寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

15年戦争の記録を3D的に読む。

2010年06月22日 15時15分13秒 | 15年戦争
昭和万葉集(講談社)・巻三の月報で、市瀬潤子さんという方の投降に目が止まった。市瀬さんによれば、戦争の最中に作られた歌と、戦後に当時を偲んで作った歌とでは、その差が明らかであると云う。戦争を知らない人が読んだらその区別はつかないで、むしろ戦後作られた歌のほうが(戦争体験を濃く煎じ詰め、言葉も選んであるから)感動するかもしれないが、市瀬さんには、戦時中のその生活体験の場で作られた歌のほうにこそ、その時でしか感じえない真実を汲み取れるし、さりげない言葉に共鳴して涙を誘われるという。

『昭和万葉集(全20巻+別巻)』には庶民の自由な心が生きている。思想統制の戦時下において、出征兵をお国のためと見送る提灯行列や万歳を振る日章小旗の影で其其の母は涙を堪えて泣いた。『朝日新聞に見る日本の歩み(全25冊/大正~昭和45年)』は当時の紙面を縮小版ながら有りのままつぶさに読むことができる。そして『昭和二万日の全記録/講談社』はその年、一年365日の主要都市の天気と気温、社会の出来事を日めくりで把握している。大変回り道のようだが、15年戦争の戦記や戦史を読む上で、これ等書籍は時代を立体的に捉える役割を担うべく大変重要なソースを提供している。


◎昭和万葉集(全20巻+別巻)
◎昭和二万日の全記録(全19巻)
◎朝日新聞に見る日本の歩み(全25巻)
講談社は目立たないが良い本を出してくれる。

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