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忘れることで、心と体を身軽にする/奈良新聞「明風清音」第118回

2025年05月16日 | 明風清音(奈良新聞)
毎月1~2回、奈良新聞「明風清音」欄に寄稿している。昨日(2025.5.15)掲載されたのは〈忘れて心を軽くする〉、藤井英子著『ほどよく忘れて生きていく』の紹介だった。今年94歳の人生の達人(現役医師)による、老人への「贈る言葉」である。以下、全文を紹介する。
※トップ写真は、フリー素材サイト「ぱくたそ」から拝借した

忘れて心を軽くする
18万部突破というベストセラー、藤井英子著『ほどよく忘れて生きていく』(サンマーク出版 税別1400円)を読んだ。版元の紹介文には〈心はカラッと、人づきあいはサラッと、人生はすっきりと。過去は忘れて、未来の心配も保留に。後悔しない、競争しない、我慢しすぎない「今」の歩き方とは?〉

著者の藤井英子さんは1931年生まれで、今年94歳。漢方心療内科藤井医院院長で、今も週6で勤務する現役医師だ。本書には、心と暮らしを身軽にするノウハウが散りばめられている。以下、私の心に残ったところを抜粋する。

▼「みんな仲よく」はムリ
〈すべての人に好かれるのは不可能です。嫌われてしまったならば、そこからサラリと離れることです〉。自分が苦手な人からは、スッと距離を置く。

▼「経験値」にとらわれない
〈人生の経験値というのは、かたや相手を受容するためのおおらかさになり、かたや相手を打ち負かすための屁理屈にもなりえます。どちらを選んで生きていきましょうか?〉 年配者には、「年をとって丸くなった人」もいれば、「融通のきかない頑固な人」もいる。せっかくの経験値を、相手をやり込めるツールにしてはいけない。

▼心配は「保留」にしておく
〈人が不安を感じたり、心配したりしてしまうときは、ほとんどの場合、先のことをあれこれ悪いほうへ考えてしまっているときです。先のことはどうなるかわかりません。未来のことは、誰にもわからないものです。だから、心配や不安な気持ちになったら、その心配や不安を「保留にしておく」というのはどうでしょうか。そして、今日やらなくてはならないこと、未来のためになる小さなことを淡々とやるのです〉。つまり「心配」も、ほどよく忘れることが肝心なのである。

▼今ある「幸せ」を実感する
〈幸せは「比率」では決まりません。今ある不幸せをゼロにしなくても、今手元にある「ありがたさ」を受け取るだけで幸せになれます〉。

▼悔やまない、悩まない
〈親や配偶者が亡くなったとき、一番心を病んでしまうのは「やることが何もない」という人です。心が行ったり来たりし、「あれをすればよかった」「これもできたかも」と悔やむ心が生まれます。こんなときには、手足を使って「動く」ことがいい気がします。(中略)目の前にあるやるべきことは、すべて、意味があって与えられたもの。そうとらえて、少しずつ、気持ちを奮い立たせてみませんか〉。

▼人への負けん気は忘れる
〈自分への負けん気は大切。でも、人への負けず嫌いはほどほどに。経験豊富な人の一歩引いた謙虚さが、美しく思えます。(中略)聞かれる前には話さない。自分が話すよりもまずは聞く。謙虚さは大人の証明です〉。

▼自分に年齢制限をしない
〈いつも「自分」を主語にして、自分にやりたいことをやらせてあげることです。(中略)もちろん、年齢を重ねることでできなくなることは出てきます。でも、私たちが人生でまだやってみたことがないことの中には、年齢や体力に関係なくできることだってまだまだたくさんあるはずです。年齢によって失われたことがあったとしても、朝目が覚める限り、私たちには新しい今日が与えられています。今日できることに関心を向けましょう〉。

▼「経験」にお金を使おう
〈やりたいと思うことは、思う存分、自分にやらせてあげましょう。お金をかけるならば、物よりも経験だと思います。(中略)いつだって、私たちの前には「今」しかありません。今、やりたいことを、やってみましょう。お金を使うなら、物よりも、経験や思い出に使いたいと思います。やりたいことならば、「役に立つかな」と、考える必要はありません〉。

90年超の人生経験を踏まえた珠玉の言葉の数々。次回(5月29日)は続編『ほどよく孤独に生きてみる』を紹介する。(てつだ・のりお=奈良まほろばソムリエの会専務理事)


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