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腕時計修理専門店・トゥールビヨン店主のブログです
腕時計の修理の詳細や腕時計のトリビア、店主の個人的な趣味の話などを気の向くままに書いております。
 



“映画と腕時計”シリーズに引き続き“ROLEXの秘密”シリーズも二桁の10回目になりました。こんなに続くとは...
まぁ、本日のネタは前もって言っておきますが、“秘密”という程ではございません。

先週は、オメガの修理仕上がりが多かったのですが、今週はロレックスの修理がバタバタと仕上がりました。
まずこちらのデイトナ↓

寝屋川市在住のK様、機械の修理ということではなかったのですが、ケース、ブレスの研磨(新品仕上げ)のお預かり。ピカピカです。

こちらのデイトナは1997年から98年にかけて製造されたモデル(Ref.16523)で、搭載されているムーブメントはETA社に統合されたバルジュー社から離れたゼニス社の“エル・プリメロ”(Cal.4030)です。

1969年に世に出たこのムーブメントは毎時3万6000振動という現在でも最高のビート数を誇りました。しかし、ハイビートにすればするほど機械の消耗度も上がり、ロレックスでは2万8800振動に抑えて安定性を高める工夫をしています。
名機“エル・プリメロ”搭載とういことで、このモデルの人気は非常に高く、今に続くデイトナ人気を括弧たるものにしました。

現在のデイトナは2000年より念願の自社ムーブメント(Cal.4130)を搭載した新型に変わっています。
生産が終了してますますプレミアが必至の“エル・プリメロ”デイトナ。大事にお使い下さいませ。

続きましてこちらはデイトジャストのオンパレード↓

デジカメで写真撮ってて『エバンス』さんや『モンデール銀座』さんのカタログ撮影のような感じでしたが、左から堺市在住のT様の16233。真ん中が豊中市在住のA様の68273。右が守口市在住のI様の68274G。
真ん中と右はボーイズサイズ。(ミッドサイズとも言います)

これはあまり知られていないかもしれませんが、実はボーイズにはレディースのムーブメントが入っています。
知ってました?

ボーイズサイズは市場でも数が少ないので意外と高額です。メンズよりも高い場合があります。
皆様大事にお使い下さいませ。


今日は敬愛するジョン・レノンの命日なので、BEATLESのCDでも聞きながら仕事しようと考えている腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。

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ここ最近、一昔前のROLEXをよくお預かりします。
そこでふと気付いたというか、「そう言えば!」と思い出したので、人気シリーズ“ROLEXの秘密”に書きたいと思います。本日は第9回目。


以前のブログで、ROLEXの内部機械(ムーブメント)は厳格な検査に合格した証に“クロノメーター規格”を授かっているものがある、と書きました。

しかし、全てのムーブメントがクロノメーターを取得しているわけではないのです。

例えばこちらのエアキング

大阪市鶴見区在住のS様のエアキング。Ref.5500。シリアルNo.から1977年に製造されています。

そして次はこちらのオイスターデイト

大阪府堺市在住のY様。Ref.6694。こちらはさらに古くて1960年代後半のもの。


どちらのROLEXも文字盤の6時位置(中央よりやや下)に“PRECISION”と表記されています。

「プレシジョン」・・・「正確な」とか「精密な」という意味。

そう、ROLEXのノンクロノメーターにはプレシジョンと書かれているのです。(何も書いてないものもありますよ)
別に古いROLEXだけではありません。現行のエアキングにもバッチリ入ってますぜ。

で、クロノメーター規格を取ってないから精度が悪いのか?と思われる方も多いかと思いますが、とんでもハップン、歩いて15分!(?)
プレシジョンの名に恥じない非常に良い精度を出します。クロノメーターと比べても何の遜色もないように思われます。
では、何故クロノメーターを取らないのか?

...コストがかかるからですよ。
なるべく安く良いものを提供する、というメーカーの姿勢を感じます。

毎回辛辣にROLEXを書いているので、今日はちょっと持ち上げ気味な感じで締めたいと思います。


プレシジョンな仕事を心がけたい腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。

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昨日のサブマリーナに引き続き、今日は“サブ”の親戚筋というか兄貴分の“シード”ことシードゥエラーのご紹介。



シードゥエラーが登場したのは1971年。初代シードゥエラーは風防がプラスチックにもかかわらず、610mの防水性能がありました。それが80年代に入り、サファイアガラスを採用してから4000フィート=1220m防水へと飛躍的な向上を見せます。
昨日のサブの写真と見比べていただいたら判るように、ガラス面にサイクロップレンズが付いていません。なぜか?ガラスとレンズの接合面が水圧に耐えられなくなってガラスが破損するのを防ぐ為です。なるべく凹凸は無くしたいってことでしょう。
もう一つ、シードゥエラーを語る上で欠かせないのが“ヘリウム・エスケイプメント・バルブ”です。
ちょうどリュウズと反対側(ケース左側)に付いているこれ↓

なにこれ?

海底調査や潜水を職業とするプロダイバーと呼ばれる方たちは、海底基地や潜水船で長期間生活します。その空気またはエアータンクには地上の空気よりもヘリウムガスの混合比率が高いエアーを使用しています。これはダイバーの体内のヘリウム濃度を人工的に飽和状態にしてから潜るいわゆる飽和潜水をする為です。飽和潜水の詳しい説明はこちら

で、この穴は何のために付いているかといいますと、このヘリウムガスと言うのは気体の分子構造が非常に小さいため、あらゆる計器の内部に浸透する性質を持ちます。もちろん時計の内部にも入り込みます。で、ダイバーが減圧室で減圧する際、内部に溜まっていたヘリウムガスが密閉した時計の圧力に耐え切れず「ボン!」とガラスを破損する事故が相次ぎました。原因はヘリウムだというのがすぐに判明した為、時計の内部に圧力がかかったら自動で内部のガスを逃がす穴を付けた、という訳です。
オメガのシーマスタープロフェッショナルにも10時位置に付いています。
これ↓

オメガの場合は手動でネジを開きます。今まで「何?このネジ?」と思っていた方もスッキリ解決。これで熟睡できますね。


二日間にわたって小難しい話になりましたが、御清聴ありがとうございました。
来週からガラリと雰囲気を変えて『下ネタ週間』にしようかと考えている腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。
下ネタかよ!


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1ヶ月以上ぶりのシリーズ企画“ROLEXの秘密”の第8回目。
今回はダイバーズ・ウォッチの代名詞『サブマリーナ』『シードゥエラー』を深く掘り下げたいと思います。テーマがデカイので2日間に分けよかな。

まずは“サブ”ことサブマリーナ。

1950年頃に作られた“ターノグラフ(ベゼルが回転するモデル)”をベースに、潜水用として改良されたのがサブマリーナの誕生です。正確にどのモデルが一番最初のものか判らないってのもROLEXっぽいですが、1953年のバーゼルフェアで発表されたCal.A260を搭載した“Ref.6204”がファーストモデルらしいです。現行モデルは1000フィート、300m防水ですが、初期モデルの防水性能は180m(100mという説も)しかありませんでしたが、それでも画期的な性能。ベースとなるデザインは現行品とほとんど変わっていないので、当時から非常に完成度が高かったと思われます。

現行“サブ”には2ライン製造されています。カレンダー付きでクロノメーター規格に合格しているムーブを搭載したRef.16610とカレンダー無しでノンクロノのRef.14060M。2000年から14060の後継モデルとして登場した14060Mですが、ムーブの耐久性がUPし、インデックスの発光能力も飛躍的にUP。蛍光灯の下に数秒置くだけでビッカビカに発光します。その他、ガラスの6時位置に偽造防止のクラウンマークもコッソリと追加。

16610と14060M、見た目で大きく違うのは日付。サファイアガラスにポッコリ出ている“サイクロップレンズ”が付いているかいないかで即断できます。このサイクロップレンズ、デイトジャストなんかにも付いていますが、なんと簡単に取れるんです。実は今日、これが一番言いたかったんですが...
レンズはガラス面にエポキシ樹脂の接着剤で貼り付けてあるだけなので、レンズとガラスの接着面に平刃の彫刻刃などをあてて、ハンマーで「ガツン!」と叩くと、ポロッときれいに取れます。すると今まで2.5倍に拡大されていた日付が非常に可愛らしく控え目に、そして今日が何日か確認しにくくなります。(笑)
レンズを元通り付けるのにはもちろん修理代がかかるので、やめておいたほうが無難です。

写真を見ていただいたら判ると思いますが、ケースの右側がリュウズを上下から挟み込むようにもり上がってますが、これはリュウズガードと呼ばれるもので、初期型のサブには付いていません。で、このリュウズガード無しで、今のものより径がちょっと大きいリュウズ、いわゆるデカリュウズが付いたRef.6538は映画『007』で若き日のショーン・コネリー(まだ髪の毛がフサフサしていた頃)が着けていたので、ファンの間では“ジェームズ・ボンドモデル”と呼ばれ、プレミアとなっています。

文字盤の“SUBMARINER”の文字が1970年~74年の4年間だけ赤色で、通称「赤サブ」。これも非常に高額な値段が付いています。何故赤色なのかは不明。しかしこの“赤サブ”、文字だけを後で塗りなおしたものが非常に多く、正真正銘の本物は100本に5本あるかないからしいです。高価な買い物をしてパチ物をつかまされないように、信用のおけるショップでの購入をお薦めします。


読むのも疲れた頃でしょうからこのへんで。書くのが疲れた腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。
明日は“シードゥエラー”編。   ...たぶん。

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先日分解掃除でお預かりしていたROLEXが仕上がり、本日お客様の手元に届きます。
神戸市長田区在住のT様、ROLEXデイトジャスト 16234G(青グラデーション)。OH、リュウズ・巻き芯交換、ケースパープ交換、パッキン交換、防水検査しております。文字盤の色が珍しい青のグラデーション。ステンレスとホワイトゴールドのケースに良く合ってます。

さて、今日のROLEXの秘密は、前回“その6”で紹介したリファレンスNO.の読み方
12時側のブレスを外した時計本体の側面に刻印されています。ちょっと古いモデルは4桁の数字、最新のモデルは数字が6桁になってます。
写真のT様のROLEXは16234で、5桁の数字の最後に“G”が付いています。このGとは文字盤にダイヤが付いていますという意味。
そして数字の一の位がケース(本体)の素材を意味します。その一覧がこちら。

0 ステンレス
2 ステンレス+プラチナ
3 ステンレス+イエローゴールド
4 ステンレス+ホワイトゴールド
5 ピンクゴールド
6 プラチナ
8 イエローゴールド
9 ホワイトゴールド

したがって、T様のROLEXは16234なのでステンレスとホワイトゴールドのコンビということになります。
キムタク使用で一躍人気が上昇したエクスプローラーのリファレンスNO.は14270(現行モデルは114270)。一の位が0なのでステンレス素材。

しかし、この法則は5桁以降のもので、4桁のものや一部のスポーツモデルには当てはまらないのでご注意を。

本日は軽~くこの辺で。明日はうちに新入社員が入ってきたのでその紹介をしたいと思います。よろしくどうぞ。


今朝は開店してもう1時間ほど経つのにまだお客様が一人も来ていない腕時計修理専門店トゥールビヨン。(><)お客さん来て頂戴!





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今朝は昨日とうって変わって爽やかな秋晴れの大阪です。地元岸和田では山手のだんじりが朝から町を疾走しています。晴れて良かったね。

今日のブログは大好評シリーズ、一般ユーザーには知れないROLEXの闇の部分にスポットを当てる“ROLEXの秘密”の第6弾。

今日は固有番号(通し番号)について。
一つの腕時計にはそれぞれ主に3つの番号を持っています。
1つはリファレンスナンバー(Ref.No.) 照会番号、製造番号のこと。型番ですね。
2つ目はキャリバーナンバー(Cal.No.) 本来の意味は直径、内径を表す英語なのですが、時計用語ではムーブメントを構成する各部分の配置を意味します。つまり内部機械の番号。
3つ目はシリアルナンバー(Sir.No.) 固有番号のこと。時計一つ一つ違います。限定500本なんかだと1~500までナンバーリングされています。

ROLEXのシリアルNo.は写真のように6時側のブレスを外した本体の側面に刻印されています。その番号によってほぼ製造年代が特定できます。
1987年以前までは7桁の数字のみでしたが、数字だけでは足りなくなったので87年からは6桁の数字の前にアルファベットを一文字入れることになりました。その一覧がこれ。

1987年 R000000
1988年 R999999
1988年 L000000
1990年 L999999
1991年 E000000
1991年 E999999
1991年 X000000
1991年 N000001
1992年 C000001
1993年 S000001
1994年 W000001
1995年 W999999
1996年 T000001
1996年 T999999
1997年 U000001
1998年 U999999
1999年 A000001
2000年 A999999
2000年 P000001
2001年 P999999

以下ずっと続く....

上記のシリアル番号を見て、感の鋭い方はお気づきになったかもしれませんが、
そう、縦にアルファベットを見るとROLEX INC SWISS...と読めるではありませんか!!“O”と“I”がないのは数字のゼロやイチと混同するので飛ばしているのです。(多分)
この法則は私が腕時計販売員をしていた10年ほど前、ROLEXを仕入れていた先の営業の方から教えていただきました。しかし、97年以降は文章にならないので、翌年のアルファベットは何になるのか会社の同僚とで賭けていた(金銭ではないと思います)らしいです。
私が最初に買ったROLEXのエクスプローラーⅡはT品番だったので1996年製でした。もう手放しましたが。
2003年のF品番からコピー品防止の為、サファイアガラスにROLEXマークの透かしが入ります。

貴方がお持ちのROLEXは何年製造のものでしょうか?そろそろOHしたほうが良いんではないでしょうかね?シリアルNO.を調べるのにわざわざブレスを外さなくても、国際保証書の右上にパンチされていますのでそれを参考に。
え!?買った時に国際保証書付いてなかった!?ちょっとヤバイかも...

では皆様良い連休を。

正月以外は連休がない腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。









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お待たせしました!「ROLEXの秘密シリーズ好きです」という声もチラホラいただく今日この頃。久々の第5弾。

今日はROLEXを買うと必ず付いてくるインターナショナル・ギャランティ(国際保証書)について。ROLEXのオーナーじゃない人は「なんや!おもろないな!」と思うかもしれませんが、まぁ聞いて。

国際保証書と言うから、たいそうご立派な物かと思いきや、ペロンとした薄っぺらなB5サイズより小さな紙切れです。
この紙切れにリファレンスNO.(型番)が記入してあり、シリアルNO.(固有番号、製造番号)が小さい穴でパンチされています。そして販売店のスタンプと購入日の日付。ここまでは他のメーカーの保証書とほぼ同じ。
しかし、ROLEXの保証書にはもう一つ3桁の数字が左上にパンチされています。(写真参照)これなんだ?
これは、カントリーコードと言って、スイスの工場からどの国に出荷したかが判るように出荷国の番号を入れているのです。

そのカントリーコードの一覧は
010 フランス
018 フランス
022 スウェーデン
036 オランダ
100 ドイツ
110 スイス
119 コメックス(フランスの潜水会社)
133 ベトナム
160 ロンドン
228 アメリカ
253 アメリカ
400 香港
413 韓国
430 シンガポール
440 台湾
527 中近東
700 カナダ
720 メキシコ
781 サンチャゴ
810 オーストラリア
888 香港
900 日本

まだまだ他にもあるみたいですが、上の表から、百の位が0~1がヨーロッパ、400番台がアジアらしいですが、一概にそうとも言えないみたいです。特にROLEX側もこのカントリーコードに関しての正式ものは公表してません。
というか、このコードだけではなく、ROLEXという会社はもの凄い秘密主義。生産に関するデータや工程はもちろんのこと、新製品の発表まで完全に秘密。デザインの小さな変更も販売店が入荷時のチェックで初めて知ることも少なくありません。なぜベトナムのコードが133なのか教えてくれるはずがない!

で、日本に入ってくる並行輸入品のほとんどが香港出荷のもの。7~8割くらいではないでしょうか?販売員をしていた頃は、ちょっとROLEXを知っているお客様が
「おにいちゃん、このROLEXのギャランティ見せて!」と言って、
「なんや!香港か!ヨーロッパ無いの!?」って聞いてきたりしました。
「はぁ?」どこの国も同じです。逆に言うと、ヨーロッパ出荷の物よりアジア出荷の方が丁寧に管理・保管されているので、ケース本体やブレスの小傷が少ないのですよ。ヨーロッパの販売店ってROLEXよりも高級な時計を扱いなれているからか、ROLEXクラスの時計の扱いが結構雑だったりします。アジアではROLEXはステータスシンボルですからね。大事に大事に保管します。それを「なんや!香港か!」って無知もはなはだしい。
もう一度、ベースランニングからやり直しですわ!「はい!ベーラン20周!」

ヒートUPしてきたので、今日はこのへんで。

ROLEXのギャランティだけ3枚も持っている腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。なぜ持ってるかは言わない。

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「ROLEXの秘密、続きはまだか!?」と反響が全く無いのですが、メゲズにシツコクやりたいと思います。

ROLEXの秘密 その4。

今回はROLEXのマークについて。ロゴマークとかエンブレムとか色々言い方はありますが、写真のマーク。これ何だと思いますか?
ほとんどの人は王冠のマークだと思っていませんか?
諸説色々ありますが、実はこれ


“職人の手のひら”を表したもの  というのが定説です。

今日は凄くトリビアっぽい内容ですね。最近の本家フジTVの『トリビアの泉』がネタ切れなんでしょうか、非常につまらない。特にトリビアの種というコーナー。全く面白くないのでトリビアの種が始まるとチャンネル変えますもん。下らん投稿してきやがって!「これトリビアになりますよね。タモリさん」って。毎回TVの前で「ならん!」と言ってチャンネル変えます。どれだけ予算使ってるのか知りませんが、大掛かりな準備して!もったいない!しかも最近は番組の最初にやったり。あれは考え物ですよ。ね、タモリさん。

話がそれましたが、ROLEXがこれほど人気のブランドになった理由の一つにその“頑丈さ”が上げられるでしょう。確かに丈夫です。ROLEXが世に出るまでの腕時計は壊れやすいものだったのですが、そのイメージをROLEXが払拭しました。事実、1950~80年代のムーブメントは精度や耐久性において他の追随を許さないほど優秀なものが多く、アンティークROLEXが今も現役で数多く残っているのが何よりの証拠でしょう。
では、現行のムーブメントはどうか?
実はここだけの話、耐久性は昔に比べて劣っています。だいたい4~5年でどこかしら部品が劣化してきてメンテナンスを必要としなければいけないようになっています。確かにロービートからハイビートに変わり、部品の消耗度も上がりましたが、60年代、70年代の機械は頑丈すぎて修理に来るお客さんがほとんどいなかったらしいです。
現在のROLEXという会社、新品をバンバン宣伝して新しい時計をドンドン買ってもらおう!というのではなく、どちらかと言うと修理やメンテナンスで儲けようという姿勢が感じられます。なので、ワザとではないでしょうけど、あまり長持ちのしないパーツを使っているように思えて仕方ありません。ワザとかなぁ?ワザとじゃないですよね。ワザとじゃないことを願います。

昔のような耐久性に優れた頑丈なものであれば私も欲しいなと思う腕時計修理専門店トゥールビヨン店主。

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今日は甲子園決勝戦。夜は女子バレーボール対ブラジル戦。明日の早朝はゴルフの全米プロ最終日。スポーツから目が離せません。たしかプロ野球は今シーズンもう終わったんでしょう?終わってるはずです。(T_T)

皆様が愛してやまないROLEXをあらゆる角度から斬る“ROLEXの秘密”シリーズ、今日は3回目。
創業は1905年。去年創業100周年のメモリアルイヤーだったのですよ。創業者は写真のハンス・ウィルスドルフさん。ドイツ産まれです。1900年に時計の営業、販売に携わり、1905年にロンドンでROLEXの前身となる“ウィルスドルフ&デイビス社”を設立。1907年に本格的な時計製造に着手するため本社をスイスに移転。翌1908年に商標名を“ROLEX”とします。
ですからROLEXは元々イギリスが発祥なんですね。なのでROLEXの姉妹ブランド“チュードル”は本国イギリスでの時計売上不振を打開すべく値段を安く設定したディフュージョンラインとしてイギリスで販売開始します。アルマーニで言うところのエンポリオ・アルマーニ、プラダで言うところのミュウミュウ、SEIKOで言うところのALBAみたいなもんです。廉価版。
しかしそこは経営戦略に長けたROLEX、英国民に受け入れられるようにとイングランド王家である“チューダー家”から名前を拝借し、家紋のバラを時計のシンボルマークにして“チュードル”にしました。
オイスターケース、ねじ込み式リュウズ等ROLEXと共通のパーツを多く使っています。昔のチュードルはROLEXのマークの入ったリューズを使ってました。今は盾のマーク。
日本国内にチュードルの代理店、サービスセンターは存在しませんので、アフターサービスはROLEXのセンターで行います。
ラインナップもROLEXとほぼ同じで、
ROLEX     TUDOR
デイトジャスト → プリンスデイト
デイデイト   → プリンスデイデイト
エクスプローラー→ レンジャー
サブマリーナ  → サブマリーナ
デイトナ    → クロノタイム
という具合。見た感じよく似てますが、持ったら「なんや安モン臭いなぁ」ってすぐわかります。今は中の機械(ムーブメント)はROLEXがチュードル用として生産してますが、発売当時はETA社の安いムーブメントが入ってました。ETAについての詳しい話はまた後日。
笑ってしまうのがクロノタイム(ROLEXで言うデイトナ)で、5~6年前でしょうか、当時のデイトナ人気とゴルフのタイガー・ウッズ人気に便乗して文字盤の中央に“TIGER”と入れたクロノタイムタイガーを出しました。確かに出た当時はそこそこ売れましたが、その後店に入荷するのがほとんど“TIGER”。さすがにお客様も「普通のクロノタイムないの~?」となってきますが、相変わらず“TIGER”ばかり。飽和状態です。どんだけ作っとんねん!って思いました。見事に消費者からはソッポを向かれました。生産数を少なくしておけば今頃かなりのプレミアが付いたでしょう。やりすぎはあかんよ、ROLEXさん。
今日はここまで。

なんだ、今日はROLEXじゃなくて“TUDORの秘密”じゃないかと思った貴方はほぼ正しい。文章読解力があります。さぞかし国語の成績が良かったでしょう。次回その4を乞うご期待。

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いくらなんでも暑すぎます。

早速昨日のつづき。

昨日、ROLEX社の宣伝が上手と書きましたが、では、どんな宣伝方法だったかと申しますと...

1926年、ROLEX社は時計の本体(ケース)を金属の塊を削り出して形成し、裏ブタとリュウズをスクリュー式にして時計の気密性、いわゆる防水性を確立しました。オイスターケースの誕生です。
しかし、このオイスターケース、ROLEX社が開発したのではなく、時計ケース製造メーカーが開発、製造をして、ROLEX社がその会社と製造特許ごと買い取ったらしいです。今で言うM&Aですか。
まぁ、それは置いておいて。 では、その防水性能を実証するためにイギリスの女性速記記者メルセデス・グライツ嬢に「オイスター」を着けてもらってドーバー海峡を泳いでもらいました。泳ぎきった後ももちろん時計は正確に動き続けています。
今までこのようなプロモーションは無かったのでしょう。“ROLEX=すごい腕時計”の方程式が脳細胞にインプットされます。それまでの腕時計は激しい運動、特に水には弱かったので、この「泳いでも壊れない」というのはインパクト十分だったでしょう。

その後、“探検家”という冠をつけたエクスプローラーが発売になると、有名なイギリスの登山家エドモント・ヒラリー卿に提供してエベレスト初登頂に成功します。その時のキャッチコピーは「8000mを越える過酷な条件の中で、私が信頼できたものは酸素マスクとザイル、それとエクスプローラーだけだった...」感動します。

今やダイバーウォッチの代名詞となったサブマリーナ、シードゥエラーの場合はフランスの潜水会社“COMEX(コメックス)”のダイバーにドーンと提供しています。

2国の時間(時差)が安易に計測できるGMTマスターの時は、今はなくなりましたが当時はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いのパンアメリカン航空、通称パンナムのパイロット全員に支給しています。世界各国の空港のコンコースを颯爽と歩くパンナムのパイロットの腕にチラリと覗くROLEX。チラリズムの境地。それを目にした各国のビジネスマンが「僕もROLEXが欲しい~!」となるわけです。これ以上ない最高の広告塔。

デイトナの場合は米国フロリダ州デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで毎年開催される24時間耐久レースもROLEXがスポンサーです。優勝者には裏ブタに優勝記念の刻印が入ったデイトナが贈られます。コピーのデイトナには大概この刻印が入っています(笑)
裏ブタに優勝記念の刻印が入った本物のデイトナが一般に出回ることはまずないでしょう。オリンピックの金メダルが出回らないのと同じです。あなたのデイトナ、裏ブタに“24~ナントカカントカ”と刻印が入っていたら120%偽物です。あなたが1966年に日本人で初優勝した星野一義氏、長谷見昌弘氏、鈴木利男氏でなければですが。

半世紀近く前、ここまで色々な分野にスポンサードしてきた腕時計メーカーは他にありません。だいたい、時計に限らず何かをチマチマ作る職人気質の頑固オヤジにはこのような発想は全くありません。当時のROLEXの営業や広報には脱帽です。

今日はここまで。



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