国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

黒旋風とセシル・テイラー(前)

2010年03月10日 | 喫茶店に置いてある本
中国四大奇書の中に『水滸伝』がある。
僕は大学時代中国関係のものを勉強していたので、
その名は遠いものではなかったのだが、
結局『水滸伝』を読んだのは、就職浪人中のことだ。

70回本、100回本、120回本というように3種類に分類されているが、
70回本は、梁山泊という砦に108人の星の生まれ変わりの人物たちが集合する
最も盛り上がるところで終わっていて、収まりがいい。
100回本は、梁山泊の豪傑たちが集合した後、
朝廷に旗下して各地の反乱を収めていくというところまで書いた物である。
120回本はその反乱に2つを付け足したものである。

108人という途方もない登場人物の数に
昔の人たちはキャラクターそれぞれの個性を楽しんでいたのだろう。
(もちろん108人中扱いが軽いキャラクターも多く存在する)
その中で有名なのが「黒旋風」とあだ名される李逵(りき)という人物である。

二丁板斧を持ち、徒歩で敵陣に切り込む。
敵と見れば全てなぎ倒し、気に入らなければすぐに斧を振るって殺害してしまう。
大人だけではなく、幼い子どもにまでそうなのだからかなり危ない。
梁山泊の首領、宋江(そうこう)の言うことは聞くのだが、
他の人はその行動を持て余してしまう乱暴者だ。
彼が通った後には多くの死体が積み重なるため、
戦陣に吹く黒い風、「黒旋風」とあだ名されている。

とにかくトラブルメーカーで強いだけの豪傑だ。
何にでもすぐに首を突っ込みたがる。
だが、話の中で李逵の存在は圧倒的に大きい。
誰に対しても物怖じせずにぶつかっていく強さがあるからか、
宋江に一途につかえるところがあるからか人気もなかなかにある。

ついそんな李逵が思い浮かんできてしまった。
ピアノから弾き出すのはまさに黒旋風。
セシル・テイラー、孤高のピアニストだ。