国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

サド・ジョーンズは忘れた頃にやってくる

2011年12月13日 | マスターの独り言(曲のこと)
僕は鳥が嫌いだ。
正直、鳥を飼っている場所には近づきたくないし、
卵を生産している工場など近づくのも絶対にイヤである。
これには理由があるようだ。
幼い頃、動物園に行って、たまたま鳥(おそらくクジャク)の大名行列に出会わした。
相手は「斬り捨てゴメン」とは言わなかったけれど、
おそらく僕は襲われている。
つい最近まで自分では夢と思っていたのだが、
どうやらそれは記憶が丁寧にフタをしておいてくれたようだ。
だが、鳥には近づきたいとは身体が思わない。

このジャケットのサド・ジョーンズのような状況になった時、
僕は動くこともままならないどころか、卒倒してもおかしくない状況である。
優雅にタバコを持って吹かしている場合ではない。
今もってサド・ジョーンズが
何故ハトに囲まれる状況のジャケットが作られているのか
そのことにさえ、当事者ではないのに身が固まる思いだ。

まぁ、だから音楽がどうだというわけではない。
時々、取り出して聴いてみたくなる演奏なのだ。
最初にこれを聴いたのは神保町の『BIG BOY』だ。
ジャズは好きだったけれど、どうにもこのアルバムは「う~ん」だった。
ハトの所為ではない。
演奏がたまらなくスローなのだ。

1曲目「エイプリル・イン・パリ」は、名曲であっても
このアルバムではパンチが無い。
「もっとグイグイ来いよ!」というのは若さの性か。
買ってみてからもそうそう聴くわけではないのだが、時々思い出したようにかけてみる。
するとたまらなく胸に迫ってくるのだ。
サド・ジョーンズのトランペットは
瑞々しく、パーシー・ヒースのベースに心地よくのっている。
マックス・ローチのブラシさばきも「ジャッシャ」と主張をしている。
思い出したかのようなバリー・ハリスのピアノもいい。

ああ、良いところが聞こえてくるではないか。
そう、これがジャズの醍醐味なのだ。
たとえ鳥は嫌いでも、ジャズは嫌いになってはいけない。
忘れた頃にきっと心に響くのだから…

ちなみに鳥は嫌いだが、鶏肉は大好物である。

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