地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

「最小不幸」か「最大幸福」か

2010年06月09日 13時02分40秒 | 時事ネタ


昨日は、夕刻近くまで滋賀県・京都府をうろうろしておりました。新規にご発注いた
だけそうな見込み客へのPRを行なっていました。

帰路、中国道の山間部にて眠気防止にNHKをずっと聴いていましたが、昨日の夕
刻から深夜にかけて、菅新総理と新閣僚達の記者会見実況中継とその解説ばかり。

津山・新見・帝釈峡・三次、と単調なクネクネ山中高速を走りつつ、菅総理の言葉を
脳内反芻しておりました。

昨日の会見の中で最も際立った文言は、何といっても「経済、財政、社会保障を立
て直し『最小不幸社会』を実現する」という部分。現在の我が国社会に蔓延しつつあ
る、不幸の波がジワジワと足元を濡らし始めている、との空気を払拭したいとの意気
込みを表したものであるのは間違いないわけですが、ちょっと待て、どこかで聞いた
ことあるフレーズやなー、と運転しつつぼんやり考えてみるに、何の事はない、18世
紀英国の法学・哲学者ベンサムが唱えた政策についての道徳的原理「最大多数の
最大幸福」、の真裏返し文言でした。

社会改革の根底に据えられるべき道徳的原理を考案したベンサムは、「快楽や幸
福をもたらす行為が善である」とし、正しい行為や政策とは「最大多数の最大幸福」
(the greatest happiness for the greatest number)をもたらすものであると論じま
した。この言の意を解きほぐしてみると、「個人の幸福の総計が社会全体の幸福で
あり、(社会改革を行なう際の第一義には)社会全体の幸福を最大化すべきである」
という意味だとのこと。

さらにベンサムは前言に基づき、幸福計算と呼ばれる手続きをも提案しています。
これは、ある(社会的・公共的)行為がもたらす快楽の量を客観的に数値化すること
により、その行為の善悪の程度を決定出来るものとするとの考え方を示したもの。

200年も前の英国の学者が唱える論ですが、現在でもかなりの部分通用可能なも
のであると考えます。

上の文言のみでは、公共の福祉の為には個人の苦痛は無視することも致し方なし、
ともとることが出来るのですが、勿論、それに対し、個々人が幸福と考えるものを形
成し追求できるようなエリアを「私的不可侵領域」として定めることにより、社会全体
に最大幸福を形成しようとすることと対にする、との安全弁をも作っています。多数
者の利益のために少数者を犠牲にすることを支持しないとベンサムは述べているわ
けです。

で、菅総理はこの非常に理解し易くとっつきの良いクラシカルなフレーズを、意味は
同じく、表現は裏返しにして、すべからく国民に強くアピールしたものと勝手ながら感
じた次第です。

「最大幸福」よりは「最小不幸」とする方が今の日本の社会にはよりマッチした修辞
なのではないか、裏返し表現の方が弱者救済のイメージをより大きく感じ取らせるこ
とが出来るのではないかと事前に考慮し、会見しょっぱなにこの印象深いフレーズを
持ってくるシナリオを組み立てたのではないか、と感じました。

おそらく、この「『最小不幸社会』の実現」とのフレーズを所信表明演説にも使用する
でしょうし、この先、時に応じて再々アピールしていくことになるものと思われます。

今まで、この手の解り易い言動で大衆を引っ張ろうとした指導者は、記憶している
範囲では田中角栄と小泉純一郎のただ二人。いずれも自民党(ただし、親中左派と
新保守の違いこそありますが)の指導者でした。今度の菅総理、リベラル市民運動
家出身でありながら理念などにおぼれない、手強いアジテーターの色合いを持つ、
今までの世襲政治家とは全く違ったタイプの指導者として、後世、記録されるのかも
しれません。


さらに申すならば、ブータンの第4代ワンチュク国王が言う「国民総幸福量(Gross
National Happiness, GNH)との政策的尺度も、ベンサムが唱えた道徳的原理に端を
発するものなのかもしれぬと思っています。

そのうちいつかブータンに行ってみたいものです。「あなたは今幸せか」という国民調
査の問いに対し、9割の国民が「幸福である」と回答した国ですし。


超蛇足ながら、当社の大卒・院卒予定者向け採用選考時参考試験には、「最大多
数の最大幸福」と述べたのは誰か?、との問題を一般常識欄に設けています。パス
カルやボイル・シャルル、アルキメデスなどとともにベンサム名を選択枠に入れた多
択問題ですので、大した難易度とはなっておりません。括弧内に書き込んで解答せ
よ、との設問だったならば正解率は劇的に低いはずですが。

ま、大学と名の付くものに在籍しているのならば、一般常識の水準線がちいとは高
いはずじゃろが、との、受験者にはアゲインストな雰囲気を醸し出してくれる問題で
はあります。



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    ・ロール等円筒形状機械部品のクロムめっき再生(クロムメッキと
   全部カタカナ書きするのではなく「クロムめっき」または「クロム鍍金」
   と書くのが日本語的には正解)が得意です。

● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● 高温耐酸化性に優れ、高硬度を保持する窒化クロムアルミ膜成膜可能
   です。

● 高硬度・平滑性・滑り性に優れたDLC( Diamond Like Carbon :
    ダイヤモンドライクカーボン)膜
の成膜可能。さらには、本邦初、DLC
   膜の再生加工も開始。

● 無電解ニッケル-リンめっきの軽金属上への析出、他被膜との積層処理
    可能です。被膜の付加価値向上にお役立て下さい。

● マグネシウム合金上へのアークイオンプレーティング成膜が可能です。
    今まで難しかったマグネシウム合金製部品への耐磨耗性付与
    ご利用下さい。

● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
 超厚付電気ニッケルめっきやフレーム溶射による、短納期での寸法・
   形状・機能の復元加工。

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