6月30日来日し、北海道から沖縄まで講演されたコスタリカのバルガス・コスタリカ大学教授の話がこちら(←クリック)で紹介されていましたので、ここでもその一部を解説を少し交えながらご紹介したいと思います。
■■引用開始■■ 【】はヤメ蚊によるコメント
コスタリカがどうして軍隊をなくして国家として生きていけたかといえば、真の意味の民主主義を子どもや女性らの人権を保障し、無料医療を保障し、教育を保障していったからである。コスタリカにとってこれは簡単なことではなかった。
軍隊のない状態で民主主義を進めようとした我々の前に立ちはだかったのは、例えば、70-80年代のニカラグアでソモサ政権に続いてサンディニスタ政権がおこり、激しい戦争が続いたことだ。アメリカによって、サンディニスタ政権のニカラグアの海岸は狙われていた。
コスタリカは、こういった様々な危機を乗り越えて、1948年に廃止した軍隊を二度と復活させないという理想【※1】を追求した【※2】。それは、民主主義の根本としての対話をすることで可能だった。子ども達はそのように教育をされたし、私たちもそのような教育を受けてきた。対話で紛争を解決したのだ。
※1【憲法12条:恒久的制度としての軍隊は禁止する。公共の秩序の監視と維持のために必要な警察力は保有する。大陸協定により若しくは国防のためにのみ軍隊を組織することができる。いずれの場合も、文民権力にいつも従属し、単独若しくは共同して審議することも声明、宣言を出すこともできない。】
※2【積極的・永世・非武装中立宣言:1983年10月、米国が国民の保護を口実とし、グレナダ(カリブ海の島国)に武力介入。左翼政権を覆し、保守派の元首相を復権させた。米国はコスタリカ政府に対し、援助と引き替えに中立政策の放棄を迫った。コスタリカの平和主義憲法は試練を迎えたが、モンヘ大統領は11月、米国の要請を拒否し永世非武装、中立を宣言した】
この対話への努力が1986年から政権をとったアリアス大統領のノーベル平和賞となった【※3】。それまでは、中米各国は、座って対話をしようという状態ではなかった。アリアス大統領の腐心した中米和平合意によって、長年続いた中米の紛争に終止符が打たれた。
※3【86年に大統領となり、積極的平和外交を推進、中南米諸国を回り、対立する政府側と反政府側の双方に対し、「トラクターは戦車よりも役に立つ」と説得し、ニカラグアなど3カ国の和平合意を成立させ、内線を終わらせた尽力に対しおくられた】
「どういった過程で永世中立を宣言したのか。これのメリットとデメリットは。日本もコスタリカと同様に軍隊を持たないほうがいいのか」という質問について答えよう。永世中立宣言をするにあたって大切なのは、人権の尊重及び民主主義の確立だ。民主主義は、周辺諸国と民主主義的関係を築くという意味でもある。対話は、周辺諸国との間でも、内国においても重要であり、様々な問題を解決できる道具だ。教育も大切である。人権の大切さ、民主主義の重要性は、教育を通じてこそ伝えることが出来る【※4】。
※4【ニカラグアで使われていた公民の教科書は、国民主権とはどうあるべきか、という観点からなされていた。他方、日本の教育現場では、主権者としてどう振る舞うべきかが、全く教育されていない。このことが重要なポイントである】
私は、日本は永世中立国であるべきだと思う。アジアの中で永世中立宣言が出来る第1の国だと思う。
その理由の一つは唯一の被爆国であることだ。永世中立国になることによって、二度といかなる市民も被爆させてはならないというメッセージにもう一度意義を与えることが出来る。もう一つの理由は、日本の教育水準の高さだ。もう一つは、日本の経済力。
最後に、戦略的な意味からコスタリカが理想としていることについて話そう。紛争に巻き込まれたらどうしたらいいか。コスタリカが現在非武装の平和国家であるが、しかしながら、武装した平和を装う国がある。これらの国々は、武器を他の国に輸出する。こうした見かけだけ平和で実際には武装しているという国では、いつ平和が崩れ去るともわからない。この現実を考えるとき、コスタリカの選択は間違っているだろうか【※5】。
※5【憲法107条には、国会議員の任期が4年で連続して選出されないことが明記してある。コスタリカ市民は、非武装という選択を自ら繰り返し、行ってきた】
コスタリカの司法機構について述べると、裁判官の任命では、いかなる政治的圧力からもフリーである。学問的キャリアや経験が考慮されるだけ。
米州機構【ここ←参照】に所属していることについては疑問を呈する余地はない。これに所属しているからこそ、ラテンアメリカ、世界に人権、平和を主張できる。ラテンアメリカは、毎日クーデターや人権蹂躙の混乱が続いている地域だが、このようなバックがあるからこそ、大きな組織のメンバーとして、このような主張をしていくことが出来る。日本は、米州機構の考え方をアジアに応用するべきだ。日本は韓国、中国とも違うし、それぞれの国々は、それぞれ違う。しかし、それぞれ協力すべきだ。
コスタリカには米州人権裁判所【ここ←参照】があるが、どうしてアジア人権裁判所があればいいと思わないか。日本人のみなさんが、最初の音頭をとらないといけない。アジアにも米州人権裁判所のようなものが必要だ。
■■引用終了■■
コスタリカの教育は、主権者を育てるという点で、少なくとも、日本の教育よりも好ましいように思う。これから、コスタリカについては、時々、書いていきたい。
(写真は、こちら←から)
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■■引用開始■■ 【】はヤメ蚊によるコメント
コスタリカがどうして軍隊をなくして国家として生きていけたかといえば、真の意味の民主主義を子どもや女性らの人権を保障し、無料医療を保障し、教育を保障していったからである。コスタリカにとってこれは簡単なことではなかった。
軍隊のない状態で民主主義を進めようとした我々の前に立ちはだかったのは、例えば、70-80年代のニカラグアでソモサ政権に続いてサンディニスタ政権がおこり、激しい戦争が続いたことだ。アメリカによって、サンディニスタ政権のニカラグアの海岸は狙われていた。
コスタリカは、こういった様々な危機を乗り越えて、1948年に廃止した軍隊を二度と復活させないという理想【※1】を追求した【※2】。それは、民主主義の根本としての対話をすることで可能だった。子ども達はそのように教育をされたし、私たちもそのような教育を受けてきた。対話で紛争を解決したのだ。
※1【憲法12条:恒久的制度としての軍隊は禁止する。公共の秩序の監視と維持のために必要な警察力は保有する。大陸協定により若しくは国防のためにのみ軍隊を組織することができる。いずれの場合も、文民権力にいつも従属し、単独若しくは共同して審議することも声明、宣言を出すこともできない。】
※2【積極的・永世・非武装中立宣言:1983年10月、米国が国民の保護を口実とし、グレナダ(カリブ海の島国)に武力介入。左翼政権を覆し、保守派の元首相を復権させた。米国はコスタリカ政府に対し、援助と引き替えに中立政策の放棄を迫った。コスタリカの平和主義憲法は試練を迎えたが、モンヘ大統領は11月、米国の要請を拒否し永世非武装、中立を宣言した】
この対話への努力が1986年から政権をとったアリアス大統領のノーベル平和賞となった【※3】。それまでは、中米各国は、座って対話をしようという状態ではなかった。アリアス大統領の腐心した中米和平合意によって、長年続いた中米の紛争に終止符が打たれた。
※3【86年に大統領となり、積極的平和外交を推進、中南米諸国を回り、対立する政府側と反政府側の双方に対し、「トラクターは戦車よりも役に立つ」と説得し、ニカラグアなど3カ国の和平合意を成立させ、内線を終わらせた尽力に対しおくられた】
「どういった過程で永世中立を宣言したのか。これのメリットとデメリットは。日本もコスタリカと同様に軍隊を持たないほうがいいのか」という質問について答えよう。永世中立宣言をするにあたって大切なのは、人権の尊重及び民主主義の確立だ。民主主義は、周辺諸国と民主主義的関係を築くという意味でもある。対話は、周辺諸国との間でも、内国においても重要であり、様々な問題を解決できる道具だ。教育も大切である。人権の大切さ、民主主義の重要性は、教育を通じてこそ伝えることが出来る【※4】。
※4【ニカラグアで使われていた公民の教科書は、国民主権とはどうあるべきか、という観点からなされていた。他方、日本の教育現場では、主権者としてどう振る舞うべきかが、全く教育されていない。このことが重要なポイントである】
私は、日本は永世中立国であるべきだと思う。アジアの中で永世中立宣言が出来る第1の国だと思う。
その理由の一つは唯一の被爆国であることだ。永世中立国になることによって、二度といかなる市民も被爆させてはならないというメッセージにもう一度意義を与えることが出来る。もう一つの理由は、日本の教育水準の高さだ。もう一つは、日本の経済力。
最後に、戦略的な意味からコスタリカが理想としていることについて話そう。紛争に巻き込まれたらどうしたらいいか。コスタリカが現在非武装の平和国家であるが、しかしながら、武装した平和を装う国がある。これらの国々は、武器を他の国に輸出する。こうした見かけだけ平和で実際には武装しているという国では、いつ平和が崩れ去るともわからない。この現実を考えるとき、コスタリカの選択は間違っているだろうか【※5】。
※5【憲法107条には、国会議員の任期が4年で連続して選出されないことが明記してある。コスタリカ市民は、非武装という選択を自ら繰り返し、行ってきた】
コスタリカの司法機構について述べると、裁判官の任命では、いかなる政治的圧力からもフリーである。学問的キャリアや経験が考慮されるだけ。
米州機構【ここ←参照】に所属していることについては疑問を呈する余地はない。これに所属しているからこそ、ラテンアメリカ、世界に人権、平和を主張できる。ラテンアメリカは、毎日クーデターや人権蹂躙の混乱が続いている地域だが、このようなバックがあるからこそ、大きな組織のメンバーとして、このような主張をしていくことが出来る。日本は、米州機構の考え方をアジアに応用するべきだ。日本は韓国、中国とも違うし、それぞれの国々は、それぞれ違う。しかし、それぞれ協力すべきだ。
コスタリカには米州人権裁判所【ここ←参照】があるが、どうしてアジア人権裁判所があればいいと思わないか。日本人のみなさんが、最初の音頭をとらないといけない。アジアにも米州人権裁判所のようなものが必要だ。
■■引用終了■■
コスタリカの教育は、主権者を育てるという点で、少なくとも、日本の教育よりも好ましいように思う。これから、コスタリカについては、時々、書いていきたい。
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