ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔12 七五の読後〕 【ニュースの読み方使い方】 池上彰 新潮文庫

2012年05月17日 | 〔12 七五の読後〕
【ニュースの読み方使い方】 池上彰 新潮文庫

池上彰さんの解説ニュースは、わかりやすい。
放送記者と新聞記者の何が同じで、何が違っているのか。
そんなところに関心を持ってこの本を読んだ。



● 説明は咀嚼してからビジュアル化
「週刊こどもニュース」のお父さん役として大活躍していたのは時々見てたから知っていた。
子どもとの想定問答を自分で作っていたことをこの本で知る。
ニュースを十分にこなした上でビジュアル化して説明する。

● 要するにこれは一体何なのか
新聞ニュースを読んでいるときの問題意識という。
かって数十年前に編集局に配属となった私にも似た思い出がある。
私の新しい仕事は図書館などに向けて新聞ニュース索引誌を作ることだった。
新聞に掲載されたすべてのニュースを100字以内に抄録する。
早く慣れたいため、見出しを中心に採録しようとした時、「それはダメだ。この記事は要するに、なにが言いたいかをよく掴んで抜書きすることだ」
指導してくれたのは、社会部で活躍していたOだった。
上司と折り合いが悪いことがあって、社内”左遷”されたような感じだったが、抄録記事はすべて彼の目を通っていたから、テニオハは彼から学べた。
「一口に言えば」「要するにこの記事の言いたいことは」

この言葉は池上彰が言っていることと同じだった。



● 休日はCNNを聞きながら
池上の休日。
米メディアがいま一体何に関心を持ちを注意しながら聞いている。
リタイアしてからは8紙を自宅で購読。
のちに同僚となったSさんは整理記者だったが、読売のほか朝日、毎日、日経は
購読していたことを思い出した。



● ニュースでもNHKは素材主義 
民放はこってり料理型。
NHKは料理でも素材主義。あまり加工はしない。
だが、どちらも視聴率は気にしている。
池上は73年入社。 
松江放送局、呉通信部を経て、79年に東京放送局報道局社会部に上がり警視庁・気象庁・文部省・宮内庁などを担当した。
新聞社の地方支局から本社上がりの期間もこれと似ている。

● サツマワリ それは取材の知恵袋
これも新聞社と似ている。
信頼関係は大事だがニュースの「御用聞き」になってはダメだということ。 
庁内の誰がどの会議室に入ったか、などに注意を払い状況を推測する。
聞きたいことは互いの眼の高さにおく人間関係が重要。
時に手銭で飲む一杯のつきあいからの信頼関係もだいじ。
最もも、池上本人は下戸だったそうだが・・・。

情報の教えを請う姿勢、気配りもポイントだ。
小学校の教師になぜジーパン姿が多いか。
眼の高さを子どもの位置にあわせるから膝がすれる。
その点、ジーパンは丈夫だ。

● 酒を飲む代わりに買った本を積む。
「俺が飲まなかったらもう一軒家が建ったはず」
いままで、こう豪語した記者には随分あった。それが口癖の男もいた。
 
この点、池上は全くの下戸らしい。
でも本の買い方、買う量の多さ、本の読み方は清張、司馬遼、立花に似ている感じがする。
その、多読さには呆れるほどだ。
出来る男はこの当りが並みではない。


● 読書とは自ら生み出す時間術
取材記者はかなり激務だ。
そうした生活のあれこれの中で隙間時間をどう読書に充てるかもポイントだったそうだ。

● 鬼デスク おまえなんかはやめちまえ
こんな言葉は、今ではパワハラかも知れないが、昔は当たり前だった。
鬼デスクからの叱責には一人前に育てたい愛情の交錯もある。

これは放送局のできごとだったそうだが新聞社でもまるで同じだった。
「こんな仕事じゃ荷物まとめて田舎に帰れ」
実際、省庁の記者クラブでデスクに叱られ思わず号泣した記者の現場を見たこともある。
ただ、そのあと3人で飲みに行ったが・・・。
あの時の御仁は今では立派な幹部になっている。

● 音読百篇 読みやすさに通じてる
どこが、どうおかしいか。どこがどう文中に不足しているか。
読みやすさは文章力に通じると池上。
シンプル IS ベスト 短い文の上手い人は魅力的だ。


● 湯船にて、ひとりつっこみする時間
「この関係は成り立つのか」「違う意見はないか」「批判を受けない喋り方はあるのか」と池上は自分自身に湯船で突っ込む。
同じような体験は私にもあった。
風呂場でゴチャゴチャ独り言を言う私に小さい娘が「お父さん、何してるの」と聞かれたことがあって慌てた。

● 接続詞無い文章を並べ見る
接続詞「が」順接の時は使わない。
文の起承転結方法を学ぶこと。
接続詞を使わない文章をメモって見る。
こんなことも指摘していた。

● 大きさは身近な数字に置き換えて
国家予算を家計簿になぞらえて学ぶ。
そして経済欄に出る数字をわかりやすく生活の例え話で解説してくれた
経済部の酒友がいたが、やはり出来物だった。


● スクラップ読者になって30年
池上の切り抜きの歴史とその方法。
記事は1週間から2週間寝かせる。
積んだ高さが1メートルに及んでから休日にまとめてスクラップするという。
ニュースはある程度醗酵させると、重要かどうかの価値判断がつくこともあるという指摘に同感。

● 鋏から自分探しを再確認
スクラップ記事の作業から自分の興味のあるものがなんであったかを再確認することがあると言う。
スクラップには07 09,14 Ne(七年9月14日の日経記事)という識別数字記号をつけるというが、これは放送、新聞業界を問わずの常識だ。
また、すべての切り抜きを同じ大きさの台紙に貼ることも当然だ。
 
私の場合はスクラップブックを使わず、100円ショップの2穴バインダーを使っている

● 手帳こそシンプル is ベスト也
記者手帳がそうだった。余分なことはない単なる白紙のメモ帳。
書きやすい大きさ。
池上もシンプルさを大事にする。
ボールペンは1.6ミリの太字の油性。
これだと書きやすいがインクも早くなくなるそうだ。
昔の新聞社では新聞インクの匂いの中、2B以上の鉛筆が愛用されていた。






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