寅の子文庫の、とらのこ日記

本が読みたいけど本が読めない備忘録

おちゃのこショップへ、いよいよカラーブックスUPします。

2009年09月09日 19時49分44秒 | カラーブックス
何処でもポケットに入れてサッと見れる・・・小さな大百科、保育社のカラーブックスがいよいよ、おちゃのこショップへ登場します。これまで本店(古本寅の子文庫toranokobunko.com)では[カラーブックスの本棚1~9]まで100冊づつ通算ナンバーで出品していましたが、おちゃのこショップではテーマ(ジャンル)別にUPしていこうと思います。先ず手始めは『健康』をキーワードに30冊ご紹介します。



カラーブックス364『日曜菜園』

2009年06月07日 18時13分58秒 | カラーブックス
ホームセンターで売れ残りの苗を買った、トマト3本、きゅうり1本。


一ヶ月遅れでネコの額ほどの家庭菜園を造った。
育てる楽しみと自家消費する楽しみ。
土に慣れ親しむことが心身の健康にもつながる。



◎カラーブックス364『日曜菜園』船田忠康著/S51年7月5日初版
手元に残したいが明日発送しなければならない。
このナンバーは、『花と緑の本』シリーズでも一番人気。
内容の充実は勿論のこと、ほのぼのとしたカバー写真が人目を引く。

カラーブックスの本棚、近日中更新します。

2008年11月09日 11時04分54秒 | カラーブックス
母校の卓球部が創立50年記念誌を発刊するという・・・
押入れの奥から当時のアルバムを出してコピーを撮ったり原稿をまとめてみたりー。油断してすき焼きを食べたら案の定、胆石の発作が出て七転八倒・・・。なんだかんだで自分に課したカラーブックスの本棚更新が10日以上も遅れてしまう。一人で仕事をしていると気侭でいいが、誰からの制約や忠告も受けないので結局は自分の首を真綿で絞めているよう。カラーブックスの本棚一挙更新、もう暫くお待ち願います。


◎カラーブックスNo58『青い海』大崎映晋/S39年6月1日初版
(初版本紙カバーの上から更にビニルカバーを巻いた極上品)

カラーブックスが何番まで発刊されたのか未だに分からないが、恐らくこの「青い海」が隠れた一番人気ではないだろうか。岩波写真文庫に「忘れられた島」あらばカラーブックスに「青い海」ありという感がある。画像はマイコレクションの中の1冊でこれは売り物ではない。

カラーブックスの本棚5(No401~500)まで来週公開します。

2007年05月10日 17時41分18秒 | カラーブックス
カラーブックスが好きだ。
岩波写真文庫もいいけれどカラーブックスが好きだ。
重い腰を上げてようやく通算400番までの目録頁ができた(虫食いだらけだけど)
写真文庫は先生が教鞭を執るような畏まったイメージが付き纏うが
カラーブックスには開放された市民講座のような伸びやかさがある。

新しい本棚ページを作っていると、思わぬ人に出遭った。
椋鳩十氏の【マヤの一生】は日本児童文学が胸を張る代表作のひとつ。
物語では犬と猫と鶏が仲良く飼われているが、
そういうことはほんとうにあるのだと思う。
以前、近所で犬と鶏を一緒に買っているお宅の鶏が死んだとき、
犬が遠吠えを繰り返し、鶏の亡骸を四肢で抱きかかえるようにしたのを見た。

マヤも戦争の犠牲者であることに相違ない。
人間も動物も分け隔てなく幸せに生きる権利がある。
それだけに戦争の罪は深く大きいと知らねばならない。


*No457【日向薩摩路】昭和54年2月5日/定価430円
このナンバーは児童文学者の故椋鳩十氏が執筆された。
黄金色に輝く稲穂の中に、嬉しそうに飛び跳ねるマヤの姿を見る思いがした。

※追記 カラーブックスの本棚5(401~500番)公開しました(5/16)


椋鳩十文学記念館のホームページ(鹿児島県姶良郡加治木町)
椋鳩十記念館・図書館のホームページ(長野県下伊那郡喬木村)

カラーブックスの本棚(301番以降)作成中。

2007年04月29日 10時42分27秒 | カラーブックス

No476【地震の科学】地震学会編/昭和54年9月5日/定価430円


まだ遠い旅の途中・・・
やりかけの宿題だったカラーブックスの本棚にようやく着手。
5月中にカラーブックスの本棚新ページUP予定しています。
しかし、301番以降の本棚は虫食いだらけ・・・
手持ちにないナンバーはみなさまに御願いして買い取りするしかない。
1番から○○○番まで通し番号でカラーブックスの目録を整備したい。

ないものはつくるしかない。

カラーブックスの本棚見直しています。

2006年05月25日 21時01分52秒 | カラーブックス
ようやくカラーブックスの本棚に着手しました。
清水さんの極上本は仕舞います。
一度全部引き上げて、替わりに重版本等、総入れ替えとなります。
手持ちにないナンバーは暫く入荷待ちとなりますが、ご容赦願います。




古本寅の子文庫 カラーブックス1の本棚

カラーブックス300番まで整理しました。

2006年01月08日 23時52分33秒 | カラーブックス
カラーブックスの本棚を300番まで整理しました。

現在、掲載中のカラーブックスは唯、お一人の蔵書です。
カラーブックスを趣味で収集するようになってから既に20年以上経ちますが、こんな地味なことを飽きもせず続けていると、めぐり巡ってご褒美を頂くことがあります。それが今回の、この一連の初版本カラーブックスです。この本たちはいずれも殆ど手つかずのまま、大変きれいな状態で発見されました。1冊ずつ全てに丁寧な楷書で奥付け(後ろ見返しの遊び紙)に、縦書き2行、昭和○十○年○月○日、清水正和という署名があります。お店によっては、記名入りの古本など二束三文で処分されることもありますが、私には清水さんという方が毎月楽しみに1冊づつ買い求めて日付を残し、丹精して大事に保管され、また手放された経緯・・・そこには、人を介してきた古本の持つ独特の匂いというか、本そのものに命が吹き込まれているような気持ちがしてなりません。私がコツコツと集めてきた気持ちと、清水さんのお気持ちとが或る日バッタリと出逢い、妙に懐かしいような心持ちがしました。そんな理由から正直、このカラーブックスは私一個人のコレクションとして手元に残そうかと迷いました。しかし一方で、カラーブックスの目録をも兼ねて、一人でも多くの人の目に触れられるものならそのほうが良いのでは?と断腸の思いで掲載を始めました。ですから売れなくても良いし、売れないでほしいのです。名前入りでも欲しい方はどうぞお買いになられて下さい、その代わり値段は高くしてあります。こうしている間にも着信が入り、お気に入りのナンバー297【レディのノート】はもう売れてしまいました。

今日、ようやく300番までこぎ着けました。
暫く公開したのち、手持ちの他の重版本と入れ替えの予定です。

カラーブックス300【雲の表情】

2005年10月25日 06時06分26秒 | カラーブックス
最近は気象ブーム盛ん。テレビにラジオにお天気お姉さんは引っ張りダコ。書店を覗いてみても、気象に関係する書籍が賑わいをみせています。よく、そんな一冊を手に取るのですが、通り一遍の解説にカラー写真がきれいなだけでちっとも面白くないような気がします。しかしこのカラーブックス300【雲の表情】は何度読んでも飽きないのです。夜、フトンの中で寝入るまでの束の間、ページをめくってワクワク楽しい本なのです。

著者の伊藤洋三さんは野に在って気象の専門ではありませんでしたが、二十歳前後より雲の写真を撮りはじめ、遂にはその生涯を賭け、雲とその写真に飽くなき探究を捧げました。自ら撮った一片の雲を日常生活の断面から、或いは古い文献を紐解きながら、また気象学上の見識から解説するその文章には、読み手である私を容易に受け入れてくれる豊かなお人柄と、奥行きの広さのようなものを感じてなりません。56~57頁には私の好きなスカンジナビア号も載っています。船上高く浮かぶ羊雲の解説の終わりに、昭和48年10月16日撮影と日付を見つけました。すると、現在からその日付に向かって記憶を辿り、いつの間にか、その日・その時歩いた同じ空間を共有しているかような気がして、一気に親しみが募ってくるのです。【雲と人生】と書いた標題の中で伊藤さんはこう結んでいます。『~私の念願はいつまでも、平和で美しい雲の姿を写し続けてゆきたいということです。』と・・・そして94ページの最後の写真には【飛行機雲】と題して、昭和20年2月15日、あの忌まわしい名古屋大空襲の空に残った飛行機雲を掲載しています。往く雲を愛し、生涯雲を撮り続けた一人のカメラマンの人生がこの一冊には収まっているのです。


こちらはやはり伊藤さんの、現代教養文庫から出された【雲~春・夏・秋・冬 昭和37年初版】
内容は重複している頁もありますが、どの頁も味のある写真が胸に迫ります。


伊藤さんは昨年故人となられましたが、私も伊藤さんにならい、雲の表情をほんの少しずつでも見て取れるようになりたいと思います。

カラーブックス再開します。

2005年10月12日 00時40分35秒 | カラーブックス
新しくカラーブックス3の頁本棚をオープンして、No201からNo300まで掲載します。
【7冊のカラーブックス】の、スタイルは時間の制約等、思うに任せず取り止めます
代わりに不定期ですが、選りすぐりの1冊を折りに触れ、ご紹介していきます。

初版本でお届けする保育社カラーブックス近日再開です!

7冊のカラーブックス192~198まで。

2005年07月26日 19時21分39秒 | カラーブックス

【7冊のカラーブックス】
 
いよいよ200番まで目前に迫りました。今週は192番から198番まで掲載します。
なお、199番からは別ページ(カラーブックスNo3)に移行します。
続きはひと月ほどお休みをいただきまして後、再開いたしますが、どうぞ悪しからず。


192番【おもと入門】榊原八朗・田中直光/初版45年3月1日
193 【スタミナ料理】清水桂一/初版45年4月1日
194 【絵画に見る日本の美女】中村渓男/初版45年5月1日
195 【飛騨高山】加藤けい/初版45年4月1日
196 【花ことば】引田茂/初版45年4月1日
197 【漢方薬入門】難波恒雄/初版45年5月1日
198 【おりがみ】河合豊彰/初版45年6月1日



192番【おもと入門】の、『おもと』には、ロデア・ジャポニカと言う学名があり、韮や玉葱、野蒜などと同系のユリ科植物の一種で、万年変わらぬ緑をことほぐ気持ち、繁栄を祈念する心、あらゆる吉寿をこい願う祈りから『万年青』と書いて『おもと』と読ませるそうです。日陰のちょっと涼しいような場所に棚を作って父が丹精にしていたのを覚えています。これまでは余り関心がありませんでしたが、カラーブックスが取り持つ縁で、今も庭に残っている幾鉢かを今朝、触ってみました。この、192番を読んで面倒を見てやろうと思います。

193番【スタミナ料理】は正にこの季節、的を得たり!の1冊です。誰にでも簡単に作れて美味しいスタミナ料理で、夏本番を乗り切りましょう!我家の一番人気は44ページに紹介されてる『椎茸はさみ揚げ』です。どうぞお腹の空いてる方は今スグ、生しいたけ・とり挽肉・卵・かたくり粉、を用意してくださいね。油でさっと揚げればもう出来上がり! 風呂上りの一杯で最高! 夏バテ知らずの逸品です。

194番【絵画に見る日本の美女】はお気に入りのナンバー。女性の姿が絵画の中にあらわれ始めたのは執筆者の中村渓男さんによれば天平期頃からとのお話。本書では天平勝宝八年(756年)の、『絵因果経』より戦後の画壇まで幅広く作品を掲載しています。各時代の女性像が時として晴れやかに、また或いは哀しく時代の世相を良く写しています。今、本棚から1枚のスクラップ(2000年4月23日、朝日)を出してきました。名画日本史という記事の切り抜きに、『遊里』を描いた色鮮やかな国宝『彦根屏風』が載っています。本書にも同じ絵図が26~27頁にカラーで出ています。この絵が描かれた時代とは、関ヶ原で天下を分ける戦さが終り、世は徳川政権の中に落ち着きを取り戻した頃、社会の底辺を支えてきた庶民の暮らしにも、ほんのささやかなほどの余裕が出てきたのではないでしょうか。遊里に侍る女たちの表情は豊かで美しく、南蛮衣裳を身に纏い、ペットの仔犬を連れ立っています。恐らくは当時の流行の最先端であったに違いありません。
男尊女卑という言葉がありますが、ここに登場している女性たちを見る限りでは女たちも各時代に各々の役割分担をきちんとこなし、自らの生きる道を精一杯に貫こうとしている力強さを感じます。それを証明するかのように本書表紙を飾るのは浅井長政夫人こと織田信長の妹にして、天下一の美女と謳われたお市の方です。わずか十八才で浅井長政へ政争の道具として嫁ぎ、二男三女を出産しますがが天正元年(1573)小谷落城で浅井家は滅亡します。その後、天正十年十月、柴田勝家と再婚を果たしますが翌年四月、秀吉に攻められて勝家とともに北の庄で自害しました。二人の男児は小谷落城のとき、無残にも殺されましたが、三人の娘は母の分までも生きて生き抜き、その血は豊臣から徳川へと受け継がれていくのです。お市は乱世に生まれ、政争の手駒と使われ戦火の中に短い生涯を閉じましたが、私には長政・勝家という立派な武将の良き伴侶として、ほんの束の間かも知れませんが、幸せな暮らしをされたのではないかと思います。
お市と勝家は燃え盛る九重の天守で辞世を詠んでいます~ 『さらぬだに 打ちぬるほども夏の夜の 夢路をさそうほととぎすかな』。 共に刀を握り合う勝家の辞世は~ 『夏の夜の夢路はかなき跡の名を 雲井にあげよ山ほととぎす』
あらゆる権力、財力を以ってしても、秀吉にはお市を手に入れることができなかったのです。

長くなってしまいました。もう1冊だけ紹介します。

196番【花ことば】は見て読んで楽しい1冊です。昔、太田道灌が山中で雨に打たれた時、一軒の農家へ蓑を借りようと立ち寄ったところ、まだ年もいかぬ娘が言葉もなく盆の上に一輪の山吹の枝を差し出しますが、道灌にはその意味が分かりませんでした。後になってそれは、後拾遺和歌集に出ている、『七重八重 花は咲けども山吹の 実の(蓑)ひとつだになきぞ悲しき』という歌にかけて、貧しい我家にはお貸しできる蓑ひとつもないのです、と詫びた娘の心を知り、己が無知を恥じたのでした。その後、道灌は大いに勉強して文武両道に秀でる名将になりました。これも歴とした花言葉ですね。本文32頁には鮮やかな黄色の山吹の花が出ています。『山吹』の花ことばは【崇高】です。

7冊のカラーブックス185~191まで。

2005年07月25日 20時23分54秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 1週間お休みしました。先週分(7/18)185番から191番まで掲載します。

185番【県花県木】松田修/初版44年12月1日
186 【新しい大阪】保育社編集部偏/初版44年12月1日
187 【楽器】皆川達夫/初版45年4月1日
188 【室生路の寺】村井康彦・入江泰吉/初版45年2月1日
189 【自動車Ⅱ】宮本晃男/初版45年2月1日
190 【名作の旅1川端康成】巌谷大四/初版45年3月1日
191 【佐保寺の寺】杉本苑子・入江泰吉/初版45年3月1日



185番【県花県木】はカラーブックス常連、松田修さんの執筆です。これで4冊目となりました。全国都道府県の県花、県木をいつもの松田流、文学の香高い解説で気候風土と住んでいる人の匂いまで感じさせてくれています。地味な題材でも決して手を抜かない姿勢に頭が下がります。

186番【新しい大阪】はEXPO’70大阪万博にそなえて大阪についての新しい知識を保育社編集部が総力をあげて1冊のカラーブックスにまとめてみました。私ごとですが小学1年の夏休みに父と一緒に叔父の360ccの小さなステップバンに乗っけてもらい、東名高速を80キロのノロノロ運転で見物に行ったことを覚えています。私の言う『万博』とは、今も昔も大阪を指しているのです。

187番【楽器】は古今東西のさまざまな楽器について見て楽しい1冊に仕上がっています。我家にも楽器が二つ、今は静かに押し入れの天袋に眠っています。ひとつはまだ若い日に神田の、下倉楽器店、で衝動買いしたアルトサックス(プリマヤナギサワのエリモナ80)で当時2ヶ月分のお給料がすっ飛びました。もうひとつは高校時代卓球部のKくんから3000円で買ったクラシックギター、今では指が追いつきませんがまだ良い音色です。

189番【自動車Ⅱ】は89番自動車、の続編、宮本晃男さんの執筆です。この本が世に出た背景には東名名神高速道路の整備と先の大阪万博の開催、国民の生活向上にロータリーゼーションの波が拍車をかけ、庶民の手に夢のマイカーが一段と身近になっていくということが挙げられます。まだ成長盛んな各自動車メーカーがこの世の春とばかりに自由奔放に新車を打ち出していく様が、1970年と言う節目の年に新しい時代の幕開けを予感させています。

7冊のカラーブックス178~184まで。

2005年07月11日 18時55分01秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は178番から184番まで掲載します。

178番【山陰/歴史と文学の旅】宮崎修二朗/初版44年8月1日
179 【グッピーの魅力】牧野信司/初版44年9月1日
180 【法隆寺】寺尾勇・入江泰吉/初版44年9月1日
181 【国会】久保田冨弘/初版44年10月1日
182 【こけし】山中登/初版44年10月1日
183 【名画に見るキリスト】田中忠雄・田中文雄/初版44年11月1日
184 【佐保寺の寺】門脇禎二・入江泰吉/初版44年11月1日



178番【山陰/歴史と文学の旅】の宮崎修二朗氏は【166番・岬/文学と旅情】に継ぐ執筆、今回も楽しい文学散歩となりました。33ページには私の好きな井上靖の『通夜の客』の舞台となった鳥取県日南町生山(旧福栄村)が出ています。一般に山陰、(または裏日本)という地名の響きは同じ中国地方の山陽に相対して暗いマイナスイメージをもちますが古来、大陸との文化、経済の交流はむしろこの地方が表日本側であり、山陰道八カ国の隅々には日本書記の時代より連綿と受け継がれてきた文化伝統の遺産を数多く見付けることが出来ます。学校の授業では決して教わることのない歴史の残り香や文学の面影を、寝転んで勉強できる楽しさがこの一冊にはあります。勿論、そんなときは中学校の地図帳は必携ですね。

179番【グッピーの魅力】の牧野信司氏は早くもカラーブックス4冊目の執筆となりました。今からおよそ40年も以前にグッピー人気の時代があったかと思うと、ちょっと想像できません。後文で述べられているように熱帯魚には『グッピーに始まり、グッピーに戻る』という言葉があるそうです。これはその道の奥義を極める譬えですが、本書ではまさにグッピーの魅力がまるごと一冊に凝縮しています。卵を産まずに仔魚を産む(胎生)あたりが猶のこと可愛いくなるのでしょうか。

さて、カラーブックスでは【奈良の寺シリーズ】が始まります。今回の7冊、の中にも180番【法隆寺】と184番【佐保路の寺】の2冊が登場しています。これから208番までの間に合計7冊が出てきます。いずれも入江泰吉氏の美しいカラー写真と当代一級の史学者や文学者の方の丁寧な解説により、古都の歴史を、その時代を生き抜いた人びとの息使いまで伝わってくるような旅愁溢れる仕上がりになっています。どうぞお楽しみに。

181番【国会】はカラーブックスの中ではちょっと異色な存在です。岩波書店の【日本史年表/ISBN4-00-001702】を引くと、本書が刊行された昭和44年10月当時は第2次佐藤栄作内閣とありました。この年の1月には学生紛争が頂点に達した東大安田講堂における機動隊8500名との衝突、374人の検挙の記事が出ていました。本書では内閣総理大臣官邸写真室に従事した筆者がカラーブックスを借りて、この国の政治について、政治を司る国会議事堂の内部をつぶさに写真紹介することにより、一般世間に広く理解を求めた会心の一冊となりました。特定の政治色を出さない内容が爽やかな読後感となっています。

183番【名画に見るキリスト】はキリスト教美術の散策を気軽に楽しめるということと、実は聖書を読むことが出来ない人たちをも含めてそれは描かれているということ。そして、絵を見て誰にでもイエス・キリストの教えが明快にわかるということの素晴らしさと、更にはその名画自体が信仰の対象物に足りうることまで教えています。厚い聖書の代わりにポケットに入れて、キリストを伝える名画を時として会社の昼休み、気軽に楽しんでみてはいかがですか。

7冊のカラーブックス171~177まで。

2005年07月05日 06時36分56秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は171番から177番まで掲載します。

171番【人形劇入門】南江治郎/初版44年5月1日
172 【日本で味わえる世界の味】保育社編集部偏/初版44年5月1日
173 【北陸能登~歴史と文学の旅】駒敏郎/初版44年6月1日
174 【海辺の動物】鈴木克美/初版44年6月1日
175 【刀剣】小笠原信夫/初版44年7月1日
176 【ドライフラワー】ヤスダヨリコ/初版44年7月1日
177 【染色入門】佐野猛夫/初版44年8月1日


今夜は2冊ご紹介します。

171番【人形劇入門】は人気のナンバーです。皆さんご存知でしょうか。糸あやつり人形のことをマリオネットと言います。指人形はギニョオルです。指人形から発展した手袋人形はブラッティニー(セサミストリートでよく出てきますね)、棒で下からあやつる人形はロッドパペットと呼びます。さらには平形の影画人形など、東南アジアに広く分布している地域独特の人形もあります。本冊では単体としての人形を観賞するというよりはむしろ人形に人の手を使い、あやつることで表現をする、舞台の上で人と人形が織り成す一心同体の技の妙を楽しく解説しています。そもそも人形劇の歴史は古く、世界の各地で3000年以上も昔から演じ、続けれているそうです。カラーブックスで人形を取り上げるのも、37番【世界の人形】、49番【日本の人形】に次いで今回で3度目となりました。ここでちょっと脱線しますが、今夜、カラーブックスは昭和44年をお話ししています。ビニルカバーもすっかり、顔として定着しました。しかし時は下って平成3年、【808番】をもって突如、往年の紙カバー巻きに仕様変更されます(昔の紙カバーと比べると、薄っぺらい感じでとても残念です)。話の核心はここからなのですが・・、今、手の平にもう一冊の同じナンバー【171番】があります。この本は平成11年の重版本で、奥付けにこう記してあります。 『*この本は初版発行以来かなりの年数が経過し、状況の変化が多々みられますが、ご要望にお応えして敢えてそのままのかたちで重版させて頂きました。*』 ビニルカバーこそ巻いてありませんが、往年の懐かしい姿を復刻した限定版の1冊なのです。こんなところにも人気ナンバーを垣間見ることが出来ます。あやつる人形に手の温もりを通して感情を吹き込む、すると演じている人形から我が身が透かして見えてくる。大人もこどもも素直な自分に出遭える空間、それが人形劇を観賞する面白さ。もう虜になってしまいます。世知辛い現代を生きるこどもたちの心に届けたいナンバーです。

172番【日本で味わえる世界の味】にして、いよいよ保育社編集部が前面に出てきました。総力をあげて東京・横浜・大阪・神戸他の、国内で本場の味が堪能できる、世界の味処を一挙紹介しています。私はこのナンバーを手にするたび今でも自責の思いが浮かんでなりません。それは20数年前、貧乏学生だったころ、『美食学』 の講義をされた塩田正志先生が幾度も幾度も、銀座のソニービルへ行こうよと、世間知らず私たちを20000円のマキシムドパリ・フルコースディナーへ誘うのでした。しかし、逆さに振っても鼻血?も出ないその日暮らしの私には目が飛び出るくらいの金額で高根の花、ついに涙を飲んだのです。本冊ではマキシムがフランス料理の代表で一番最初(2ページ)に出ています。右のポケットに172番 左のポケットに126番【テーブルマナー】を忍ばせれば、もう鬼に金棒ですね。


7冊のカラーブックス164~170まで。

2005年06月27日 21時35分20秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は164番から170番まで掲載します。

164番【民芸入門】吉田章也/初版44年1月10日
165 【愛玩犬】大野淳一/初版44年2月1日
166 【岬~文学と旅情】宮崎修二朗・有馬茂純/初版44年2月1日
167 【花壇づくり】脇坂誠/初版44年3月1日
168 【ハワイガイド】早坂浄/初版44年3月1日
169 【北斎富嶽36景】菊地貞夫/初版443年4月1日
170 【皇居新宮殿】徳川義寛/初版44年4月10日



164番【民芸入門】はいぶし銀のごとく重厚な仕上がりになっています。『民芸』とは民芸運動の提唱者であり、「日本民芸館」の初代館長を務められた、柳 宗悦 の言葉を借りれば、「民衆の生活に必要な工芸品を民芸の二字で要約させた」 とあります。このナンバーをお持ちの方は是非もう一度、後文の98~100ページをお読みになられてください。民芸品の特徴が1から6まで箇条書きに大変分かりやすく説明してあります。それによれば1、「~町や村の名もない職人の作った庶民のふだん使いの雑器が主体であり、芸術家が美しさをねらって作った物ではなく、一介の職人が実用のために無心で作っているうちに、いつしか美しさが実ったという物~」 と明快に述べられています。その後、2~6を要約すると、だからこそ、簡素で素朴であり、丈夫であり、奇をてらった病的ななものではなく、自然で健康な姿をしており、また無理のない方法で作られている。庶民の実用品であるからこそ量産もされ、その結果として、値段は安くなっている。ゆえに裏を返して職人の身に立場を置きかえると、反復して物を作るので、おのずと技術も熟達し、腕が上がるのでさらに出来栄えが良くなる、等云々と述べています。そして、このようなあたりまえで、自然の美しさを昔から私たち日本人は、「渋い」 という言葉で表現して、この渋さの美こそ、美のうちで最も深く、高い美しさであると結ばれています。正に真理とは足元を見よ、私たちが今生きている毎日の生活の中にあるではないか!と教えてくださっています。長くなりましたが検索で 『柳宗悦』 は52800件のヒットが出ました。本書を執筆された吉田章也(章の字は王/たま偏)氏は1920年に柳宗悦氏に師事、時に宗悦31歳、吉田氏22歳。本書は71歳の弟子が師匠の偉業を後世に広く知らしめたる渾身の勇を込めた1冊です。

165番【愛玩犬】の大野淳一氏は【3番・犬~その銘柄】に続く2冊目のカラーブックス執筆です。前作は昭和37年4月刊行、犬の小図鑑的な性格で書かれていました。今回では更に一歩踏み込んで、ペットとしての犬、強いてはミニドックと言われる愛玩犬に的を絞って、その紹介と飼い方に至る迄を詳しく述べられています。この機会に、2冊合わせ読まれてみてはいかがでしょうか。

166番【岬~文学と旅情】、こういう偏狭の土地を旅する本がたまらなく好きです。理屈抜きに好きなのです。自分の事で恐縮ですが、平成元年の夏、東京における全ての生活を精算して北へ北へと、寡黙の旅をしたことがありました。井上靖の、『海峡』に、「人間、何かなければこんなところまではこない~」、というくだりがありますが、旧盆の8月12日、津軽十三湖に居て、ちょうど村の夏祭に聞いた、「十三の砂山」を踊る子ども行列のお囃子がなんとも切なく迫ってきたのです。十三湖の外浦の海岸には海水浴シーズンだというのに、人ひとり居ませんでした。夜半には、浜から吹きつける風の音が物悲しくゴーゴーと灰色の闇を貫いていました。戦争中にグラマンの機銃掃射を受けたという一軒宿の加納旅館さん(今でもあるのでしょうか?)にはとても良くして頂き、つい甘えたさから四日も泊めて頂き、旅は途中から安祥として良い思い出へ浄化したのを今でも覚えています。十三~竜飛~夏泊~浜奥内~尻屋~恐山~脇の沢~大間~十三、と2週間の自分探しの旅でした。本書にも19頁に、「孤独な湖~十三とその」として掲載がありました。全頁にわたり全国津々浦々の岬紹介とその文学散歩です。参考までに現代教養文庫からは昭和35年に大竹新助氏の【No294・岬~旅と風土】という本が出ていて同じ構成になっています。執筆者のお一人、宮崎修二朗氏は先の【民芸入門】の古民芸の解説も担当されています。

7冊のカラーブックス157~163まで。

2005年06月21日 01時49分40秒 | カラーブックス
【7冊のカラーブックス】 今週は157番から163番まで掲載します。

157番【日本の貝】波部忠重/初版43年9月20日
158 【四国遍路】西村望/初版43年10月1日
159 【錦鯉】黒木健夫/初版43年10月1日
160 【東京の味】添田知道/初版43年11月1日
161 【京都の年中行事】臼井喜之介/初版43年12月1日
162 【日本画入門】西山英雄/初版43年12月1日
163 【奈良の年中行事】入江泰吉・青山茂/初版44年1月5日



保育社は世界ではじめて全10巻の図鑑の全集を刊行しました=標準原色図鑑全集です。当時の広告には『最高の印刷、最新の内容、犠牲的な廉価で世におくる』とコピーされています。10巻中、第3巻が貝、第4巻は魚です。カラーブックスでは先に150番で【日本の魚】を世に出し、今回、157番で【日本の貝】を刊行しました。この2冊に共通の特徴、として言えることは掲載の順序が図鑑のように学術的な分類ではなく、私たちの日常生活に即した利用項目別に分類してあるという点です。なによりも148X105の文庫判の大きさ(A6サイズ)が最大の強みです。造作無くポケットへ忍ばせ野外へ出る。いつでもどこでもすぐに開いて、天然色で本物と見比べが出来る。後学のために見るも良し、こどもと一緒になって遊ぶも良し! 小さな体のカラーブックスでも実は、素晴らしい充実の内容で目を見張る、図鑑に引けを取らない。『山椒は小粒でも、、』が最高の誉め言葉です。2冊合わせてご覧になれば楽しさも倍増ですね。

160番【東京の味】は味シリーズの第3弾。当時、食べ歩きのナンバーは、まだ京都・大阪・東京と、この3冊しかありませんでした。家族揃ってお出かけ、今日は外食!なんて言う良い時代はまだもう少しの年月を待たなくてはなりません。手分けして何人もの先生方が食べ歩いた感想を寄稿されていますが、カラーブックスでもお馴染みの名前を見つけたのでご紹介します(敬称略)。大竹新助・宮尾しげを・清水桂一・末廣恭雄・石倉豊・加藤けい・牧野信司・渡辺公平。いずれの方もその道のスペシャリストで、カラーブックスのナンバーを執筆された先生たちです。ほら、もう次の163番【奈良の年中行事】には大竹さんが顔を覗かせています。