地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

小松左京氏を悼む

2011年07月31日 03時54分13秒 | 時事ネタ
7月26日に作家小松左京氏がお亡くなりになったとの報道。

僕が中学1年生だった1973年に新書版で刊行された「日本沈没」は空前のベスト
セラーとなりました。背伸びしつつ上下刊読んだ記憶、RKBラジオで21時から15
分ほど流されていたラジオドラマを聞いていた40年近く前のことを思い出します。

その後、「果しなき流れの果に 」「復活の日 」「エスパイ」「神への長い道」「地に
は平和を 」「牙の時代」「継ぐのは誰か?」「時の顔」「本邦東西朝縁起覚書」「さよ
ならジュピター」なんかの長編や短編集を、学業成績低下の憂き目となるほど読
みまくりました。比較的新しいところでは「首都喪失」「虚無回廊」あたり。これら
は学校卒業した後に。

最初期に書かれた短編「地には平和を」や「お茶漬けの味」は小松氏の戦争体
験から生み出された作として深く印象付けられるとともに、文明の進歩の是非に
ついて、示唆に富む内容。

短編「本邦東西朝縁起覚書」読後、我が国中世を二分した皇統分裂『南北朝』
に興味を持つことになりましたし、「日本沈没」によってプレートテクトニクスやさら
に溯るウェゲナーの大陸移動説を知ることが出来ました。

そして「日本沈没」のアイデアノート的先行作品である「物体O」やその視点位置
を変えた「首都喪失」も、それぞれに「日本沈没」的空気を感じさせてくれました。


中学生の頃の興味や知識の方向性がその後の人生を司る、とよく言われます
が、僕の場合もその言の通り。51歳現在の志向性(嗜好性?)は、ほぼ完璧に
この小松左京氏と数年前に亡くなったアーサー・C・クラーク氏によって形作られ
ています。

5年ほど前に刊行されていた谷甲州氏との共著「日本沈没 第二部」を今年になっ
てから購入し、さてそろそろ読みだそうかと思っていた矢先の訃報でした。


(第一部で国土を失い世界中に散らばった日本人たちの行く末を、この第二部
では描いているとのこと)


小松左京氏には深く感謝するとともに、ご冥福をお祈り申し上げます。