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車泊で「ご当地マンホール」

北は山形から南は大分まで、10年間の車泊旅はマンホールに名所・旧跡・寺社・狛犬・・思い出の旅、ご一緒しませんか。

天女伝説と賤ヶ岳の合戦 in 滋賀県長浜市余呉町

2025年07月01日 08時00分00秒 | 神社仏閣・名所・観光・滋賀県

滋賀県長浜市余呉町川並、周囲約6・4キロメートルの余呉の湖には、日本の羽衣伝説の中で最古と言われる「余呉の天女伝説」が残されています。

「遠い昔、余呉の郷の湖に、たくさんの天女が白鳥の姿となって天より降り、湖の南の岸辺で水遊びをしていました。それを見た伊香刀美(いかとみ)は天女に恋心を抱き、白い犬に命じて、柳の枝から羽衣を一つ盗み取らせます。 天女たちは異変に気づいて天に飛び去りますが、最後の若い天女だけは、羽衣がないため飛び立つ事が出来ません。地上の人間となった天女は、伊香刀美の妻となり、やがて4人の子供を産みます。兄は『意美志留(おみしる)』弟は『那志刀美(なしとみ)』、そう、昨日の「乎彌神社(おみじんじゃ)」の御祭神です。そして姉は『伊是理比咩(いざりひめ)』、妹は『奈是理比咩(なぜりひめ)』。母となった天女でしたが、羽衣を見つけると、すべてを捨てて天に帰ってしまいました。」

同じく余呉湖の天女伝説を伝える「日本地誌大系」では、「昔、桐畑太夫という漁師が芳しい香りにひかれて、一本の柳に歩み寄ると、色鮮やかなうすものが掛かっていました。うすものを手にした太夫が振り返ると、美女がたっており、その羽衣を返してくれと懇願します。しかし太夫は羽衣を隠してしまい、仕方なく天女は太夫の妻になります。やがて天女は、玉のような男の子を産みますが、子守の者が【おまえの母は天女様 お星の国の天女様 おまえの母の羽衣は 千束千把の藁の下】と歌っているのを聞き、その通りの場所に羽衣を探し出すと、天上遠く飛び去っていきました。菅山寺の僧『尊元阿闍梨』は、この話を聞き、母のない幼子を憐れみ、寺に連れ帰って養育しました。この子供はのちに、『菅原是善卿』の養子となり、長じてのち、その名を『菅原道真』としました。」

天女伝説で羽衣を掛けるのは、「羽衣の松」に代表されるように「松」が一般的ですが、ここでは「天女が羽衣を掛けた衣掛柳」。「羽衣の柳」は、唯一余呉の伝説のみに登場します。幹の傍らに建立された石標にわずかに読み取れる「北野神社」の文字。由来は不明。

柳の根元近くに置かれていた石は、おそらく歌碑と思われます。一応は頑張ったのですが、文字が拾えません。(ご存知の方はHelp me!)

【賤ヶ岳 寄りに鴨をり 余呉の湖 (久米幸叢(こうぞう)

余呉の天女伝説では、他にこれと言った場所の紹介や詳しい解説などはありません。ですが余呉地区観光案内図には天女のレリーフがあり、それなりのアピールはしているようです。

琵琶湖とは賤ヶ岳で隔てられ、湖面が穏やかなことから「鏡湖」とも呼ばれる余呉湖。かってこの余呉湖畔一帯は、後に知られる「賤ヶ岳の戦い」の激戦地となった場所です。

余呉湖沿いに車を走らせた先に見えてきたのは、賎ケ岳合戦の跡「岩崎山・大岩山史跡巡り」の看板。古戦場を巡りながら賤ヶ岳山頂を目指すコースらしく、歴史好きのハイカーさんには素通りできない場所のようです。

琵琶湖程の大きさになると「湖(みずうみ)」という概念から離れて「湖(うみ)」になってしまいますが、余呉の湖は程よく視界に収まる感じ。湖面に色濃く影を落とす賎ケ岳も、特別な場所と言う感想を与えてくれます。

「賎ケ岳の七本槍」は、羽柴秀吉に仕えた『加藤清正・福島正則・片桐且元・加藤嘉明・脇坂安治・平野長泰・糟谷武則』を称えた呼称。余呉湖の周辺には、「七本槍の地」や「槍洗いの池」など、激戦の足跡が今も歴史を語り続けています。

湖畔に立つ碑は「去来抄」と、『斎部路通(いんべろつう)』句碑。

【鳥共も 寝入りてゐるか 余呉の海 (斎部路通)

【去來曰、細みは便り無き句に非ず。細みは句意に有り。是も又俳句あげて辨ず。 先師曰、此句細み有と評し玉ひしと也。(斎部路通)

芭蕉の門下で生涯漂泊の俳人として過ごした『斎部路通(いんべろつう)』。蕉門十哲の一人『向井去来(むかいきょらい)』。思いがけず芭蕉さんに縁の名前を目にすることができて、ちょっとご機嫌😄

「賤岳暮雪」の碑・・・もしかして、近江八景の1つ「比良の暮雪」に対抗?基本的に雪の季節は、猫とコタツで丸くなっている私。いずれにも縁の無い景色であることは確か。

訪問日:2008年7月5日&2016年6月15日

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日本各地に残され伝えられてきた天女伝説。私が訪ねたのは、1200年以上前に書かれた「丹後国風土記」に登場する京都府峰山の「天女伝説」。謡曲『羽衣』の舞台にもなった「静岡市:三保の松原の「天女伝説」。他にも「大阪府高石市の「羽衣伝説」「鳥取県倉吉市の「打吹天女伝説」・・天女が羽衣を失い地上に留まるまでのストーリーは、どれも一様に同じような経緯を辿っています。他に千葉市の「羽衣の松」、遠く沖縄宜野湾市にも「羽衣伝説」が残されているそうです。その気になって探せばきっと他にも同じように語り継がれる物語に出会えるかもしれません。



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