赤坂大歌舞伎2021
赤坂ACTシアターでの歌舞伎公演、今回は2016年初演の「廓噺山名屋浦里」の再演をメインに。
タモリさんがブラタモリで行った吉原で聞いた江戸時代の実話をもとに、鶴瓶さんが落語にし、それを聞きに行った勘九郎が歌舞伎に仕立てた作品。
留守居役として初めて江戸にやって来た実直な田舎武士(勘九郎)が、遊興三昧の他藩の留守居役たちにいじめられ、吉原の馴染みの女を連れて来いと言われたことから、吉原随一の花魁(七之助)が彼の誠実さにほだされて協力する話。
約束の当日、花魁の到着が遅れ、田舎武士が、女は来ないじゃないか、嘘をついたなと責め立てられ、あの花魁にだまされたのかと観客も一緒にがっかりしかけたところに、豪華絢爛な正装の花魁が登場!美しい!
ここがまずクライマックスで、他藩の留守居役たちがびっくりしてヘナヘナになり、観客も一緒に溜飲が下がる、気分のいい華やかな場面。
そのあとの、花魁が田舎武士に心を寄せたわけを話したい、自分の身の上を話したいと、それまでの廓ことばをやめてお国なまりの田舎ことばで訥々と話す場面が第二のクライマックス。ただ、七之助は廓ことばでは高い声を張っていたのを、お国ことばのところで急に地声にするので、ちょっと中年のオバサンみたいに聞こえるかも。うんと差をつけて見せたいためだと思うけど。
そういう、わかりやすさもテンポも、初演のときより上がっていて、ホロリとさせる人情劇として、ちゃんと出来上がりましたという感じです。
勘ちゃんはこういう、田舎者の朴訥な佇まいに違和感がないんですよね、全然田舎の子じゃないのに不思議ね。
20分の休憩を挟んで、舞踊二題。
「越後獅子」は長男の勘太郎くんが一人で。
勘太郎くんは十歳、去年より踊りがうまくなってる!越後獅子は、後半は高下駄履いて、両手に晒し布を持って(新体操じゃないけど)扱わなきゃいけないから、なかなか大変ですが、きちんとできてる。偉いねえ、ちゃんとお稽古してるのね。
最後は今回のための新作舞踊「宵赤坂俄廓景色」
鳶の頭たち(勘九郎、長三郎、虎之介、亀蔵)と芸者たち(七之助、扇雀、鶴松)で賑やかに舞い納めます。八歳の長三郎くんもお父さんの隣で一人前に鳶の若い衆をやってます。ふふふ。
TBS開局70年と来年からこの劇場が変わることを寿いで、途中に「お手を拝借」と手打ちも入れて、ラストは長三郎くんを吊り上げてハリー・ポッターにしてた。
ここが来年からハリー・ポッター専用劇場になってしまうから、赤坂歌舞伎は今回が最後なんでしょう?それでも祝福しちゃうんだ。
勘太郎くんは高所恐怖症だけど、長三郎くんは平気なんだね。
勘ちゃんの鳶の頭は、芝居のほうの田舎武士とは打って変わって、江戸前の教科書みたいなカッコよさ。踊りは余裕ありすぎ。
勘ちゃんの目一杯な踊りが見たいな。来月は道成寺があるか。でも、変型ですよね。勘ちゃん一人の「京鹿子娘道成寺」が見たいですね。