国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
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そんな仮想の音楽喫茶

このアルバムの魅力をつかめ!

2010年03月18日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
なかなかつかみきれないアルバムというのがある。
どこかふんわりとしていて印象に残らない。
「あれ?」と思って再び聴くのだが、ボンヤリしていてくっきりと絵が見えないのだ。

僕にとってMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)の
『コンコルド』はそんなアルバムだ。

ジャズのようにセッション型で、メンバーの固定が珍しい音楽の中で
MJQのようなジャズグループは珍しい。
ピアノとヴァイブという音色が近い楽器の編成も珍しい。
ミルト・ジャクソンの粘り着くようなくすんだヴァイブの音に、
西洋音楽の理論を取り入れたジョン・ルイスのピアノがのり、
ジャズドラムの開祖ともいうべきケニー・クラークがリズムを刻むのだから、
かなりガッチリとしたグループであることが分かる。

この『コンコルド』は、ドラムがケニー・クラークからコニー・ケイに
変わったばかりの録音作品である。
だからというわけではないのだろうが、どうも今ひとつ乗り切れない。

どうも曲調が僕にとってよくないようだ。
アルバム全体がちょっと灰色がかったどんよりとした曇りのイメージを感じてしまう。
極度に抑えた演奏っぽうのだ。
このアルバムには「4月の思い出」や「朝日のようにさわやかに」のように
有名スタンダード曲もあり、それらの演奏はかなりレベルの高いものだ。
どうもこのアルバムのミルトが良くないのかも。
ミルトのどっしりと構えたヴァイブの音が少ないのではないか?
その証拠に「4月」や「朝日」はミルトがしっかりとソロを取っていて、
それらの演奏は何の苦もなくのることができる。
そうだ! このアルバムにはミルトの色が薄いんだ!

何て自分で納得しながらも『コンコルド』を聴いてしまう。
「分かりたいため」なんて、ホントは言い訳?
実はもうミルトの音が耳の奥を浸食していたりして…