NHKスペシャル「赤報隊事件」

１月27日・28日放送のNHKスペシャルは未解決事件シリーズ、いままでは草なぎくんがナビゲーターとして出演してたけど、
今回は１夜めがドラマ、２夜めがドキュメンタリーで、
ドラマの主人公を草なぎくんが務めた。

事件は31年前の夜、朝日新聞社の阪神支局に目出し帽をかぶった男が侵入し、
そこにいた３人の記者のうち、２人を散弾銃で撃った。その１人、小尻記者はまもなく死亡。
事件後、赤報隊と名乗る声明文が届いた。
名古屋、静岡など、ほかの支局にも爆弾、侵入事件が続き、東京本社にも銃撃痕があったことがわかったが、
結局、事件の犯人は逮捕されず、時効によって未解決のまま終わった。
声明文の内容が、反日の朝日の社員を処刑するというもので、「赤報隊」の正体は右翼と見られる。

朝日新聞社では、警察とは別に独自の調査班を作って犯人に迫ろうとした。
その班の主軸となった記者の役を草なぎくんが演じた。
樋田毅さんという方で、樋田さんはいまもお元気で、草なぎくんとも会っていろいろ話をしたようで、
そのことも、それからドラマを見たあとでも、とても感激してツイッターでほめてくださっていた。

右翼の大物とか、探っていった先、あるいはここを尋ねればという相手に、会いに行って話を聞いている。
どの右翼も、最初は、朝日は嫌いだから会わないと言うのね。そこを頼み込んで会ってる。
そして、事件については、あれは義挙だ、正義だと言う。
樋田記者が、亡くなった小尻記者が家族と笑顔で映っている写真を見せ、
この家族の前で同じことが言えるのかと聞くと、
「それは言えないかもしれん」が、「正義だ」と言う。

目的が正しければ手段は問わないというのは、テロの理屈だよね。
幕末の長州人たちと同じ理屈だ。

ドラマ中では、そういう主張の右翼の大物に対して草なぎくんの樋田記者が、
「考えの異なるものを銃で撃ち殺し、それが正義だと主張したのが赤報隊です。
小尻記者に向けられた銃弾は、自由な社会を求める私たち一人一人に向けられたものだ！」
と強く言い返す場面がクライマックスだったね。
張り詰めた、魂のこもった場面になってた。

すごくよかったと思うのは、単に「当時のことをドラマで再現しました」というのではなくて、
いま現在の状況、いま、大通りを「反日」と叫びながらデモしていく、
赤報隊を賛美するような連中が大声を上げているような状況を場面として出していたこと。
最初と最後は、そのデモを見ながら、樋田記者（草なぎ）と辰濃記者（上地）が語り合ってる場面になっていた。
こんなことがあったんだねでは済まない社会になっているというのを見せていた。

つよぽんなんて呼べないような緊迫した演技で、草なぎくん自身の仕事としてもよかったし、
つよぽんの演技見たさにドラマを見て、翌日のドキュメンタリーを見た人も多かったようなので、
それもよかったね。なかなか重い内容のドキュメンタリーは難しいから。
それにしても、NHKはこういう番組はちゃんとしてるのに、なんで看板のニュースはダメになっているのか。