tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

吉野杉刻字家・土井一成さん(川上村在住)

2015年03月14日 | 奈良にこだわる
奈良県庁の正面玄関に、「精励恪勤(せいれいかっきん)」(力の限りを尽くして学業や仕事に励むこと)という力強い文字が彫られた吉野杉の板が展示されている。これを書き県に寄贈されたのは、川上村(奈良県吉野郡)在住の書家・刻字家の土井一成(どい・いっせい)氏である。寄贈のニュースを報じた村の広報紙(2013年11月号 PDF)によると、


「頑固一徹」の字は、いかにも頑固者が書いたような字になっている

土井一成さん「吉野杉刻字」を奈良県知事に寄贈

10月1日に奈良県庁で川上村大迫に在住の書家、土井一成さんから荒井正吾奈良県知事に対し、「吉野杉刻字」が寄贈されました。これは今年の6月末に行われた土井氏の個展に訪れた知事が強く興味をもたれ、 土井氏の方から 「吉野杉刻字」を通じて県民や観光客の方々に吉野材の良さの情報発信、知名度の向上に役立ててほしいとの意図で寄贈を申し出ました。



寄贈した「吉野杉刻字」は樹齢約250年の杉に力強い書体で「精励恪勤(せいれいかっきん)」と刻字されており、以前土井さんが知事と対面した際に伺った(知事の)好きな四字熟語だそうです。文化の向上という側面の一方、県庁玄関の木質空間とも調和し、来庁者の方々に奈良県産材の良さを知っていただく良いPRになると考えています。刻字は当分の間、県庁玄関の入ってすぐ左に展示してありますので、近くを通られた際は、是非ご覧ください。



そんな土井さんに縁あって昨日(3/13)、お会いすることが出来た。川上村大迫35の土井さんの工房にお邪魔したのである。土井さんはちょうど「夢」という文字を彫っている最中だった。いただいたプロフィールによると、土井さんは1962年(昭和37年)のお生まれ。1986年(昭和61年)から25年間、藤岡都徑氏に師事。数々の個展を開かれるとともに、2010年(平成22年)には、奈良市もちいどのセンター街入口の「奈良縣里程元標」の文字も揮毫された。


アップで見るとよく分かる。力の入ったところは深く、抜いたところは浅く彫られている

工房にはたくさんの作品が展示されている。写真では見ていたのだが、現物を拝見すると、細かいハネやかすれまでが彫られていて、これは見事な芸術作品だ。黒だけでなく、赤や青など日本画の岩絵具で着色されていて、文字の印象がグッと強くなる。土井さんのインタビュー記事を掲載した「ならヒト」(読売新聞奈良版 2013.6.18付)によると



字を書いた紙を、木に貼って彫ります。大切なのは筆圧や筆順を表現し、伝わるようにすること。墨をたくさんつけて力を入れた部分は深く、力を抜いてかすれたところは浅く彫り、生き生きとした字にします。すると、美しい木目や色合い、香りの中で字が輝いてくるんです。木と私の心が通じ合い、木に助けてもらって作っているというのか。



作品を、じっくり見てほしい。彫りの具合や木肌、字を塗った岩絵具の色合いを確かめてください。木の香りが見る人の心を洗い、癒してくれると信じています。


私は会社で「林業・木材関連産業の振興」に取り組んでいるが、このような芸術作品の素材として吉野杉・ヒノキが使われることは、吉野材のイメージ向上に大いに貢献する。

土井さん、これからも素晴らしい作品を世に送り出してください!

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