垂れ蜜というのは、貯蜜ハニカムの蓋を削り取り、自然に垂れ落ちた蜜を濾したもので、透き通るほどではないけれど綺麗な琥珀色。
濁り蜜というのは、垂れるのを待つといった悠長なことをせずに、道具を使って圧縮し絞り出した後で濾すのだが、濁ったキャラメル色。
蓋がされてあるハニカムには、熟成された蜂蜜が入っているか、幼虫が蛹になって羽化待ちのものが入っているかどちらか。
重箱式の段重ねの場合、上方の箱は貯蜜に使われ、下方で子育てがなされるので、大きな巣なら最上段は熟成蜜ハニカムだけになる。
そこで夏の終り、もしくは秋口に日本蜜蜂は年一回の採蜜をする。
うちの場合、今年入居の群は巣が大きくならずに全部で2段程しか発達していないので採蜜はしない。
2年、3年越しの群は、いわゆる強軍で4段、5段下の巣門まで巣が着きそうに大きいので、日を置いて2回採蜜した。
ハニカムを圧縮する道具を、厚い板で手作りしたけれど、かなりの力仕事で率も悪いので、圧縮はあきらめた。
それなら全部垂れ蜜にしようと、そうなるものと思いながらやってみると、全部垂れるのを待つというのも大変な時間が掛かる。
そこで、ハサミでじょきじょき巣を切断して垂れ時間を短縮してやってみると、垂れは早いが、色は濁り蜜と変わらなくなった。
日本蜜蜂の蜜は本来いろんな不純物が入ってこそのもので、はじめから百花蜜であるわけだけれど微妙な不純物が良い味と薬効をもたらすのだとか。
私が初めて日本蜜蜂の蜂蜜を見て味わったのは、秘境にある温泉宿で熊鍋を食べた次の日の売店でのこと。
その宿で日本蜜蜂を飼っていて、採蜜したものだとのことで、はじめからキャラメル色がかっていて、しかも固まっていた。
同級生は250mlほどで5000円の一瓶を買っていたが、私は味見させてもらっただけにしたのは、自分で採取してこそと思ったから。
そうして首尾よく日本蜜蜂を飼うことができるようになり、蜜の色や味や見た目が採蜜の仕方や濾し方に寄って微妙に変化してきている。
見た目は熟成蜜だけの垂れ蜜が一番良い色で、糖度も80%以上あるけれど、不純物が入っていないからイマイチの蜜ということになるのだろうか。
ハサミで巣を何回も何回もじょきじょき切って濾した蜜は濾し取ったあとでキャラメル色に変化し、糖度は少し落ちるが79度以上はある。
さて、この通好みの幻の蜜をどうするかが悩ましい。
災害が起きても、これだけの日本ミツバチの蜂蜜があると、生きのびることが出来そうですね。
年末年始に風邪を引いて、買い物に行けず、蜂蜜をなめて生き延びたということでした。
おうですね、非常食として保存しとくのもアリですね。