が
問われる場面はすぐそこ。



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