智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

アイスランドを旅するー7日目の夜、よもやま話

2017年02月02日 | 海外旅行
7日目の夜は、首都レイキャビックのグランドホテルで、JTBツアー客全員が一同に集まり、広いロビーに満席、大変混み合っています。

バイキングではなくコース料理を供され、私と主人が着席するときには、円卓の最後の2席で選びようがなく、

左右両隣りは、クセの強い「避けたい」ご夫婦でした。


それでも私は、右隣の、名古屋から参加されたご夫婦の、ご主人と会話しました。

こちらのご夫婦、温泉2か所とも入浴しなかったのですが、そのことで日本から同行した添乗員の対応に痛く立腹していました。

私もバスの中でやり取りを聞いて、添乗員の未熟さ、機転の利かなさ、配慮不足を感じていましたので、肯いて聞いておりました。

生バンドの演奏と周囲の喧騒で、ご主人の奥方まで、私たちの会話が届かず、

奥方が眉をひそめて「自分たちだけで、会話をしないで!」ときつい語調で私を責め、睨み付けます。

ご主人が、「周囲に聞かれては、都合の悪い話だから」と取り成します。


私の受け答えに気を良くしたご主人が、更に会話を続けます。

定期購読している科学雑誌「サイエンス」が主催していた、地球物理学者が同行するアイスランドツアーに申し込んだものの、

最少施行人数にあと2名足りず、このツアーを申し込んだ、というお話。

私は、「そのツアーの存在を知っていたら、私たちはそちらに申し込んでいました。そしたら、人数足りましたのにね、残念ですね。

「そしたら、沢山、質問できましたのに。私、主人を相手に、島の北東部が絶壁になっているのは、なぜかしら?

アイスランドとイギリスの間の海は、活動が休止したから?イギリスとアイルランドの成り立ちは、アイスランドと似ているのか? 

アイスランドやイギリスは、今後、大陸にぶつかるのか? などなど、独り言のように自問自答していました。」

すると、名古屋のご主人も笑顔で応え、通り一遍の解説では満足できなかった点で、意気投合しました。


それから、オーロラも然ることながら、満点の星を前に、星座表を持参しなかったことが悔やまれることなど、会話を楽しみました。

奥様は憮然とした表情で、生演奏に聞き入り、一曲ごとに拍手を「独りだけ」で贈って、目だっております。

「誰も拍手しないなんて、皆、礼儀知らずだわ」と嫌みを放っていました・・・・


この奥様、かなり風変りな服装で、言動も相俟って、私は「おひいさま」と名付けました。

私の想像では、名門の大名、華族の出、女中さんにかしずかれ、命令するのに慣れ親しんで育った・・・・

夫の想像でも、相当の大金持ちであろう、などと噂しておりました。

翌日夜、帰国の便で判明したのは、この名古屋のご夫婦、ファーストクラスをご利用でした・・・・



お次、私の夫の左隣は、夫が特に嫌悪している、富山から参加した夫婦。

夫は、先方から会話を持ち出されない限り、無視しようと決めた様子でした。と申しますのも・・・


2日目夕食時に相席となり、あちらこちら世界を旅している旅自慢をした挙句に、

奥さんいわく「こちらの滝より、ナイアガラの滝の方が、断然いいわ!」

私の夫が、カナダを旅行したことがあることを知るや、「カナダ側からみるナイアガラより、アメリカ側の方が、もっといいのよ!」とえばります。

私、「それぞれに趣が異なって、それぞれに良さがあるのに、日光の華厳の滝と、茨木の袋田の滝を比較するのが、ナンセンスであるように、

アイスランドの滝と、ナイアガラの滝を比較するのは、無粋ですわ 」と言葉を・・・・飲み込みました。

夫は、その旦那に「こいつ」呼ばわりされ、無礼さに腹を立てました。


4日目の夕食時、その奥さんは「この席は、私がとっといたのよ!」と私の正面席の紳士を責め立てます。

紳士は、お食事のお皿も既に置いているのです。反論しますが、富山の奥さんは語気強く返しますので、

私が紳士に「よろしければ、こちらのお席(私の2つ隣)空いております、移りません?」とフォローしますと、

今度は、「私の、置いておいたバックが、無いわ!」と叫びますので、私の夫が周囲を見渡して、

「ここにバックがありますよ」と、私たちの背後の席を示しました。

そこでは、その奥さんの夫が座って、食事をしています。

「なんで、あなた、そこに座っているの!?」

・・・はっとして、ようやく自分が間違えたことに気付き、紳士に「すみません」と詫びました。

その紳士は、顔を真っ赤にして、怒りと恥を抑えて、「いいんです」と小さな声で返していました。


翌朝、朝食バイキングの時、私の夫がその富山の奥さんとすれ違った折、夫は「おはようございます」と挨拶しましたが、無視されたそうです。

なんとも、下品な夫婦です。



ついでに、他のクセある夫婦を紹介しますと、福井から参加された、定年退職後の元教員とおぼしき夫婦。

旦那が説教調で、上から目線で、政治談議をした挙句、「自分だけが正しい」と断じる様子。

ツアーの食事やらなんやら、顔を真っ赤に怒らせて難癖をつけています。

文句言うのが自分の仕事、と信じて疑わない現役時代を過ごしてきたのでしょう。クレイマーですね。



私は、元来、人と会話して楽しむのは好きですから、いろんな方と相席になるようにして、危険分散、リスクヘッジに勤めました。

そうする内に、かの紳士と会話を楽しむようになり、

その会話を聞きつけて、自然と気の合いそうな人々が集まり、最終日の夜には、「あの~、オーロラを見に、ご一緒してもいいですか?」

などと声を掛けてくださるご夫婦が現れ、輪ができて、夜のレイキャビックを港に向って、おしゃべりしながら散策を楽しみ、

灯りの少ない港の公園で、夜空を見上げてオーロラを待ちながら、旅の終わりに、それぞれ感じたことを話し、感動を分かちあいました。

最後の夜、オーロラには逢えませんでしたが、楽しく過ごすことができました。


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