寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

武井武雄の、『戦中気侭(きまま)画帳』

2007年10月17日 20時10分30秒 | 15年戦争
死んだ父の名代として親戚縁者の葬式に出る機会が多い。
通夜振舞いや精進落しの席ともなると、必ずや戦時中の苦労話が出る。それを聞くことが何より故人の供養でもあり、以前には相槌を打って軽く聞き流していたようなときもあったが、この頃では貴重な戦争体験の証言として、一言一句聞き漏らすまいと全神経を集中させている。


【ジュニア版太平洋戦争史第3巻死闘編/悲風の大決戦/初版S37年】
この本を小学校の時分に父親に買って貰い、夢中で読んだ記憶がある。もう手放して久しかったが最近、同じ本をオークションで競り落とした。この1冊に端を発して以降、戦争の本に傾倒していく・・・良いも悪いも。戦艦大和や零戦など兵器本に没頭した時期もあったが今は更生している。近年では、戦時下を生きる庶民の暮らしをテーマに巷に埋もれている戦争体験をコツコツと拾い集めている。


【戦中気侭(きまま)画帳/武井武雄/筑摩書房S48年上製B6横192頁函入】
童画の大家、武井武雄といえば、日本幼年やコドモノクニがすぐ浮かぶ。その武井さんが戦時下の東京池袋で自らの空襲体験を絵日記に綴られていた。


全ての頁(画)に日付と添え書きがあり、それが貴重な空襲記録でもある。童話で見慣れた挿画とイメージを異にしているが、普段ペンばかり使っていたので毛筆の稽古という塩梅で書いたと言う。この絵日記は昭和12年頃から始められ、戦後24年11月まで続けられた。戦争という暗い時代を振り返るとき、武井さんの絵日記に庶民の逞しさをみて不思議と何か救われる思いが涌いてくる。

《参考になったサイト》
武井武雄の世界
武井武雄の世界 イルフ童画館

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