ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔07 読後の独語〕 【虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実】平野貞夫 講談社

2007年08月10日 | 2007 読後の独語
【虚像に囚われた政治家 小沢一郎の真実】平野貞夫 講談社

 私はリタイア組だからテレビに向かう時間は多い。
 参院選序盤から各党のCMを、いやというほど見せられた。
 今日(8月8日)付け読売夕刊では

参院選結果 CM好感度が予測 「党首キャラ」が勝敗左右

とあり、CM総研調べの2007年7月度のCM好感度調査の【表】があった。

 政党名 投入金額 放送回数 好感度順位(4497作品中)
 民主党 4億1244   543      204
 自民党 2億1407   353      380

となっている。 「成長か逆行か」と安倍が訴え、小沢は「生活が第一」と切り返していたのを思い出す。
しかし、なんとなく流し目の安倍と田夫野人の目じりが下がった小沢の党首イメージ比較では、安倍のほうが有利と判断されていた節がある。
このため安倍は 「安倍晋三の言っていることと、小沢一郎の言っていること、どちらが説得力があり、正しい政策かを問う選挙だ」と位置づけ、そして惨敗した。
今から1か月前の7月6日付け読売朝刊

 [スキャナー]小沢vs安倍、参院選バトルスタート

 の記事中に
 「首相周辺は「国民が不満を抱いている対象は安倍首相ではない」と言い切る。実際、読売新聞社の世論調査などでは、内閣支持率は低迷し、政党好感度でも自民党が民主党を下回っているのに、党首の好感度では首相が小沢氏を上回っている。 このため、政府・与党には「自民党VS民主党」ではなく、「安倍VS小沢」の構図にすることが、参院選の「切り札」になると考える向きもある。」
 とあった。
だが小沢の動きはイメージではわからない。
 [07参院選・激戦の行方](中)1人区、勝敗振り子現象(連載)(
7月3日付け読売朝刊 )では

  「うちの事務所が空っぽになった」  民主党の小沢代表が最近、周辺にこう語っている。小沢氏に選挙戦のノウハウを仕込まれた秘書が次々と地方に入り、民主党が擁立した参院選候補のテコ入れをしているからだ。  青森、石川、佐賀、熊本、鹿児島……。  いずれも改選定数1の「1人区」で、民主党に勝算が出ている、と小沢氏が読んでいる選挙区だ。  全国の1人区をすでに3巡した小沢氏は秘書からの情勢報告を踏まえ、自民党候補打倒のための細かい指示を出している。

小沢の選挙戦術は田中角栄に学んだといわれる。
 「山の向こうを見ても援軍は来ない。自分でやれ。それをやり抜いてはじめて当選の可能性がある」
 「戸別訪問3万軒、辻説法は5万回やれ、有権者にとってみれば、君が去れば心から君が去る」
この角栄戦術を引き継いで小沢は全国を廻り檄を飛ばした。
そして安倍自民党は一人区で6勝23敗と惨敗し小沢民主党は圧勝した。
 小沢の父親の小沢佐重喜は、鳩山内閣時代に衆院公職選挙法改正特別委員長を務め、小選挙区制導入に取り組んだ人だ。
またワンマン首相で党人政治家を嫌った吉田茂が党人政治家だった佐重喜だけは別格とし、もっとも信頼を寄せていたという。
 父親から受け継いだ政治的遺伝子がどう花開くのか、今後が正念場になる。
小沢一郎にまつわる毀誉褒貶の話は多い。
 小沢が辣腕の政治家・野中広務から「悪魔」よばわりされたことは記憶に新しい。
 まっ、呼んだほうの野中も闇将軍だった節もありこの評価、鵜呑みにはできない。
 「豪腕、わがまま、生意気、無愛想、壊し屋、自分勝手」の小沢イメージを筆者の平野はすべてこれ「虚像」とし、反論したのがこの本だ。
 小沢の知恵袋といわれた筆者だからこれも鵜呑みにはできない。
 だが、角栄のロッキード裁判を”敵役”の立花隆とともに小沢が191回の公判すべてを傍聴している点は、ある面での愚直、真面目さのあらわれのような気もする。
筆者の平野は、1959年に衆議院事務局に就職し、1992年に退職している。
 以後、参議院議員(2期)をつとめて引退。ジョン万次郎と同じ高知県土佐清水市の人だ。
小沢とは事務局職員時代からつきあっていて彼のために種々奔走したことが臆面もなく語られている。
その度が、すぎるような感じを持ち読書中、少し腹が立ったこともある。
 議員事務局とは 「議院の日常の活動を直接補佐し、議院の事務を処理することを目的とする。衆議院に置かれるものが衆議院事務局、参議院に置かれるものが参議院事務局である」とされているが平野の職務実態は「議院」ではなく小沢議員にささげられたものだからだ。
 駕篭かき、使い走り、下支えをしながら時には政策づくりまでの鉛筆をなめ、政界動乱のシュミレーションまでもメモにして届ける。
料亭政治の一角にも座っている。
 時々、小沢と大喧嘩するところは土佐いごっそうの人柄らしいが、公僕という立場の意識がまるで感じられない。

 この半年、ある面での日本の政治は小沢一郎がキーワードになるだろうと思い手にとった本だが読後”功罪半ば”した本だった。                                  (2007年 8月8日 記)


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