遺伝が半分以上・・・。
良い環境の中で凄い努力をしても、アタマを良くしたり、金持ちになれたり、異性にモテるわけではない・・・。
「言ってはいけない 残酷すぎる真実」の著者橘玲さんと安藤寿康慶大名誉教授の対談集が出版されました。
運は遺伝する 行動遺伝学が教える成功法則
橘玲・安藤寿康(対談) NHK出版新書 980円+税
安藤寿康さんは、行動遺伝学が専門の慶大名誉教授。
教育学、行動遺伝学の切り口から、遺伝の闇を暴き出している橘玲さんとの対談。
安藤教授は橘さんのことを「偽悪的芸風の行間に垣間見られる愛」と形容しています(笑)。
目次
第1章 運すら遺伝している DNA革命とゲノムワイド関連分析
第2章 知能はいかに遺伝するのか
第3章 遺伝と環境のあいだ
第4章 パーソナリティの正体
第5章 遺伝的な適性の見つけ方
第6章 遺伝と日本人 どこから来て、どこに行くのか
行動遺伝学は、ユダヤ人のホロコーストをもたらしたナチスの優生学への反省から、今まで決して表の学問とは見られていなかった学問でした。
最近のバイオテクノロジーやクリスパーキャスナイン(分子遺伝学)、ゲノムワイド関連分析(GWAS)などの進化により、遺伝の中に科学が持ち込まれました。
ゲノムを解析することにより、その人の未来をある程度推測できる時代、操作できる時代になっていると言えます。
すでに欧米の富裕層は、巨額のカネをかけて、優秀な子孫を遺すための動きをしているのではないか?と思います。
同書では、逃げることのできない遺伝、おおっぴら触れてはいけない遺伝について、人気作家と大学教授の対談の中で明らかにしていきます。
同書で線引きしたところを一部紹介させていただきます。
遺伝が環境を引き寄せている
「親ガチャ」の影響はそれほど大きくない
経済格差と知能格差・・・人間は遺伝と環境の相互作用によってつくられる
パーソナリティだけでなく能力においても子育ての影響は小さく、遺伝の影響が大きい
偏差値でいえば40から60の範囲の外見なら、その人を魅力的だと思う相手がどこかにいる
咲ける場所に動きなさい
浅く広くでは才能は発現しない
親が自分にできないことを子供に無理矢理やらせても、あまりいい結果にはならない
遺伝的なアドバンテージをフックにして、好きなこと、得意なことに人的資本を集中させる
その上で、自分の強みを活かせるニッチに活動の場をずらすことで、それなりの成功を手に入れることができる
運が良い悪いも遺伝、アタマの良しあしも遺伝、スポーツが出来る出来ないも遺伝、モテも非モテも遺伝、犯罪者も悪人も遺伝・・・。
すべてが、そうとは思いたくないですが・・・。
何とも残酷な行動遺伝学・・・「言ってはいけない」その闇の部分を同書は白日の下にさらしてくれます。
必読の一冊です。