国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ジャズにいざよう甘美な響き

2011年03月03日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
働いていれば、日々いろいろなストレスが身体にたまる。
急激なストレスというのはあまりないのだが、
それでも毎日時計に追われるように生活をしていると
いつの間にか時間の感覚が無くなり、日々に潤いがなくなっていく。

そんな時、僕にとっての栄養補給はやっぱりジャズなのだ。

最近少しずつ耳が肥えてきているのを感じる。
普段のちょっとしたステレオで聴いた音が
「ツーン」と三半規管を駆けめくるかのようにじわじわ耳の奥に広がっていく。
何気なく聴いた音でも「あ、いい音」と思ったり、
グーンと伸びてくる低音をスムーズにつかまえられたりする。

それがジャズになると耳に入り込んだ音が、
全身をぐるっと回り、血の巡りをよくするのか、
じんわりと体内に融けていくかのような感覚になる。
(単なる眠気なのかもしれないが…)

そんなジャズの最高点にいるのがチャーリー・パーカーだ。
正直パーカーの録音は非常に状態がよくない。
これはレコーディング技術が未熟だった時期であるから当然のことだ。
残念なことに現在のかなりきれいな音と比べてしまい、
それが原因で「パーカーを聴かない」という人までいるそうだ。

しかしこれはあまりにも勿体ない。
『バード・アット・セント・ニックス』
これも録音状態はいいものではない。
だが聴いてみれば分かるだろう。
その劣悪な録音環境でありながらも
パーカーの音色がはっきりと浮かび上がってくるのが!

バックのリズム・セッションはかなりぼやけた音をしているのだが、
パーカーのアルトサックスの音だけは
まるで異空間から切り出されたかのように、
この現実世界のすぐ側にしっかりと固定されたかのような存在感がある。

そんなリアルで明快なサウンドが、僕の中に激しく融けていく。
だからジャズを止められないのだ。