tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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春日大社景雲殿で、勧進宝物特別公開 7月14日まで!(2015Topic)

2015年06月04日 | お知らせ
国宝御本殿が特別公開中(6/30まで)の春日大社の景雲殿(けいうんでん)で、「元禄御開帳再現!天下人の崇敬と春日大社」(拝観料200円)が行われている。チラシは、こちら(PDF)。読売新聞奈良版(6/1付)「天下人 春日への信仰」によると、

30点特別公開
春日大社(奈良市)で行われている20年に1度の社殿大改修・式年造替しきねんぞうたいに合わせ、近世の権力者が春日に寄せた信仰の篤あつさを伝える宝物など30点を紹介する特別公開「天下人の崇敬と春日大社」が1日、同大社景雲殿で始まる。豊臣秀吉の朱印状や、5代将軍徳川綱吉が奉納した灯籠とうろうなどが初公開される。7月14日まで。(佐藤直子)


景雲殿の全景、向こうが社務所。この写真はブログ「酒と出会いとお寺とお宮」から拝借

式年造替は奈良時代から続き、今回で60回目。近世の造替は秀吉や歴代徳川将軍の寄進などで実現してきた。秀吉は1585年に姓を春日大社を氏神とする藤原氏に改め、関白となった。以降、氏神として意識するようになったと考えられ、弟・秀長を通じて造替の完遂を命じた。

朱印状は新年の祈祷(きとう)の礼状で、同大社の神官に宛てられている。別の朱印状は、秀吉が行った検地後に、同大社の申告を上回る社領を認める内容で、所領を削られる寺社が多い中、破格の優遇ぶりがうかがえる。徳川家康は1613年に行われた造替で2万石を寄進。その後も歴代将軍の寄進で同大社は繁栄し、特に綱吉は多くの宝物を納めた。

灯籠は、綱吉が館林藩(群馬県)の藩主だった1667年に寄進。銘には、綱吉の隣に「室」の文字が見え正室・信子と共に寄進したことが分かる。徳川家の家紋・三葉葵(みつばあおい)と、信子の実家である鷹司家の牡丹(ぼたん)があしらわれている。昨年度、破損していた屋根部分を修復した。

このほか、綱吉が寄進した朱子学の書物「四書直解」の日本製版本や綱吉の母・桂昌院が奉納した弓矢などが並ぶ。午前9時~午後4時半(入館は午後4時まで)。拝観料200円。問い合わせは同大社(0742・22・7788)。


昼食にお蕎麦をいただいた。信者さんである株式会社宮川製粉(山形県寒河江市)のお振る舞い


おにぎりも、こんなにたくさん!

昨日(6/3)は休暇を取って、この特別公開のお手伝い(ガイド)をさせていただいた。同社からNPO法人「奈良まほろばソムリエの会」に依頼があったもので、6月中は当会、7月は南都銀行のOB・OGによるボランティア団体「ナント・なら応援団」がガイドをする。

私は5/23(土)の説明会に参加して説明を受けたが、現物がなかったのでチンプンカンプンだった。しかし、いざ展示物が並んでみると、これは壮観である。これで200円とは、信じられない。私が注目し、特に力を入れて説明したのは、以下の宝物である。部屋の入口から反時計回りに紹介すると、

1.儀式用の大工道具
慶長5年(1652)の造替工事開始の木作始式(こづくりはじめしき)で使われた、木を削る釿(ちょうな)、墨付け、定規。なお鎌倉時代の宮大工の作業風景を描いた絵も、拝観することができる。

2.釣り灯籠
修理が施された灯籠が3基、並んでいる。中でも永享12年の灯籠は、奉納時期が判明する釣り灯籠として最古である。

3.お供え物を置く机・お盆(御神前調度)
江戸時代の散米盆、近代の八脚案(小さなテーブル)、四脚案が並んでいる。八脚案に施された螺鈿(花菱螺鈿)の美しさには息を呑む。

4.比売神(ひめがみ)様に捧げられた御神宝の化粧道具(江戸時代)
本殿の第四殿にお祀りされている比売神様は女性神なので、建物内には化粧道具が納められていた。それが重厚な白銅製の鏡と鏡箱、唐櫛笥(からくしげ 化粧道具を入れる箱)とシンプルな鏡台(白銅製の鏡を架ける)。私はこれまで「いろんな神社の本殿には一体、何が納められているのだろう」と疑問を感じていた。「刀(太刀)とか鏡ではないか」という人がいたが、これで1つ、疑問が解決した。

5.桂昌院が奉納した弓矢
徳川綱吉の母・桂昌院が、大安寺が蔵していた(今は般若寺蔵)神功皇后の弓矢を精巧に模造させたもの。シンプルで力強い梓弓(あずさゆみ 梓の木で作られている)と矢、矢を入れるケースが展示されている。『日本書紀』の世界を彷彿とさせるお宝だ。

6.春日明神図(江戸時代)
白い鹿に乗った束帯姿の春日明神が描かれている。りりしい瓜実型の貴公子として描かれ、とても魅力的である。


ここはどこの国?と迷ってしまうほどの外国人参拝客が訪れている

昨日は朝からどしゃ降りだったので、拝観者は通常の平日の半分ほどだったが、それでも修学旅行生やバスの団体客など、たくさんの方が来られた。境内を歩くと、ものすごい数の外国人観光客が来ていて驚いたが、宝物の説明は日本語だけなので(タイトルは英語表記あり)、御本殿だけ拝観して景雲殿はパスされたようだ。

それにしても興味深い展示である。6月末までは御本殿特別公開(16:45まで)、夫婦(めおと)大國社御前立(おまえだち)特別御開帳(16:30まで)、鹿苑(ろくえん)での子鹿公開(11:00~14:00)も行われている。皆さん、6月はぜひ春日大社にお参り下さい!



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4 コメント

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ありがとう (門口)
2015-06-04 11:47:40
 ナント・なら応援団として7月からお手伝いさせていただきますが、何をするのか不安でした。これだけ書いていただいただけでも、助かります。あとは現地説明会の日が、私が矢田寺へ行っている日と重ならないことを願うだけです。
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ポイントは6つほど (tetsuda)
2015-06-05 07:09:27
門口先輩、コメント有難うございました。

> これだけ書いていただいただけでも、助かります。

はい、また口頭でも説明いたします。熱心な方が来られますので、ガイドのやり甲斐があります。

> 現地説明会の日が、私が矢田寺へ行っている日と重ならないことを願うだけです。

大丈夫です、よろしくお願いいたします。
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写真掲載に配慮を (まりも)
2015-06-08 23:08:08
tetsudaさん 掲載写真で外国人観光客を案内しているガイドを見て「あれ!?」、一見しただけでわかりました、仕事仲間の男性ガイドです。彼に「ブログに写真載ってるね」と話すと「何のこと?」と訝しげな返答。ブログの事を言うと「全然知らん」と憮然としていました。写真を撮ることのことわりはなかったようですね。
個人のブログとはいえ、tetsudaさんのブログのように日に何百とア久セスのあるブログは写真(肖像権)の配慮が必要かと思います。観光客もお忍びの場合だってあります、今回のような写真だったら、グループの背後から個人を特定できないように撮ったものを使うべきだと考えます。当事者に了解を得るのは無理ですから。
身内でない人の写真撮るのも載せるのも、ご配慮願います。
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失礼! (tetsuda)
2015-06-09 14:25:44
まりもさん、コメント有難うございました。

> 身内でない人の写真撮るのも載せるのも、ご配慮願います。

失礼しました、写真を差し替えました。基本的に、料理とか土産物の写真を撮る際にはお店の了解を得ているのですが、スナップ写真の場合は、なかなかそういう訳にはいきません。シャッターチャンスを逃しますし、向こうも急いでいます。極力、正面からの写真は避けるようにいたします。
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