tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

甘すぎる!

2008年02月23日 | 九度山町
2月も下旬になった。この頃になると無性に食べたくなるのがハッサク(八朔)だ。独特の苦味と酸味があって、とても美味しい果物である。広辞苑を引くと《ミカンの一品種。ブンタンと他の柑橘(かんきつ)類との交配種。甘ずっぱく、風味良好。八朔柑》とある。ハッサクは、温州(うんしゅう)ミカンよりブンタンやザボンに近いから、あの味が出るのだ。

3月上旬には九度山町(和歌山県伊都郡)の実家から送ってくれるとのことだったが、先日スーパーで和歌山産(紀の川市野上)のハッサクを見つけたので、ついカゴに入れてしまった。

夕食後にいそいそと剥いて食べてみて、驚いた。甘すぎる! これはハッサクではない。まるで、出来そこないの甘夏だ。「甘ずっぱく、風味良好」なのがハッサクで、単に甘ければ良いというものではない。

子供の頃、ミカン農家の友達が不吉なことを言っていた。「(温州)ミカンは挿し木で増やす。甘いミカンが収穫できると、その枝ばかりを選んで挿し木するから、これからミカンはどんどん甘くなる」。下宿生活を始めた学生時代、初めて愛媛産のミカンを食べ、その甘さに驚いた。どんどんミカンは甘くなっていたのだ。「伊予柑の本場では、温州ミカンもこんなに甘くしないと売れないのか」とも思った。

温州ミカンの産地ベスト3は、1.和歌山県、2.愛媛県、3.静岡県で、この3県で全国の収穫量の約半分を占める。食べ比べてみると、愛媛産や静岡産は、和歌山産より甘い。和歌山のミカンにはほのかな酸味があり、私は、これがミカンの身上だと思っている。

かつてネット上で「ミカンの味論争」が展開されていた。熊本県のみかん農園のホームページに設けられた《みかんの味はどうあるべきか!? 「もっと甘く」vs.「もっと酸っぱく」徹底研究》という掲示板である。
http://pina.sakura.ne.jp/nouen/taste.html

そこに面白い話が出ていた。妊娠した時、酸っぱいミカンを食べようと青い早生(わせ)ミカンを買うと、とても甘くて失望したので、代わりにピクルスを大ビンで食べた。八百屋に聞くと、ミカンには「美味しいミカン」と「甘いミカン」の2種類があると教えられた。単に甘いのは、ボケた味のミカンだ、等々。酸っぱいミカン肯定論者が多く、私も溜飲が下がった。

それにしても、ハッサクである。家内(生まれも育ちも奈良県)は「甘いハッサクが、何で悪いの?」というが、違うのである(家内の好物はブンタン)。かつては身震いするほど酸っぱいハッサクがあったが、そこまで求めなくても、やはり適度な酸味と苦味が必要だ。

ちょうど昨日(2/22)、実家から宅配便が届いた。開けてみると、奥手(早生の反対)の温州ミカンの間に、3個ばかりハッサクが混じっていた。早速食べてみると、苦味と酸味と甘味のバランスが絶妙で、とても美味しい。私のイメージどおりのハッサクだ。来月にはこれが箱でどっさり届くと思うと、嬉しくてたまらない。

早速、母にお礼の電話をした。開口一番「やっぱり、九度山のハッサクは美味しいなぁ」というと「あれは、広島のハッサクや」(^^;

※写真は明日香村のミカン山(06.10.28撮影)。そういえば5月に山辺の道(天理市萱生町あたり)を歩いていると、ミカンの花のとても良い香りがした。奈良県産ミカンは、どんな味なのだろう。
コメント (8)
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