光緒二十年(1894年)創業の中華菓子店(餅店)『社口犁記』は、台中市の神岡區社口にあります。
台北や台中にも『犁記餅店』がありますが、支店でものれん分けしたわけでもありません。
台北、台中とも、意図してか、偶然か、包装箱の色がオレンジで、中央に「犁記』と大きく書いてあります。
以前、台中のお店で買ったとき、「神岡の支店?」と聞いたら、店員さんは曖昧な返事をしたので、ひっかかるものがありました。
このお店、支店は一切なく、「犁記」の商標を使った台湾の最初の餅店(本舗)だそうです。
(2014年の9月の最初に、下水ラードの問題が世間を騒がせ、台北の犁記の一部商品にも、そのラードを原料としたものが使われていて、同じ商標の台中のお店も返品被害が出ていました)
今年の中秋節の1週間前、神岡に近い豊原に住む知り合いが、出来たてを届けてくれました。
暑い中、30分並んで買ってきて、台中へ着いたとき、すぐに「できたてなんで、、蓋を開けて蒸気を抜くね」と言って、食事しているテーブルの上で、まだ温かい月餅を並べました。(★6日間しかもたないので、中秋節の前の日あたりから買う時は、1,2時間くらい待つんだそうです)
包装はいたってシンプル。できたてなので、1個1個の包装をしないのだろうと思っていたら、後日、宅配で主人の実家に送られてきたものも、同じで、外函も密閉されておらず、ご先祖様の神卓の前に置いてあったものの蓋を開けたら、小さなアリちゃんが數匹うろうろしていました(^_^;)
中秋月餅は、今年の春値上がりして 60元/1個。
こういう部分も、120年の伝統を受け継ぐということなのか、と思ったり。
昼食後、デザートとして食べたのですが、できたての犁記の中秋月餅(緑豆餡と滷肉入り)は、緑豆餡のほっこりした優しい甘味と、ほどよい硬さと控えめな滷味のお肉の小さな塊、紙より薄い何層にもなった外皮のサクッとした食感に、5分もかからず1個完食。ここ数年、月餅眺めることはあっても、ほとんど食べない自分にとって、ものすごい衝撃でした。
「おいしいって、こういうことなんだ」と。120年前も同じ味だったとしたら、当然、当時の台湾№1でしょう。
初めて食べた数日後、中秋節の日に、ご先祖様にお供えしたものをいただきました。
味は同じくおいしかったのですが、出来たての時の食感とは違ったので、少し残念。
やっぱりおいしいものを食べたかったら、神岡の本店へ行って、30分くらいは並ぶ覚悟じゃないとだめですね。
『犁記餅店 社口本舗』
住所:台中市神岡區社口村中山路520號
電話:04-2562-7135
(おまけ)
今年の中秋節の日(9/9)に、息子の通う塾のお隣の花屋の前でお店の人達の焼肉パーティのテーブルセットを見て、飾り付けが素敵だったので、写真を撮らせてもらいました。日本のススキとは少し違うのですが、台湾では、「芒草(マンツァオ)」という植物があり、なんとも風流でした。