よむよま

よむ・よまない、それから。

ハンブルクバレエ「ニジンスキー」

2018-02-11 21:24:28 | 見る
ハンブルクバレエ団の「ニジンスキー」振付ジョン・ノイマイヤー
たまたま2月10日と11日の2回(違うキャスト)見ることができた。

見るのに体力気力のいる作品。
2時間半ぐらい(休憩25分あり)なのだが、4時間のシェイクスピアより疲れるんじゃないか。
ニジンスキーが最後に踊ったという、ホテルのホールの場面からはじまるが、
集まった観客たちはひややかな気配、
赤いドレスのニジンスキーの妻も、男がいるようだ。
やがて登場したニジンスキーは、作品を見せるというより、
観客を置いて自分の世界に行ってしまっているようす。
前衛的に踊ってみせたけどウケなくて、むかし成功した役の踊りを踊ると拍手拍手でウケたという感じになってたのが、
おもしろかったし、皮肉な感じでもあった。
そこから過去に踊った役や成功した作品の踊り手が現れて、ディアギレフの幻も現れる。
ディアギレフはバレエ団の主宰者であり愛人であり、ニジンスキーを支配した男。

後半は、ニジンスキーの狂気と戦争の空気が一緒になってる。
「春の祭典」と兵士の踊りが一つになってて、
不穏な音楽の盛り上がりとともに、
ニジンスキーと彼の周囲の人々の苦悩や緊張感が高まっていく。
ラストシーンは最初のホテルのシーンに、時間が戻ってくる。
彼が最後に踊った「神との結婚」という作品を使った場面になっていて、
舞台の真ん中で十字架のように屹立するニジンスキー、
そのまわりで兵士や観客や踊り手がバタバタと倒れていくという、
怖ろしい雰囲気のラストシーンになっている。

全体として、過去の役や作品の踊り手たち、社交界の人たち、兵士たち、
舞台上に大人数が出たり移動したりの構成がすごい。
10日は前から3列目だったので、前すぎて、全体が見えなかった。
前すぎて、踊り手(特に男性ダンサーの集団)の圧がすごかったね。ぐわーっとこっちに来る。

10日は、ニジンスキー:リアプコ 妻:ブシェ ディアギレフ:ウルバン  
過去の役のダンサーで、アルルカンとばらの精:トルーシュ
シェエラザードの金の奴隷と牧神の午後:フベーテ
11日は、ニジンスキー:トルーシュ 妻:アグエロ ディアギレフ:ユング
アルルカンとばらの精:エヴァンス シェエラザードの金の奴隷と牧神の午後:リバオ

10日のリアプコ組は、「踊る俳優」ぞろいな感じだった。
リアプコは初めから狂気の感触が強くて、後半、ますます鋭く尖ってくる。
11日のトルーシュは、むしろまっとうな純粋な若者で、
だから、最後のほうは「ああ、かわいそう!」と思ってしまう。

メインの役は全部入れ替わってたのに、ペトルーシュカの役だけ、ロイド・リギンズが両日とも踊ってた。
驚きました、だって、髪薄くてオジサンなの。
このあいだDVDで見た「ヴェニスに死す」の主役の老大家をやってた人でしょ、
すごくうまいとは思ったけど、若くないのに。
「この人、昨日も踊ってたよ!」と驚いちゃった、かなりの運動量なので。
主役ははんぱないって感じですが、ほかの役も全部大変そう。
迫力の作品でした。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「アンナチュラル」5話 | トップ | 広辞苑第七版・ゴロウデラックス »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

見る」カテゴリの最新記事